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【人】 楯山 一利「"好き"───なんだよ。 ……亜由美のこと。 姉ちゃんとしてじゃなくて。 一人の、"女の子"として。」 俺の告白を聞いて、彼女は目を見開いた。 お前にとって予想外の言葉だったのか、 それとも別の意味だったのかは 読み取ることはできなかったから。 「亜由美は……? 俺の事、どう思ってんの?」 やっぱり"弟"みたいな存在なのか。 少しは異性として見てくれてるのか。 お前が俺に抱いている気持ちを知りたくて、 でも不安も隠せないまま訊ねた。* (74) 2022/10/23(Sun) 6:32:34 |
【人】 楯山 一利─告白─ もう今更、好きだなんて言えない。 …そう思ってずっと伝えられなかった気持ちを やっと口にすることが出来た。 言葉にした後は、恥ずかしさよりも 不安の方が勝っていた。 「……なぁ。どうなんだよ。」 まだ答えない彼女に痺れを切らして、 もう一度どう思っているかを訪ねる。 今、何を思っているのか。 俺に告白されて、どう感じているのか。 イヤだったのか嬉しかったのか……。 それでもまだ口を噤んだままだった。 彼女は、膝元に置いていた手で スカートの裾を握り締めている。 (123) 2022/10/24(Mon) 23:19:25 |
【人】 楯山 一利そうしたまま、どれくらい経ったろう。 …とても長く感じた。 30分以上は経過していたような感覚だった。 『………ごめん。』 やっと口を開いた彼女だったが 出て来たのは、謝罪の言葉だった。 「なに、謝ってんだよ……。 俺の気持ちには応えられないってこと? だったら、そう言ってくれよ。」 『………。 ごめん。 どう、言ったら良いのか。 上手く言葉が見つからなくて。』 「なんだよそれ……。 別に、俺を傷付けないようにとか そういう気遣いはいらないからな?」 フラれたらそりゃショックだけど。 ハッキリしないままの方が不安を煽られる。 だったらスパッと無理と言って、 この硬直状態をなんとかしたい…。 (124) 2022/10/24(Mon) 23:19:53 |
【人】 楯山 一利『ううん、そうじゃないの…。 私もね。 カズの事、好き…… なんだと思う。』 「だと思う、って…。どういうこと?」 俺と同じ気持ちなのかと期待が膨らむ反面、 曖昧な言い方で終わった事に、モヤモヤとする。 『自分でも、よく分からないの。 ずっと、私はカズのこと 弟みたいな子だと思って接してた。 でも……時々、分からなくなった。 カズが、智恵さんとか… 他の女の子と楽しそうに話してる時も ブレイクダンスの話をしている時も 胸が苦しくて仕方なかった。 心配とかそんなんじゃなくて "寂しい"って思ってたの。』 (125) 2022/10/24(Mon) 23:20:27 |
【人】 楯山 一利「寂しい……?」 その気持ちの意味は何なのか? 何処から来るものなのか? それが分からないと言った口ぶりだった。 『でもそれは、カズが私の元から 巣立って行っちゃうことなのかなって。 でも、そうじゃないのかも……。 カズの気持ちを聞いてたら、 嬉しいって気持ちもあるし。 …分からないの。』 ごめんなさい。そう付け加えて 亜由美は苦い表情で俯いた。 なんだろう……コレ。 ストレートにフラれるより辛いかも。 男として好きとも言って貰えてないし かと言って、否定もされていない。 (126) 2022/10/24(Mon) 23:20:49 |
【人】 楯山 一利『…ちょっと、時間が欲しい。 一人で考えたい。』 なんだよそれ。変に期待しちゃうじゃんか。 でも結果的にやっぱり無理でした。 ってなったら、崖下に突き落とされるのと 同じくらいショックがでかいと思う…。 それでも、俺は待つんだろうな。 彼女の中で答えが見つかるまで……。 「……分かった。待ってる。」 それからは、二人一緒に互いの家に帰って 連絡は取らないまま、眠れない夜を過ごした。 想いは実る事も、枯らす事もないまま 今日という日が終わりを迎えようとしている……。 (127) 2022/10/24(Mon) 23:21:09 |
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