【見】 くるみ割り人形 トラヴィス>>33 ユピテル 貴方の視線に問われれば 口元へ人差し指を当てて「秘密」と告げた。 そうして竪琴を受け取って 少しだけ躊躇ったのちに、 貴方の頭へ手を伸ばし、撫でました。 「有難う。 さっきの舞台の公演料なんだ。 彼の竪琴の音色がね。 42弦、余す所なく錆びているから こうする他ないだろう?」 貴方にとっても大切であろう竪琴。 まるでそれの様子を以前から知っていたような口振り。 しかと手中に収めれば、びょんとそれを鳴らしてみた。 男には、竪琴から綺麗な音を奏でる事は出来ない。調律の知識が少しあるだけだった。 音を整えようと、席を立つ。 それ以上は何も言わない。 男は、この宴の終わりが近い事を、何度も見聞きして知っているから。 恐らく最後くらいは、此方から。 「……またね」 (@18) 2021/10/23(Sat) 8:40:18 |
トラヴィスは、キエを一瞥して………、 (t11) 2021/10/23(Sat) 8:44:49 |
トラヴィスは、何も言わなかった。 (t12) 2021/10/23(Sat) 8:44:56 |
【墓】 逃亡者 ポルクス――人はポルクスを称賛した。 心優しい王子様だと。 ――人はポルクスを称賛した。 見目麗しく天才だと。 ――人はポルクスを称賛した。 神の血を受け継いだ特別な子供だと。 そんなものは嘘だ。 俺は優しくはないし、努力をしただけで天才などではない。 ましてや神の子だなんてありえるわけがない。 俺はただの王の子であり、人間である。 全て特別な力を持って生まれた兄が受けるべき称賛だったはず。 兄が受けるべき寵愛だったはず。 死者に干渉する力というだけで忌み嫌った者たちが自分にはわからない。 我が半身は、力を持った特別な人間だったというのに。 (+17) 2021/10/23(Sat) 8:47:37 |
【墓】 夜の一族 チャンドラわたしは彼を探している。 ふたりがひとりだったなら、きっとわたしたちは出会うことはなかった。 頬に触れた手と、この ぬくもり は似ているように思う。だからかしら、胸騒ぎがして。 だってあなたはどこにもいない。 ──わたしはあなたになにかしてあげることができた? あなたはわたしに優しくしてくれた。 わたしはあなたに何も返せていない。 あなたの望みは叶えられない。 わたしでは、叶えてあげることはできない。 でも。わたしがあなたにできることは、本当にそれしかないのかしら? わたしは探す。 わたしは彼を探している。 そしてわたしは、わたしにできることを、探している。 (+19) 2021/10/23(Sat) 9:08:14 |
夜の一族 チャンドラは、メモを貼った。 (c33) 2021/10/23(Sat) 12:03:31 |
【人】 巫女 ユピテル>>41 キエ 「あら。W何かをするWっていい事でも悪いことでも、 どちらでも取れるじゃない? 私、別にキエに尋ねに来ただけで糾弾しに来てないよ」 実際、別に貴方への強い敵愾心等は見えていません。 ただ何かをするなら貴方とユピテルは考えていましたから。 それは貴方への好意の差などではなく、各々と話した結果、 何かしらのそれが可能な力の持ち主が貴方だけだったから。 「W差し出されたから、受け取ったW?」 あの日、少女の悲鳴が、聞こえたと聞きました。 多重人格で最も邪魔になるのは、何?それは、 「キエ、貴方が差し出されたものは、ゲイザー?」 「貴方、それをW受け取っただけWと言うなら、 まだW返すW事だって出来るんじゃないの?」 (44) 2021/10/23(Sat) 12:29:13 |
【墓】 逃亡者 ポルクスようやく俺は地に足が着いた。 そこは館の外の中庭の、あまり人目につかない外れの方。 兄の残り香が……強い。 本来のそこにはないものが、この空間には確かに残されている。 薄紅色の花びらが舞う大輪の桜の木。 そして残されたおびただしい――――――血の跡が。 (+20) 2021/10/23(Sat) 12:50:53 |
【墓】 逃亡者 ポルクス「これは兄さんのものではないな」 では何故だろうか。 血の跡を一瞥し、桜を見上げると、 ひらりと舞う桜が一枚、鼻の上に止まった。 ――――――あ。 「これだ……」 桜の花びらから確かに漂う残り香と、兄の気配。 木に背を預けて目を閉じると、不思議と知るはずもない成長した兄の姿が映し出された。 やはり兄は、この館に来ていた。 「――――――ずるいよ、兄さん」 何に対してそう形容したのだろうか。 ただわかるのはカストルという双子の青年は、必要としあえる相手と出会ったということ。 そしてポルクスという双子の青年は、ひとり残されたということだけだった。 (+21) 2021/10/23(Sat) 12:52:06 |
