人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新

視点:


[犠牲者リスト]
とある書物

二日目

本日の生存者:モモイ、エウロパ、ユスティ以上3名

【墓】 エウロパ



   「手伝ってくれたのは事実でしょ?
    私は君の手伝いが無かったら
    今日宿題を終わらせることは
    たぶん出来なかったと思う。
    丁寧に教えてもらっちゃったもん。

            
―――――それに、ね。」


  
(+0) 2023/10/04(Wed) 0:23:49

【墓】 エウロパ


 
   正しくあろうと努力した人は報われるべき。
   その信念に従うのなら、
   一番報われるべきは君だと思う。

   誰より努力して
   誰よりも長く魔法の腕を磨いているんだから。

  
(+1) 2023/10/04(Wed) 0:24:27

【墓】 エウロパ



   寮の部屋に戻ったらルームメイトはもう寝てた。
   私も寝ないとね。
   折角頑張って宿題を終わらせたのに
   寝坊して遅刻したら台無しだもん。

   ……今日はユスティと沢山一緒にいられて
   いっぱい話せて楽しかったし、嬉しかった。

   抱きしめられて、頭をなでられて。
   ユスティにとっては何でもないことかもしれないけど
   私にとってはそうじゃない。
   ドキドキして、……
幸せ
だな、って思って。

  
(+2) 2023/10/04(Wed) 14:22:02

【墓】 エウロパ



   
……やっぱり私はユスティが好きなんだ。

   
 
(+3) 2023/10/04(Wed) 14:22:27

【墓】 エウロパ


   
   この想いを伝えたら
   君に受け取ってもらえるかな。


   少しだけ縮まった気がする距離に甘えて
   私からももう少し、近づきたい。


  
(+4) 2023/10/04(Wed) 14:23:35

【墓】 エウロパ



   一輪のスターチスが手の中で咲く。
   変わらない思いを君へと伝えたいんだ。


            募る想いを抱えたまま
            私は眠りについた。

  
(+5) 2023/10/04(Wed) 14:24:04

【墓】 エウロパ



   翌日、私は珍しく寝坊せず起きた。
   ルームメイトのシトゥラはそんな私を見て
   雪でも降るんじゃない?って揶揄ってきた。 
 

   「えーー、失礼!
    私だって起きられる時あるもん!」
      

   むぅっとしながら言い返したものの、
   珍しいのは認めるんだ、って
   やっぱり笑われちゃった。

 
(+6) 2023/10/04(Wed) 14:24:33

【墓】 エウロパ



   和やかなやりとりをした後、授業に向かう。
   昨日頑張った宿題を提出したら
   先生には驚かれたけど、疑われはしなかった。
   むしろ褒められちゃった。
   
きっとユスティのおかげだね。

   これからもきちんと勉強するように、と
   念は押されたけど。

 
(+7) 2023/10/04(Wed) 14:25:25

【墓】 エウロパ



   ユスティのことを思い出してた私は
   複数の妬むような
   それでいて何かを企むような視線に気づかない。


  
(+8) 2023/10/04(Wed) 14:26:01

【墓】 エウロパ


   
   授業も滞りなく終わり、お昼休みになって。
   お昼ご飯は……
   
どうしよう、ユスティを誘ってみようかな?

   そう思いながら教室を出て、歩いていく。

   確かユスティのクラスは……どっちだっけ。
   きょろきょろしながら歩いていくと
   ユスティの姿を見つけた。
   隣には女の子がいて。
   楽しそうに二人で談笑している。

  
(+9) 2023/10/04(Wed) 14:26:33

【墓】 エウロパ



   ……………友達、なのかな。
   私にすら友達がいるんだから
   ユスティにだって……。

   そうだと思っていたい。
   都合のいい解釈をしたいのに。


  
(+10) 2023/10/04(Wed) 14:27:06

【墓】 エウロパ



   その解釈を否定するかのように
   ユスティと女の子の距離が縮まっていく。
   まるで恋人みたいに。


  
(+11) 2023/10/04(Wed) 14:27:24

【墓】 エウロパ



   見たくない、嫌だと思うのに
   一歩も動けない、目が離せない。
   全部、見てしまった。
   二人がキスするところも、
   女の子が私の視線に気づいて
   意味ありげにこちらを見て嗤ったところも。


