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【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 彼の魂胆は何となく朧気に理解している。 だから彼の言葉>>752を拒んだりしなかった。 彼の言動を責める事もなかった。 届きそうで届かない位置で従順な彼は、 彼の意志>>753を紡ぎ出す。 男にとってその言葉は望んで他ならないもの。 ただ、その後に紡ぐ想像を履き違えていた。 薔薇の花弁が香る紅茶を飲む。 男にとって意味のない茶番を演じた。 ふと、同じ花を纏う少年に瞬きをして ] (769) 2019/04/12(Fri) 11:49:04 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ ひとつ落とすのは確信めいた答え。 男の眸をもってして与えられた好意とは異なり、 無邪気で無知で残酷な彼の望みに双眸を眇める。 ならば返す答えは三つある。 その中の一つを切り取るだけだった ] 君の言葉通りならば、 城を追い出された子供に未来はない。 そして願いを叶えてくれるならば 君がこの城に住み続ける事すら許そう。 そういった話だったと覚えているね? [ ひとりを拒む子供の姿は覚えている>>525 つまびらかにするように言葉を続けた ] (770) 2019/04/12(Fri) 11:49:58 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクスセレン。 ……独りを拒む理由はよく分かるよ。 堪え難いものだろう。 [ 一口。茶で唇を湿らせながら唇を開く ] だがね、君はいずれ死ねるだろう。 君が望まなくとも、誰かが望まなくとも。 それは人にしかない素晴らしい特権だ。 また、君達は忘れる事が出来る。 どれ程堪え難い苦痛も やがて薔薇の棘より丸いものになる。 [ 人と化物の違い。 説教など垂れるつもりもないからこそ 男は身勝手に語り続けるだけだ ] (771) 2019/04/12(Fri) 11:50:10 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクスセレン。 君は自分が何故生きているのか、考えた事はあるかい? 私はね、考えて、考えて、考え尽くした。 その結果、行き着いたんだよ。 セレン、私はね、―――― 赦されたいだけなんだよ。 (772) 2019/04/12(Fri) 11:50:27 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ コトリ、と。 音を響かせながら男は微笑む ] 君が寂しがるならその眷属をやろう。 この城で独りは嫌なんだろう? それはなんだかんだ子供が好きで 俺のことは嫌いだからね。 [ 狼は相変わらず子供から視線を逸らさない。 見張っているというわけではない事を 男はゆうに知っていたから笑っていた ] セレン。 君はまだ俺の全てを知らない。 だからそんな事を願えるんだろう。 ……俺のことを知りたいと言ったね? ならもっと、知ってくれ。 [ この屋敷の中を探る以外に 彼が他の手段を選ぶというのならば 男は大した抵抗もせずに許すだろう ]** (773) 2019/04/12(Fri) 11:51:19 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 揚げ足を取られるよりも一本取られる。 そんな評価に相応しい傲慢な答えだった ] よかった。 君は馬鹿じゃないんだね。 [ 無知な子供は嫌いではない。 だが、愚かな人間では相応しくない。 彼の言葉>>788に答えは返さない。 否定もしなかった。 無関心から少し芽生えたものがある。 彼ならば伝えずとも理解出来るだろうと ] (805) 2019/04/12(Fri) 16:17:42 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス死なないんじゃない。 死ねないんだ。 [ 不死だから? それにしては試してこなかった事が沢山ある。 男が数多の子供に尋ね得た知識>>614 断言した子供の扱い>>613は断言した癖に 死に関しては言い訳めいた台詞となった。 死なない為に生きる>>790 漠然とした死が取り憑く人の姿はいつも遠い。 やはりどうしようもなく羨ましく、恨めしい。 何故、そんな事を思い描いてならないのか ] (806) 2019/04/12(Fri) 16:17:58 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス…………罪を償わなば死ねないからだよ。 死が救いだというならば、生きる事とは即ち罪だ。 一生を付き纏う罰なんだろう。 [ 誰に、とは言わなかった。 付き纏いこびり付き離れないのは、白い首>>56 透き通るような肌。赤い唇。 全てを見透かすような空色の眸。 ちょうど、彼によく似ていて、 ちょうど、その声だってよく似ていて、 それから、彼は、彼女と同じ――名前 ] (807) 2019/04/12(Fri) 16:18:20 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス意志のない我楽多に裁かれても意味などない。 [ 彼の問い>>792に対して答えない。 だが、その解釈を正す事はなかった。 ふわりと漂うのは血の甘美な香り。 