人狼物語 三日月国


42 【突発完全RP村】実になりてこそ、恋ひまさりけれ【誰歓】R18

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環 由人は、メモを貼った。
(a1) 2020/09/12(Sat) 14:14:51

環 由人は、メモを貼った。
(a2) 2020/09/12(Sat) 14:15:11

【人】 環 由人



[ 夜と朝の境目。
曖昧にしていてもきっと許される
孤独なひとたちのひととき。

美味しい、なんて言葉を言われたことはない。
いつだってその口からこぼれるのは
恨み言みたいな形をしていて───
それでも、構わなかった。
その言葉の裏に隠されたものは
空っぽになった器に現れていたから。

時折お礼の様にちょっと良いフルーツが>>3
テーブルの上に置かれている時がある。
ただの余り物の処理なんだから、と
一度は伝えたけれど、
気持ちだと言われたのなら
そうか、と眉を下げて、それからは
もらったフルーツはすぐ食べられるように
向いて、一口大に切ってタッパーに
詰めて冷蔵庫に入れておくようになった。]

 
(37) 2020/09/12(Sat) 20:45:49

【人】 環 由人



[ 部屋が見つかるまで、という約束だった。
だから、いつかこの日々がなくなるって
ぼんやりわかってはいるのに、
どこかでずっとここにいるんじゃないかって
そんな幻想を抱いて、そっと、蓋をしたのだ。

そんなある日。
机の上に置かれたガイドブックを見つけた。]



   ───北海道?


[ 旅行にでもいくつもりなのだろうか。
そういえばこの前商店街の福引で
北海道旅行が景品で出ていたらしいが…]



    ……あ、


[ 合点する、やっと意味がわかった。]

  
(38) 2020/09/12(Sat) 20:46:26

【人】 環 由人


[ 奥様方になにやら色々言われたのだ。
「お友達よかったわねえ」
「うらやましいわぁ」
けらけら笑う奥様方の会話に、
相変わらず下手くそな愛想笑いを返していた。

それが、つまり、これか。

「よかった」も「うらやましい」も
北海道旅行のことか。

なるほどな、とうなずいて。
ペア旅行券だったとたしか言っていたけれど、
誰といくのだろう、───そういえば、
恋人の話はしたことがないなと思った。

だが、その次の展開は予想外である。
誘われたのは店の従業員でも、
友達でもなく──己だった。]
 
(39) 2020/09/12(Sat) 20:46:46

【人】 環 由人





   え、俺?



[ すこし驚いて、目を開いてしまうものの、
嫌かと聞かれたらそんなわけはなく。
旅行なんて久方ぶりだし…
そのチケットを見つめて、彼の顔を見つめて、
交互に数度、繰り返してから、
「ほんとに?」と一応確認していた。

俺と彼の関係を表すのならば、同居人。
友達ではないし、もちろん恋人でもない。
知り合い、ではあるけれど、その位置よりも
もっと親密なもので───少なくとも、
自分はそうだと思っていて。
そうでありたいと思っていて。

だけど、彼の中で己がどういう位置にあるのか
よくわかっていなかったから、
純粋に驚いてしまったのだ。]

 
(40) 2020/09/12(Sat) 20:47:09

【人】 環 由人

[ もう一度聞かれたら「いや」と前置きを
してから、ほんのすこし下手な微笑みを浮かべて。]



    うれしい、……ありがとう



[ と小さく落とすのだった。

まとまった休みが取れるといえば───
次は年末年始だろうか、と確認を。
北海道なんて、行ったことがなかった。
もっと遠い土地にひとりで行ったことは
あるのに、変な話だ。

それから、普段は見ない
テレビをわざわざつけてみたり、
彼が買っていたことは別の
ガイドブックを買ってみたり、
スマホで北海道旅行について
検索をかけてみたりと、それはそれは
わかりやすく楽しみにしてしまう。

あんまりあからさまなのは
すこし恥ずかしかったから、
もちろん一人の時に、だけれど、
資料が増えているのは明らかだっただろう。]
 
(41) 2020/09/12(Sat) 20:48:40

【人】 環 由人



[ 楽しみだったし、考えるだけで楽しかった。
どこに行こうとか、なにを食べようとか
計画を立てるだけで。
だから、たぶん余計に───その茶封筒を
見つけた時には、ショックみたいなものを
受けてしまったのだ。>>7]

