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【人】 灯守り 立春[ローザちゃんと雨水さんはどんなお話をしているんだろう。 見守る気持ちでこっそり耳をそばだててみれば、 小さな声は拾いきれないながらも 『立春様』の単語が飛び込んできた。>>46 ……もしかして、私の話をしてるのかな? そう思いながら手を振ってみれば 私の視線に気付いた雨水さんが手を振ってくださって>>26 ローザちゃんも手を…… 振らない、ですって……!?>>47>>47>>47 どうしよう。何か、急に 大きな壁を築かれてしまったような。 ローザちゃんに様まで付けられてしまうと、こう── ──……さみしい。 淋しい!! 淋しいよローザちゃん!! いつもみたいに"茉莉お姉ちゃん"って 呼んでくれていいんだよ!!! 場に相応しい言葉遣いを慮ろうとする姿はとても立派だ。 大人びた会釈を見れば感慨にも耽ってしまうし、 確かに私の現在の通称は立春ではあるのだけれど。 雨水さんが私の本名を 憶えてくださっているかはわからないから、 立春の方が伝わりやすいとは思うけれど。けれど。でもでも。] (65) 2022/01/28(Fri) 20:34:26 |
【人】 灯守り 立春[叫び出したい感情をなんとか 胸の内に押し込むよう努めながら、] 大きくなったねぇ…… [この小籠包しょっぱい。こんなにしょっぱかったかな。 さっきまではとっても美味しい小籠包だったはずなのに…… ……などと妹分の成長ぶりに涙しつつもきゅもきゅしていると 雨水さんがこちらへと駆け寄ってくるではありませんか。 どうしたのかなと思ってきょとんと目を瞬かせれば ずい、と差し出されるチョコフォンデュ。>>27] えっ。わ、わわ。 ありがとうございます、雨水さん! ふふ。雨水さんのご感想も、村雨様のご感想も 楽しみにしておりますね。 [艶やかな苺にかかったとろけるチョコレートは 間近で見ればますます美味しそうで、 自然と内から笑顔が溢れ出てしまった。 チョコいちごをくださるや否や ローザちゃんの元へと駆け戻ってゆく雨水さんの背を見送って、 また二人の会話を遠くからそっと見守る。] (66) 2022/01/28(Fri) 20:34:35 |
【人】 灯守り 立春[一生懸命に言葉を紡ごうとするローザちゃんと 真摯に耳を傾けている雨水さん。 ……何故かしょんぼりしてるね? 大丈夫だよ、ローザちゃん。雨水さんも。 ここで見守ってるからね。 ゆっくり落ち着いて焦らずに話せれば ちゃんと伝わるはずだから。 そんな気持ちを込めて笑顔で両こぶしを握ってみせた。 なお無言の応援がふたりに伝わったかどうかは不明だ。 助けを求めるようなまなざしを向けられることが もしあれば、飛んでゆくつもりでもいる。 けれど、 今しばらくはこうして見守っているのが ふたりにとっても良いんじゃないかな、と お姉ちゃんは思ったのです。]* (67) 2022/01/28(Fri) 20:34:41 |
【人】 灯守り 立春[お話してくださった雀さんと大雪さんに、 ぺこりとお辞儀して席を立つ。 とろけたチョコレートの掛かった苺の乗ったお皿に、 雨水さんのアドバイスを受けて>>70 クラッカーとバナナをテーブルから追加した。 フォークを二本携えて、一目散に向かうは] ──お姉ちゃん!! [ごちそうの乗ったテーブルの間をたたた、と駆けて お茶を啜っているお姉ちゃんの元へ。>>7] 見て見て! あのねっ、これね 雨水さんがチョコレートを溶かして 苺に掛けてくれたんだよ! 一緒に食べよ…… [弾んだ声で言いかけて、はたと止まった。 テーブルの上には全員がお腹いっぱい食べても 簡単にはなくならなさそうな量のお料理が 品数も豊富に乗っかっているのに、 お姉ちゃんの手元には、お皿もお箸も見当たらない。 当然ながら、私の作った和菓子も。] (89) 2022/01/29(Sat) 7:37:50 |