  
(+12) 2023/10/04(Wed) 14:28:12

【墓】 エウロパ



   もしかしたらもっと仲良くなれるかも、なんて。
   ただの思い上がりだったんだ。

   ユスティは優しいんだもん。
   きっと君にとっては何でもなかったのに
   私が勝手に舞い上がって思い違いをして。

   勘違いされちゃうよ、なんて言って
   勘違いしてたの、私の方だったんだ。


  
(+13) 2023/10/04(Wed) 14:28:55

【墓】 エウロパ



   ユスティには好きな人がいたんだね
   おめでとう、って言えたら、いいのに。


   言えない。言えない自分が嫌だ。
   大好きな人の傍に居る女の子に嫉妬してしまう。


  
(+14) 2023/10/04(Wed) 14:29:40

【墓】 エウロパ




     
世界が黒く染まっていく。



  
(+15) 2023/10/04(Wed) 14:30:11

【墓】 エウロパ



   Wよかったね。

       その調子で、これからも頑張るといいよ。W


  
(+16) 2023/10/04(Wed) 14:31:54

【墓】 エウロパ




   あぁ、そう、だったね。
   私、嫌われてたんだったね……

   よぎる記憶はあの頃の物。
   拒絶されてしまった日の、悲しい記憶。



   ごめんね、君は近づかないようにしてたんだろうに
   私はそれを無視して何度も近づいて。


  
(+17) 2023/10/04(Wed) 14:32:42

【墓】 エウロパ




   
―――――もう、近づかないから。



  
(+18) 2023/10/04(Wed) 14:33:16

【墓】 エウロパ



   
胸が痛い。
頭が痛い。

   溢れる涙を止められないままに
   私はふらつきながらも走り出して。
   学校の敷地の外にある森へと行ってしまう。

   
   ひとりになった私は
   力が抜けたようにその場に座り込む。


   だめだ、これでは前と同じことをしてしまう。
   ぼんやりとそう思いながらも
   昂った感情を抑えることなんて出来なくて
   周りの景色に雪がちらつき始める。

