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【人】 星集め サダル「基本的に攻撃は魔法になるので、 杖などがあると良いのでしょうか。 洋服は…これではダメですか?」 メイド服の裾を摘んで。 ダメなら売ってしまおう。余計な荷物を減らして必要なお金を増やすために。 旅にふさわしい装いになったら。 それはそれで、似合うかどうか聞くと思う。 彼女自身の好みより、マスターの好みの方が優先だから。 それにしても、案外メイド服を無しにすると。 巨乳巨根をカバーする服が少ないかもしれないことに気付くのは、祭りの後の店先を見てからかもしれない。** (1) 2021/12/14(Tue) 6:11:51 |
【人】 星集め サダル―祝祭を終えて エオス表通りにて― 祝祭が終わり。皆が祭りの片付けをしている頃。 私は一足先に『人形屋』の引き継ぎを終えて、これからのための準備を始めていた。 『人形屋』では新たな店主のサダルがこれまで通り、店をやっていってくれるはず。 それぞれの個体のサダルは、それぞれこれまで通りなのだろうと思う。 表通りは私には少し眩しい。 それでも、赤いいのちの石を懐に入れて。 旅に必要なものはなんだろうと、冒険者御用達の店に足を運んでいた。 知らないことは質問するし、自分で考えもする。 地図を見せてもらって、ひとまずの行き先を考えたりするのだ。 一先ず手に入れた地図。 それを広げて、私はこれからの楽しみを思い描いていた。** (2) 2021/12/14(Tue) 6:12:33 |
【人】 星集め サダル―マスターと: sideベリル ―「特注と言いますか。 一応防汚の陣がありますから、便利です。 では、杖と、マントと、…あっ。」 選んだのは緑色のマント。 杖はシンプルな、けれど霊木から削られたという短めの杖。 それに。小さく声をあげたのは。 アクセサリーのお店。 中でもピアスやチョーカーに心惹かれて。 (14) 2021/12/14(Tue) 19:25:25 |
【人】 星集め サダル「…。」 イヤリングで対で持つのも。なんて。 けれど、自分はマスターのものだから。 必要以上におねだりするものじゃない、と。 街並みを歩くときには一歩下がるか、真横か。 それとも手を繋いだりなんてできたら、きっと頬を染めて表情が変わらずともご機嫌なのだ。* (15) 2021/12/14(Tue) 19:25:39 |
【人】 星集め サダル―マスターと: sideベリル ―「マスターは貴方だけですよ、ヘイズ様。」 そう、マスターは貴方だけ。 「私の製作者を私はマスターと呼びません。 ある意味での親だと思います。 旅に出るのならと用意してくれたそうです。 メイド服なのは何故かわかりません。」 性的人形、それでいて旅もこなす。 だからなのかもしれないが、真相は闇の中だ。 便利は便利。けれどそれも全てマスターのためだと、ベリルは穏やかな表情を見せる。 (17) 2021/12/14(Tue) 21:44:43 |
【人】 星集め サダル「…遠慮、してるわけではなくて。 お揃いのもの、あっても良いかと、思ったんです。 でも。 私にとっての一番欲しいのは…。」 (18) 2021/12/14(Tue) 21:44:56 |
星集め サダルは、メモを貼った。 (a2) 2021/12/14(Tue) 21:48:47 |
【人】 星集め サダル―後日談― 私は世間を少し甘く考えていた。 だって、読み書き計算ができる。魔法もできる。 特殊な形ではあったけれど店を経営していた実績もある。 それなら。旅という形にならなかったとしても。 別の場所で。別の街で。 商人の小間使いであったりメイドであったり、ギルドの職員などで働けるのではないか。 そう思っていたのだ。 (25) 2021/12/14(Tue) 22:34:53 |
【人】 星集め サダル私が。 普通の人間ならそうだったのかもしれない。 けれど、人形屋の店主だった私は、あの街でホムンクルスを売り過ぎた。 言われるがままに対価と引き換えに。 彼らは本当に様々な用途に使われていた。 その顔は、私と同じ。 だから。 どこに行っても。どこに行っても。 少し経てば知られてしまう。 エオスの裏街にある人形屋。その真実も、眉唾物の噂も。 (26) 2021/12/14(Tue) 22:35:13 |
【人】 星集め サダル私もホムンクルスなのか。 誰の所有物だ。 対価を払えばなんでもやるのか。 そんなことを言われて私は首を横に振る。 違う。わたしは、違う。 わたしは、違うの。 そう訴えても、今までしてきた事実は覆すことはできない。 もっと遠くへ。 もっと私を誰も知らない場所へ。 私はきっと。対価を間違えた。 あの店の中を整理するだけで、対価を支払ったと思ったの。 (27) 2021/12/14(Tue) 22:35:34 |
【人】 星集め サダル自分のしてきたことが、こんなに罪深いだなんて。 自分の顔が出回ることがこんなに恐ろしいだなんて。 私は、知らなかったの。* (28) 2021/12/14(Tue) 22:36:08 |
【人】 星集め サダル―後日談― たかを括っていた。甘くみていた。 だって、ほかの名前をつけられていたホムンクルスたちは、みんなマスターと共にそれなりに、或いはとても、幸せで平和だと思っていたから。 でも私は違う。 私だけが、違う。 名前を思い出した。 でもホムンクルスたちと同じ顔をして。そのくせ、ひととの混じり物で。 (51) 2021/12/15(Wed) 0:16:41 |