【人】 灯守り 立春…………? お姉ちゃん、お腹空いてない? 疲れちゃった? それとも、もしかして やっぱり体調わるい……? ちょっと外の空気、吸いに行く? [心配になって、顔を覗き込みながら尋ねてみる。 ほんの些細な違和感も見逃さないようにじいっと。 お姉ちゃんがどんな気持ちでここにいるのか、 相変わらず何もわからないままで。]* (90) 2022/01/29(Sat) 7:37:54 |
【人】 灯守り 立春[会合が終わってもしゃっきりと背筋を伸ばして 静かに凛と佇んで異彩を放っていたお姉ちゃんは、 私と目が合うと表情が柔らかく綻んで見えた。>>140 良かった。いつものお姉ちゃんだ。 綺麗な服、可愛いもの。 美しい景色、美味しい食べ物。 素敵なものを見つけたとき一番に思い浮かべる人は いつだってお姉ちゃんだった。 春分域のカフェ『陽だまり』さんで 秋冬限定雪うさぎチーズケーキをいただいた時にも>>87、 一番に見せたいと思ったのはお姉ちゃんだった。 他の家の姉妹がどんな風なのかは知らない。 こんなにお姉ちゃんにべったりな妹は珍しいのかな? 方々から送られてくる大量のお見合い写真を眺めても お見合いを進める気にはなれなくて、 最近では封も開けないままに床上に積み上げて 埃を被らせてしまっている。 いつか私に好きな人が出来て その人と結婚する日が訪れたとしても、 日々の生活の中で素敵なものを見つけたときに 一番に思い浮かべるのはお姉ちゃんだと思う。] (207) 2022/01/30(Sun) 14:51:01 |
【人】 灯守り 立春[受け取られない可能性をほとんど考えずに差し出した、 フォークとお皿へと手が伸ばされる。>>141 遠慮なく甘えられる妹に育ったのは 甘やかしてくれるお姉ちゃんが居たからだ。 昔はよく走り回って転んだり、 階段から転げ落ちそうになったり 雨の中はしゃぎまわって風邪を引いて寝込んで お姉ちゃんに心配をかけてばかりだったように思う。 何を作っても「美味しい」と言ってくれるし 何を贈っても「ありがとう」と言ってくれる。 遠慮しようとすれば、 さりげなく甘えやすいように導いてくれる。 いつも私に合わせてくれてるんじゃないか、と 思い至ったのは本当につい最近になってから。 ずっとくっついていたはずなのに、思えば お姉ちゃんの好きな食べ物ひとつ 自信を持ってまともに答えることが出来ない。 お姉ちゃんの喜ぶ顔が見たいのに 何年経ってもなんにもわからないままで。] (208) 2022/01/30(Sun) 14:51:07 |
【人】 灯守り 立春[不自然に置かれた間が、食事に手をつけない理由が 取り繕うように紡ぎ出された言葉めいて聴こえた。 拙い砂だんごを美味しそうに 食べる振りをしてくれていたみたいに、 いまも、お姉ちゃんは 美味しそうに食べようと努めてくれているんじゃない?] (209) 2022/01/30(Sun) 14:51:12 |
【人】 灯守り 立春お姉ちゃんにはいつでも元気で居てほし…… んぐ!? ……んいひい。 [言葉を遮るように押し込まれたチョコいちごは 少し酸っぱくてほろ苦くて、でもやっぱり甘い。 昏い想像も不安も何もかもが単なる私の思い過ごしなのだと 思わせて忘れさせるだけの力を持っている。 口の中いっぱいに広がった果汁と とろけたチョコレートを全部飲み込む頃には、 お姉ちゃんの口からも『おいしい』が零れていて] そっかあ……そういうことなら、 あんまり食べるわけにはいかないね。 [私は今日もまたお姉ちゃんの言葉を 額面通りに受け取って安心してしまう。] (210) 2022/01/30(Sun) 14:51:18 |
【人】 灯守り 立春これくらいなら、 用意してもらったご飯の後でも食べられるかな。 お姉ちゃんにも食べてみてほしい……けど、 食べきれなかったら、食べなくてもいいからね。 [そう言って、お土産用の小さな紙袋の中身を見せる。 三種の和菓子がそれぞれ二つずつに、ひとつだけ 練り切りで梅を象った上生菓子が入っている。 中のあんはお姉ちゃんが好きなはずだと思っているものだ。 猫さんがどんな人なのかはよく知らない。 ご挨拶しようとしてもいつも逃げ出されてしまうから 確かめようもないまま今日に至っている。 猫さんの分も入れたのは、 姉がお世話になってますの気持ちを込めたお裾分けのつもり。] ごはんを作って待ってくれてるかもしれないなら あんまり遅くまでは一緒に居られないよね…… パーティーが終わったらすぐ、お風呂行こ! 会合中ずっと楽しみにしてたんだ〜!! (211) 2022/01/30(Sun) 14:51:22 |