   抑えなきゃ、あの時みたいに深呼吸して……。


  
(+19) 2023/10/04(Wed) 14:41:54

【墓】 エウロパ



   …………どうして、
   君は何も教えてくれなかったんだろう。
   恋人がいるなら、そう言ってくれてたら。



   落ち着けるはずがなかった。
   心の中を示すかのように風が吹き荒れて
   着けていた青い花の髪飾りが遠くへ飛ばされる。


  
(+20) 2023/10/04(Wed) 14:43:30

【墓】 エウロパ



   
抑えなきゃ、という思いより

   もうどうでもいいかも、なんて
   自棄になる気持ちが勝って
   風も雪も勢いを増していく。


   立っていられないほどの風に
   吹き飛ばされて、思いっきり頭を打って
   血と魔力が混ざって流れ出てしまう。


   意識が朦朧としてきても、
   まだ、魔力の流れを抑えられず。


 
(+21) 2023/10/04(Wed) 14:44:49

【墓】 エウロパ



   こんな状況になっても考えているのは
   自分の身の安全なんかじゃなくて。


   
「ユスティ、私は君のことが―――。」*


  
(+22) 2023/10/04(Wed) 14:45:47

【墓】 ユスティ



   自分の言ってることが滑稽なことは
   自分でも良くわかっている。

   力を持つことが罪では無いのなら
   なぜ自分はここまでエウロパに嫉妬し
   彼女に冷たく当たっているのか。


   力を正しく扱わないという糾弾ならまだしも
   持つ力そのものへ向けている悪いのは自分なのだ。

   みっとなく劣等感を剥き出しにして
   守りたいはずの子を突き放して
   ユスティもまた、人間としての器はもろかった。



(+23) 2023/10/04(Wed) 18:47:06

【墓】 ユスティ



   寮に戻るとユスティは一人腕を抑える。

   流れた魔力が外に出ようと血管を巡り
   その流れは痛みとなって襲いかかる。

   ルームメイトがいると勉強に集中できないと
   無理を言って一人部屋にしてもらったおかげで
   この無茶がバレることは無いはずだ。

   人知れず時間をかけて、修復していけばいい。



(+24) 2023/10/04(Wed) 18:48:26

【墓】 ユスティ




   彼女には決して悟られるな。


         この心は決して知られてはならない。



(+25) 2023/10/04(Wed) 18:49:10

【墓】 ユスティ



   ただ人知れず守れ。

      それが隣に立つ資格がない者の
      せめてもの心遣いというものだ。


(+26) 2023/10/04(Wed) 18:49:39

【墓】 ユスティ



   それからしばらくは
   ユスティはポケットに手を入れて過ごしていた。

   先生には事前に話は通して
   態度が悪いと言われないように伝え
   素行不良を疑われないように。

   それでも手の心配までしてくるのは


            たった一人だけだった。


(+27) 2023/10/04(Wed) 18:50:59

【墓】 ユスティ



     「何が?ボクなんかには
      水漏れの後始末すら出来ないとでも?」


(+28) 2023/10/04(Wed) 18:51:25

【墓】 ユスティ



   他の生徒にはなんのことか分からないように
   心配そうにしているエウロパに吐き捨てると

   ユスティは見向きもせずに立ち去った。
   この問題には、エウロパを関わらせないように。


            彼女が自分を責めないように。



(+29) 2023/10/04(Wed) 18:52:13

【墓】 ユスティ



   秀才という名の凡人は忙しい。

   授業を真面目に受ければ
   昼に休憩している暇などなく
   直ぐに屋上で新たな魔法の練習に取り掛かる。
   毎日がその繰り返しだ。


   ましてや恋人などと>>+11
   うつつを抜かしている余裕などない。>>+12

   彼女が見たのはまやかしか
   はたまた悪意の塊なのだろうか。>>+13



(+30) 2023/10/05(Thu) 8:26:52

【墓】 ユスティ



   人の姿に変化することは
   この学園では難しいことでは無い。

   専用の魔法薬さえ作れれば
   誰でもできてしまうことなのだ。

   しかし似せられるのは見た目と声だけ
   その言葉も、信念までもを
   模倣することなど決して出来ないだろう。


(+31) 2023/10/05(Thu) 8:27:15

【墓】 ユスティ



   それでも彼女が本物と見紛うのは
   それほどユスティの解像度が高いのか
   悪意の正体は決して遠くは無いところに…


(+32) 2023/10/05(Thu) 8:27:44

【墓】 ユスティ



   晒される悪意の臭いには気づかず
   ユスティは屋上で一人魔法の鍛錬に励んでいた。

   まだ一度も成功していない空間転移の魔法は
   未だに成功の兆しは見えない。>>0:7

   焦ってもしょうがないと頭の中では理解出来ても
   いざ成果が得られないと焦燥が募っていくのは
   今に始まったことではなかった。


(+33) 2023/10/05(Thu) 8:29:29

【墓】 ユスティ



   なにかが足りない。
     魔力だけでは無いなにかが。


           だが自分には何が足りないのか
             考えても答えは出ないまま。



(+34) 2023/10/05(Thu) 8:30:57

【墓】 ユスティ



   心の乱れは魔法にとって毒だ。
   心を落ち着かせようと座って深く息をする。
