人狼物語 三日月国


42 【突発完全RP村】実になりてこそ、恋ひまさりけれ【誰歓】R18

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視点:


【人】   希壱

[雨の降る道を急いで走る。
雨に濡れた髪が視界を遮って。
水たまりに突っ込んだ靴に水が浸水してきて。
泥が跳ねてズボンの裾がグチャグチャになっても、尚。

突如、都会の空を覆った雨雲は、
容赦なく地面に向かって雨を落とした。]


 
───洗、濯っ、物おおおっっ!!



[今朝見た天気予報では晴れだと言っていた。
快晴で、雲ひとつない青空が広がるでしょうなんて、
どこのお天気キャスターの言葉だったか。

それを信じてしまったが故に、
いつもよりも多めに洗濯物を干してきてしまったのだ。
講義が午後からで、朝に余裕があるからと
シーツまで干してきてしまったのだから尚更である。

…まぁ、急いだところで
もう一度洗い直すことになるのだけれど。
それでも急いで帰らなくてはいけない事に変わりはない。]
(222) 2020/09/14(Mon) 22:32:31

【人】   希壱


 
あっ!やべっ、

 
なずな、傘持ってってねぇ!



[そこで思い出す今朝の言葉。

 『きょうは晴れるんだって!
  だからね、お気に入りのクツ、はいてくの!』

無邪気に笑って、靴箱の奥に大切に仕舞われていた
水色の靴を引っ張り出していた。
今日は体育もないから履いても大丈夫なんだと、そう言って。

チラ、と腕の時計を確認すればもう17時を過ぎていた。
急いで走って小学校へ行ったとしても
きっと、すれ違いになってしまうだろう。

そもそも、俺も傘もってなくてずぶ濡れだし。
新しい傘を買う思考は、
洗濯物で頭がいっぱいだったが為に思いつかなかったし。

…てか、今買ったって遅すぎるし。]
(223) 2020/09/14(Mon) 22:33:16

【人】   希壱



 ………はぁ。

 
(224) 2020/09/14(Mon) 22:33:48

【人】   希壱


[いい加減走ることにも疲れてきて、
バシャバシャと地面を蹴っていた足をゆっくり止め始める。

今まで色々上手くいっていた気がするけれど、
やっぱり俺はどう足掻いたって変わることはできないのかと
雨でどんよりとした空を見て、気持ちまで沈んできてしまう。

…思えば、昔からそうだった。
誰かに認めて欲しいなんて気持ちで頑張っても
いつも空回りばかりしていた。

結局どれだけ頑張ったって、
その頑張りを誰にも認めて貰えないのに。

優しさに見返りを求めてはいけない。

なんて、誰が言った言葉かしれないけれど。
ありがとうの言葉くらい、くれたって言いじゃないか。

…たった五文字を求めるくらい。
したって、いいじゃないか…]
(225) 2020/09/14(Mon) 22:34:12

【人】   希壱



 ………………………………、

   
(226) 2020/09/14(Mon) 22:39:11

【人】   希壱


[…なんて、ただの自己嫌悪だ。

土砂降りの中。赤信号で足を止める。

周りには、しっかり天気予報を見ていた人で溢れていて
頭からつま先までずぶ濡れになった俺を
なんだか笑っているようにも見えて。

そんな事ないってわかってるのに。
そんな気持ちで支配された心では、
どうやったって前向きにはなれない。

だから、早く青になれなんて心の中で叫んだ。]
(227) 2020/09/14(Mon) 22:39:29

【人】   希壱


[家に帰って、早く、おかえりを言う準備をしないと。

シーツだって取り込まないと。

今日は、あの子の好きな晩御飯にするんだから
仕込みだって、午前のうちに終わらせたんだ。

お気に入りの靴が濡れて落ち込んでるだろうから
