【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ あの時間が嘘だったかのように、旅は順調だった。 当然のように戦いばかりの日々であっても、自分には“神託の力”があり 仲間を引き入れながら一つ一つ、着実に聖木の根を巡った。 高度な擬態で人里に紛れ、夜な夜な人間を襲う獣人を 狙われそうな村人の家を監視することで発見し、倒して。 砂漠の国では野垂れ死にそうなところを助けられ、 お礼に無償で魔族に拐われた姫を助け出し。 魔物退治は一行にとって日課であり、結果的に多くの人々を救った。 海の国に至る頃には“刃の勇者”の異名だけが既に到着していたらしく。 立派な船を譲渡してもらうことが出来たのだ。 ] (144) 2020/10/23(Fri) 9:44:21 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ ある時、比較的弱い魔物しかいない筈の村で 民が恐怖し家に閉じ籠もる程の脅威であり、 村長が必死に討伐を頼み込んできた巨大な魔物だけが ] 嘘だろ……俺の、見間違えか? あれは、どう見ても [ 描かれた筋書きのイレギュラーだったに違いはない。 ] (145) 2020/10/23(Fri) 9:44:40 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス「ねえフォーク、まだ本は読み終わらないの? 久しぶりの街なのにつまらないわ、わたし。」 [ ────その出来事から習慣が増えた。 人里に立ち寄る度、貴族や長老の家に足を運んで 歴史、勇者、それに教会が関わる本を読ませてもらう。 世界を背負う勇者様のお願いだ、 先人から学び、自身が魔王を倒したいと語る若者だ。 誰もが快く受け入れ、自ら棚を漁り望んだ本を見つけてくれたけれど 仲間達にとっては退屈だったのだろう、いつも不満を漏らしていた。 ] (146) 2020/10/23(Fri) 9:45:15 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 女神に選ばれし者は本来、勇者もしくはヤドリギの勇者と呼ばれるが 危険な旅路に生きる彼らの命は非常に儚く、 民一人の一生の中で何度も代替わりが行われる。 故に神託により身に宿った異能を元にした名を、 人々は生まれ散ってゆく勇者達の識別名のように使う。 フォルクスと語感が似ているから、 フォークを床に落とした時に初めて力が表に出たから。 仲間達に付けられた愛称のほうが自分にとっては身近だったけれど。 食器の名前で呼ばれるのはあまり良いことじゃないと思う。 実際、嫌がってみせたことはあった筈だ。 でも、楽しそうに笑っているから 勇者ではなく自分自身への呼び名だから、やめさせなかった。 ] (147) 2020/10/23(Fri) 9:45:43 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 仲間達も決して、楽な立場ではない。 十三の根、十三の教会。 それぞれで仲間を得れば大所帯になる筈の一行は、 多くて七人、少なくて三人。殆どは四人か五人程度。 ……多くが旅路の途中で倒れ、或いは心が折れ故郷へ戻り 時に立ち寄った土地で出会った民をそこに留まり守ることを、 決断する者も中にはいたのだ。 勇者を騙ったり、自らが取って代わろうとする者が現れないのは 教会の管理が徹底されていることや背信行為である部分よりも、 どれ程鍛錬しても神託の異能には届かない事実が大きい。 ] (148) 2020/10/23(Fri) 9:46:00 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 始まりの勇者は、そんな勇者達の殆どより強かった筈だ。 世界に光を取り戻し、根絶に至らずとも生き残った魔族を追いやり 絶滅寸前の人類を現在の繁栄に導いたのだから。] なのに、何故…… 「ねえフォークってば、フォークー!」 [ 何故、彼がどのような人物だったのか記録されていない? 生い立ちは、性格は、容姿は、勇者になる以前の職業は? そもそも女神歴に至る前の歴史は何処だ、 闇に奪われる前の世界はどんなものだったのか? 仲間達はこの疑問を理解しなかった。 殆ど魔に支配されていたのなら、過去の記録が失われても仕方ない。 自分達のするべきことは歴史の研究なんかじゃない──── 正論ではあった。 それで納得するには、教会の存在がネックだった。 ] (149) 2020/10/23(Fri) 9:46:22 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 女神歴の歩みと共に在り続け、遥かなる伝説を語り継ぎ 聖木と勇者を管理し続けたというのに。 そんな連中が始まりの勇者のことすら記録出来ていなかった? 彼亡き後教会を立ち上げたのは一体誰だというのか。 勇者、勇者、勇者。どいつも同じことばかり口にする癖に。 民は誰も神託がどんなものかすら知らない、 どのような原理で全員の能力が違うのか、誰も説明出来ない。 ただ口を開けて潰えては芽生える様を眺めている。 ] (150) 2020/10/23(Fri) 9:46:37 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクス[ 俺達は世界中を巡った、 いつしか身体は随分逞しくなり幾つも年を重ねていた。 望んだ情報は、その何処にもありはしなかった。 全てを知ることになったのは、魔王領に踏み入りついに城に辿り着き ────魔王と刃を交えた後のことだった。 ] (151) 2020/10/23(Fri) 9:48:36 |