   このメンタルコントロールが
   魔法の制御のもっとも効果的な方法だった。

   しかしどうにも落ち着かない。
   自分の気持ちとは無関係に
   どうやら外が騒がしくなっていたせいだ。

  
(+35) 2023/10/05(Thu) 8:31:47

【墓】 ユスティ



   声を辿り、視線は森へ
   その先で起きているのは

               まるで災害だ。


(+36) 2023/10/05(Thu) 8:32:06

【墓】 ユスティ



   空が黒に染まっていく。

   森を中心に嵐のように風や雪が舞う
   不自然な雲に覆われたその森は
   もはや誰も近づけないほどに荒れていた。


   その正体に気づけないはずがない。
   それは幼い頃に見た、異常気象。
   彼女と袂を分かった時に見た、涙。



(+37) 2023/10/05(Thu) 8:32:46

【墓】 ユスティ



   ユスティは走り出す。

   走ってはいけないはずの廊下を駆け抜け
   一目散に後者の外へと向かうと
   既にそこには先生や他の生徒が集まっていた。

   どうやら風が強すぎて近づけないようだ。

   魔力が次第に弱まっていくのを感じる中、
   今は一刻を争うというのに
   何も、どうすることも出来ないと往生していた。



(+38) 2023/10/05(Thu) 8:33:41

【墓】 ユスティ



   「どいてください。
      あなた達では足でまといです。」



(+39) 2023/10/05(Thu) 8:35:09

【墓】 ユスティ



   風が収まったら助けに行こう
   それはエウロパの魔力が枯渇するということ

   魔力の枯渇が魔法使いにもたらす負の影響を
   彼らは知らないはずがない。

   暗にそうするしかないのだと言い聞かせる先生達に
   苛立ちを滲ませたユスティは床に魔法陣を描き始める。


(+40) 2023/10/05(Thu) 8:36:00

【墓】 ユスティ



   たとえ成功したことがなくとも
   ここで失敗することは許されない。

               彼女の命が懸かっている。


(+41) 2023/10/05(Thu) 8:36:58

【墓】 ユスティ



   「星巡りて天翔る万象の揺らめき
    ケプラーの涙、月の糸

       燦燦と巡る運命の流砂をこの背に────」


(+42) 2023/10/05(Thu) 8:37:22

【墓】 ユスティ



      刹那、ユスティの身体が消える。**


(+43) 2023/10/05(Thu) 8:39:13

【墓】 エウロパ



   あのあと、私が起こした騒ぎは
   私のせいなのだとばれることはなかった。

   何か騒ぎがあったらしい、とは広まっていたけれど
   その内容も、関わった人のことも、わからないまま。


   誰が何をしたのか根も葉もないうわさが飛び交う中
   私は暗い顔をしていたから。
   唯一、シトゥラだけは
   私の態度から何か察したみたいだけど
   何も聞かれなかった。


  
(+44) 2023/10/05(Thu) 9:41:29

【墓】 エウロパ



   聞かれたら困るんだとシトゥラは分かってるんだ。
   その優しさに甘えて、友達にさえ、
   今日の出来事は話せないまま。



   それから後の事。
   ユスティを見かける機会があった。
   手を隠すように過ごしている君の姿を見て
   心配になるんだ。

  
(+45) 2023/10/05(Thu) 9:42:07

【墓】 エウロパ


   
   「………じゃあなんで隠してるの?
    隠す理由って他に何があるの?」


   
(+46) 2023/10/05(Thu) 9:42:36

【墓】 エウロパ



   言い募っても関わりたくないって空気を
   感じて怯んでしまう。

   あの時、優しい声で落ち着かせてくれた君とは
   別人みたいな対応に、戸惑って混乱して。

   これ以上何か言ったら迷惑なのかなって
   考えたら、何も言えなくなってしまったんだ。


  
(+47) 2023/10/05(Thu) 9:42:59

【墓】 エウロパ



   
君は優しいから助けてくれたんだ。

   そう信じてるはずなのに。

   何処かで少し、迷ってしまう。
   違ったらどうしよう、って。

          だから踏み込めない。
          本当は踏み込みたいのに。*


   
(+48) 2023/10/05(Thu) 9:43:32

【墓】 エウロパ


***

   過去にも似たことがあったらしい。
   森の周りだけ気象が変わる魔力暴走。

   過去と違うのは天候の荒れ方。
   以前と比じゃないほどに天は荒れ狂い
   誰かが近づくことさえ危険な状況。

   魔力が枯渇すれば止まる。
   今この状況で近づけば犠牲が増えるかもしれない。

   少女一人の命と大勢の命を天秤にかければ>>+38
   先生達の判断は、間違いと糾弾出来るものでもない。

  
(+49) 2023/10/05(Thu) 17:46:56

【墓】 エウロパ



   
―――――でも、やれることさえしないのは罪だ。


   シトゥラは窓の外からでも見える 
   魔力暴走に目をやり、友人の無事を祈りながら
   魔法薬調合の作業を止めることはない。

  
(+50) 2023/10/05(Thu) 17:47:39

【墓】 エウロパ



   エウロパの素直な性格が好ましいと思っていた。
   彼女の言葉には何の含みもない。
   この学園に来て最初に仲良くなった人。
   一緒に居て居心地のいい友人なのだ。
   本当は今すぐにでも助けに行きたい。