 
(42) 2020/09/12(Sat) 20:49:12

【人】 環 由人



[ 見てはいけない気がした。
わかってた、はずなのに、
どうしてか出してしまった。

蓋をして、そのままにしてた。
なあなあにしててもいいと思ってた。
初めに提示した条件も、なにもかも。

しばらく、じっとそれを見つめて。

ああ、うん、そうだな、
その方がいいに決まってる。

その内容は見なかったことにしようか、
なんて考えながらそっとしまった。

その日ばかりは己の無愛想さに
感謝した。</gray>───うまくできていたかは
定かではないのだけれど。</gray>]

 
(43) 2020/09/12(Sat) 20:49:36

【人】 環 由人



[ ただその日は、曖昧に濁した答えが
出せなくて、彼が切り出すよりも早く、
「今日は、眠れそうにない」なんて、
下手くそな誘い文句をかけてしまったから、
変に思われたかもしれない。]*

 
(44) 2020/09/12(Sat) 20:50:03

【人】 環 由人


[ だって、よく知らないのだ。
面と向かってきちんと話をするだとか、
あまりしてこなかった。
ほんの数時間、正面に座って食事をして、
あとは一緒にただ眠るだけだ。

ただ、それだけの、同居人。
きっと彼にとって人生において
W間借りWしている存在だろう、と。

だけど、もしも自惚れるのならば、
自分が彼と逆の立場だったならば、
同じように、彼を誘っただろう。
友達と呼べる人もいない。
恋人も、いない。]

 
(55) 2020/09/13(Sun) 0:44:56

【人】 環 由人


[ WマリィWなんて名前にそぐわないほど
骨張った男の手が前髪を梳く。
そっと頬に降りて、ぴく、と
触れられていないとわからないほど
微かに体が揺れた。

顎を軽く二度浮かすみたいに頷いて、
眉尻をすこしだけ下げた。
『当たり前だろ』と言わんばかりに。]

  
(56) 2020/09/13(Sun) 0:46:09

【人】 環 由人




   WのぼりべつWだな、

   あー、いい、うん、温泉、行きたい


[ 最近知った読み方の地名。
北海道にある温泉地らしく、
調べたときにはそれはそれは様々な
宿が出てきたものだ。
提示されたホテルに頷いて、覗き込む。

近頃二人で話すことが前より増えた。
大抵は旅行に関すること。
机の上に広げられたガイドブックは、
たぶんお互いすでに数度目を通してる。

ときどき調べた知識やら、
ネットで見つけた行きたい場所を
横から挟み込んではプランを練っていた。]

 
(57) 2020/09/13(Sun) 0:46:33

【人】 環 由人



[ そんな日々の中で見つけたのだ。
例の、茶封筒を。
無愛想と仏頂面を体現したような
顔をしていると自分でも
よくわかっているから、そのおかげで
きっと気付かれてないと思ってた。

彼がいつになく、己の料理に
前向きなコメントをくれたのに、
「そう」と頷くことしかできなくて。

どうしても考えてしまう。]

 
(58) 2020/09/13(Sun) 0:47:03

【人】 環 由人



[ またあのラジオの声をひとりで聴きながら、
寂寞に飲まれて潰されそうになる夜を
過ごすことになるのかもしれない、と。

わかってたのに、自分で、蓋をして
見ないフリばかりしていた。
もっとはやくから向き合っていれば
大丈夫だったかもしれないのに、
あまりに訪れがいきなりで。

やっぱりきっと、自惚れてた。

本当は、温もりのなくなる日々を
想定して、あの曖昧な返事を
きっぱりとしたものにかえて、
一人で眠ろうかとも思った。
だけど───だけど。

口から出たのは、真反対の言葉だった。]

 
(59) 2020/09/13(Sun) 0:47:40

【人】 環 由人



[ 問いかけられたことにそっと目を伏せて、
それから小さく、頷いた。

嘘はついてない。
たぶん、今日は眠れない。
明日も、明後日も、もしかしたら───
伏せた瞳を覗き込まれるから、
ゆっくりと瞬きをしながら視線をあげた。]

 
(60) 2020/09/13(Sun) 0:48:04

【人】 環 由人



[ ぐ、と握った拳。
顔を伏せて、その胸に置いて、
力をこめて、そっと押した。]

   
(61) 2020/09/13(Sun) 1:00:16

【人】 環 由人




    ───ごめん、

    変なこと言った、忘れて。

    コンビニ行ってくる、



[ そう落として部屋から出る。
居た堪れなかった。
俺と彼はただの同居人。
友達でもなければ、もちろん恋人でもない。
知り合いの延長線上の、否、ほんとは───
その先を望むのが、怖かった。]*

