人狼物語 三日月国


225 秀才ガリレオと歳星の姫

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【墓】 エウロパ



   
悪意を向けた犯人には相応の報いを。

   それにユスティを巻き込みたくはないから
   原因の話を切り上げて。

 
(+71) 2023/10/07(Sat) 1:33:15

【墓】 エウロパ



   薬を与えられたエウロパの容態は
   医務室に来た直後より多少安定したように見える。
   勿論、まだ面会謝絶だと言われても
   おかしくない状況ではあるが。 

   彼女からユスティへと視線を戻して
   シトゥラは話の続きを促す。

  
(+72) 2023/10/07(Sat) 1:34:03

【墓】 エウロパ



   「聞いたことあるよ。>>+59
    入学前は仲良くしてたのに
    ある日を境に、会えなくなった。
  
    きっと私が悪いんだ、って。
    寂しそうにしてたよ、エウロパは。」

  
(+73) 2023/10/07(Sat) 1:34:38

【墓】 エウロパ



   そして語られるのは
   秀才の心の奥、かつて何を思っていたのか。

   魔法を極めたいと思えば思うほど
   そこには才能という壁が立ちはだかる。
   どれほど頑張っても、生まれ持った資質からは
   逃れることが出来ず、苦悩する。


   エウロパは類まれなる魔力の持ち主。
   シトゥラだって
   羨ましいと思わなかったとは言わない。
   彼女を目にすれば誰だってそう思う。
   理論を無視した力業で魔法を成功させる天才。
   技を覚えた彼女はきっとすごい魔法使いになれる。


  
(+74) 2023/10/07(Sat) 1:35:09

【墓】 エウロパ



   「それでも、星の元に行きたかった。違う?
    じゃなきゃ、今でも努力を続けてないでしょ。」


  
(+75) 2023/10/07(Sat) 1:35:56

【墓】 エウロパ



   「危険を冒して彼女を助けた君が力不足なら
    そこに行くことさえかなわなかった私は
    友人失格だと思うよ。>>+58


    それに、大事なのは力があるかどうかじゃない。
    君がそれを分からないほど
    馬鹿だとは思ってないけどさ。」


  
(+76) 2023/10/07(Sat) 1:36:37

【墓】 エウロパ



   
「分からないとは言わせないよ。

    
        
君は彼女の王子様ガリレオなんだから。」


  
(+77) 2023/10/07(Sat) 1:37:14

【墓】 エウロパ



   ユスティが逃げるとは思っていないが
   行き先だけは聞いておきたかったのと
   彼の状態を確かめておきたくて。
   シトゥラは手を掴んで引き止める。

   
目に映るのは、彼女を助けた代償だった。
   

  
(+78) 2023/10/07(Sat) 1:37:46

【墓】 エウロパ



   「今から一時間以内になんとかしておいて。
    
    それ以上はお姫様を大人しく
    寝かせておける自信がないからね。」


   医務室の薬棚からユスティの症状を緩和する
   薬を拝借して手渡しながら、
   シトゥラは無茶な要求をする。

   薬の方は彼に合わせて調合した物ではないし
   気休めくらいにしかならないかもしれないけれど。
   別に完治させなくとも
   彼女の目に触れないような方法はあるはずだから。


  
(+79) 2023/10/07(Sat) 1:38:08

【墓】 エウロパ



   屋上へ向かう彼を見送ってしばらくしてから
   シトゥラはエウロパへと声をかける。


   「……ということで。
    どこまで聞いてたか知らないけど
    一時間はここで寝ててもらうから。
 

    本当は一週間は寝てなきゃいけないような
    酷い状態だってことを忘れないように。」


   
(+80) 2023/10/07(Sat) 1:39:45

【墓】 エウロパ



   途中から起きて話を聞いてたのが
   シトゥラにはお見通しだったみたいで
   しっかり釘を刺されちゃった。
   本当はすぐにでもユスティの元へ行きたい。
   会って、話がしたいのに。

   好きな女の子、って聞こえたの、
   聞き間違いじゃないよね、とか
   どうしてきてくれたのか、とか。


   話したいことは沢山あるのに
   身体を起こすことさえ今は出来なくて。

 
(+81) 2023/10/07(Sat) 1:40:34

【墓】 エウロパ



   
「一時間たったら起こしてくれるの?」



   傍に居てくれる友達に甘えるように聞けば 
   シトゥラは優しく笑ってくれた。
   

   「応急処置が適切だったし
    君に作った薬が上手く働いてくれれば
    起きる頃には多少は動けるようになってるよ。
    魔法は全く使えないだろうけど。

    だから今はゆっくり休んで。」



   その言葉を聞いて、
   私は暫くの間、体を休めるために目を閉じた。*

 
(+82) 2023/10/07(Sat) 1:41:17

【墓】 エウロパ



   一時間と少し経った頃。
   目を覚ました私は、医務室を抜け出して
   屋上へと向かう。

   身体はまだ重い。
   本調子とはいかないし、
   シトゥラの言葉通り魔法は全く使えない。

   
それでも、私は君に会いたくて。


 
(+83) 2023/10/07(Sat) 1:41:59

【墓】 エウロパ



   君の姿を見つけて、名前を呼ぶと。
   ふらふらと、君の方へと歩いていって。

   
大好きな人に抱きつくんだ。

   色々聞きたくて来たはずなのに、なんでかな。
   君の姿を見たら言葉が出なくなっちゃった。


  
(+84) 2023/10/07(Sat) 1:43:09

【墓】 ユスティ



   「質問の意図がわからないな。
    ボクはお察しの通り一人で屋上にいたよ。

    なにかの見間違い…ってわけではなさそうだね。」


(+85) 2023/10/07(Sat) 2:26:38

【墓】 ユスティ



   「でもいいんだ。
         エウロパが無事なら、それでね。」


(+86) 2023/10/07(Sat) 2:26:59

【墓】 ユスティ



   自分と似たような人物がいたとして
   自分に変化したということになるが、
   その意味とは?エウロパとの関係は?