   
でも、今あの場に行けるほどの能力が自分にない。

   それが分かっているから、行かない。
   
誰よりも彼女を想う秀才ならきっと大丈夫。>>+41


  
(+51) 2023/10/05(Thu) 17:48:50

【墓】 エウロパ



   そう信じて、手元で調合するのは回復薬。
   あれほどの魔力暴走を起こしたのなら
   きっとエウロパの魔力は枯渇寸前。
   魔力の回復を早める薬を作らなければ。

   学校の医務室に常備されているものでは
   彼女に使うには効き目が足りない。 
   あれは、一般の生徒に使う事を
   想定した物だと知っている。

   彼女ほどの魔力の持ち主なら
   効果を10倍して足りるかどうか。


   
(+52) 2023/10/05(Thu) 17:49:32

【墓】 エウロパ



   効き目が弱すぎても強すぎてもいけない。
   難しい調整を終え、魔法薬を作り終えた
   シトゥラは、出来上がったものを瓶に詰める。
   同時に作っていた怪我の治癒薬も持つと
   向かうのは医務室。

   絶対に彼は私の友人を連れて帰ってくる。
   だから、先回りして待つだけ。

  
(+53) 2023/10/05(Thu) 17:50:19

【墓】 エウロパ



   彼が来た時、
   シトゥラは一言添えて、薬を渡す。


   
「君ならお姫様の元へ行けると思ってたよ。」
**

   
(+54) 2023/10/05(Thu) 17:51:13

【墓】 ユスティ



***

   しかしエウロパは独りではない。
   彼女を助けようとする人は必ずいる。

   狼狽える先生や生徒など
   初めから眼中にはない。


   そして意外にもその人は天才というよりは秀才で
   薬学においてはユスティを超えていると言っていい。

   彼女の素直な性格に惹き込まれたその一人は
   まるで待っていたかのように
   ユスティが向かったその先、医務室にいた。


(+55) 2023/10/06(Fri) 21:29:46

【墓】 ユスティ



   「からかうなよ。

      ボクは王子様でもなんでもない。」


(+56) 2023/10/06(Fri) 21:30:00

【墓】 ユスティ



   シトゥラに困ったような笑みで答えると
   エウロパを医務室のベッドに寝かせる。

   彼女の置かれている状況は
   わざわざ言わずともシトゥラなら分かるはずだ。


    「今回の暴走はだいぶ酷いね。
     一体何が原因なのか…わからないな。」


   ここまで事態が悪化することも珍しい。
   まさか自分が大きく起因しているなどと
   その程度を計り知るには至らず

   薬を受け取りながら表情を曇らせた。



(+57) 2023/10/06(Fri) 21:31:26

【墓】 ユスティ



   「ボクは………

       彼女の傍にいるには力不足なんだと思う。」


(+58) 2023/10/06(Fri) 21:32:35

【墓】 ユスティ



   受け取った薬をエウロパに与えると
   シトゥラの方へと向き直る。


    「エウロパからも聞いたことがあるかな。
     昔、ボクが彼女の前から消えたって話。」


   天才エウロパには話せない。
   かつて犯した過ちと、決して語らなかった心の奥。


(+59) 2023/10/06(Fri) 21:35:26

【墓】 ユスティ



   「ボクは彼女の才能に嫉妬したんだ。

    自分が一番だって信じて疑わなくて
    彼女の成功を喜んであげられなかった。」


(+60) 2023/10/06(Fri) 21:36:43

【墓】 ユスティ




           その結果が、あの日の氷雪。

(+61) 2023/10/06(Fri) 21:37:23

【墓】 ユスティ



    「好きな女の子泣かせておいて

        王子様ガリレオなんて名乗れないでしょ。」



(+62) 2023/10/06(Fri) 21:38:36

【墓】 ユスティ



    ユスティはふらふらと歩き出す。
    責任を取ると言った以上、
    エウロパから逃げることはない。

    しかし今この手を、
    魔力が枯渇し、ひび割れた手を
    エウロパに見せるわけにはいかない。


(+63) 2023/10/06(Fri) 21:38:57

【墓】 ユスティ



    「少し屋上で治療してくるよ。
     ここでキミの治療を受けてしまったら

        エウロパに気づかれて
        彼女はきっと自分を責めてしまうから。」


(+64) 2023/10/06(Fri) 21:40:05

【墓】 ユスティ



   シトゥラに断りを入れたのなら

      ユスティは医務室を抜け出そうとするだろう。*


(+65) 2023/10/06(Fri) 21:40:23

【墓】 エウロパ


***


   薬学だけは常に成績トップを取り続けている。
   シトゥラはそんな生徒だった。
   周りからは頭がいいと言われることは多くとも
   本人は苦笑いしては

   
本物ユスティには勝てないよ、残念なことにね。」


   と受け流していた。
   彼ほど正確な魔法の扱いは自分には出来ない。
   シトゥラはそれが分かっているから、
   救出は彼に任せることにして
   自分の得意な分野で友人を助けたかったのだ。