慰める為に、言葉だって考えて。

あぁ、でもその前に。
風邪を引かないようにお風呂にも入れてあげないと…

その後に洗濯機を回して。それから…]
(228) 2020/09/14(Mon) 22:41:24

【人】   希壱


 『あ、おにいちゃんだ!』


[そんな声が、走る車の騒音の中、聞こえてくる。
そちらに目を向ければ、黄色い傘を差した妹がいて。

幻想かと一瞬思うものの、
黄色い傘のその子は、真っ直ぐこちらに向かってくる。

前髪からぼたぼた垂れる雫を掻き分けて、
しっかりとその姿を見留めた。]
(229) 2020/09/14(Mon) 22:41:44

【人】   希壱


 ──なずな!
 よかった、傘、持ってたんだな


[近づいてくる黄色い影に、
こちらも数歩走り出して迎え入れる。

先程止まっていた赤信号の横断歩道は、
通りゃんせのメロディを流しながら、
いつの間にか青に切り替わっていた。

パシャ、と水が跳ねる。
あの子のすぐ側まで行くと、
視線を合わせるようにしゃがみこむ。

水色の靴は濡れてしまっていたけれど、
それでも全身がずぶ濡れになっているよりはマシだ。

よくよく見れば、合羽も着ていて
ランドセルカバーまでついていた。]


 『おねーちゃんがね、前にわたしてくれてたの。
  もしものときにつかいなさいって!』


[そう言うと、ニコ、と妹は笑う。]
(230) 2020/09/14(Mon) 22:43:12

【人】   希壱

[そうか、姉貴の入れ知恵か。
こうなる日を見越して、置き傘をさせていたのだろう。
用意周到に。きっと、俺がやらかした時の為に。

そう考えて、気分が沈み出す。
いつも以上に気分が落ち込むのは、
きっと、雨のせいだ。

ほら。この子だって。
何も言わない俺を不安そうな顔で見てる。
直ぐに笑顔で対応しなくちゃ。
俺が不安にさせてどうするんだ。

大丈夫だよ、帰ろうって。
余計なことも言わずに。
苦しい気持ちを吐き出せずに。
]


 ……そう、か。
 姉貴が持たせてくれてたんだな。
 なずなが濡れてなくてよかったよ。

 さ、帰ろう。
 兄ちゃんずぶ濡れだから、手は繋げないけど
 ……ごめんな。
(231) 2020/09/14(Mon) 22:43:54

【人】   希壱


[そっと立ち上がって、横断歩道を見る。
さっきまで流れていたメロディは止んでいて、
信号機は再び赤になっていた。]


 ………ついてないなあ。


[そんな言葉を漏らした直後。
耳を劈くような音が辺りに響いた。]
(232) 2020/09/14(Mon) 22:44:17

【人】   希壱

[瞬間、世界がスローモーションに見えた。

雨の中、スリップしたトラックが横倒しになっていく。
そのトラックに巻き込まれた赤い車が、
いやに鮮明な色を保ったまま、こちらへと突っ込んでくる。

クラクションが街中に響いて。
叫び超えが鼓膜に響いて。

すぐ隣にいたあの子を突き飛ばす。
俺と同じ、タレ目で猫目な瞳が大きく見開かれる。

紫の瞳が揺れて、俺を呼ぶ。


 あぁ、そんな顔すんなよ。
 大丈夫だから。
 なずなが無事ならそれでいいんだ。


そう思って、ニコ、と小さく微笑んだ。]
(233) 2020/09/14(Mon) 22:44:51

【人】   希壱


[
グシャ
、と嫌な音が響く。

ギシ
、と嫌に骨が鳴る。

視界が歪んで、赤に染って。

何が起きたかを理解する頃には。
もう、俺はこの世にいないんだろう。]
(234) 2020/09/14(Mon) 22:45:21

【人】   希壱


[世界の進む速度が元に戻って。

泣き叫ぶなずなの声だけが鮮明に聞こえて。]


 …ごめんな、


[そのまま、意識を手放した。]**
(235) 2020/09/14(Mon) 22:45:40