【人】 巫女 ユピテル>>@18 トラヴィス 「あら、秘密ならしょうがないわ。楽しみに……わ、っ」 まさかトラヴィスがそんな事をするとは想像していません。 つい驚きの声が上がってしまいます。 「もう。お姉ちゃんより、 もっと撫でるべき子がいっぱいいるでしょう?」 言葉と裏腹に、嬉しそうに少し照れて俯いて。 WやっぱりトラヴィスはずるいわWと、 一度口を尖らせてから、ふっと緩めて微笑みます。 「……うん。もし弦が直ったら、……ううん。何でもない」 もし竪琴が直っても、これが音を奏でるか。 唯一それがわかるのは、持ち主の彼のみ。 いつか、その日は来るでしょうか。 本当に単なる勘ですが、案外そう遠くはないと信じています。 そしてW貴方からW告げられた言葉に瞬き。 彼が自分からそれを伝えられるとは、 最初の日を思い返すと想像もできなかったでしょう。 彼が言っていたW最後Wが明日とも知りません。 「……ええ、Wまた明日W!」 だから、いつも通りに屈託なく。いつも通りに明るく。 大切な人に、大切な人の竪琴を託して、見送りました。 (45) 2021/10/23(Sat) 12:56:09 |
【人】 空想 ゾズマ>>43 ゲイザー 「焦げてる……」 少女の姿でチンピラ仕草するチグハグなやつからもらったパイを、なんとも言えない視線で見つめる。食えるだろうか? ひとまず話をしたいというのなら、応じようと、ベンチに座る。 みょうに縮こまっていて、顔が近づくと気まずそうな顔で俯いた。 その質問は、昨日までのゾズマが聞いたならどうしただろう。 もう思いこむことをやめてしまった今の自分にはわからない。 「普段強がってるやつがホントは弱虫だった。 で、終わるかと思ったけど……聞いてくれるんだ」 そして、顔を上げて、あなたを見返した。 前に泣き叫ぶゾズマを見て、自分たち──リーパーとゲイザー──みたいだと言っていたあなたを。 → (48) 2021/10/23(Sat) 14:32:54 |
【人】 空想 ゾズマ>>43 ゲイザー 「何って。オレのダチだよ」 "わたし"が思うゾズマはそう言ってくれる存在だ。 "わたし"が作り出しただけの"わたし"が忘れ去ったら、いなくなるだけの。そんな、存在だけれど。 「アイツは、小さい頃から空想して遊ぶのが好きだったんだ。ダチができなくてボッチだったからな」 気の強いゾズマを演じたまま、ぽつぽつと語り始めた。 「ガキの頃、本当に自分にしか見えないダチがいたことがあって、でもお別れをしたから、ひとりになったから」 「だから、そのうち自分で新しく作りだした。そして、そいつも本当にいるって勘違いしはじめた。現実と空想の区別もつかなくなったバカだよ」 「嘘吐き呼ばわりされたけど、まあ当然だよな」 「でも、どうしてもそれが気に入らなくって」 「そのうち自分さえも消してまで、そいつになろうと思ったんだ」 「それがオレ。ただの、空想の中の人間」 → (49) 2021/10/23(Sat) 14:54:46 |
キエは、「人間はハッピーエンドが好きだろう?」 (a38) 2021/10/23(Sat) 15:03:29 |
【人】 巫女 ユピテル>>46 キエ 「そうねぇ。頷くかもしれないわね〜」 本当は、そこまで献身が強い女ではない。 ただ、そう見られてるならそれでいい。 W都合がいいWから。……だって、常に悩んでる人よりも、 『全く悩まなさそうな女』の『貴重な悩み』の方が、 あなた、興味持つでしょ?キエ。 何より、一番聞きたい事は、本当はもう聞けた。 まだゲイザーをW返せるWと言える程度に、 彼女はまだ存在しているということを。 「キエは善意で損は絶対嫌って言うわよね〜。 それは勿論理解してるわよ、お姉ちゃんも。なのでお話」 だからここからは、単純に私達が失敗して、 キエに交渉する以外の打つ手がなくなった時の保険と、 (51) 2021/10/23(Sat) 15:04:47 |
キエは、怠惰だ。手間などかけたくないし完成を待つのが其の限度である。 (a39) 2021/10/23(Sat) 15:05:33 |
キエは、しかし口を開けているだけで食事ができるなら、有り難いと思う程度の損得勘定を持つ。 (a40) 2021/10/23(Sat) 15:05:48 |