  
(+66) 2023/10/07(Sat) 1:30:25

【墓】 エウロパ



   「からかったつもりはないさ。>>+56
    姫を助けられるのは君しかいなかったんだから。

    彼女にとって特別な存在なら
    王子様と呼んで差し支えないんじゃない?」

  
(+67) 2023/10/07(Sat) 1:30:58

【墓】 エウロパ


   
   ベッドに寝かされたエウロパを見れば
   状況は説明されずとも分かる。
   いくら彼女が魔法の制御が苦手とは言っても
   無意味に嵐を呼び出すような愚か者じゃないのは
   よく知っているつもりだった。
   酷く心を乱されなければ、 
   あれほどの災害は起きなかったはず。

 
(+68) 2023/10/07(Sat) 1:32:10

【墓】 エウロパ



   「
………原因なら、推測できるかもしれない。

    ユスティ、君に一つ聞きたいことがあってね。

    君は昼休みにどこにいた?
    実はさ、昼休みに君らしき人影を見かけたんだ。
    君は休み時間も惜しみなく鍛錬に当ててるから
    ちょっと不思議に思って引っかかってた。」

  
(+69) 2023/10/07(Sat) 1:32:38

【墓】 エウロパ




   「……ま、その件はこっちで調べておくよ。」


  
(+70) 2023/10/07(Sat) 1:32:53

【墓】 エウロパ



   
悪意を向けた犯人には相応の報いを。

   それにユスティを巻き込みたくはないから
   原因の話を切り上げて。

 
(+71) 2023/10/07(Sat) 1:33:15

【墓】 エウロパ



   薬を与えられたエウロパの容態は
   医務室に来た直後より多少安定したように見える。
   勿論、まだ面会謝絶だと言われても
   おかしくない状況ではあるが。 

   彼女からユスティへと視線を戻して
   シトゥラは話の続きを促す。

  
(+72) 2023/10/07(Sat) 1:34:03

【墓】 エウロパ



   「聞いたことあるよ。>>+59
    入学前は仲良くしてたのに
    ある日を境に、会えなくなった。
  
    きっと私が悪いんだ、って。
    寂しそうにしてたよ、エウロパは。」

  
(+73) 2023/10/07(Sat) 1:34:38

【墓】 エウロパ



   そして語られるのは
   秀才の心の奥、かつて何を思っていたのか。

   魔法を極めたいと思えば思うほど
   そこには才能という壁が立ちはだかる。
   どれほど頑張っても、生まれ持った資質からは
   逃れることが出来ず、苦悩する。


   エウロパは類まれなる魔力の持ち主。
   シトゥラだって
   羨ましいと思わなかったとは言わない。
   彼女を目にすれば誰だってそう思う。
   理論を無視した力業で魔法を成功させる天才。
   技を覚えた彼女はきっとすごい魔法使いになれる。


  
(+74) 2023/10/07(Sat) 1:35:09

【墓】 エウロパ



   「それでも、星の元に行きたかった。違う?
    じゃなきゃ、今でも努力を続けてないでしょ。」


  
(+75) 2023/10/07(Sat) 1:35:56

【墓】 エウロパ



   「危険を冒して彼女を助けた君が力不足なら
    そこに行くことさえかなわなかった私は
    友人失格だと思うよ。>>+58


    それに、大事なのは力があるかどうかじゃない。
    君がそれを分からないほど
    馬鹿だとは思ってないけどさ。」


  
(+76) 2023/10/07(Sat) 1:36:37

【墓】 エウロパ



   
「分からないとは言わせないよ。

    
        
