夜の一族 チャンドラは、メモを貼った。 (c16) 2021/10/22(Fri) 9:30:21 |
チャンドラは、ポルクスの望みを叶えることは出来ない。それを申し訳なく思う。 (c18) 2021/10/22(Fri) 21:42:39 |
チャンドラは、夢を見る前、キエの言葉を思い出す。月はとても高い、寒いところにある。 (c19) 2021/10/22(Fri) 21:43:56 |
夜の一族 チャンドラは、メモを貼った。 (c20) 2021/10/22(Fri) 21:52:21 |
チャンドラは、夢を見ていた。誰もいない、触れたいものにも触れられない、高くて寒い宙の夢。 (c26) 2021/10/22(Fri) 22:42:44 |
チャンドラは、夢から醒める。「おはよう」と、声がした。 (c27) 2021/10/22(Fri) 22:46:55 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ「…………」 目を醒ましたわたしはまず、あんなにこびりついていた 寒さ がなくなっていることに気付く。身体を起こして辺りを見回した。 彼の姿がどこにもない。 部屋に戻ってしまったかしら、とそう思った。 「……?」 そしてもうひとつ気が付いた。 あんなに毎日お腹を空かせていたのに、その空腹感がどこにもない。 けれど夜が来たというわけではなさそう。 わたしは魔法がまだ使えない。 (+6) 2021/10/22(Fri) 22:53:49 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ「……行かないと」 置き去りにしたいくつかの約束が待っている。 違和感に不安な気持ちを抱きながら、わたしはドアノブに触れようとした。 触れようとして、すり抜けた。 予想なんてしていないものだから、わたしは扉もすり抜けて転んでしまう。 廊下を、使用人が歩いていた。 使用人は、部屋の外で転んだわたしに構うことなく、廊下を横切っていく。 (+7) 2021/10/22(Fri) 22:59:29 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ「────え?」 何が起きたかわからなくて、すぐに起き上がることができなかった。 そうする間にも使用人、来賓、数名の往来がある。 その誰ひとりとして、わたしを見る人はいない。 背筋が凍るような心地がした。 多分また、酷い顔色をしているのだけど、それを指摘してくれるポルクスもいない。 ようやく立ち上がったわたしは、広間に向かうことにした。 莫迦ではないから、人とすれ違う度、状況を呑み込んでいく。 どうやらわたしは、誰にも見えていないみたい。 (+8) 2021/10/22(Fri) 23:05:34 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ広間でわたしは彼らの姿を探す。 人混みもすべてすり抜けるから、動きやすいといえばさすがに楽観視が過ぎるかしら。 そう、わたしは冷静だった。 なぜか ぬくもり をずっと感じていた。それがなければ、もっと取り乱していたかもしれないけど。 わたしは探す。 わたしに気づいてくれる人を。 少しそそっかしくて、一生懸命なお友達の姿を。 夢の中にまで会いに来てくれた、白い鴉の姿を。 いつの間にか隣からいなくなっていた、優しい、彼の姿を。 大きくてふわふわいつも浮いている、不思議な彼の姿を。 (+9) 2021/10/22(Fri) 23:15:31 |
チャンドラは、探している。広間を、中庭を、館中を。誰の目にも触れなくても、今のわたしは孤独じゃない。 (c28) 2021/10/22(Fri) 23:18:14 |
【墓】 夜の一族 チャンドラわたしは彼を探している。 ふたりがひとりだったなら、きっとわたしたちは出会うことはなかった。 頬に触れた手と、この ぬくもり は似ているように思う。だからかしら、胸騒ぎがして。 だってあなたはどこにもいない。 ──わたしはあなたになにかしてあげることができた? あなたはわたしに優しくしてくれた。 わたしはあなたに何も返せていない。 あなたの望みは叶えられない。 わたしでは、叶えてあげることはできない。 でも。わたしがあなたにできることは、本当にそれしかないのかしら? わたしは探す。 わたしは彼を探している。 そしてわたしは、わたしにできることを、探している。 (+19) 2021/10/23(Sat) 9:08:14 |