思わず口許を手で塞いだ。 他人に殺され続けてきた? ――そんなもの生きていたら誰だって、 言い訳めいた言葉が溢れるのは余裕が剥がれつつあるから。 追い出した少女の血を吸っていればよかったのだ。 彼の存在がひどく曖昧に溶けていく>>793 ] (808) 2019/04/12(Fri) 16:18:35 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクスどうして、……俺なんだ。 [ 知れと望んだ癖に見透かす事を拒む我儘な男は、 少年が選んだ知りたい存在に疑問を抱いた。 変わった子は、今までにいた。今までに。 たった、二人だけ ] ――――同じ名前で同じ言葉を言うな! [ 吐き捨てるような怒声が寝室に響いた ] (809) 2019/04/12(Fri) 16:19:00 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ Noir 黒く黒く黒く塗り潰す。 インクをぶちまけても剥がれない記憶。 飢えと渇き、自我を失う程の衝動。 赤赤赤赤赤赤赤と求める鮮血。 眠る少女を包む揺り籠を長い爪で切り裂き 未だ心臓から流れる血潮を求め光らせた歯牙を 柔らかく甘い肉を食い破った牙を 破れた皮膚から滲むあまりにも甘美な味を 悲鳴。絶叫。慟哭。 耳を塞ぎたくなる。 眸を抉りたくなる。 唇を引き裂きたくなる。 あの悪夢は未だに醒めず ] (811) 2019/04/12(Fri) 16:20:40 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 違わない。 反射的に返す言葉を歯の奥を噛み堪えた。 此方を見つめる左右非対称の眸>>813は やはり今にも泣き出しそうなのに、 意外にも少年は諦めが悪かった。 続く言葉>>814と問い>>815 男は眉間の皺を苦悩で歪めた。 はくりと震える声で紡ぎそうになったのは あまりにも素直な言葉だった ] まだ、苦しまなくてはならないのか? [ 分からないからこそ相槌も打てぬのだと。 問いに対する問いを返して気づいた ] (830) 2019/04/12(Fri) 18:28:34 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクスただ、生きる為なら何でもすると、 俺の望みなら何でも叶えると そう言葉にした君ならば、……、 [ 叶えてくれると男は希望していた。 切々と身を切り裂きたくなる想いを抱えながら 生きながらえてしまい、日々懺悔と贖罪に明け暮れる 途方も無い永遠の後日談を過ごすには、 あまりにもきっとあの日々が眩し過ぎた ] 君など、拾わなければよかった。 [ まだ何も知らない子供>>816 孤独に飢え、傷だらけの手を差し伸べる。 裏切りを厭い、独りを拒む少年。 少なくとも男が理解したのは、たったそれだけ ] (831) 2019/04/12(Fri) 18:29:08 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 伸ばされた腕が空恐ろしく思えた>>818 先がないと告げる少年の気配は>>817 吹き荒ぶ風に流れていきそうだ。 振り払った手は存外強い力だった。 彼の手の甲に残った赤い跡を眺めれば 自然何かで切ったのであろう指先も覗き ] そんな事、ない。 君はまだ若いだろう。 生きてさえいれば他の可能性だってある。 金だってあるんだ。 君が望めば人の一人くらい用意して 欲しいものは何だって手に入る筈だ。 [ それとも雛鳥のように最初に見つめたものを、 親だと認識してしまったとでもいうのだろうか ] (832) 2019/04/12(Fri) 18:30:07 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス何故君は、居場所が此処しかないと思い込む。 ……セレス、君のその眸と関係するのかい? [ 伸ばされたままの腕を痛々しげに見遣る。 今度はその手を払う事はせずに、 代わりに彼の長く伸びた前髪を払ってやった ] 君を愛してくれる人はきっと、いるのに。 ……どうして?** (833) 2019/04/12(Fri) 18:31:07 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス ―傍白― [ 声を出す。 息を吐く。 足で歩く。 手で触れる。 目で追う。 今日も生きている。 誰かの言葉が、呪いが、其れ等を練る。 今日も生きている。 生きていていいのか、音を、息を、吐き出すだけの怪物は、 生きていていいのか、嘘を、呪いを吐き出すだけの怪物は、 分からないから、怪物は今日も生きている。 呼吸の仕方も、両足のつけ方も、紡ぐ言葉も、 忘れてしまいそうな不安が、恐怖が、 目醒めたばかりの怪物を襲う。 それでも怪物は、今日も生きている。 それでも怪物は、今日を生きている ] (837) 2019/04/12(Fri) 19:19:59 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ あなたがまだ生きている頃の夢だ。 あなたと作った料理を口にしていた。 私は泣いていた。 どうして泣いているのだろう。 そう考えたらなんだかもっと悲しくて、 私はもっと泣いていた。 泣きながら食事をしていた。 味が全くしなかった。 私は何かを言ったけれど、何を言ったのか 全く覚えていない。 