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(n0) 2022/02/13(Sun) 1:21:19 |
(n1) 2022/02/13(Sun) 1:28:13 |
否。 それはまるで積み上げた砂の城を壊すように 厳然たる事実として人々の前にその姿を現す。 たとえ何人たりとも例外にあらず 突如訪れる別れにその心を引き裂かれ その痛みを図り知ることなど到底叶わない。 (n2) 2022/02/13(Sun) 1:30:54 |
(n3) 2022/02/13(Sun) 1:33:01 |
(n4) 2022/02/13(Sun) 1:41:17 |
【人】 グレイスそれはささやかな願いでした。 死にゆく彼女が生者に願うこと。 忘れないでいて欲しい。 たったそれだけのことでしたが、 それを叶えるのは存外難しいものです。 人は嫌なことを忘れて生きていきます。 悲しみから、苦しみから、自身を守ろうとするから。 (2) 2022/02/13(Sun) 7:13:24 |
【人】 グレイスそれでも、忘れて欲しくないと願った彼女は 追憶 の機会を作るために。あちら側からこちら側へと手招きを。 生と死で引き裂かれてしまったとしても、 唯一それをつなぎとめることが出来る物… 記憶 ≠ナ二人を再び繋ぎたいと願うのです。 (4) 2022/02/13(Sun) 7:19:04 |
【人】 グレイス私にできるささやかなことといえば、 二人へと幸せを祈る花束を贈ることくらいです。 これは二人の物語。 私が贈るのは彼女への餞の言葉。 私が語るのは彼への追憶の言葉。 (5) 2022/02/13(Sun) 7:20:26 |
【人】 患者 アンネロズ[ 人はだれしも何か、秘密を持っている。 私もそうね、ひとつ。 秘密にしていることはあるの。 といってもこの秘密は私の親は知っている。 私を担当している医師も知っている。 私によく笑いかけてくれる看護師さんたちも。 知らないのは、私と親しい人たち。 私の病気を知っている人たちには 病気のことは言わないでって口止めしているの。 だって、病名を聞いたらどんな病気なのか 調べる可能性があるでしょう? ] (8) 2022/02/13(Sun) 15:17:53 |
【人】 患者 アンネロズ[ 嫌なのよ、 難病指定されているような、 死ぬかもしれない病気だなんて知られて 憐みの目を向けられるのも 腫れ物に触るような態度を取られるのも 頑張って、って他人事のように言われるのも。 ] (9) 2022/02/13(Sun) 15:18:50 |
【人】 患者 アンネロズ 私はそんなに強い人ではないから。 同情されたら、あなたたちはいいね、って 僻む姿を見せてしまうかもしれなくて でも、そんなの嫌なのよ。 死ぬかもしれないのならせめて 記憶に残る姿は、明るく笑ってる姿がいい。 (10) 2022/02/13(Sun) 15:20:03 |
【人】 患者 アンネロズ[ だから、対して強くもないくせに虚勢を張る。 私は大丈夫よ、って。 でも、そんな風に何でもないように 見せてたからかな。お見舞いに来てくれる人は 日に日に少なくなっていって。 当たり前なのは、解っているの。 みんな暇じゃないってことなんて。 わかっていても……。 ] (11) 2022/02/13(Sun) 15:21:49 |
【人】 患者 アンネロズ*** [ 専らベッドの上で本を読んで過ごしている 私だけど、その日は陽の光が浴びたいと思って。 天気のいい日だったから中庭で 暫く過ごそうと思ったの。 手に持っている本はよくある恋愛小説。 周りになじめない男の子と どこまでも明るい女の子の恋物語。 両親が買ってくれたベストセラーになった本。 本屋さんに行けば山積みしてあるような。 そんな本を左手に持って中庭へ行ったその日。 ] (13) 2022/02/13(Sun) 15:24:22 |
【人】 ピアニスト イングラハム The secret is just like a wedding veil. 女の秘密とは、花嫁のベールだ。 (15) 2022/02/13(Sun) 16:38:16 |
【人】 ピアニスト イングラハムそう、私の父は言っていた。 その意味を幼子の私が知るはずもないが。 ピアニストの父と母もしかり 私の家系は芸術に対するバイブスが高めらしい。 それは私自身もそうで、ピアノの演奏には 幼い頃からずっと魅了され続けている。 ボランティアとして病院でコンサートを 開催することだって何度もあった。 私としては慈善なんてない純粋な演奏を 味わい、楽しみたかったのだが。そうも言えない。 (16) 2022/02/13(Sun) 16:41:07 |
【人】 ピアニスト イングラハム*** 遡ること数年前。 私にとっては数あるボランティア活動のひとつ、 病院でのコンサートに出向いた時だ。 「音楽は人の心を癒し、勇気を与える」と そんな両親の言葉を胸に臨む演奏は 首輪を繋がれた犬のような息苦しさを覚えて。 休憩と称した期間限定の逃避行の果てに 私は 彼女 のいるその場所へ、辿り着いた。 (18) 2022/02/13(Sun) 16:46:38 |
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