人狼物語 三日月国


55 (R18)竜宮城

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到着:かめ フウタ

【人】 かめ フウタ

[山の中にある古い家屋の中。
今年も終わろうというのに冬眠もしない一匹のクサガメは、
大きめの桶に張ったぬるま湯に浸かり、時々のろのろと手狭な中を泳いでみたりしながら、悶々とする心の内を隠していた]
(2) 2020/12/25(Fri) 7:35:35

【人】 かめ フウタ

[師走に入ったあたりからこんな事をしている理由を、家主のばあちゃんは尋ねなかった。
家内の彼女はどうだろう。
聞かれれば、

「冬眠せずに亀の姿でいられるのが嬉しい」
とか、
「本来の姿を忘れたくはないからな」
とか説明しただろう。

それだって嘘じゃないけれど、
この姿の方が表情が読み取りにくいだろう事が一番の理由だった]
(3) 2020/12/25(Fri) 7:36:00

【人】 因幡 フウタ

─ 回想。秋深まり、冬へ移ろう頃 ─

[暴力的な日差しが徐々に力を失い、朝夕は肌寒さを感じさせる季節へ移ろった。例年はこの頃になると屋根無し生活ゆえ、不安を感じずにいられないものだったが。

今年からはそうではない。
世話になっている駄菓子屋のばあちゃんが
家を用意してくれたから。

俺一人の時は、俺が何も素性を語らなかったからだろう、そんな提案はして来なかったけれど。
好いた女と一緒になると伝えれば、
傍に住みなさいとこの場所を与えてくれた。

生活に必要なものを貸してくれたり、
料理も作ってくれる。
流石に悪いので、仕事を増やして家に金を入れる様になったし、何もわからない状態から料理を教えてもらったりした。
手先が不器用ではなかった事が幸いした。

夏が終わる頃には、
見た目も味もそこそこのものが作れる腕前になった]
(4) 2020/12/25(Fri) 7:38:08

【人】 因幡 フウタ

[衣食住には困らないし、動物でありながら職にも就いているし、
何よりも可愛い嫁もいる。
何不自由ない生活、否、恵まれ過ぎた生活。

けれど朝夕が肌寒くなって来た頃からそわそわし出し、日中でも羽織が必要になってくると、時々妙な夢を見る様になった]


​  ……理恵、


[後ろから着いてきた理恵はあっという間に己の隣に並び立つ。
やがて……一緒に歩いていた筈なのに、
理恵はどんどん先に行ってしまう。
彼女に追い付こうと必死に足を動かしている筈なのに、
その差は広がるばかり。
理恵、と呼んでも彼女は前だけ見て、その背中を小さくしてゆく]


  理恵、理恵、


  行くな………


  ─── 行かないでくれ ッ、


[……叫んだのは夢の中だけ。
けれど、夢の中で理恵に伸ばした手は
現実でも彼女に伸ばされていた]
(5) 2020/12/25(Fri) 7:41:22

【人】 因幡 フウタ



  ………………


[古い家の中へ侵入する隙間風を凌ぐ様に、いつもひとつの布団でくっついて寝ている​───夏も同じ様にしていた気がするけれど​。
だから伸ばした手は隣に寝ていた理恵をぎゅうと抱き込んでいた。
目が覚めて一度我に返った様に腕をゆるめたが、
理恵をこの手に抱き締めていると認識すれば、
また少しだけ、腕に力を込めた。

理恵は起きていただろうか。
今ので起こしてしまったのだとしても、「寒い」とか言い訳しながら抱き締めていた。
彼女の頭を胸に抱える様に身を寄せていれば、
顔は見られずに済む筈だ。
苦しい様な、泣きたい様な、叫び出したい様な、安心した様な俺の今の表情は、
きっと酷い顔だから。

夢の中では俺を置いて行ってしまった理恵。
彼女が俺に愛想を尽かしてどこかに行ってしまう不安も勿論だが、
そんな事あり得ないと頭を振ったって、
残りの寿命の差を突き付けてくる様で堪らない。

離してはならない。
離したくないと、暴れる心を押さえ付ける様に、
脚も使って小さな彼女の身体を抱え込んだ]
(6) 2020/12/25(Fri) 7:44:02

