人狼物語 三日月国


149 【R18身内村】LOVE OR ALIVE

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【人】 宮々 蓮司

車は駅前に着くと静かに停車した。


 「 着いた、な。」

いつか「どこにも辿り着きたくない」そんな風に言った男がいた。そいつは今のよう場面を想像していたのだろうか。


ここで、彼女が車を降りればそれでおしまい。
さっき彼女が言った通りたまに連絡が来るかもしれない。
でも、きっとしばらくすればそれもなくなる。
だからと言って何もできないし、何かしようとも思えない。

なあ、蓮司
お前はこんな終わり方も想定していたんだよな?


エンジンを切ると、助手席の瀬里へと視線を向けた。*
(85) 2022/05/28(Sat) 21:13:55

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 病?
   ………そう。だったんだ。 」


 病によって、恋矢を抜かざるを得なかった。
 そんな話は今、初めて聞いた。

 ううん、瀬里≠ヘ知っていたんだろう。
 知ったうえで、それを受け入れたとき
 私は、どう思ったんだろう。

 うらやましい、の声に私は小さく微笑んだ
 
 
 「 これほど楽しそうに過ごしていたのに
   恋心と記憶が消えてしまったのは……
   ……きっと、悔しかっただろうな。 」


 恋心が消えるときの感情なんてわからないけど
 でも大切にしていたものを喪わざるを得ないときの
 悔しさとかなら、分かる気がするから。

 
(86) 2022/05/28(Sat) 22:39:03

【人】 雨宮 瀬里

 

 駅前で車が止まる。
 私が全く知らない駅だったけれど
 きっと家までは帰ることはできるだろう。


 「 ……うん、 」


 貴方の視線がこちらへと向く
 
 ここで、私が車を降りればそれでおしまい。
 時々私から連絡をするかもしれない。
 だけどそれもいつ終わるかはわからない。
 だからと言って何もできないし、何かしようとも ──


      二つの色の違う瞳を
      私のスカートとお揃いの色の左目を
      私が…好きだったであろう、その瞳を、


 
(87) 2022/05/28(Sat) 22:39:48

【人】 雨宮 瀬里

 


 ねえ瀬里
 貴方はこんな終わり方も想定していたの?



 
(88) 2022/05/28(Sat) 22:40:16

【人】 雨宮 瀬里

 


 ──────── ちがうの。



 
(89) 2022/05/28(Sat) 22:40:41

【人】 雨宮 瀬里

 


      頬を流れる涙の意味を、私は知らない
      貴方が見たことのない涙を
      私はきっと、初めて流した。 *


 
(90) 2022/05/28(Sat) 22:41:44

【人】 宮々 蓮司

それは何か考えるよりも先の行動だった。

気づけば手を伸ばしてその涙を拭っていた。

どうしようもなく切なかった。
そして、彼女が涙を流しているのが、そうさせているのが自分なのだと思えば許せなかった。
(91) 2022/05/29(Sun) 0:49:20

【人】 宮々 蓮司

 
 「 泣かないでくれ、
   わからないけど、
   どうしてかはわからないけど、
   瀬里に泣いてほしくないんだ。」
 
(92) 2022/05/29(Sun) 0:49:46

【人】 宮々 蓮司

胸が押し潰されそうだった。
これは蓮司≠フ残滓なのだろうか。
瀬里≠愛した男の恋の欠片なのだろうか。
(93) 2022/05/29(Sun) 0:50:23

【人】 宮々 蓮司

 



 ──────── ちがう。


 
(94) 2022/05/29(Sun) 0:50:50

【人】 宮々 蓮司

昨日まで瀬里を愛していた事実は消えない。
彼女を愛していたのも、それだって俺なんだ。

記憶を失っても、恋心を失っても。

──── 全部俺なんだ。
 
(95) 2022/05/29(Sun) 0:51:58

【人】 宮々 蓮司

 
 「 こんな終わり方は嫌だ。」


理由を聞かれてもわからない。
だけど、こんな終わり方は絶対に嫌だった。
昨日までの蓮司≠ェとかじゃない、昨日も今もなく俺が嫌だと思っている。*
(96) 2022/05/29(Sun) 0:52:15

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 …っ、ごめんなさい
   泣くつもりとか、なくて 」


 意に反して流れ出た涙を
 あたたかな指先が拭うなら、
 私は思わずそれを否定するけれど、
 涙は簡単には止まってはくれなかった。

 それでいて、もっと触れていたいと思ったのは
 昨日までの私?それとも今の私?