 
(62) 2020/09/13(Sun) 1:02:16

【人】 環 由人


[ 秋の夜は、思っていたよりも寒い。
さっきまで火照っていた体が、
風にさらわれて熱ごと奪われていく。

徐々に頭がはっきりしていく。]



   バっ…カだなぁ……



[ どうせさらわれて消えるから、
小さな声で呟いて、自嘲するみたいな
笑みを浮かべた。
なにも持たずに飛び出したから、
コンビニには行けなくて、ぼんやりと
歩いていたら辿り着いたのは、
あの日彼を見つけた公園だった。]

 
(114) 2020/09/13(Sun) 19:16:41

【人】 環 由人



[ 外灯が照らす砂利がぼんやり、
浮かび上がるみたい。
なんとなくそちらに足を向けて───
あの日と同じブランコに腰かけたら、
鎖がまた、ぎぃ、と小さく音を立てた。

あの距離感が必要だったんじゃないのか。
ただ、一緒に飯を食って、
隣で眠るだけの関係でよかったんだろ。
それ以上を求めるつもりなんてなくて、
───ちがう、結局自分本位なんだ。

一度知ってしまった熱をまた
求めてしまいそうになるのが怖い。

期限が、すぐそこまで迫ってるのに、
今更関係を変えてしまうのが怖い。]

 
(115) 2020/09/13(Sun) 19:17:08

【人】 環 由人



[ ───離れたくないだとか、
ここにいてくれだとか、
そんなことを言える立場じゃない。

救われたのは───俺だったから。

結局コンビニには寄らずに、
しばらくぼんやりしたあと、
夜風の冷たさに震えが走ったから
自宅に帰った。

リビングにある背中に、唇を結ぶ。

声をかけてはいけない、きっと。
ごめんって声をかけそうになったから、
飲み込んだ。その意味を悟られることは
きっとないのだろうから。]

 
(116) 2020/09/13(Sun) 19:17:35

【人】 環 由人



[ ひとりぼっちでベッドに入った夜は、
やっぱり思った通り、寝られなかった。
朝起きたら寝不足で気分は悪いし、
なんだか頭は痛いし───散々で。
それでも店は開けなきゃいけないし、
接客もしなければいけない。
おばさま方には「顔色悪いわよ」と
言われてしまったけれど笑って誤魔化した。

それからも、ずっとWいつも通りWだ。
相変わらず美味いとはいわない男に
余り物の処理を手伝わせて。
あの日のことには触れないまま。
ただ一つ変わったのは、あの日からずっと、
狭いベッドの右側をあけたままひとり、
丸まって眠るようになったことだけ。]

 
(117) 2020/09/13(Sun) 19:18:14

【人】 環 由人



[ 季節が変わっていく。

白菜と鳥もも肉とジャガイモのクリーム煮
ベビーほたてのしょうゆ炊き込みご飯
鮭のちゃんちゃん焼き
大根とえのきの肉巻き照り焼き
とうふのあんかけそぼろ
かぶと鶏団子のとろとろ中華スープ
ごぼうとにんじんのサラダ
ピリ辛ネギチャーチュー
レンコン入りしゃきしゃきつくね

ほかほかあったかい料理に変わる
惣菜のラインナップとは裏腹に、
どこかぎこちなくなってしまったけれど、
それでも旅行は楽しみだった。

───いつあの茶封筒の話を
切り出されるのだろうかと、
半ば生殺しのような気持ちは
拭えないままだが。]

 
(118) 2020/09/13(Sun) 19:18:41

【人】 環 由人



[ 海外用のでかいスーツケースは
さすがに邪魔だなと思ったから、
小さなボストンバッグに詰めた、
いつもの服や下着。
チケット類は忘れないように
手持ちの鞄に詰めた。

出発前夜。
またいつもと同じほうじ茶をいれる。
なんとなく、本を読むのはやめて、
彼が食べている様子を見ていた。

別に意味はない。ただ、見たかっただけ。

だから、なにを聞かれたって「別に」と
しか答えることはしないだろう。

空になった器を片して、
今日もまた、あのベッドの左側で眠る。]

 
(119) 2020/09/13(Sun) 19:19:24

【人】 環 由人






[ 新千歳空港までは1時間30分。
最大で350トンにもなるという
人と貨物を乗せた金属の塊は、
白い雲を抜け、青い空を横切って
北の大地に降り立った。

光の差し込む近未来的な建物に、
「おお」と小さく声を漏らして。
予約していたレンタカーを借りに
受付のカウンターまで向かう。

借りるのはブルーのエコカー。
陽の光をうけてきらりと光った車体に、
荷物を詰め込んで、運転席のドアを開いた。
体を滑り込ませて、扉を閉め、
シートベルトをして、エンジンをかけた。

ナビを操作する。]
 
(120) 2020/09/13(Sun) 19:20:11

【人】 環 由人





   ───チーズ食いにいかない?