【人】 因幡 フウタ

[​───こんな夢を見る原因かはわからないが、
一因となりそうなものには心あたりがある。

妊娠率の高いうさぎである彼女が全然身籠らないからだ。
腹が大きくならない。
悪阻とやらに苦しんでいる姿も見られない。
夏祭りの夜に身体を重ねてから、
こんなに、何度も彼女と結ばれているのに。

どうしても子供が欲しいとか思っている訳ではないけれど、
子供がいれば彼女が俺から離れるなんて事がなくなると思っている訳でもないけれど、
妊娠し易い筈の彼女が妊娠しないのは、
どうしたって気になってしまう]
(7) 2020/12/25(Fri) 7:44:42

【人】 因幡 フウタ

[やがて、
原因が俺にあるのではないかと考える様になる。
クサガメの性成熟は雄は4、5歳くらいから。
適齢期を超え過ぎたのかもしれない……
いや、いやいや。繁殖できなくなる歳ではない。落ち着け。

人間に変化しているから色々勝手も違っているかもしれない。
それも考えなかった訳ではないけれど、でも、とか、
ぐるぐる悶々と考えてしまった。

※ちなみに妊娠にはタイミングがあるとか、
この亀はそこまで知識がなかった。



理恵には聞けないし、仲間の亀もいないし、
相談できる様な相手が居ない。

四六時中悩んでいる訳ではないし、
理恵にはなるべく悟られない様に亀の姿でいる事が増えたけれど、
我慢ができない時や求められた時は、躊躇う事なく彼女を抱いただろう。

理恵を求める時、
余裕のない表情を見せてしまう事は増えた。
欲望を隠したり露わにする顔ではない。
それは切なく、焦がれる色を湛える様な………]
(8) 2020/12/25(Fri) 7:47:06

【人】 因幡 フウタ

[そんなこんなで迎えたクリスマス。
クリスマスの文化については、ばあちゃんが理恵に教えたかもしれない。
俺も去年ばあちゃんに聞いて知ったのだけれど。

駄菓子屋としては去年と同様、
菓子の袋詰めを手伝って、町の子供たちに配りに行った。
午前を過ぎれば暇になる。

夕飯は俺と理恵とばあちゃんの三人で少し豪華な食事とクリスマスケーキを囲もうかとばあちゃんは考えている様だが、
理恵はどうしたいとかあっただろうか。

白い雪の様なショートケーキは先日一足先に理恵と食べに行っていたが、
あれは何度食べてもいいなと思った。**]
(9) 2020/12/25(Fri) 7:49:23
因幡 フウタは、メモを貼った。
(a0) 2020/12/25(Fri) 7:50:13

【人】 因幡 フウタ

― 回想。ある夏の日か ―

[「ふうふになろう」と理恵に告げたあの夏の日ののち、
こんいんとどけを書く為に、二人して文字の練習に取り組んだ。
じゅうしょとやらが長くて割と苦戦した体感だったが、
マスターにはそう長くはかからなかったか。
どちらにせよ届を正式に出す前に、理恵を嫁に迎えた気持ちでいた。だから入籍前だったかもしれないけれど、仕事仲間に再び町で会った際、]


 「りえちゃん?は元気?あの同郷の子」


  理恵は俺の妻じゃが。


 「え??あれって冗談だったんだろ?
  お前が言ったんじゃん。
  りえちゃんだって親戚だって……」

  
  そっちが冗談じゃ。
  理恵にもからかわれたんじゃろ。


[ふ、と小さく笑う己に、男は珍しいものを見る目を向ける。
あまりにも堂々と返したおかげか、訝しむ事もなく男はこちらの話を信じた様だ。へぇぇぇぇぇと頷いた男の目がきらきらと輝き出すと、何だか面倒な事になりそうでくるりと踵を返した。
しかし腕を掴んで回り込まれた!にげられない!

そして
どこかで聞いた事がある様な質問攻めが始まった!]
(10) 2020/12/25(Fri) 19:01:17

【人】 因幡 フウタ

男「Q:食事はどちらが作るのですか?」
亀「A:……ばあちゃんが作ってくれるが。ばあちゃんの家の近くに住んどるんじゃ。でも俺も料理を覚えようと思う。その……理恵には長生きしてほしいしな」
男「長生きって(笑)
理恵ちゃんどこか悪いのか?」
亀「(寿命差の話はわからんよな……)えっと……あいつ小さくて細いじゃろ。だからちょっと心配なだけじゃ」
男「なるほど。
(親族付き合いの話は複雑な事情があったはずだから……)
Q:夜の生活はいかがでしょう?」
亀「A:夜?夜は寝とるが」
男「じゃなくって!すぐヘバるってマジなのかよ!」
亀「……?まぁ、寝つきは良い方かもしれんが……」
男「じゃなくってえ!理恵ちゃんと寝てないのかよ!」
亀「い、一緒に寝とるが……」
男「それを詳しく聞かせろよ。
理恵ちゃんとのセックスを!