君は彼女の王子様ガリレオなんだから。」


  
(+77) 2023/10/07(Sat) 1:37:14

【墓】 エウロパ



   ユスティが逃げるとは思っていないが
   行き先だけは聞いておきたかったのと
   彼の状態を確かめておきたくて。
   シトゥラは手を掴んで引き止める。

   
目に映るのは、彼女を助けた代償だった。
   

  
(+78) 2023/10/07(Sat) 1:37:46

【墓】 エウロパ



   「今から一時間以内になんとかしておいて。
    
    それ以上はお姫様を大人しく
    寝かせておける自信がないからね。」


   医務室の薬棚からユスティの症状を緩和する
   薬を拝借して手渡しながら、
   シトゥラは無茶な要求をする。

   薬の方は彼に合わせて調合した物ではないし
   気休めくらいにしかならないかもしれないけれど。
   別に完治させなくとも
   彼女の目に触れないような方法はあるはずだから。


  
(+79) 2023/10/07(Sat) 1:38:08

【墓】 エウロパ



   屋上へ向かう彼を見送ってしばらくしてから
   シトゥラはエウロパへと声をかける。


   「……ということで。
    どこまで聞いてたか知らないけど
    一時間はここで寝ててもらうから。
 

    本当は一週間は寝てなきゃいけないような
    酷い状態だってことを忘れないように。」


   
(+80) 2023/10/07(Sat) 1:39:45

【墓】 エウロパ



   途中から起きて話を聞いてたのが
   シトゥラにはお見通しだったみたいで
   しっかり釘を刺されちゃった。
   本当はすぐにでもユスティの元へ行きたい。
   会って、話がしたいのに。

   好きな女の子、って聞こえたの、
   聞き間違いじゃないよね、とか
   どうしてきてくれたのか、とか。


   話したいことは沢山あるのに
   身体を起こすことさえ今は出来なくて。

 
(+81) 2023/10/07(Sat) 1:40:34

【墓】 エウロパ



   
「一時間たったら起こしてくれるの?」



   傍に居てくれる友達に甘えるように聞けば 
   シトゥラは優しく笑ってくれた。
   

   「応急処置が適切だったし
    君に作った薬が上手く働いてくれれば
    起きる頃には多少は動けるようになってるよ。
    魔法は全く使えないだろうけど。

    だから今はゆっくり休んで。」



   その言葉を聞いて、
   私は暫くの間、体を休めるために目を閉じた。*

 
(+82) 2023/10/07(Sat) 1:41:17

【墓】 エウロパ



   一時間と少し経った頃。
   目を覚ました私は、医務室を抜け出して
   屋上へと向かう。

   身体はまだ重い。
   本調子とはいかないし、
   シトゥラの言葉通り魔法は全く使えない。

   
それでも、私は君に会いたくて。


 
(+83) 2023/10/07(Sat) 1:41:59

【墓】 エウロパ



   君の姿を見つけて、名前を呼ぶと。
   ふらふらと、君の方へと歩いていって。

   
大好きな人に抱きつくんだ。

   色々聞きたくて来たはずなのに、なんでかな。
   君の姿を見たら言葉が出なくなっちゃった。


  
(+84) 2023/10/07(Sat) 1:43:09

【墓】 ユスティ



   「質問の意図がわからないな。
    ボクはお察しの通り一人で屋上にいたよ。

    なにかの見間違い…ってわけではなさそうだね。」


(+85) 2023/10/07(Sat) 2:26:38

【墓】 ユスティ



   「でもいいんだ。
         エウロパが無事なら、それでね。」


(+86) 2023/10/07(Sat) 2:26:59

【墓】 ユスティ



   自分と似たような人物がいたとして
   自分に変化したということになるが、
   その意味とは?エウロパとの関係は?

   点と点が次々と生まれていく中、
   それらを線で繋げることは今は難しい。

   調べたところで
   ユスティがどうこうすることはないが
   シトゥラが何かを調べたいようなら
   素直に任せておくことにする。

   この手の情報調査は実はユスティの苦手分野だ。


(+87) 2023/10/07(Sat) 2:27:53

【墓】 ユスティ



   それよりも心を締め付けるのは
   幼い日のエウロパの苦悩。>>+73

   ユスティにとっては罪の始まりで
   ほろ苦い炭の味がする。

   凡人でも空を飛べると
   たかだか秀才でも星に手が届くと
   そう思いたかっただけだというのに
   その道すがら一番大切なものを傷つけ
   あの森に置き去りにしてしまったのだ。



