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【墓】 木峰 海斗少なくとも、今はそんなこと考えられない 今も、これから先も、―――― [ かたん、と空調の口から響く音に、 微かに肩を震わせて、冷えた空気から逃れるように、 逃がさないように、縋るように、 兄貴の胸に顔を押し付ける。 抱くのも、抱かれるのも、 時に逆転する俺たちだけど、 どんな形であれ、こうして心臓の音を 一番近くで聞ける場所に、居続けたいと思う。] (+25) 2021/12/12(Sun) 20:36:03 |
【墓】 木峰 夏生[ ほたり、ほたりと涙の雫が落ちてくる。 熱で溶けてしまったみたいな身体に 冷たさが沁みて、心地良くて。 雨、みたいだな、と思った。 乾いた地面に染み込んでいくように、 俺の肌から吸収されればいいのに。 なにも、逃さないで、ぜんぶ、俺のものに。 ] (+26) 2021/12/12(Sun) 22:24:59 |
【墓】 木峰 夏生[ 繋がったまま倒れ込む身体をがっしりと 受け止めることが出来たのは良かった。 海斗の出したものが腹の間でサンドイッチの具になって、 汗だくだしもうなんかぐちゃぐちゃだったけれど、 珍しく囁かれた素直な愛の言葉は、 やっぱりとても小さかったから。 声も吐息も、一言も聞き漏らさないように きつく抱き寄せたなら、 頬に触れたキスのお返しを、 俺は優しく、唇に。 ] (+27) 2021/12/12(Sun) 22:26:04 |
【墓】 木峰 夏生[ べたべたで、ぐちゃぐちゃで、 それでも、ひっつきあって、 触れ合った熱の温度は、不快さなんて微塵もない。 心地良くて、幸せで、満たされる。 繋がったまま、この胸の中で眠らせてしまおうか。 そんな考えが頭をよぎるけれど。 腹に収めたままでは腹を壊すというのは、 俺が口にした通り。 経験談?さぁどうだったかな。 ] (+28) 2021/12/12(Sun) 22:27:17 |
【墓】 木峰 夏生[ とりあえず重たい身体を引き摺るように起こして 風呂に入ろうと提案したら、素直に頷いたかな。 きっと狭いだのなんだのと 眉間にしわを寄せただろうが、 掻き出してやるっつったろ、と有無をいわせず にんまりと嗤って約束を持ち出せば、 ぶつくさ言いつつ、しぶしぶ了承してくれただろうか。 ] (+29) 2021/12/12(Sun) 22:28:01 |
【墓】 木峰 夏生[ あの夜とは比べ物にならない、自宅の浴室。 幼い頃から、何度も一緒に入ったけれど。 さすがにせまいな、とそれでも心底楽しそうな表情で 男二人、みちみちと入浴を楽しもう。 ざざっと浴槽を流して湯をためる間、 シャワーを手にして、海斗の後ろへ。 適温の湯を頭からかけてやりながら、 どうしても身体が密着してしまうのは、狭いからよ? シャワーフックに引っ掛けて、 海斗がシャンプーでもしていれば、 ボディソープを手にして背中を洗ってやろう。 もちろん下腹部も尻のあたりも、念入りに。 ] (+30) 2021/12/12(Sun) 22:28:48 |
【墓】 木峰 夏生[ 泡だらけの身体を一度、流してしまえば、 壁に手をつかせてシャワーを手に取る。 せっかく綺麗にしたのにまたローションを纏わせて ゆるりと後孔へ忍ばせた指を、ゆっくり沈めていく。 ] ……掻き出して、いいんだっけ? [ と背後から耳元でいやらしく囁けば、 ぐにぐにと無遠慮に動かしてしまおうか。 だってほら、出さなきゃ腹下すからさ。 ] (+31) 2021/12/12(Sun) 22:29:27 |
【墓】 木峰 夏生腹に力入れてよ。 [ と愉しげに耳朶を喰みながら、 ベッド部を外したシャワーをそっと、当てて。 人肌に温い湯をほんの少しの水流で、入れて、 流して、綺麗にしなくちゃな。 変態、恥ずかしい、そんな罵倒もどうぞご遠慮なく。 甘んじて受けましょう。 だって腹、下すよりいいだろ? やっていいって言ってくれたし、と にっこりと笑いながら、いい加減怒られるまで しつこく洗浄しようかな。 風呂から出たら、シーツとバスタオルをはがして 洗濯機に突っ込めば、 必然的に俺の部屋へ来てくれるだろうなって、 海斗の顔を思い浮かれるのは、 めちゃくちゃ、いい気分。 ]* (+32) 2021/12/12(Sun) 22:30:41 |
