【置】 インスピレーション 竹村茜少女は、何でもない顔で話をしながら、すんなり受け入れられていることに驚いている。 村から追い出されたようなものなのに。 子供には関係ない問題だということなのだろうか。 婆ちゃんから隠れてしまったのも、拒絶されるんじゃないかと怖かったからだ。 本当は久しぶりに話したいことがあったのに。 ――――ずきり、と胸が痛んだ。 (L3) 2021/08/10(Tue) 12:16:23 公開: 2021/08/10(Tue) 12:30:00 |
【人】 学生 涼風 気だるい暑さもなんのその。蝉達の声をBGMに、少年は夏の空の下を歩く。 きょろりと辺りを見回して、目的のものを見つける。広場か公園か、その辺りの──水道だ。 「……♪」 海色の髪が上下に跳ねては軽やかに踊る。言葉にしなくてもその機嫌の良さが分かるだろう。 持ってきていたトートバッグを水道の近くに置いた。かちゃかちゃと何やら複数の物がぶつかり合う音が鞄の中で弾けて消える。 そのまましゃがみ込み、少年は何やら作業を始めた。気分はもう、10年前に戻りつつある。 (134) 2021/08/10(Tue) 12:22:23 |
【人】 清和>>@3 夜長 「ええ、その認識で間違いありません。 しかし、ヤンチャボーイズのひとり、ですか…… はは、雪子さんこそ一番のヤンチャものだったように思えるのにおかしな話です」 少し歳上の彼女からの印象を語られて苦笑いする。 清和にとっての彼女は、4つも歳上だというのに一緒にワルをする同年代の悪友のようなものだった。 その割には都合良くお姉さんという立場を利用して、振り回されたりしたもので。時には宵闇や御山洗も巻き込まれることもあったかもしれない。 鬼走が高校を卒業して雪子が都会の高校に進学してからは、清和のヤンチャさは幾分か鳴りを潜め、年長らしく年下の面倒をよく見るようになったものだが、それでも雪子にとっての自分はヤンチャだったあの頃の清和なのだな思えば、おかしくなって笑みを溢すのを止められなかった。 「ああ、なるほど? そういうことでしたか……わかりました。見かければ、必ずお知らせします。 あまり居心地はよくないかもしれませんが……和臣さんも、どうか、くつろいでいってくださいね」 拗ねたような雰囲気を感じ取って、少し微笑ましいような気持ちにもなる。 どちらかと言えば余所者のようで居心地の悪さを感じているような気もしたので、気遣うような言葉も添えて。 (135) 2021/08/10(Tue) 12:28:29 |
【人】 おかえり 御山洗「……ふう。なんだか、何かしてないと落ち着かないな」 スイカを並べてラムネを並べて、そんな風に騒いでる内に近所の人がおにぎりを置いていった。 こんなに賑やかなのは久々だと、嬉しそうな顔をしていた。 帰郷を喜んでいるのは当人たちばかりではなく、迎え入れる側もそうなんだろう。 すっかり育ち盛りを甘やかす集会所となった中心から逸れて、斜面に腰を下ろした。 昔に戻ったようにはしゃぐ姿は、照り返す陽よりも眩しく思えて目を細める。 「帰ってきたんだな、本当に……」 (136) 2021/08/10(Tue) 12:49:01 |
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