亀「せっ……くす?……何じゃっけそれ……」
男「セックスはセックスだよ!
エッチだよ性行為だよスケベだよ交尾だよ!」
亀「!!……な、なんで教えんといかんのじゃ」
男「聞きたいだけだよ興味本位だよ」
亀「き、聞かせん!何を言ってるんじゃバカなのか、理恵が可愛いなんて何でお前に教えんといかんのじゃ……(プチパニック)」
男「へえぇぇ、ほー、へー、ふーん(ニヤニヤニヤ)」
亀「な、なんじゃ……」
男「いいや?仕方ないなー、今度ゆっくりまた聞かせろよ」
亀「だから、教えんと」
(11) 2020/12/25(Fri) 19:01:31

【人】 因幡 フウタ

[浮いた話を一切してこなかったからか、たった一言で男は満足そうだった。
己は愚かにも、口走った言葉に気付いていなかったけれど]


 「ちなみに膨らんでた腹はマジで子供?
  ……………俺不謹慎な事言ってる?」


[店では膨らんでいた腹の事を思い出した男はその話題を出したが、次に見た時には引っ込んでいた事も思い出した様で、失言をしたかもと流石に青ざめた。
腹とか子供の話を持ち出されてざわ、と小さく胸が渦巻いたが、]


  あれは本当に脂肪じゃ。


[辛気臭くならない苦笑を返すと、男が噴き出す。
この微妙な空気を一緒に笑い話に変えてくれた男に、
心の中でそっと感謝した。**]
(12) 2020/12/25(Fri) 19:01:46

【人】 因幡 フウタ

[桶の中で湯浴みの様な水遊びの様な時間の潰し方をしていたら、桶を揺すられたり>>13、常時ひくひくさせた鼻で突かれたり>>14する]


  ……そうかもな。


[彼女が構えと言うなら>>15、基本的には応じようと思うのだけれど。
どうしても気が乗らない時とか、
俺が人の姿になるのがのろのろと遅い時、
理恵に引っ張り上げられたり拭かれたりした。
世話を焼かれている様でむずむずもしたけれど、
何だか心地良い気がしたのは内緒だ。

甘える様に亀の姿のまま理恵の膝に乗っかって、
頭上から影を落とす柔らかい膨らみを暴きたくなったが、
亀の姿では手が届かなくて、首を伸ばしても足りなかった。

そうして結局人の姿になる事は少なくなかっただろう。
灰色の心の中を見透かされる前に、
彼女を快楽の海に引っ張り込んで、一緒に泳ぐ事にした]
(20) 2020/12/26(Sat) 6:09:27

【人】 因幡 フウタ

[ばあちゃんの住んでいる方の家にある風呂は己には手狭だが、人の姿で入ると温まるしさっぱりするしすごく気持ちが良い。
家を持つまでは知らなかった事の一つだ。
理恵の言う通り二人で入るには無茶と言うか、
無理して入る意味は見出せない。

けれど人間の世の中には"せんとう"とか"おんせん"というものもあるらしい。
このへんには無い様なのが残念だが、少し興味は湧いた。**]
(21) 2020/12/26(Sat) 6:09:32

【人】 因幡 フウタ

― 冬へ ―

[まぁ特に心配していなかったけれど、
理恵は家での暮らしに素早く順応した。
(あるばいとを転々としている様なのは、いいのか悪いのか。
変な奴に付きまとわれる危険性は減るのかもしれないが、
変な奴に遭う確率は上がるのではないか、とか、悶々する。
でも焦らずゆっくり合う仕事を探せばいいんじゃないか、と今は思っている。)

料理はばあちゃんに教わって、
力になるものと栄養があるものを、と覚えて作っているが、]


  理恵、やっぱり肉は嫌か?