    それとも、全部、私なのだろうか。


 
(97) 2022/05/29(Sun) 8:44:32

【人】 雨宮 瀬里

 

 洋服の好みが変わっても
 恋矢が刺さって恋心を抱いても
 それがまた喪われて想いが消えてしまっても

 私に起きた変化はすべて、
 雨宮瀬里そのものなのだろうか。

 貴方に出会って、貴方が日常を満たして以降の
 私自身の記憶は喪われたままだというのに


 
(98) 2022/05/29(Sun) 8:45:06

【人】 雨宮 瀬里

 

 こんな終わり方は嫌だ。
 はっきりと音になって耳に届いたそれに
 私はこくりと頷いた。


 「 私も。こんな終わり方は嫌 」


 理由なんて私だってわからない。
 だけど、こんな終わり方は絶対に嫌だというだけ。

 
(99) 2022/05/29(Sun) 8:45:18

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 私ね、記憶を取り戻したい
   どうしたらいいか、わからないけど… 」


 恋をしていた私も、今の私も、私だというのなら
 恋をしていた時の私の記憶を、取り戻したい。
 オーディオからは相変わらず透明な歌声が響いている。 *

 
(100) 2022/05/29(Sun) 8:45:30

【人】 宮々 蓮司

 
 「 恋人に、……ならないか? 」
 
(101) 2022/05/29(Sun) 10:36:59

【人】 宮々 蓮司

それは提案。

恋心がなくても、かつての二人に関する記憶がなくても、二人が恋人同士でお互いを深く愛していたのなら。
中身が伴わなかったとしても、
その形がもしかすると何かのキッカケになるかもしれない。

そうは言っても、恋心のない二人だ。
だから、少しずるい理由を付け加える。



 「 きっと、
   瀬里≠熈蓮司≠烽サれを望んでいるはずだ。」


たとえ、まるで別人の様に感じていても、
やはりそれは二人にとっても過去であることに変わりはないはずだから。

*
(102) 2022/05/29(Sun) 10:37:20

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 ……恋人に? 」


 私が浮かべるのは困惑の色。
 それでも頬に触れた手を避けることもしないまま
 貴方の両の瞳を見つめる。

 恋心とはどんなものだっただろうか
 思い出せぬままに、恋人の振りをするのは

 ──── ああ、それはかつての私。
 そんなことも忘れているくらいに、
 いつの間にか私は変えられていた。

 憶えていないから、きっと貴方のお陰。

 
(103) 2022/05/29(Sun) 11:12:42

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 ……うん、構わない。
   瀬里≠熈蓮司≠烽サれを望むもの。 」


 流れていた涙が止まったから、
 きっと、そうなのだろう。


 「 ……改めて、っていうのもなんだけど
   雨宮瀬里です。……よろしく……? 」


 きっと2回目の初めまして。
 はにかんだ笑顔は、営業スマイルなんかじゃない。
 
(104) 2022/05/29(Sun) 11:13:20

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 恋人はじめに、もう少し、
   ドライブデート、しませんか。
   歌も、聞いていたいし、
   もう少し、話がしてみたいから。 」


 例えばひとつ先の駅まで。
 例えば乗り換えのターミナル駅まで。
 家までは、少し気が引ける距離だけど。

 もしもドライブデートが叶うなら、
 きっと最初から、お互いを知っていこうかな。
 私が陶芸を生業にしていることとか
 貴方は珈琲を好むとか、きゅうりが嫌いだとか

 他愛のない話を、いくらでも。

 
時間制限はどこにもないから。
*
 
(105) 2022/05/29(Sun) 11:14:33

【人】 宮々 蓮司

涙が止まったのを見て手を頬から離した。


 「 宮々蓮司だ。
   よろしく、っていうのも何か変だな。」


はにかむ瀬里に同じ様な笑顔を見せていたと思う。
不思議なもので、恋をせずに恋人になるというのに、恋人になったと思えば、そうであることが当然の様に思えた。
(106) 2022/05/29(Sun) 19:09:23

