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【人】 【灰】 シンデレラ私の名前はエラ。 人呼んでシンデレラ《灰に塗れたエラ》。 もちろんこれは私が好き好んで名乗っている名前ではない。名付けたのは私の家族だ。 家族といっても、血は繋がっていないのだけれど。私のお母様は私が幼い頃に亡くなられて、お父様は今のお継母さまと結婚された。お継母さまには三人の娘がいて、それが今の私のお姉さま。マリーお姉さま、ゴリーお姉さま、ユリーおねにーさまだ。 私をシンデレラと呼び始めたのはこの四人なので、私は誰からもシンデレラと、そう呼ばれるようになった。今となっては、自分から名乗る時ですらシンデレラと言う始末だ。でも仕方がない、私の家族が私をシンデレラと呼ぶ限り、私の名前はシンデレラなのだ。止めてもらおうと思ったこともあったけど、私はもう疲れてしまった。お継母さま達は私に雑用を押し付けてばかりで、私に自由なんてものはなくて、私は独りぼっちだから。 (1) 2021/10/18(Mon) 0:55:33 |
【人】 【灰】 シンデレラ お父様は、お継母さまと結婚されてから、色々と変わったと思う。なんと言うか、好きになった人の影響を強く受けているんだと、私は勝手にそう思っている。ただ、時々でいいから、私という娘がいることを思い出して欲しい。お母さまとお父さまと、そして私と、三人で過ごしていたあの日々を回顧して欲しいと、ほんのちょっぴり思ってしまう。 私はあの輝かしい過去を、音や匂いでしか覚えていない。お母さまの声や、服の匂い、そして抱き締めてくれる優しい感覚を確かに記憶しているけれど、私はあの人の顔を知らないのだ。 私は、盲目だ。 産まれた時から私の世界に光はなかった。 目が見えなくて困ったことは多々あるけれど、同時に見えなくて良かったと思うことも数多くある。 (2) 2021/10/18(Mon) 0:55:42 |
【人】 【灰】 シンデレラ 私は『美しい』を知らないが、同じように『醜い』を知らない。 マリーお姉さまは自分を『美しい』という。けれど、私はそんな彼女の姿を見ることができない。だから私には『美しい』が分からない。声は確かに綺麗だけど。あんなにツンケンしてなければ、もっと綺麗に聴こえるのに。なんて、思ってしまうくらいには。 お継母さま達は私を『醜い』という。 『醜い』って、何なんだろう。 私はお母さまの顔を知らないように、同じように自分の顔も知らない。自分の顔を見たことがないし、これからもきっとない。 けれど、私の顔が『醜い』のだとしたら、それを見ないで済むのは幸運なことで、私は幸福なのかも知れない。 そうだ、私は『幸福』なんだ。 (3) 2021/10/18(Mon) 0:56:02 |
【人】 【灰】 シンデレラ 住むところがあって、着る服があって、時々抜きにされるけど食事もある。 生きていく上で、必要なものは全て揃っている。生活を脅かされるような危険はないし、大きな病気をしたことだってない。 だから私は幸福なんだ。『幸福』っていうのは、そういうものなんだ。 なら、私は『幸福』に生きていかなくっちゃあならない。『不幸』じゃない、『不幸』なんかじゃないってことを、全身で表しながら生きていかないと。 上手くできているだろうか? きちんと、『幸福』に生きていられているだろうか? お母様の願いを、叶えられているのだろうか? (4) 2021/10/18(Mon) 0:56:22 |
【人】 【灰】 シンデレラ 近く、お城で『舞踏会』が開かれると聞いた。お継母さまも、三人の姉達も、舞踏会に向けて準備をしている。口中の『美しい』娘が城に集められ、その中から王子様の結婚相手を決めるらしい。 まぁ、私には縁のない話だ。 『醜い』私には、シンデレラには、全く関係のない話だろう。むしろ、醜い私がその場に居たりしたら笑い者になってしまう。それはきっと『幸福』とは言えない。幸福でなければ、お母様との約束を果たせない。 だから、私はお継母さまから「舞踏会には連れて行かない」と言われた時、ホッとしてしまったのだ。 私はこれでいい、このままでいい。 『幸福』であるはずの、今のままがいいんだ。 (5) 2021/10/18(Mon) 0:56:43 |
【人】 【灰】 シンデレラおほほ!! 今日はもうおねむですの。でもまだ食器洗いと夜の掃除が残ってますわ……こんなことをしているうちに、きっと舞踏会は終わるのでしょうね (33) 2021/10/18(Mon) 22:29:15 |
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