キエは、だから片道切符の行き先を変えた。 (a41) 2021/10/23(Sat) 15:06:02 |
キエは、「僕へ辿り着く前に彼が消えちゃうかもしれないけれど」 (a42) 2021/10/23(Sat) 15:08:13 |
キエは、「誰かに横取りされるかもしれないけれど」 (a43) 2021/10/23(Sat) 15:08:26 |
キエは、「まァ其の時は仕方がないね」 (a44) 2021/10/23(Sat) 15:08:37 |
キエは、怠惰だ。自ら追う程何かを求めない。代わりは幾らでも在るのだから。 (a45) 2021/10/23(Sat) 15:09:06 |
【人】 浮遊想 テラ「 夢、夢、夢。ふふ、夢はいいなぁ。 夜に眠れるみぃんなが見るの 」音が発されたような気がします。 気がしただけかもしれません。 「 言葉ってさァ、不便だと思うよ? どういう理由でありこそすれ、 真相や真意とは違うふうに受け取られることもままあって 」「 それでも──は、言葉のそんなところもいとしいなぁ。 ──に向けて、与えようとしてくれたものだろう? 」ナニカ があなたに近寄ります。ゆっくり。 ナニカ があなたの頬に触れます。やさしく。 ゾッとするような冷たい、温度のない手でした。手だと思いました。 「 ほうらキエちゃん、──を覗けるものなら覗いてみなよ。 眠らないと覗けない? それじゃあ、ご要望に添えないなぁ 」指先だと思えるものが、心持ち細くなった あなたの顎を軽く押し上げます。 ナニカ の口は 三日月の弧 。「 ひとりの夜って長いんだぜ? 知ってる? 」ナニカ は、そういえば、夢なんてものを 見た記憶がありませんでした。 (54) 2021/10/23(Sat) 15:12:26 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+20 >>+21 ポルクス わたしはあなたを探している。 まだ自分ができることは、わからない。 それでも、あなたを探していた。 いだいた ぬくもり は、まだ、手元にある。「……?」 広い中庭の隅、見たことのない、桃色の木。 わたしの知っている木は、みんな緑の葉を茂らせたものだけど。 足を止めたわたしは、そこにあなたの姿を見つけた。 まだ自分ができることは、わからない。 でも 「ポルクス……?」 木の根元に広がる赤い液。 あなたのものじゃ、ないのでしょう? 遠くで見ても分からなかったから、わたしは恐る恐るとあなたの名前を呼んだ。 (+22) 2021/10/23(Sat) 15:36:59 |
【人】 死神 ゲイザー>>50 ゾズマ スターゲイジーパイは食べられる。 1ピースが二つ分、カトラリー付き。 あからさまに怪しいけど、毒や薬の類は入っていない。 リーパーは調理が下手だけれど、手土産に焼いてきた。 それを証明するように、 リーパーは粗暴な仕草でパイの片割れを口にする。 足を組んで、あなたの話を聞いた。 「……同じだ。けど、近くて遠い」 自分はほんものの片割れ。 あなたは、かつての友達をなぞるほんもの。 「オレも、そうだ。 ゲイザーの頭の中のダチだった。 でも、……棄てられて」 「ムカつくんだよ、アイツ! ギャハハ! 死んだけど。 これ以上アイツの言いなりになるのはゴメンだ」 ⇒ (55) 2021/10/23(Sat) 15:57:34 |
【人】 悪食 キエ>>51 >>52 ユピテル 「君って案外世間知らずじゃないよねェ。契約前に内容の開示を求めてきたの此処では君が初めてだよ。そして予め言っておくんだが以前伝えた通り君は“基準を満たしていない”から君の持ち物では対価にならない」 現時点でキエはユピテルをそう思っている。キエは賢者と取引をしない。彼らは キエの望む品を持ち得ないからだ 。そしてキエの好む人種というものは傍目に見ても非常に判り易い。 さらにキエは地中の奥深くに眠る謎を掘り起こす程飢えてもいない。 「 愁傷 、苦悩 、寂寥 、憎悪 、絶望 ………此の辺り?僕ァ食が細いから“後一滴で溢れる程に濃い感情”しか食べないよ」 キエは『悩み多き者』が『必死に隠そうと足掻く』『毎秒付き纏う希死念慮』の方が好みだ。 (56) 2021/10/23(Sat) 15:58:02 |
ゲイザーは、夢を見ている。 (a46) 2021/10/23(Sat) 16:00:21 |
