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【人】 三月ウサギ「 心配する家族がいない ……? 」 犯罪者扱いされたことより。 その言葉は心をひどくざわつかせた。 「 そんな高そうなワンピースを着ておいて? まさか主催者に頼んで手配してもらったとは 言わないだろう? 」 もしかしたら目的の階まで直通だったかもしれないが。 いつ誰かが入ってくるかわからない密室。 声を荒げない程度の分別はあった。 しかし相手を見据える瞳は剣呑な色を宿して。 (475) 2021/07/06(Tue) 22:38:34 |
【人】 三月ウサギ「 …… ただ、話がしてみたかった。 俺が持たないものを持つ人達と。 知らない世界を知る人達と。 」 先程までのざわめきは色を変えて、 代わりに胸を締めるのは一つの願い。 静かなエレベータ内。 激しく渇望する想いを ぽつり、凪のような声音で落とし終わる頃には 目的の階に着いただろうか? (477) 2021/07/06(Tue) 22:40:22 |
【人】 三月ウサギ開いた扉の先。 これまた、下手をすれば自身の家より広いだろう 絢爛豪華な廊下に一歩踏み出せば、 床が柔らかいという未知の経験を味わいながら。 どこか失望したような表情を浮かべていた少女。 ついて来ているかも確認せず。 背を向けたまま、言葉を投げた。 (478) 2021/07/06(Tue) 22:40:35 |
【人】 三月ウサギ「 三月ウサギ。 俺が登録した名前。 もちろん、本名じゃない。 長いから適当に呼びやすいようにして。 」 彼女がこのまま踵を返すようなら不要な提案。 向けた言葉の行方を知らぬまま、 さらに一歩、歩みを進めて。 (479) 2021/07/06(Tue) 22:40:48 |
【人】 三月ウサギ─── 三月ウサギとは。 童話『不思議の国のアリス』に出てくる 登場キャラクターだ。 アリスのウサギといえば、 時計を持って逃げている奴の方が印象強いだろうし。 こちらは共に出てくる狂った帽子屋に、 どうにも出番を食われている。 …… そんな、勝手なイメージを胸に抱いたのなら。 (480) 2021/07/06(Tue) 22:41:37 |
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