[ そう提案するのは、ガイドブックの
付箋の一つ、富良野のチーズ工房。
ピザが美味いというその場所に
いくのはどうかと。]*
 
(121) 2020/09/13(Sun) 19:20:25

【人】 環 由人


[ その地に降り立った瞬間響き渡った
となりの男の野太い声に、
眉根を寄せて、それから
ふは、と噴き出して笑った。
「声がでけえ」と呟いて、さっさと
受付の方へと向かってしまおうか。

伸ばされた手が繋がれる。

───こんなふうに誰かと外で手を繋いで
歩いたことなんて、一度たりとも
なかったのに、気恥ずかしくも嬉しくて、
振り解いたりはせずそのまま繋いでいた。

外に出ると刺すような寒さが
体を覆うから、思わず小さく
「さむ」と呟いた。
借りた車に体を滑り込ませれば、
温められた車内に、ため息が溢れた。]

 
(160) 2020/09/14(Mon) 13:06:59

【人】 環 由人



[ このまま二人、乗っていたらきっと
外気との温度差にそのうち車窓は
結露して、曇るんだろう。

提案が受け入れられればほんのり微笑んで
ナビに場所を入力する。
ブレーキを踏んで、サイドブレーキを外し、
ギアをドライブに入れれば、
スタッドレスのタイヤを履いた青い車体は
広い大地に敷かれたアスファルトへと
滑り出していくのだった。]
 
(161) 2020/09/14(Mon) 13:07:15

【人】 環 由人

  ───チーズ工房



[ 銀世界の中にたたずむ建物は、
実際に見ると、男二人でくるには
かわいらしすぎるなと思った。

大きな牛のオブジェを横目に、
説明を一通り聞き終われば、
悪戯っぽくされたおねだりに、
眉尻を下げて、困ったように笑った。]



   ピザは作ったことないな


[ くるくる生地を回すイメージはある。
ただそれが自分にできるとは思えない。
絶対プロが作った方がうまいだろ、と
思ってしまうから断ろうとしたのに。
そんなことを言われたら、
うまくいえないじゃないか。]

 
(162) 2020/09/14(Mon) 13:07:45

【人】 環 由人


[ 「いつも食ってるだろ」と言いそうに
なった唇をそっとつぐんで、代わりに]



   わぁかったよ



[ と了承して、申し込んだ。
メニューは3種類あるらしいが、
スタンダードにマルゲリータを選ぶ。

通された工房で教えてもらいながら
作るピッツァは案外たのしくて。
残念ながら回すのは全く出来なかったが、
麺棒で伸ばした生地がうまく
均等になったときは誇らしくもさえあった。

窯から銀が色の大きなヘラで
網ごと取り出されたときは、
思わず「おお」と声を上げたものだ。
香ばしい小麦の匂いと、トマト、バジル、
チーズのいい香りが混ざって、食欲をそそる。

もう一つ、特製のチーズが5種類
乗っているというピッツァも注文して、
席に着いた。]
(163) 2020/09/14(Mon) 13:08:17

【人】 環 由人


[ 大きめに切られた熱々のピッツァを
一切れ皿に移して、そのまま持ち上げて
口に入れると、まずは生地のざらつきと
ほんのりとした甘さが広がる。
かぶり付くと、トマトの酸味とバジルの香り、
そしてチーズの旨味がまざって、
香ばしさが鼻から抜けた。]



   はふ、 あっふぃ、けど、んま、


[ 噛んだまま離すとびよーん、とチーズが伸びる。
はふはふ空気を取り込みながら、咀嚼して
飲み込むと、ふ、と息が漏れた。]

 
(164) 2020/09/14(Mon) 13:08:42

【人】 環 由人





   焼きたて、うンまい


[ そうしてもうひとくち、運ぶ。
プロが作ったものとは違うし、
きっとプロが作った方が美味いのだろうけど
自分で作ったものは愛着もわくし、
どこか特別な気がした。
ジンジャーエールがしゅわしゅわと
喉を潤してくれる。

一通り楽しんで、お土産にチーズを
自宅に送ってしまえば、
夜にでも食おう、とワインチェダーチーズを
一箱買って、車に乗り込んだ。]

 
(165) 2020/09/14(Mon) 13:09:00
 




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