【人】 宮々 蓮司

 
 「 ドライブデートか。
   恋人の第一歩としてはいいかもな。」


そうと決まればシートベルトを着け直して、車を走らせようか。
ドライブのBGMには聴き覚えのある歌、透明な歌声。


お互いの知らないことを話しながら。
不思議な感覚は知らないのに新鮮味がないこと。
本当は知っていたはずのことだからか。


そんな他愛のない話。
無くした記憶を埋めていく様に。
そうやって全てを埋め直したら、また以前みたいに慣れるのだろうか。
(107) 2022/05/29(Sun) 19:09:37

【人】 宮々 蓮司

そんな時間はきっとあっという間に過ぎていく。
そして気づけば瀬里の家まで辿り着いて、辺りはもう昏くなっていた。*
(108) 2022/05/29(Sun) 19:10:17

【人】 雨宮 瀬里

 

 記憶から抜け落ちてしまった欠片を拾い集める
 私たちにとっては初めて手に入れる欠片は
 新鮮味がなく、どこかすんなりと馴染んでいく

 隣の駅を越え、
 ターミナル駅を越え。

 記憶があいまいであっても
 私は正しく貴方に住所を伝えることが出来たはず

 だけどそんなことしなくたって
 ナビの履歴に残っていたかもしれないし
 ナビを見なくても……
 貴方は、問題なく車を走らせたかもしれない


 
(109) 2022/05/29(Sun) 20:03:23

【人】 雨宮 瀬里

 

 街灯の少ない小さな町。
 こうして夜の助手席に座っていることも
 なんだか、初めてではないような感覚に陥る
 事実、初めてではないはずだから当然だけど

 貴方の左隣に居ることが、
 なんだか、至極当たり前≠ナあるかのような感覚。

 オーディオからゆるやかに流れる音楽
 窓の外を流れる夕景 いくつもの標識
 低いエンジン音と 僅かな車の振動

 ああ、いつだってこうやって、


      離れがたい
      どこにも着きたくない
      そんな気持ちを重ねていたのは、

      ………誰、だっけ。


 
(110) 2022/05/29(Sun) 20:04:04

【人】 雨宮 瀬里

 

 気づけば、私の家へとたどり着く。
 記憶がはっきりしている実家ではなく、
 記憶が朧げだった一人暮らしの小さなアパート。

 だけど確かにここが私の家なのだ、と
 住所がそらで言えたように、知識として理解してる



 「 遠くまで、ありがとう 」


 すっかり辺りは昏くなってしまった
 途中お昼や休憩に立ち寄ったとはいえ
 随分と長いドライブデートをさせてしまって
 素直に…ほんの少し申し訳ない気分になったけど。

 
(111) 2022/05/29(Sun) 20:04:19

【人】 雨宮 瀬里

 


 「 蓮司さん、……あの、 」


 言葉を投げかけて、詰まらせて。
 何か言うべき言葉があった気がして、
 それでもそれは何処にも見つからなくて。

 
(112) 2022/05/29(Sun) 20:04:31

【人】 雨宮 瀬里

 


 部屋のあちらこちらに貴方のものがあること
 気づいたのはもう少しだけ後の話。


 
(113) 2022/05/30(Mon) 13:09:32

【人】 雨宮 瀬里

 

 その日の夜か、翌朝か。
 貴方と別れてからというものの
 貴方のことがどうしたって頭を離れず
 どこか熱に浮かされたような心地は続く。
 
 溜まっていた写真や、メールのやり取りから
 どうやら週末だけ私たちは会っていたようだし
 彼のことを、蓮司、と呼び捨てにしていたようだ

 貴方が居ない部屋で「蓮司」と呼んでみて
 なんだか恥ずかしくなって顔を赤らめたのは
 貴方が知らない私だけの秘密。

 
 『 また週末、会ってくれますか 』


 貴方に一文メールを送るだけでも、心が跳ねた。

 
(114) 2022/05/30(Mon) 13:10:04