[よけられるのが不満という訳ではないけれど。
人の身の間は食べた方が元気が出るんじゃないか、とは自論だから押し付けもしないけど。
どうしても食べそうになければ、「魚は?」と聞いてみたり、豆などで代用するなど工夫をしてみたりするだろう。

はたから見たら手伝いにはなってない手伝い>>16にも、
「はいはい」と軽くあしらったりしつつ、鬱陶しくは思わなかったし、悪い気もしなかった。

「やめろ!!」と声を荒げるのは、酒を足そうとする時くらい。
いや隠し味になる時もあるとは聞いたけれど、
己はあまり酒に強くない事がわかったし、
こいつは加減を知らないだろうと推測できるものだから……]
(27) 2020/12/26(Sat) 18:31:53

【人】 因幡 フウタ

[夏にくっついて寝ていたのは正直合理的とは言えなかった。
しかし、「いやお前の方があついぞ」とか言いながらも、 離れて寝ようとする事はなかった。
汗を浮かばせながら抱き合うのもそんなに悪いものでもなかった。
でも冬の方が断然心地が良い。
理恵からの文句が無くなり、寝つきが良くなった事からも、
同じ気持ちなのだと簡単に窺えた]


  ………


[ある日、
夢から駆け出た俺は、理恵も起こしてしまったらしい。>>17
詫びるのも忘れて言い訳で取り繕って抱き込んだら、
このまま二人、もう一度眠りに落ちられると思った。
いつもより早い心臓の音を聴かせてしまっているなんて気付かないまま、ぎゅうと目を瞑っていたら、胸の中で理恵がごそごそし出す。 何だ、と確かめるより前に開かれた胸元から僅かに熱が逃げる]


  ん、


[かと思えば、寄せられた理恵の唇に引っ張り上げられる様に、もう一度体温が上がる。
可愛らしく唇で肌を濡らすだけだった夏から、
随分いやらしくなったもんだ。
お陰様で外に仕事に行った際、仲間がいるところでうかつに着替えられない。一人の時ですら、鏡を見てしまっては何やら思い出してムラムラするから困る。
人の世で生きるなら後先考えないとな、と思うのだけれど、思うのはその時だけだったりする]
(28) 2020/12/26(Sat) 18:33:09

【人】 因幡 フウタ



  っ、……


[痕は良い。
自分も、ばあちゃんにたしなめられるくらい理恵に沢山つけてるし。
でも胸の先に口付けられれば、わかり易く動揺する。思わず腕から力が抜ける。

理恵はそこを触られると具合が好さそうだったから、そんな好いもんなのかと、自分でも自分の乳首を触ってみた事がある。内緒だけど。
その時全然何も感じなかったものだから、
オスはそういうもんなんだと思ったのに。

理恵に触られると、感じてしまう自分がいる。
それが普通なのかどうかは、
やっぱり相談できる相手がいないからわからない。

ただ、何だか妙に気恥ずかしい。
声はなんとか抑えられたが挙動不審になるし、くっついてるもんだから反応した下半身は理恵にそれをありありと伝えてしまう。

彼女はそれを知ってか知らずか。
挑発的な誘いを、白い肌に溶ける淡色の唇で紡いだ。
その色に、甘い声に惚けていたら、
彼女によってまた着衣が乱される。
普通に脱がす方が好きだが、……なんだろう、
悪くないと思えてしまう。
彼女が俺にする事全てに揺さぶられる様だ。
返事の代わりの吐息が、
あたたまった空気の中で一層甘く部屋に溶けた。**]
(29) 2020/12/26(Sat) 18:33:37
因幡 フウタは、メモを貼った。
(a3) 2020/12/26(Sat) 18:35:18

【人】 因幡 フウタ

― クリスマスの日 ―

[午後を適当に町ぶらりしたり子供達の相手をしたり家の片付けをしていたら、あっという間に日が落ちて夜になった。
なるほど師走とは言い得て妙だ。

初めて人間の家で過ごすクリスマスは、祭りとは違った楽しさがあった。玄関には仕事先でもらったツリーを飾った。
あれは抱えて持って帰る時に目立ったからちょっと恥ずかしかったけれど、クリスマスらしい、とばあちゃんも喜んでくれたから報われた。
理恵も主に料理に満足してくれたみたい>>18で良かった。
ケーキやチキンは流石に買って来たものだが、ちょっと凝った数種のサラダは己の手製だった。
クリスマスにはプレゼントをあげるものらしい。
ばあちゃんが教えてくれた。
俺が考えたプレゼントが、この料理だった。
わざわざ「これがプレゼントじゃ」とは出さなかったし、
照れくさかったのでばあちゃんにも口止めしておいたけれど。
(ゆかいな鼻と角はきっとその代償である)