【人】 灯守り 立春[いつの間にか窓の外は夜の帳が降り始めていて ひとり、またひとりと帰り支度を始める姿が目に映る。 とっても緊張したけれど勉強になった会合も、 美味しくて楽しかったパーティーももう終わり。 けれど、 もうすぐそこまで立春のお祭りが近付いてきているから 淋しがっている暇はない。 テーブルの上に置いた和菓子は ありがたいことにすっかり売り切れて 麦さんの置いてくださったアンケートだけがはらりと残る。 それを回収し、周囲の皆様に再度ご挨拶をして…… お見送りしてくださる天乃さん達に深々とお辞儀をしてから 早く早く、とお姉ちゃんの手を引いた。 幼さを残したままの、あどけない笑顔を向けて。]** (212) 2022/01/30(Sun) 14:51:32 |
【人】 灯守り 立春『 雨水さんへ お手紙をありがとうございます。 桜餅、気に入っていただけてとても嬉しいです。 師匠の和菓子をよく召し上がってくださった村雨様に そう言っていただけると自信が持てます。 村雨様にもどうぞよろしくお伝えください。 また近いうちに、遊びに行かせていただきますね。 美味しい物を作るコツ……ですか? 私もいろんな方から定期的に教わっているのですが、 そのお料理を食べてほしい方のことを思い浮かべながら レシピに忠実に作ることかな、と思っています。 ローザちゃんに手料理を振る舞われるご予定なのですね。 雨水さんならきっと美味しい手料理が作れると思います。 先日のパーティーでお二人の仲が深まったようで ひっそりと喜んでいる私がいます。 (ローザちゃんとは文通する仲でもあるのです) 私もそのうちに雨水さんの手料理をいただける日が来ると 夢を見てみても構いませんか? また百貨店を案内していだだけると嬉しいです。 可愛いお洋服、一緒に探しましょうね。 立春より 』* (223) 2022/01/30(Sun) 16:16:25 |
【人】 灯守り 立春[もう1枚、便箋を取り出して また違う色のインクを選ぶ。 『 麦さんへ 先日は私どもの作った和菓子を美味しいと 召し上がってくださってありがとうございました。 麦さんが置いてくださったアンケートの結果は、 お祭りでご用意する和菓子に 反映させていただきたいと思います。 とびっきり美味しい和菓子を 用意してお待ちしておりますので、 ご都合よろしければ是非 小満さんや小雪さんと遊びにいらしてくださいね。 落ち着いたら、『慈雨』さんにも お邪魔させていただきたいと思っています。 そのときには、麦さんおすすめのお料理をぜひ 教えていただけると嬉しいです。 立春より 』 メジロが桜の枝に乗っている可愛らしい切手を選んで、 ミントグリーンの封蝋を施して投函した。]* (224) 2022/01/30(Sun) 16:24:36 |
【人】 灯守り 立春[更に新しい便箋を1枚、取り出して 今度は柔らかな桜色のインクを選び取る。 『 雀さんへ 先日のパーティーでは、 お話してくださりありがとうございました。 春分域の桜について 本当に嬉しそうに語ってくださる雀さんを見て、 花咲く春への楽しみと期待が高まりました。 満開の桜の下、ピクニックシートを敷いて お姉ちゃんと広げるお弁当の中身はどんなものが良いか、 今から真剣に悩んでいます。楽しい悩みです。 雀さんも、春分さんとご一緒に お花見に行かれるのでしょうか? お二人はどんな時間を過ごされるのでしょうか。 見どころやおすすめの場所なども、ありましたら また是非教えていただけると嬉しいです。 』 ] (257) 2022/01/30(Sun) 19:32:34 |