(+88) 2023/10/07(Sat) 2:28:35

【墓】 ユスティ



   「分かっているよ。

      けれどボクはまだ
      傷つけてしまった姫の赦しを貰っていない。」


(+89) 2023/10/07(Sat) 2:29:07

【墓】 ユスティ



   「いい歳して、ごめんねの一言も、言えなくてさ。」


(+90) 2023/10/07(Sat) 2:29:38

【墓】 ユスティ



   シトゥラの前で苦笑するユスティは
   身体だけが大きなただの少年だ。


(+91) 2023/10/07(Sat) 2:30:28

【墓】 ユスティ



   シトゥラがユスティの手を掴むと
   その意図を察して直ぐに従う。

   怪我の具合をせめて見せろと
   そう言われたような気がした。



    「情けないよね。
     たった数分でこの有様だ。」



   自虐の詩を奏でながら
   シトゥラに自分の状態を見せると
   不甲斐なさにため息をついてしまったが
   一時間残されていると分かると
   その表情もすぐに元に戻る。


(+92) 2023/10/07(Sat) 2:31:04

【墓】 ユスティ



   「十分。

      むしろ、優秀な小人に感謝したいよ。」


(+93) 2023/10/07(Sat) 2:31:22

【墓】 ユスティ



   薬を受け取ったユスティは
   シトゥラに礼を伝えると医務室を出ていったのだった。

   これくらい無茶のうちには入らない。上等だ。**



(+94) 2023/10/07(Sat) 2:31:44

【墓】 ユスティ



   次第に痛みが出てきた腕を抑えながら
   屋上の壁に背を預けると、
   さっきシトゥラから貰った薬を使う。

   身体の回復はあまり見込めないが
   それでも気分はかなりよくなったし
   なにより三十分ほど過ぎた頃には
   手のひび割れもほとんど目立たくなっていた。

   流石は薬学に精通しているだけあって
   ユスティが求める効果が的確に現れている。
   これならば後は徐々に回復してきた魔力を
   緩やかに全身に馴染ませればいい。


(+95) 2023/10/07(Sat) 2:32:40

【墓】 エウロパ



   ユスティの返答を聞いて、
   誰かが化けていたらしいと推測を立てれば
   シトゥラは嫌そうに顔を顰めてしまう。
   変身薬を作るのはそう簡単ではない。
   となれば、誰かに頼んだのでない限り
   作った人など限られてくる。


   そして、変身薬を使う目的なんて
   ろくでもない物の方が圧倒的に多い。


  
(+96) 2023/10/07(Sat) 20:04:31

【墓】 エウロパ



   ……ユスティよりこの手の調査は得意だし   
   エウロパが無事ならそれでいいと思えるほど
   シトゥラは寛容にはなれなかった。


   
(+97) 2023/10/07(Sat) 20:04:49

【墓】 エウロパ



   とはいえ、今大事なのはエウロパのこと。
   苦笑するユスティにかける言葉はそう多くはない。
   エウロパならきっと許してくれるだろう。
   でも、言いだしにくい気持ちも分かる。
   自分が悪いのだと分かっているなら余計に。


   「大事な人が離れようとすればするほど
    彼女は傷ついていくんだと思うけど。」



   自分は離れるつもりはない。
   ただ、本当にいて欲しい相手は自分ではない。
   シトゥラはそう思っていたから
   少し困ったように笑って。


  
(+98) 2023/10/07(Sat) 20:05:42

【墓】 エウロパ



   「情けなくなんかない。>>+92
    それだけ必死で守りたいって
    そう思ってたってことじゃない?」


   そして、共倒れにならずに帰ってきた。
   どこが情けないというのか。
   本当はユスティも一時間と言わず
   もっとゆっくり治療するべきで
   シトゥラからしたら
   かなりの無茶を言ったつもりだったのだが。

  
(+99) 2023/10/07(Sat) 20:06:07

【墓】 エウロパ



   「一時間後に君が姫を起こしに来てもいいんだよ?
    童話の王子様みたいに、さ。」>>+93


   シトゥラは冗談っぽく言いつつ
   ユスティが医務室を出ていくのを見送った。**

 
(+100) 2023/10/07(Sat) 20:06:23