   点と点が次々と生まれていく中、
   それらを線で繋げることは今は難しい。

   調べたところで
   ユスティがどうこうすることはないが
   シトゥラが何かを調べたいようなら
   素直に任せておくことにする。

   この手の情報調査は実はユスティの苦手分野だ。


(+87) 2023/10/07(Sat) 2:27:53

【墓】 ユスティ



   それよりも心を締め付けるのは
   幼い日のエウロパの苦悩。>>+73

   ユスティにとっては罪の始まりで
   ほろ苦い炭の味がする。

   凡人でも空を飛べると
   たかだか秀才でも星に手が届くと
   そう思いたかっただけだというのに
   その道すがら一番大切なものを傷つけ
   あの森に置き去りにしてしまったのだ。



(+88) 2023/10/07(Sat) 2:28:35

【墓】 ユスティ



   「分かっているよ。

      けれどボクはまだ
      傷つけてしまった姫の赦しを貰っていない。」


(+89) 2023/10/07(Sat) 2:29:07

【墓】 ユスティ



   「いい歳して、ごめんねの一言も、言えなくてさ。」


(+90) 2023/10/07(Sat) 2:29:38

【墓】 ユスティ



   シトゥラの前で苦笑するユスティは
   身体だけが大きなただの少年だ。


(+91) 2023/10/07(Sat) 2:30:28

【墓】 ユスティ



   シトゥラがユスティの手を掴むと
   その意図を察して直ぐに従う。

   怪我の具合をせめて見せろと
   そう言われたような気がした。



    「情けないよね。
     たった数分でこの有様だ。」



   自虐の詩を奏でながら
   シトゥラに自分の状態を見せると
   不甲斐なさにため息をついてしまったが
   一時間残されていると分かると
   その表情もすぐに元に戻る。


(+92) 2023/10/07(Sat) 2:31:04

【墓】 ユスティ



   「十分。

      むしろ、優秀な小人に感謝したいよ。」


(+93) 2023/10/07(Sat) 2:31:22

【墓】 ユスティ



   薬を受け取ったユスティは
   シトゥラに礼を伝えると医務室を出ていったのだった。

   これくらい無茶のうちには入らない。上等だ。**



(+94) 2023/10/07(Sat) 2:31:44

【墓】 ユスティ



   次第に痛みが出てきた腕を抑えながら
   屋上の壁に背を預けると、
   さっきシトゥラから貰った薬を使う。

   身体の回復はあまり見込めないが
   それでも気分はかなりよくなったし
   なにより三十分ほど過ぎた頃には
   手のひび割れもほとんど目立たくなっていた。

   流石は薬学に精通しているだけあって
   ユスティが求める効果が的確に現れている。
   これならば後は徐々に回復してきた魔力を
   緩やかに全身に馴染ませればいい。


(+95) 2023/10/07(Sat) 2:32:40

【墓】 エウロパ



   ユスティの返答を聞いて、
   誰かが化けていたらしいと推測を立てれば
   シトゥラは嫌そうに顔を顰めてしまう。
   変身薬を作るのはそう簡単ではない。
   となれば、誰かに頼んだのでない限り
   作った人など限られてくる。


   そして、変身薬を使う目的なんて
   ろくでもない物の方が圧倒的に多い。


  
(+96) 2023/10/07(Sat) 20:04:31

【墓】 エウロパ



   ……ユスティよりこの手の調査は得意だし   
   エウロパが無事ならそれでいいと思えるほど
   シトゥラは寛容にはなれなかった。


   
(+97) 2023/10/07(Sat) 20:04:49

【墓】 エウロパ



   とはいえ、今大事なのはエウロパのこと。
   苦笑するユスティにかける言葉はそう多くはない。
   エウロパならきっと許してくれるだろう。
   でも、言いだしにくい気持ちも分かる。
   自分が悪いのだと分かっているなら余計に。


   「大事な人が離れようとすればするほど
    彼女は傷ついていくんだと思うけど。」



   自分は離れるつもりはない。
   ただ、本当にいて欲しい相手は自分ではない。
   シトゥラはそう思っていたから
   少し困ったように笑って。


  
(+98) 2023/10/07(Sat) 20:05:42

【墓】 エウロパ



   「情けなくなんかない。>>+92
    それだけ必死で守りたいって
    そう思ってたってことじゃない?」


   そして、共倒れにならずに帰ってきた。
   どこが情けないというのか。
   本当はユスティも一時間と言わず
   もっとゆっくり治療するべきで
   シトゥラからしたら
   かなりの無茶を言ったつもりだったのだが。

  
(+99) 2023/10/07(Sat) 20:06:07

【墓】 エウロパ



   「一時間後に君が姫を起こしに来てもいいんだよ?
    童話の王子様みたいに、さ。」>>+93


   シトゥラは冗談っぽく言いつつ
   ユスティが医務室を出ていくのを見送った。**

 
(+100) 2023/10/07(Sat) 20:06:23