美味しそうに頬張ってくれる理恵のその笑顔だけで
俺は満たされたんだ。

「おう、ケーキもどんどん食え」とホールケーキのほぼ半分を理恵の皿に盛ったらばあちゃんが笑っていた。
「三太って誰じゃ茶飲み友達か?」と俺も聞いたけれど、
プレゼントの話になりそうと思ったばあちゃんはうふふと笑うだけでかわした。
理恵がワインを飲み過ぎない様に、ばあちゃんが巧みに「わたしにもちょうだい」と理恵に酌をさせたりしていた]
(30) 2020/12/27(Sun) 4:05:07

【人】 因幡 フウタ



  ん、ん、 なんじゃ
  布団敷いてくれるのか?


[すっかり夜更かししたのちに帰った二人の棲み処でか。
布団を出そうとしたら理恵に押された。>>19
ただの気まぐれかと思ってその場を任せたが、
理恵は次の日も布団を敷いてくれた。
なんじゃなんじゃ長い気まぐれじゃなとも思ったが、足ダンされて押し入れから遠ざけられれば、「怪しい」と訝しんだ。
それでも無理に暴こうとするともっと怒るだろうから、
話してくれるまで待とう、とのんびり構える事にした]
(31) 2020/12/27(Sun) 4:05:11

【人】 因幡 フウタ

― クリスマスの3,4日後くらい ―

[ばあちゃんに頼まれた買い出しで町の商店街に来ていた。
ちょっとした人だかりが目についてふらふら近寄ったら、
どうやら福引をやっているらしい。
一等はなんと温泉旅行券!
こんな小さな商店街の福引でそんないいものが当たるんじゃな、と口にしたら、係の人がこそっと教えてくれた。どうやら有効期限が年明けまでらしい。なるほど。

ばあちゃんに頼まれたものと自分の買ったものを足したら、福引一回分になっていたから、ぜひぜひ、と係の人にすすめられた。
どうやらクリスマスまでに一等が出ていてほしかったのにまだ誰も引き当ててくれてない、という状況らしく、係の人は目が必死だった。大変じゃな、とちょっと同情した。

参加賞のティッシュ。
ばあちゃんが喜ぶかもなと、
がらがら、木製の抽選機を回した]
(32) 2020/12/27(Sun) 4:50:55

【人】 因幡 フウタ



  ただいま。


[荷物を抱えてばあちゃんの家に戻り、
出迎えてくれたばあちゃんに一枚の封筒を差し出した]


  これ。温泉の旅行券なんじゃと。
  ばあちゃん、よかったら友達とかと行ったらどうじゃ?


[ばあちゃんは封筒を開いて、あらあら!と目を輝かせた。
商店街の福引で当てた事を説明する。
有効期限の事を話しても、ばあちゃんの目はきらきらとしたままで、いや、寧ろにこーっとこちらを見つめている。なんじゃ、と居心地の悪い顔をしてしまえば、穏やかな声がふふと笑う]


 「このお宿、竜宮城って名前よ。
  引き当てるなんてさすがフウタちゃんね。

  亀のフウタちゃんが、お嫁さんの理恵ちゃんを
  連れて行ってあげたらどうかしら」


  りゅうぐうじょう………


[読めなかった漢字だが、行先は竜宮城らしい。
そこは昔話で亀が案内した、極楽の宮殿だとか]
(33) 2020/12/27(Sun) 4:51:03

【人】 因幡 フウタ

[いやばあちゃんの買い出しで当てたし、と遠慮しても、
でもフウタちゃんも買い物しなければ福引一回分にならなかったのでしょう?とか、貴方たちお式もしてないし新婚旅行という事にして行ってらっしゃいな、とか、優しく説得してくれる]


  ……ばあちゃんはいつだって優しいな……


 「フウタちゃんと理恵ちゃんが、
  わたしに優しくしてくれるからよ」


  ……ありがとう、ばあちゃん。


[返された旅行券を受け取ると、
ばあちゃんはにっこりと頷いた。
急いで残りの大掃除を片付けて、大晦日に泊まりに行ってはどうかと提案される。
二人だけで静かに年越しも素敵なのではないか、と。
ばあちゃんはばあちゃんで町内会で集まって年越しをするらしい。
己はほぼ賛成だったが]
(34) 2020/12/27(Sun) 4:51:29