【墓】 木峰 海斗[ 一般家庭の大きさよりは、 多少広いという認識はあるけれど、 それでも、大人の男が二人、入るには狭い。 そんな風呂場に、渋々同行して、 心地良い温度の湯をかけられながら、 背中を向けて、鏡に手をつく。 密着されると、今更だとしても、 すべてが終わった後は、やはり照れくさく 避けるように、出来る限り距離は置こうとする。 真っすぐ鏡を見つめれば、 濡れて曇ったガラスの向こう側でも、 視線が絡みそうで、視線を逸らしながら、 髪を濡らして、シャンプーを泡立てていく。 触れてくる指や手のひらの感触は、 意識しないようにしようと努力するけれど――] (+33) 2021/12/12(Sun) 23:02:36 |
【墓】 木峰 海斗う、……ッ、ん…… さっさと、しろよ―― [ 鏡越しに、羞恥に染めた瞳で睨み 気を抜くと、甘くなりそうな声を耐えながら、 兄貴の手を攫うことなく、自由にさせた。] (+34) 2021/12/12(Sun) 23:02:37 |
【墓】 木峰 海斗……っ、ぅん、掻き出す、だけ、だろ [ まだ、ひくつく肉壁が、 指を埋め込まれて、嬉しそうに波打って。 思わず、甘え切った吐息が漏れてしまって、 八つ当たりのように、言葉を紡ぐけれど、 無遠慮に動かされてしまうと、 それ以上、文句も言えず、 耳朶に走るもどかしいような、優しい刺激に 肩と、声を、跳ねさせ、意図せず、 言うとおりに、腹に力が入れば、 とろり、と粘度の高い白く濁ったものが、 足の間を垂れていく。 それは、すぐに温い湯に紛れて、足元を通り、 排水溝へと消えて行ってしまった。 あぁ、と熱い吐息が、切なげに漏れる。 出て行ってしまうのが、ほんの少し寂しくて。] (+35) 2021/12/12(Sun) 23:02:39 |
【墓】 木峰 海斗ば、ぁ……か、もう……ちょ、 [ 大体、掻き出しただろうに、 しつこく弱いところを捏ねくり回されると、 垂れ下げっていた俺のものが、 少しだけまた、首をもたげ始めてしまって。 罵倒を口にするけれど、 どこ吹く風と受け流されて、 この野郎と、心のうちで幾度も文句を言いながら、 兄貴が機嫌良さそうに、笑っている声を 蕩けそうになる思考の端で、聞いていた。 風呂の後は、大分ぐったりしていて。 いつもの強がりや反抗心も口にする気にもなれず、 兄貴の部屋で寝かせてくれと、 それでも、多少の言い訳のようなことを 織り交ぜながら、強請ったのだった。*] (+36) 2021/12/12(Sun) 23:02:40 |
【墓】 木峰 夏生[ 本日二度目の風呂と、ついでにシャンプーだったのかも 知らない。 だから長湯をすればのぼせてしまうな、とは 心の片隅では海斗を案じながら、 それでも注ぎ込んだ胤が湯に混じり流れていく様に 視線ごと身体を離すことが出来なかった。 鏡に映る海斗の白い肌に、いくつもいくつも 赤が咲いていて、感じたことがないほどの 充足感に満たされてしまうから。 ぶつけるつもりなどさらさら無かった、 それでも迸らせてしまった嫉妬と執着心を 思い出せば我ながら呆れて苦笑いするしかない。 受け止めてくれた海斗が愛しい。 あんなにどす黒い、穢い欲望なのに。 ] (+37) 2021/12/13(Mon) 8:11:11 |
【墓】 木峰 夏生[ 排水口に消えていく白に、抱きしめた海斗から 吐息が漏れる。 ほんの少し、切なさと寂しさを含んでいるような声に 俺も気付かれないよう眉尻を下げた。 必要以上に丁寧な愛撫を文句も罵倒も聞き流して しつこく続ければ、3回も出したものがまた ゆらりと反応を始めているのが、 動かしている手に微かに触れる。 くつくつと含み笑いを噛み締めながら、 それでもこれ以上ふやけてのぼせると危ないなと 理性を奮い立たせて身体を離した。 湯船に浸かるか、もう先に出るか、 どちらにしても海斗が離れればその間に 俺もざっと身体を洗う。 ] (+38) 2021/12/13(Mon) 8:13:15 |