【人】 星集め サダルマスターもいない。だれもいない。 なのに。 上手くいくわけがないじゃない。 なんとかなるわけ、ないじゃない。 人間を擁護する者。その意味を持つ名前。 でも人間たちは、私がサダルと同じ顔をしていると知ると。 体に勝手に触ろうとする。 乱暴に扱おうとする。 目つきが変わって恐ろしくなる。 だから私は怖くなって。 街の人たちのことを思い出して。 私の名前を思い出させてくれた彼のことも。 私に愛称を教えてくれた彼女のことも。 帰りたい。 彼に、彼女に、会いたい。 でも、きっとそれは無理だ。 帰るには今来た道を戻らなくてはいけない。 それは本当に私にとっては恐ろしいこと。 それだけの恐怖が。私には感じられていた。 (52) 2021/12/15(Wed) 0:17:22 |
【人】 星集め サダル『…優しいんですね。マスター。』 彼女の身の上にあったことは薄らぼんやりとしかわからない。 けれど、決して幸せでは無いだろうということは察していた。 だから。 その言葉だけを告げて、マスターについて行くだろう。 遠い遠い教会にて。 助けを求めて逃げ込んで。 けれど、異端だ。生命の冒涜の証だと石を投げられ。 (54) 2021/12/15(Wed) 0:19:00 |
【人】 星集め サダル「…イクリールさん?」 うっすら瞼を上げる。意識が浮上してくる。 どうしてこんなところにいるんだろう。 彼女をぼんやりと見上げて。 でも。 隣にいる影にビクッと体が震えてしまう。 同じだ。 私と同じ顔がそこに在る。 (62) 2021/12/15(Wed) 6:14:59 |
【人】 星集め サダル「〜〜〜っ、…ありがとうございます。 すいません、わたし、…倒れてしまって。 助けていただいてありがとうございました。」 幸い、気を失っている間に魔力が回復したようだ。 握っていたものをそっとポケットにしまって。 痛むところに手をかざして回復魔法をかけていく。 ぽう、と掌の内側が白く光った。 (63) 2021/12/15(Wed) 6:15:16 |
【人】 星集め サダル「…イクリールさんは、どうしてここへ?」 私側から、弟妹たちへの情報はもうほぼ遮断されていたから。そうしたくて、そうしていたから。 彼女とルベドのやり取りや、そのルベド側の心中も全くわからない。 だから、首を傾げて。 真面目な顔で、問いかけていた。 あの時以前の頃のように。** (64) 2021/12/15(Wed) 6:15:33 |
【人】 星集め サダル「生命。大事にしないといけませんから。」 ホムンクルスには子どもはできない。その筈だった。 でも自分は真っ当なホムンクルスではない。 お腹をさする。確かにここに命がある。 歪んだ生命体の自分の中に、確かな命が。 「この子のためにも。平和に暮らしたいんですけど。 私のしてきたことは軽い事ではなくて。 だから、今は耐えないといけませんね。 …本当に、助けに来てくれてありがとうございました。」 (82) 2021/12/15(Wed) 17:32:44 |
【人】 星集め サダルお腹を庇いながらゆっくりと頭を下げる。 もしあのまま倒れたままだったら、自分も、お腹の子もダメだったかもしれない。 そう思うと、目の前に彼女がいてくれることが嬉しくて。 (83) 2021/12/15(Wed) 17:32:59 |
【人】 星集め サダル「ミートパイ…一緒に食べても良いですか? ふふ、あの日を思い出しますね。」 サダル・ミロンとして対話した最後の日。 その日を思い出して、私はほんの少しだけ笑うことができた。* (84) 2021/12/15(Wed) 17:33:13 |
【人】 星集め サダル―後日談― 「ありがとうございます。嬉しい。 そうですね、お酒はやめておきます。 もしあれば、白湯をくださいな。」 温かいものは心も身体も癒してくれる。 彼女のホムンクルスが食事の用意をしてくれて、久々に食べたミートパイに頬が緩んだ。 「美味しい。あそこのミートパイはやっぱり美味しいなぁ…。」 口にして。咀嚼して。 スパイスのよく効いたパイはお肉がしっかり詰まってて、時折感じる刻み野菜の存在がそこに優しい甘さを添えてくれる。 スパイスは香りを豊かにすると同時に身体に活力も与えてくれる。 ああ、美味しいなあ。 そう思って、懐かしさにも言葉少なになって。 (97) 2021/12/15(Wed) 20:22:49 |
【人】 星集め サダル「…近くまで、送ってくれませんか?」 浮かべたのは困り顔。 完全に帰ることはできない。 でも、今は離れ過ぎてしまったから。 少しだけ近くに戻るの、その為のお願い。 「エオスの近くの町か村か森で、 改めて暮らしていこうと思います。 それならイクリールさんともっとお話しできるし お手紙でもやりとりできるでしょう? エオスに戻ると。 私は私を見失ってしまいそうで。 置いてきた子たちの居場所を奪ってしまいそうだから。」 (99) 2021/12/15(Wed) 20:23:40 |
【人】 星集め サダル戻りたい。戻れない。戻らない。 そんな気持ちの揺れの中で。 だめ? と、彼女に問いかける私は、少しばかり苦しくて。 なんとかそこで、暮らしていけないから試してみよう。 真実を認めながら生きていくしかないんだと。 そんな気持ちで。* (100) 2021/12/15(Wed) 20:24:54 |
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