【人】 因幡 フウタ

[さて、理恵はどこから話を聞いていたか]


  理恵。
  しんこんりょこう に行こう。

  えーと……
  ふうふになった祝いに、
  美味いもの食べて、大きな風呂に入って、
  一緒に寝て、
  思い出を作る……というものらしい。


[聞いていなければ経緯と、新婚旅行の説明も交えつつ、
自分も行きたいと思っている意思を伝えて誘ってみた。
OKならさっさと予約、大掃除、荷造りと準備に移ったのは、
亀らしからぬ素早さだっただろう。**]
(35) 2020/12/27(Sun) 4:51:33

【人】 因幡 フウタ

[理恵は肉を嫌っていたのではなく、
単に食べ物として認識し難かっただけの様だ。>>36
確かに肉の溶け込んだ汁は啜っとったな、とか、
俺も畳は食おうと思わんしな、ちょっとわかるかもしれん、
とか小さく頷いた。
だからハムをどけられたりしても>>18、文句は言わなかった。
それは飾りの意味も大きいものだし。
美味しそうに野菜を頬張ってくれる理恵のその笑顔だけで略

酒には口を出したけど。
けどそれだって追い掛けて「本当に片付けたか?」と確認する様な真似はしなかった。
他人が聞いたら甘いとか言われそうだが、
俺は別に普通の事をしているだけだと思っている]
(39) 2020/12/28(Mon) 3:20:41

【人】 因幡 フウタ

[そして福を引き当てて来た日。
家の扉を開けたところから、遠くにどたばたする音>>37が聞こえていたけれど。
きれいに理恵の事をスルーしてしまったが、
急にりゅうぐうじょうの話を持ち出しても理恵は怒らなかった。
というか怯えさえ見えた。
それから虚勢を張りながら、お得意のとんちきを披露する。
ひとつひとつに突っ込むのはもう諦めた]


  そうか。 よかった。


[「竜宮城は陸にあるぞ、たぶん」「風呂はどうじゃろ、深いかもしれんが浅いところもあるじゃろう」「海ん中ではないぞ」とそこまで真顔で、けれど理恵を安心させようと宥める様な声色だったが。
一緒に風呂に入れるかと問われると、「ええと……あ、あぁ」と、ちょっと気まずい顔になった。宿の構造を知っている訳ではないから確証がないというのもあるが、ばあちゃんの前だぞお前、という照れが強い。
けれど良い返事が返ってくれば、ほっとして笑みを零した]
(40) 2020/12/28(Mon) 3:20:45

【人】 因幡 フウタ



 「今は沖縄以外はどこも寒いかしらね。」


[とは、理恵の問い>>38へのばあちゃんの返答だった。
聞くなり笑顔になった理恵はどこかへ駆けてゆく。
うさぎらしい突飛な動きにばあちゃんがくすっと笑った。
ばあちゃんに買って来た物の確認を頼んでいる間に、足音が戻って来た]


  なんじゃなんじゃ


[尻尾が見えずとも超ご機嫌といった風の理恵が、ぼすっと何かを押し付けて来た。ばあちゃんが「あら、プレゼント?」と控えめに覗き込んで来て、確かにそんな包みじゃな、と思った。
よくよく見てみれば色やデザインがクリスマスの包装か]


  …………開けて良いのか?


[数秒固まってしまったのは、
喜びからと言っていいだろう。
だってこんなの、理恵から贈られると思わないじゃないか。
嬉しさが何倍にも勝っていたものだから、
渡しそびれていたなんて察せない。

ここで開けたら駄目だと言われたって開封して、
飛び込んできた渋くも美しい色に僅かに目を見開く]
(41) 2020/12/28(Mon) 3:21:25

【人】 因幡 フウタ

[あぁ、綺麗な色だ。
理恵の好みとは思えない。
こんなの、俺に似合う色をと探してくれたんだと自惚れてしまいたくなる。
手に触れると指先からとろける様な滑らかさで、
持ち上げると浮いてしまいそうな軽さだった。
なのに首に巻くとしっかり、優しく温めてくれる]


  理恵……こんな良い物……


[人間の身に纏う物の価値は、正直未だにわからない。
けれどこんなに気持ちのよい布は生まれて初めて触れる。
そんなに稼いでいる訳でもなし、
そもそも慣れない仕事を頑張って手に入れた金でこんな高そうなものを買ってくれたんだと思うと、感動するなという方が無茶だ。