【墓】 木峰 夏生[ ふいに痛みを感じたのは肩で、 視線を落とせば歯形とそこに沿う傷が鮮やかで。 キスマークより深く、きっとそれより ずっと消えづらい所有印。 さらに満足気に湯気のカーテンの下、ひとり笑んだ。 ] (+39) 2021/12/13(Mon) 8:14:20 |
【墓】 木峰 夏生** [ 海斗は部屋の窓を開けていて。 俺は一応、酷使された働き者のマットレスに シトラスの香りの除菌消臭剤をシュシュっとしておいた。 自室に戻る前にリビングに寄って、 親父の好きなジャパニーズウイスキーをちょっと拝借。 グラスを氷と琥珀色の液体で満たして、 それを手に自分の部屋へ戻れば、 幼い頃と同じように、遠慮もなく俺の布団に潜り込む、 変わらず愛しい弟が居て。 酒を一口、ぐいと呑んだ。 喉を焼くアルコールが心地良い。 ] (+40) 2021/12/13(Mon) 8:16:42 |
【墓】 木峰 夏生[ ぽつりぽつりと語られる胸の内。 声はいつもより掠れて、低く艶を帯びて。 妙に大人びて、色っぽく鼓膜を揺さぶる。 ] ……まぁ、な。 どっかで、俺のこと嫌いになって、 離れていってしまうことを望んでた。 それが、幸せだって 思い込もうとしてたから。 [ 返す言葉を、同じように訥々と。 期せずして海斗も同じ気持ちだった、と悟るから、 声はやっぱり同じように少し掠れて。 きっと、俺から終わりを示唆すれば 受け入れるつもりだったのだろう。 避けた唇に、酒が滲みる。 ] (+41) 2021/12/13(Mon) 8:20:33 |
【墓】 木峰 夏生───…… ああ。 おれも、おんなじ。 [ 社会的な道義や、モラルや常識の傘を被って、 目を背けていた自分の感情に、 不謹慎にも嬉しくて、 不覚にも、喜んでしまったから。 だから、腹を括る。 高い酒をそんな飲み方するなと 親父の憤慨する声が聞こえそうなほど、 グラスの中身を一気に呷って。 海斗の覚悟を全部受け止める。 そんな決意を一滴残さず、飲み干すように。 ] (+42) 2021/12/13(Mon) 8:25:26 |
【墓】 木峰 夏生[ ベッドの海斗にゆっくり近づいた。 胸元に押し付けられる温もりを、優しく、 そしてしっかりと抱きしめながら 狭い布団に滑り込む。 あたたかい、離したくない。 離れたくない、誰にも、渡せない。 ] ああ、そうだな。 ずっと、な───。 [ 自信に満ちた表情でにやりと笑う、 その唇に口付けを落として、髪を撫でる。 ] (+43) 2021/12/13(Mon) 8:26:52 |
【墓】 木峰 夏生ふたりは、いつまでも、 しあわせに、くらしました。 [ いい歳して、デカい図体で、 そんな御伽噺を信じるロマンチックな兄貴でも 海斗は、 しゃーねぇな、良いよって 言ってくれるだろ?─── ]** (+44) 2021/12/13(Mon) 8:30:16 |
【墓】 木峰 海斗[ 少し日焼けした肌に、 白く普段晒されない肌に、 愛しい人にしか見せない肌に、 一片、二片――… 無数に散った 赤 い花弁が、鏡越しの曇った視界の向こうに滲んで見える。 痕の数だけ、それ以上に、 愛情を感じるように、ふいに胸の奥が熱くなった。 そして、ちら、と 視線をあげれば、兄貴の肩に浮かぶ、 赤い歯型の痕―― 俺がつけた独占欲の 証 。] (+45) 2021/12/13(Mon) 10:06:48 |
【墓】 木峰 海斗* * * [ 布団に潜り込んで待っていれば、 兄貴は、片手にグラスを持って戻ってきた。 父のとっておき、という奴。 グラスの中で揺れる煌きを、ぼんやりと見つめて 心の内を吐露すれば、おなじだったと、と。] (+46) 2021/12/13(Mon) 10:06:52 |
【墓】 木峰 海斗[ グラスを呷って、喉元が上下する。 その光景すら少しだけ、どきり、としてしまう。 頬が赤くなりそうなのを、隠すように布団を被って 抱きしめられてもいないのに、兄貴の匂い包まれて これは逆効果だな、と顔をまた出して。 近づく足音に視線をあげて、 抱き寄せながら、一緒にまた横になる。 怖いものなんて、なにもない。 そんなことは、本当は言えないけれど。] ……その言葉、忘れんじゃねーよ? [ ずっと、な―――。 その言葉を信じるから。 ] (+47) 2021/12/13(Mon) 10:06:55 |