【墓】 よいが来ない ミズガネ>>35 ユピテル 唇を噛む。自分だって彼女の言葉に助けられた。死ぬことを躊躇わず何でも言えるその姿勢が大きな魅力であることはよく知っている。 何も言えなかった。 貴方の言う通り、今の貴方を作る全てに惹かれたのだから。 自分の言葉に決して頷かない貴方の答えに胸が締め付けられそうになって。でも、「ああやっぱり好きだな」という気持ちが浮かんだのも確かだ。 ▽ (+23) 2021/10/23(Sat) 16:10:07 |
【墓】 よいが来ない ミズガネ>>36 ユピテル 「ユピテル」 もう一度名前を呼ぶ。 立ち上がり、振り返る。 自分がしたいのは愛することであって束縛することじゃない。 本当はついて行って後ろから死神の彼に睨みを利かせてやろうかとも考えたけれど。 それで彼女が聞けたいことも聞けなくなってしまうのは本意じゃない。 「信じてる」 でも、それだけじゃ足りない。 「『自分がこうしたい』と思ったことをしてくれ、ユピテル。 俺はどんな選択をしても、お前を応援しているから。 お前が道を選んで進むことを、自分のことのように嬉しく思えるのだから」 ずっと迷って傷ついている貴方を見たが故の言葉。 言葉を重ねながら、拒まれないのなら抱きしめる。もう寒さはどこにもない。氷のような冷たさは、貴方が溶かしてくれたのだから。 我儘を通した罰で動けないのなら此方が許しを与えるまでだ。 (+24) 2021/10/23(Sat) 16:11:47 |
ゲイザーは、キエに反抗している。 (a47) 2021/10/23(Sat) 16:24:12 |
ゲイザーは、大人になって、怒りを覚えた。誰かが教えてくれたから。彼の存在はムダじゃない。 (a48) 2021/10/23(Sat) 16:24:50 |
ゲイザーは、謝らなくちゃいけない。みんなに。……リーパーに! (a49) 2021/10/23(Sat) 16:27:37 |
【人】 悪食 キエ>> ??? >>53 >>54 「 其れを早く言ってくれ!! 」とっくに忘れていた筈の歓喜がとうとう弾けた。 性を食い物にする事を辞めた時に諦めた筈のご馳走が、 食べられる筈が無いと思っていた初物が、今、今、目の前に在る! 「嗚呼勿論だとも! 眠らなくたって、眠れなくたって、此処でなら! 僕は君に素敵な夢を………夜の長さなんて忘れる程の夢を見せてあげる!!」 キエは感情の変化に乏しい。しかし其れは本来の在り方から外れてしまったが故の本能と気質の不和から来るものだ。 されどたった今初めてキエは本能と気質が合致するご馳走を見つけた。 勢い良く立ち上がると其の儘 ??? へ抱き着いた。椅子の倒れる音がしたし温度は感じないがそんな事はどうでもいい。…キエが何かを欲し手を伸ばすなど此れが初めてであった。 「さァ、目を閉じて。大丈夫だよ、夢は恐ろしいものではないから。きっと君も気に入るよ。全身全霊をかけて僕が誘ってあげる。怖くない。対価なんて求めない。だから安心して?」 胎の底が怒りではなく喜びで煮えている。其の熱気に触れるかどうかはナニカ次第。 普段の難解な言い回しは何処にも無い。獲物を眼前にした捕食者が無防備に ??? へ腕を回していた。 (58) 2021/10/23(Sat) 16:43:18 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+25 ポルクス よかった、この赤はやっぱりポルクスのものじゃない。 安心したわたしは、少しだけ緊張を緩める。 「あなた、わたしが見えるのね。 ……目を醒ましてから、わたしのことが見える人、ほとんどいなくて」 それが神隠しなのでしょう。わたしは頷く。 「もう、寒くないわ。 むしろ少しあたたかいくらい。……不思議ね」 (+26) 2021/10/23(Sat) 17:14:14 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+27 ポルクス 「ええ、その通りよ。 誰にも見向きされなくて、最初は驚いたものだけど」 わたしは目を閉じる。 そうすると、この ぬくもり がより強く感じられる気がして。「ひとりじゃないって、思えたの。 あなたのことも、思い出したわ」 この ぬくもり は、あなたの掌にとても似ている。あなたがわたしに無償でそそいだ優しさに、とてもよく似ている。 無償でしょう? あなたが言った通り、あなたの望みを叶えるならば、わたしに酷いことをするべきだもの。 (+28) 2021/10/23(Sat) 17:34:05 |
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