抱き締めたいのを、ばあちゃんの手前、抑えた。
花嫁姿の理恵を見た時には感極まって抱き締めてしまって、ばあちゃんに「お着物着崩れちゃうわよ」とたしなめられた。
今はたしなめられたりしないだろうけれど、
ばあちゃんの前でそう何度もタガを外す訳にはいかないのだ。

ありがとう、と笑って、]


  良い旅行にしよう。


[そう約束した。*]
(42) 2020/12/28(Mon) 3:21:53

【人】 因幡 フウタ

[理恵に頼まれていた亀齢とやら。
ふがふがと入れ歯を外したりしながら喋る酒屋の店主に教えられて買って来た。
俺にはよくわからないので「合ってるか?」と理恵に手渡して確認してもらった。
合ってるか?と聞いておきながら、
まぁ合ってなくても呑むだろうともう興味が逸れて、
理恵がぴかぴかにした床の方を褒めた。

それからばあちゃんに電話のかけ方を教わりながら、
竜宮城へ予約の連絡を入れた。
出してもらう料理の肉とか魚は一人分で良い、そのかわりもう一人の分は美味い野菜を増やしてほしいと希望を伝えた。
快諾してくれた宿の人に頭を下げる。
「電話でもお辞儀とかしちゃうわよね」とばあちゃんが笑って、ちょっと照れくさかった。


その日の夜、
布団敷き係を辞任した理恵を見て、
ようやく守られていた押し入れの秘密に気付いたりしたのだった]
(43) 2020/12/28(Mon) 3:43:08

【人】 因幡 フウタ

― 閑話休題。旅行までのとある日 ―

[午前中で終わったが、引っ越し屋の仕事納めの日だった。
引っ越しというより、荷物の整理をこなした。
これから運転をする奴も居たので「お疲れ!」と缶コーヒーで乾杯した。

車の中で一人が「聞いてくれよ〜」と絡んで来た。
聞けば、クリスマスに懇意の相手に贈ったプレゼントがあまり喜ばれなかったらしい。「どこどこのブランドのネックレスなのに」「あそこってあんまり女子受けしないんじゃなかったっけ」「都市伝説だと思ってたぁ」「俺もかわいいと思うんだけどなあ」……よくわからなくて話に入っていけない。

「因幡も嫁さんに何かあげたのか?」と聞かれたので、
ちょっと手の込んだサラダを作った、と正直に答えた。
嫁は野菜よく食べるからな、と付け加えても、
女子か!かわいいな!信じらんねぇ!と驚かれた。
別にいいじゃろとそっぽを向いたが、「……いや逆にありかも」と、ブランドネックレス男はぶつぶつ言い出した。
確かに好きな物を渡してるんだもんなとか、趣味じゃないとか困るって反応にはなりにくいかもなとか一人で分析している。

さあもう解決したかなこの話題も終わったなと思ったら、
続きがあった]
(44) 2020/12/28(Mon) 4:56:17

【人】 因幡 フウタ

モブ「でももっと色っぽい物プレゼントしたりしねーの?」
亀「い、色っぽいもの……?」
モブ「アクセサリーも良いけど、若いんだし下着とか?」
モブ2「あ、丁度そこ百貨店あるじゃん行こーぜ(車を停める)」
亀「え、おい、ちょっと待て……(無理矢理連行される)」
モブ「こんなんいいんじゃね」
モブ2「いやりえちゃんはこっちだろ」
亀「………買わんからな」
モブ「何で?着てくれねーの?こういうの」
亀「お前らが選んだものを理恵に着せたりするか」
モブ2「だったらお前が選んだらいいんだよ!」
モブ「そうそう、これとか」
モブ2「結局意見してんじゃんワハハ」
亀「………」
モブ「あれ?てか因幡照れてんのか?こういうとこ初めて?」
亀「……そうそう来る訳ないじゃろこんなところ……」
モブ2「そっかそっか、悪かったな(楽しそう)」
モブ「じゃあ違う路線で行くか。あっちの店とか見てみねー?」
亀「……ああいうの、女は喜ぶのか?」
モブ「まぁ大抵は好きだと思うけどな」
モブ2「見るだけ見よーぜ」

亀「………へぇ………」


[何やら旅立ち前に収穫があった様です]
(45) 2020/12/28(Mon) 4:56:28
 




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