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【人】 鳥葬 コルヴォ【灯台】 人気の無い時間、灯台の最上階。 彼者誰時、そこに誰かが居た痕跡なんてもう残っていやしない。 喪服姿は手摺に背を預けてただ遠くを見遣るばかり。 「あんたも、死ぬもんですね」 何処か捕らえ所が無くて、どうにも生者らしさが薄く感じて。 ともすれば、バーの構成要素の一部のようにも思える。 「俺はてっきり、殺しても死なないもんだと思ってました」 そんな実に曖昧模糊たる存在のマスターも、 どうやら一応は人であり、人として死んだらしい。 遺体も見付かっていないのにそんなふうに思うのは、 単になんとなく、という事にしておこう。 「Sogni belli」 無宗教者は死後を信じない。 けれど、同じ呼び名の誰かが夢見の最中に現れる人であるのなら。 良い夢を。くれてやる言葉は、少し他人行儀なそれでいい。 (7) 2022/08/14(Sun) 23:39:02 |
コルヴォは、工房の主に背を向けた。まったくもって、本当に。 (a10) 2022/08/15(Mon) 21:12:28 |
コルヴォは、悪態一つ吐いて、離別という緞帳を下ろした。 いつかの時の事。 (a11) 2022/08/15(Mon) 23:12:45 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 表通りからは離れた路地の一角、 隠れ家のような入り口。 石の階段を下った先の木の扉。 下げられた『CLOSED』のプレートなど知った事ではないように、 無人の薄暗い店内、バーカウンターのやや隅の方の席。 何処ぞから不法侵入でもしたのか。 喪服姿は、なんとも我が物顔でそこに居るものだ。 「こんくらいが静かでいいですね」 カウンターの片隅、萎びかけた数本の花を一瞥して 明日には平然と他の店員が代役を務めているのだろうかな。 今はそんな事を思うばかり。 もし誰かが来たら、なんてのは気にもしない。 同じ不法侵入者であれば、人の事を言えた義理でもないだろうし。 店員なら上手く言い包めるだけだ。 (35) 2022/08/16(Tue) 0:06:57 |
コルヴォは、鍵も閉められていない扉から堂々と上がり込んだに違いない。 (a12) 2022/08/16(Tue) 0:35:07 |
コルヴォは、とはいえ、店主不在であろうとマナーは守るつもりだ。 (a13) 2022/08/16(Tue) 0:35:40 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 ハッとなって瞼を持ち上げた。 気付かぬ間に微睡んでいたらしい。 人様の事を言えた義理ではないな、と内心自嘲して あいも変わらず薄暗く無人の店内を緩慢に見渡した。 誰かの声がしたような気がしたが、それは錯覚のようで。 原因は扉の外から聞こえた微かな足音だったらしい。 恐らく一般人であれば気にも留めないようなそれは、 つまるところはおおよそ一般人のそれのようだった。 (39) 2022/08/16(Tue) 13:20:00 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 >>@2 フラン 店内から数歩、重たい靴音がして。 『CLOSED』のプレートが下げられていたはずの扉が開く。 その向こうからから姿を現した黒支度は、 脅かすつもりも無いが、その外見はさぞ威圧的だったに違いない。 「どうも。店主なら不在ですよ」 ならばどうして店内に居たのか、という疑問を挟む隙も無く 不法侵入者はいけしゃあしゃあと言葉を続けた。 「許可は取ってます。今日はセルフサービスでやってくれと。 いつも通りお行儀よくしてさえいれば、 後で怒られはしないでしょうよ」 当然嘘だ。 とはいえ、あの店主であればどこかそんな気もしてしまう。 あなたがどうする事を選んだとしても、 この不届き者はそれらを言い終えれば店内へと踵を返して もう少しこの店に居座るつもりのようだった。 (40) 2022/08/16(Tue) 13:20:53 |
コルヴォは、配達員の頬にグラスを押し当てた。なんてやつだ。 (a17) 2022/08/16(Tue) 18:43:00 |
【人】 鳥葬 コルヴォ【バー:アマラント】 >>@5 フラン 「あんたの寝起きが悪くない方で助かりましたよ」 返る言葉は、挨拶でも気遣いでもなく。 グラスの冷たさに驚きそこかしこを強かにぶつけ、 随分痛い目を見たらしい青年を見下ろす視線は冷ややかだ。 とはいえそれは小馬鹿にしているわけでも侮蔑でも、 はたまた特別悪感情を抱いているわけでもないのだけど。 残った酒を乾して、さっさとグラスを片付けて。 何処から引っ張り出して来たのか、 店の帳簿らしきものに何やら書き付けて放る。 並ぶ名前とツケとされた代金の中、その最下部に まったく異なる筆跡が一つだけ混じっている。 "パスカル・ロマーノ"。 「書いとく事をおすすめします。 それから、寝る場所は選ぶことですね」 それ、と言って指差したのはカウンターの上の帳簿。 言うだけ言って、さっさとドアの方へ足を向けてしまった。 まったくもって好き勝手に振る舞っているものだ。 店主の友人というわけでもないようなのに。 事実あの店主と友人だと宣う人間が居るかなんてのは、 今この場に居る誰にも定かではない事だろうが。 (51) 2022/08/16(Tue) 19:46:30 |
コルヴォは、誰かに言った。「あの時殺しておけばよかった。」 (a24) 2022/08/17(Wed) 12:28:40 |
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