【人】 灯守り 立春[ 『桃のタルトも、桜のケーキも 桜のフレーバーティーも今年もまたいただきたいので 桜の咲く頃には幾度となく『陽だまり』さんに お邪魔させていただくことになりそうです。 ご相談なのですが 練りきりや錦玉羹はお持ち帰り出来ますか? 昨年は自分のことでいっぱいで何も出来なかったので 今年はきちんと先代を弔いたいと思っています。 春分さんにもよろしくお伝えください。 それでは、また。近いうちに。 立春より 』 三色団子の絵の描かれた切手を桃色の封筒に ぺたりと貼り付けて、送り出した。]* (258) 2022/01/30(Sun) 19:32:57 |
【人】 灯守り 立春[更に白藍色の封筒を取り出して、一通。 『 大雪さんへ パーティーではお目にかかれて光栄でした。 もふもふはできませんでしたが、大雪さんご本人に お会い出来て嬉しかったのは本当です。 ご近所のお店で可愛い手作りの ぬいぐるみを見つけたので、送らせていただきます。 以前何度か遊びに行かせていただいたときに 見せていただいた子たちを思い浮かべて、 大雪さんのお好きそうな子を選んだつもりなのですが どうでしょうか……? 受け取っていただけると幸いです。お近づきのしるしに。 お菓子も、ぜんぶおいしいと 言っていただけてほっとしました。 またお土産にお菓子を持って 大雪さんとぬいぐるみさんたちに 会いに行っても構いませんか? 大雪さんのお邪魔でないときに。 時間を気にせずゆっくり、ぬいぐるみのお話や いろんなお話を聴かせていただけたら嬉しいです。 立春より 』 ふわふわもこもこのテディベアにカードを添えて。]* (269) 2022/01/30(Sun) 19:57:20 |
【人】 灯守り 立春[それはお姉ちゃんの手を引いて パーティー会場を後にする、少し前のこと。 立春様、と声を掛けられて振り向くと 域を弾ませて可愛い妹分が立っていた。>>256 少しよそよそしくもきちんとした言葉遣いに やっぱり心の内の涙は禁じ得なかったけれど] ローザちゃん! 今日はお疲れさま。 初参加とは思えないくらい堂々としていて すごく立派だったよ。 そのドレスもとっても可愛くて似合ってる。 [今日一日、ずっと伝えたかったけれど 伝える機会が見いだせないままついに閉会の時を迎えた。 後でお手紙を書こうかな、と思っていたところに 声が掛かったものだからつい、 一息に伝えたかったことを伝えてしまう。 彼女の方からも何か伝えたいことがあったのかな、と 話を促せば、差し出される葉書。両手で受け取って、] わ、お洋服の展示会……!? 行くよ〜! 絶対行く!! 楽しみにしてるね! ローザちゃん! (274) 2022/01/30(Sun) 20:41:28 |
【人】 灯守り 立春[ローザちゃんがくれた招待状を暫し見つめてから 大事に、大事に鞄にしまい込む。 どんなに多忙な期間でも一日くらい、空けてみせる。 身代わりを立ててでも領域を抜け出してみせる。 葵ちゃんにも同じ招待状が渡されているだろうか。 もし予定が合わせられそうだったら、 一緒に白露域とローザちゃんを訪ねてみたい。 去り際。 いつものように名前を呼ばれると それはそれでまた喜びと安心から泣きそうになった。 辛うじて笑顔を保とうと努めながら またね、と彼女に手を振り返した。 持ち帰り、手帳に会期を書き込んだ後その葉書は 以前ローザちゃんに描いてもらった絵を収めて飾った 額縁の隣の壁に加わった。]* (275) 2022/01/30(Sun) 20:41:40 |
灯守り 立春は、メモを貼った。 (a8) 2022/01/30(Sun) 21:56:15 |
【人】 灯守り 立春[大寒さんから灯宮の鍵を引き継ぐ 立春の日が刻々と近付く中、私は 麦さんが置いてくださったつぶこしアンケートを ぬいぐるみベッドに埋もれながら見つめていた。 最初に書かれた麦さんは、つぶあん。>>3:0 この隅っこのはローザちゃんの字だ。つぶあん。>>4:34 和菓子の説明をさせていただいたとき、 処暑さんが少しの間を置いて 御手に取られたのもつぶあんだった。>>3:114 こしあん好きは居ないものだろうか、と思えば 『こしあん!』と元気な字が躍っている。 これは葵ちゃんの字だ。>>128 立秋さんは『皆違って皆いい』と、>>3:46 大雪さんも『ぜんぶおいしいです』と答えてくださった。>>185 小雪さんと冬至さんは、桜餅と大福を召し上がられて 小雪さんはこしあんを選ばれ>>3:69 対する冬至さんはつぶあんがお好きなのかな?と 思われるような発言をされていた気がする。>>4:0 雀さんも、つぶあんがお好きだと>>3:120 お話させていただいた時にうかがった。] (320) 2022/01/30(Sun) 23:49:32 |