【人】 ヤドリギの勇者 フォルクスヤドリギ [ 寄生木の勇者とは、 月を引きずり落とさんと高く伸びてゆく塔であり、 夥しき屍で構成された無銘の墓標であり、 結果に至る為に存在する無意味な途中経過であり、 魔樹を育む生贄たる宿主である────** ] (152) 2020/10/23(Fri) 9:49:02 |
【人】 サラリーマン 葛西 聡[言葉にしてみたらしっくりきて、 成程そういう路線かと納得したので。 奇跡的に端に揃ったままのサンダルをつっかけて 彼の向こうの隙間を顔を出せるだけ開けて、覗く。 開きかけのドアとの間に男一人閉じ込める様な 奇妙な体勢で外を確認してみて… よし、無人だ。 帰すなら今だ。 そう思った瞬間に問答無用で蹴りだした。 思い切り、靴底で。] 今度は記憶失くすほど飲んじゃダメだよ? じゃあね、御門くん。 また週明けに、会社で。 [蹴りだした靴底をそっちに向けたまま 寝ぐせの髪の癖にいっそ爽やかさすら醸しそうな 普段の穏やかな笑顔で挨拶を。 蹴りだされたことに驚いていそうな顔を 見送ることなく目の前で扉を閉めた。] (153) 2020/10/23(Fri) 17:53:15 |
【人】 サラリーマン 葛西 聡はぁ…ぁ。シコってねよ。 [思い切り深い溜息の後に、ぼそり、低く呟いた声は ドア越しの相手にも聞こえたかもしれない。 あいつの知る「葛西さん」のイメージがぶち壊れそうなことを、 わざわざ聞こえるように言ったのは子供じみた腹癒せだ。 なんだよ俺のみたいな顔してたくせに、がっかりだ。 やっぱり面倒でも女なのかなぁと 映画の終わりにヒロインを抱き寄せる主人公を見て 今夜口説けば抱けそうな女の事を考えるけれど 億劫になって、投げ出した。*] (154) 2020/10/23(Fri) 17:53:42 |
【墓】 魔法猫 カザリ── 修道院 ── [温めていない水は冷えたまま>>+12 彼女のいう通り、それは当然だろう。 真夏でもない限り、木桶の水が自然と温まることはない。 かといって湯を持ち込めば良いかといえば、それはまた別の話であり] 温めたものであれば 今度は逆に冷えてしまいますが [湯を沸かせる調理場からこの部屋までの道のりは長い。なにより敷き詰められた石畳の床はシン、と冷えて温もりを奪うもの。 湯を運んできたところで、どうせ部屋に着く頃には冷めてしまう。 非効率なことならば、はなからしないほうが良いでしょうとため息まじりにぽつり] (+15) 2020/10/23(Fri) 18:45:59 |
【墓】 魔法猫 カザリ[時間つぶしのやりとりの最中にも、手を止めることはない。 また、口角を上げた笑みに反応することも>>+16 フォークより重たくとも本は持てるでしょう。なんて心の中で言い返したとして、彼女の服を脱がすのも、着せるのもどうせ自分の役目なのだから。 従者であるかといえばそれは違う。 自分は彼女専属のモノではない、ただその役を多く任されているだけ。 身寄りがないということはそういうこと。 『万一』が起きた時に責任を取らせやすい、そんな位置だと自覚はあった。 媚びれば良いのかもしれない、そうすればもっと生きやすくなる。 湯も、薬も、目の前の相手に強請ればよい。そのはずなのに] 構いませんよ 温めたところで翌日にはまた水仕事ですから [湯に浸かるのは嫌いではない。 とはいえ彼女が来る前は、水浴びで身を清めるのが当たり前だった。 慣れていることだと口の端をわずかに歪ませて] (+16) 2020/10/23(Fri) 18:46:21 |
【人】 魔法猫 カザリ[そして、周囲が静まった頃] うにゃにゃにゃ…… [植え込みの中で、んべんべと毛繕い。 体にまとわりつく赤色は、何故だか甘酸っぱい味がして] にゃう…… (魚が良かった……) [ようやく綺麗になれば伸び一つ、あくび混じりに下僕の待つ家へ*] (156) 2020/10/23(Fri) 18:49:07 |
【墓】 魔砲少女 シオン―― 修道院 ―― [従者の名はカザリと言う。 生まれた時から此処に居て不幸にも瘤に宛がわれた。 >>+16他に成り手がいなかったのかもしれないが、 少なくとも一番身の回りの世話を任せている。 ...はカザリに完全に満足はしていなかった。 視線を瞳から落とせば大きな膨らみがあろうか。 更に視線を落とせば自身の足元が見える。 見事なる絶壁がそこにあり凡その満足していない理由であった。 ...は落としていた視線を挙げる。 反対に満足している点は何だろうか。 それはやはり何かと口答えをしてくれることだろう。 他の従者であれば口を噤むことも言ってくれる。 >>+15今もそうだ。 普通のツッコミだがそれすら得られぬ場所が此処である] あら、それなら冷めないように考えれば良いのよ。 例えば冷めにくい入れ物を用意するとか。 [夢の中ではそうしたものが出てきていた。 中に入れたものの温度がそのままの筒とかだ。 ...は会話を楽しんでいた。 時間は有限だが無限にある] (+18) 2020/10/23(Fri) 21:05:10 |
【墓】 魔砲少女 シオン そんな事言うんだ? なら、余計にいけないわ。 決めました。 [...は着替えの最中に手を合わせた。 軽やかな音を立てると微笑を浮かべた] 明日また水仕事でも今日は私のお風呂のお供よ。 新しい石鹸を出しましょうね。 ヴェネツの良い香りのを送ってくれたのよ。 [まるで猫のようにアマノジャク。 嫌がると言うよりは否定的な反応をするとどうしてかその反対を行くようになったのは夢を見始めてからだろうか。 ...は衣装を身に纏うとくるりとその場で一回転した。 ダンスを踊るように優雅な動きにあわせて、 スカートの裾が柔らかく翻りやがて重力に従い脚を隠した] (+19) 2020/10/23(Fri) 21:05:20 |
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