夜の一族 チャンドラは、メモを貼った。 (c33) 2021/10/23(Sat) 12:03:31 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+20 >>+21 ポルクス わたしはあなたを探している。 まだ自分ができることは、わからない。 それでも、あなたを探していた。 いだいた ぬくもり は、まだ、手元にある。「……?」 広い中庭の隅、見たことのない、桃色の木。 わたしの知っている木は、みんな緑の葉を茂らせたものだけど。 足を止めたわたしは、そこにあなたの姿を見つけた。 まだ自分ができることは、わからない。 でも 「ポルクス……?」 木の根元に広がる赤い液。 あなたのものじゃ、ないのでしょう? 遠くで見ても分からなかったから、わたしは恐る恐るとあなたの名前を呼んだ。 (+22) 2021/10/23(Sat) 15:36:59 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+25 ポルクス よかった、この赤はやっぱりポルクスのものじゃない。 安心したわたしは、少しだけ緊張を緩める。 「あなた、わたしが見えるのね。 ……目を醒ましてから、わたしのことが見える人、ほとんどいなくて」 それが神隠しなのでしょう。わたしは頷く。 「もう、寒くないわ。 むしろ少しあたたかいくらい。……不思議ね」 (+26) 2021/10/23(Sat) 17:14:14 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+27 ポルクス 「ええ、その通りよ。 誰にも見向きされなくて、最初は驚いたものだけど」 わたしは目を閉じる。 そうすると、この ぬくもり がより強く感じられる気がして。「ひとりじゃないって、思えたの。 あなたのことも、思い出したわ」 この ぬくもり は、あなたの掌にとても似ている。あなたがわたしに無償でそそいだ優しさに、とてもよく似ている。 無償でしょう? あなたが言った通り、あなたの望みを叶えるならば、わたしに酷いことをするべきだもの。 (+28) 2021/10/23(Sat) 17:34:05 |
チャンドラは、簡単には絶望をしない。 (c34) 2021/10/23(Sat) 19:24:15 |
チャンドラは、 賢者 に似て、非なるもの。 (c35) 2021/10/23(Sat) 19:24:58 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+29 ポルクス 「言われてみれば。 死んだっていう発想は、しなかったわね」 死後の世界なんてものを信じていない。 夜でないなら、わたしたちにはその権利すらない。 わたしたちは夜にしか生きられないの。 「……ポルクス。 それはあなたは死んでもいいと、そう言っているの?」 常昼のこの館で死後の世界を信じないわたしは、自分が生きていることを疑わない。 もちろん、あなたも。 あなたの望みは知っている。 それは叶っていないと思っている。 同じくらい、叶わない方がいいとも思っている。 あなたの言葉を借りるなら、わたしはあなたに生きてほしいと思っている。 (+30) 2021/10/23(Sat) 19:51:17 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+31 ポルクス 「……お兄さんが?」 偶然か、双子の神秘がそうさせたのか。 でも偶然にしてはできすぎていて、わたしは驚いていた。 追うものと追われるもの。 あなたとお兄さんの関係は、聞いた話ではそんなもの。 それなのに、先にこの館に来たのはお兄さんの方。 そしてあなたが追うようにここを訪れた。 とんだ運命の悪戯ね。 それともこれも、館の主の意志かしら。 「惜しくはない……あなたはそう、思うのね」 ひとつ知る。 お兄さんの影がなくなって尚、あなたを蝕むもの。 わたしが思っていたとおり、そしてあなたの話していたとおり、あなたの中のお兄さんの存在はとても大きい。 (+32) 2021/10/23(Sat) 20:34:52 |
【墓】 夜の一族 チャンドラ>>+31 ポルクス 「わたしはそうは思わないわ。 命は粗末にするべきではないもの」 ひとつ知ったなら、次はわたしの番。 わたしはわたしの道徳を語る。 そしてこれはわたしだけの道徳では決してない。 「命を危険に晒しても、やりたいことがあるなら別よ。 わたしはそれは、粗末とは別と思うもの。 わたしはあなたに、命を粗末にして欲しくないわ」 わたしは探して欲しいと言う。 どうせなくなってもいい命なら、それを賭けてでもやりたいことを。 叶うかは、また別の話。 それでも目標のために冒険する時間は、きっと有意義なもののはずだから。 (+33) 2021/10/23(Sat) 20:35:13 |
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