【人】 灯守り 立春[こうして見ると圧倒的に粒あんの方が人気な気がする。 白あんや芋あんといった第三勢力が好きな方や>>3:48 そもそもあんこを召し上がられない方もいるかもしれない。 三種類のどれが特に人気、というのはなかったように思う。 春らしさが見た目から感じられる桜餅も すこし物珍しいだろう椿餅も、 黒豆の食感が楽しい定番の大福も ありがたいことにそれぞれにご好評だった。 と、あらば。 ううむ。首を捻ってしまう。 つぶかこしかを選ばれる方の多い中で 丁寧な『おまかせ』の一単語が輝いている。>>4:9 大福ならつぶあん、あんまんならこしあんと>>124 こだわりを見せられた小蝶さんのお答えは 小満さんに通じるものがあるかもしれない。 さて、どうしよう。 いい加減決めないと、 材料の調達の問題もある。 必要最低限の材料は既に押さえてあるけれど 処暑さんに打診して、念の為追加のもち米を送って頂いて…… つぶあんこしあん両方を用意するのがやっぱり一番かな? ううん、そうするとしてもなにか物足りない。] (321) 2022/01/30(Sun) 23:49:36 |
【人】 灯守り 立春[何か妙案はないだろうかと 亡き師匠の遺品の手記を紐解いていたとき、 その一文は偶然にも目に飛び込んできた。 ──これだ。 そうと決めてからは、早かった。] (322) 2022/01/30(Sun) 23:49:39 |
【人】 灯守り 立春[普段は大人数分の煮物を作るときに使うような 大きな二つのお鍋を用意して、 片方につぶあん、片方にこしあん。 それよりひと回り小さなお鍋三つに、それぞれ 白あん、芋あん、桜あん。 甘い香り漂うお鍋たちの隣に 手のひらサイズの大量のパンケーキと トッピング用の苺や栗と生クリームを添えて、 『お好きなあんを挟んでお楽しみください』スタイルの どら焼きを用意してみたのだ。 これならあんこの種類も量も個々人の好みで選べるし、 小さな子たちは特に喜んでくれるだろうし、 たくさんの人に楽しんでもらえる気がする。 それとはまた別に、師匠直伝の和菓子トリオも 気持ちつぶあんを多めに用意して。 パーティーでの反省を踏まえて抹茶や緑茶も準備して、 さて立春域に暮らす皆々様や お祭りに遊びに来てくださった皆様からの 評判はどうだっただろう。 遂に迎えたお祭り当日は 必至に考えたスピーチ文を読むところから始まり、 数々の祭事や催しを経て瞬く間に過ぎていった。] (323) 2022/01/30(Sun) 23:49:43 |
【人】 灯守り 立春[大寒さんから前日に受け取った鍵を挿し入れ、 ふたりの頼もしい蛍さんとともに 灯宮の中へと足を踏み入れる。 一年前に来た時と何も変わっていない。 厳かな空気の流れる薄暗い空間も、 揺らめきながら移ろうように色を変えてゆく灯りも。 ここは、魂の還るところ。 そして、魂の生まれ出ずるところ。 ひとつ、またひとつとカンテラへ還る灯りを見届けて 導の灯りから両手でそうっと灯りを掬い取る。 いつか見送ったあのひとは、もう 新たな生を受けて旅立ったろうか。 それともまだ、この手のひらの中に居るだろうか。] ────…… 行ってらっしゃい! [どうか幸せな一生を送れますように。 良縁に恵まれて、困難にも打ち勝てますように。 小さな祈りを込めて灯りを解き放てば、 無数の煌めく 花びら は風に流されて冬至域の方へと旅立って行った。] (324) 2022/01/30(Sun) 23:49:46 |
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