あなたは何かを話したけれど、 全く覚えていない。 そこで目を覚めた。 目に少しだけ涙の跡があった。 あの頃には戻れない。 そんな気持ちが少しだけして、 痛むはずのない心臓がギュッとした。 そんな夢を見た。 そんな夢を見た。 ] (839) 2019/04/12(Fri) 19:20:47 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 化物に心なんて存在しない。 化物に心なんて存在しないのだ。 しかし分かってしまう。 心が痛いと分かってしまう。 心が痛い。 心が痛い。 心が痛い。 ずっと、ずっと、あの時から、ずっと ] (840) 2019/04/12(Fri) 19:21:55 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 笑った顔、怒った顔、泣いた顔、嬉しそうな顔。 全部、全部、全部、まだ、覚えている。 まだ、忘れられない。 あなたは本当に表情が豊かな人で、 あなたは本当に感情が豊かな人だった。 あなたをたまに、思い出す。 伸ばされた手が届かなかったこと 怪物の為に祈ったこと あなたが、私の為に泣いてくれたこと。 あなたをたまに、思い出す。 あなたをたまに、思い出す ] (842) 2019/04/12(Fri) 19:23:02 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[あなたを赦さない世界なんて 私が壊してあげる。 決してあなたを独りにしないから、だから あなたは死なないでね ――――なんて、酷い呪いだ ]** (843) 2019/04/12(Fri) 19:23:36 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ そうだね>>847 彼の反応は淡白で男が期待していたものではなかった。 この少年に男は何を求めていたのだろう。 セレンとセレス。 同じく闇夜を照らす月を持つ名前。 彼に彼女の像を重ねて何を望んだのか。 バカバカしくなり、鼻を鳴らした ] そうだね。 君に問いかけてどうかなる話でもない。 今まで通りと同じだ。 君と同じ眸を持つ人と君を重ねて、 君に問いかけることで、答えを見出そうとする、なんて。 愚かな行為だ。やめるよ。 [ 狼は彼の傍らに付き添ったまま吠えず。 二人のやりとりを見守るようそこに居る。 落ちる腕>>848を男にはどうしてやる事も出来ない ] (875) 2019/04/12(Fri) 22:33:37 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクスそうだね。 君がせめて何処かで生き延びれる場所を探して…… [ 棄ててしまうのも悪くないのではと。 擡げた思考のまま考え出す。 どちらにせよ夜も深いから明日以降の話にはなる。 男はそもそも生贄を望んだ事もなかった。 送られる二度目以降の子供に期待する事はあれど いつも期待外れだと思えば外に放してきた。 その結果、子供達が村に戻る事がなかった事実は、 男が少年から語られた新たな真実であった ] (876) 2019/04/12(Fri) 22:34:09 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス[ 男は人が無駄に死ぬ事は望んでいない。 だとして長年蓄積した願いを一日で 葬り去る事など出来なかった。 僅かな胸の痛みは些細だと視線を逸らし 狼はそんな主を非難するが撫でる手に静かに懐く>>850 よっぽど少年の気を汲んでやれるのは狼の方で それは今までの主の愚行を見守ってきたせいもあった。 だとしても噛みつかないのは狼は狼で 主に対して思うことでもあるのか。 問いかける主をアイスブルーの双眸で 狼は見守っていた ] (877) 2019/04/12(Fri) 22:34:27 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクス…………気持ちが悪い? [ 少年の言葉>>855に男は首を傾げる。 それは初めて見つけた生き物を眺めるようだった。 確かに少年は人にしては珍しい風貌をしている。 輝くようなブロンドにアクアマリンの双眸を持つ 天使のようだと愛された彼女とは違い、 彼のプラチナブロンドは月明かりに照らされたように白く、 蒼い月と霞んだ星を思わせる双眸は、 不思議な色味であれど男にとっては、 月の満ち欠けを思わせる色味であった ] 愛が、何かは……俺にも、分からない。 [ 彼の問いかけ>>856には白状する。 無責任な発言をしていると露呈するだろうが 今はそんな事よりもと、言葉を続けた ] (878) 2019/04/12(Fri) 22:34:52 |
【人】 古城の吸血鬼 ニクスでも、化物というのはこんなに鋭い牙をもって 血を吸わねば生きられない存在を言うんだ。 そんな俺からしたら君はよっぽど普通の人間じゃないか。 それに、二つの色を持つ眸なんて、 この世界で君だけがもつ特別だろう? 普通が何かは知らないが、 月に照らされた髪の色は気持ち悪くなどない。 [ 幼子に言い聞かすように視線を合わそうと男は彼に跪く。 愛など知らぬ筈の感情ではあるが 幼い子供の苦労に同情したのかもしれない ] (879) 2019/04/12(Fri) 22:35:21 |
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