【墓】 木峰 海斗[ 髪を撫でる感触が気持ちよくて、 さすがに疲れた身体から力が抜けていく。 子どもに聞かせる御伽噺。 寝物語の絵本の終わりの言葉。 しあわせな しめくくり ふわふわとした、微睡みの中で、 それを耳にしながら、ふにゃと、 仕方がねーな 夏生だから、許してやるよ、って 至極幸せそうに、破顔った―――― **] (+48) 2021/12/13(Mon) 10:06:57 |
【人】 天海谷 睦月あ、そうだ この前、貸した参考書あんじゃん? 次のレポートで必要になりそうなんだけど、 海斗、まだ使ってる? [ 赤い痕をつけてから、 少し後のこと、何度か海斗が何か言いたそうに こちらを見ていたけれど、ガンスルーしてきたけど そろそろ、一つ、切っ掛けでも作ってやろうかと。 そんな言葉をかけてみた。] (0) 2021/12/13(Mon) 23:20:29 |
【人】 木峰 海斗[ あれから、何度か切り出そうとして、 他の奴らの邪魔が入ったり、タイミングを掴めず、 首につけられたキスマークのことは、聞けず仕舞い。 何か、切っ掛けはと思っていれば、 以前、借りた参考書のことを言われて、 そういえば、返してなかったことを思い出す。] あぁ? あ、あぁ……今は使ってねーや 明日、持ってくるか―― それか、急ぎなら今日取りに来るか? [ いつもの調子で、明日。 と終わらせようとして、一瞬だけ考えて。 いい機会かと、家に誘ってみたが、 割と察しのいい此奴が、 ずっと俺に何も言ってこなかったことが、 少しだけ、引っかかっていた。 分かってて、避けていたんじゃないかって らしくなく、少し伺うような瞳で見つめてみたが] (1) 2021/12/13(Mon) 23:20:31 |
【人】 天海谷 睦月ん? あぁ、今日暇だし、丁度いいや 海斗んち行けるって、レアじゃね? [ 想定通り。 家に誘って貰えれば、 その反応を予想なんてしていなかったと言う顔で、 何でもない風に、けらけらと、 いつもの調子の良い笑い声をあげて、了承すれば、 お互いの講義終わりの時間を確認して、 待ち合わせをすれば、一緒に海斗の家へと向かった。] (2) 2021/12/13(Mon) 23:20:34 |
【人】 木峰 海斗[ 友人を家に誘ったのは、大分久しぶりだ。 兄貴と恋人関係になる前は、時々誘っていたが、 夜遊びに出ていた兄貴とは、 そう多く顔を合わせることはなかっただろうが 数度くらいはあっただろう。 今日は、早く帰ってきてないといいんだけど、 キスマークをつけたと思われる奴と、 意図せず、顔を合わせることになったら、 そこだけ少し心配だったが、真相を確かめないと、 睦月との距離感を考えあぐねて、 気持ちが悪いのも確か。 二人で一緒に電車に揺られて、 お互いスマホを見ながら、時々、最近のドラマや 他の友人に彼女ができたとか、フラれたとか、 他愛もない話をしながら、家路についた。] (3) 2021/12/13(Mon) 23:20:38 |
【人】 木峰 海斗ちゃんと手洗えよ、 あとは、リビングで、 適当に座って待ってろよ [ カチャリ、と鍵を開けて入った家は、 変わらず、この時間は誰もいない。 ただいま、なんて小さく律儀に口にしながら 自分はさっさと手洗いを済ませて、 返すものを先にとってこようと、 俺は、一人、二階へ向かった*] (4) 2021/12/13(Mon) 23:20:45 |
【人】 天海谷 睦月母ちゃんかよ、お前 はいはい、ちゃんと手洗いすませて 大人しく待ってますよ [ げらげら、とふざけて笑って、 言われた通りに、手洗いを済ませれば、 革張りのソファーの隅っこの方に、座る。 なんとなく、ど真ん中に座れないのは性分だった。 しかし、いい家だよな。 テレビ、ソファー 自分の実家とは、違う洒落たリビングキッチン。 以前、遊びに来た時は、 すぐに二階に上がっていたから、 ここで待つのは、少しだけドキドキするのは、 やはり他人の家だからなんだろうな。*] (5) 2021/12/13(Mon) 23:20:47 |
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