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【人】 きっと教育係 キネレト[ ご神託により 自分で口走っておいてなんだがこの寒空に揃ってタンクトップはないな。狂人だなうん。 アノラックは登山ウェアらしいから問題ないのでは? そう思って試しに袖を通そうとしてみるより先に止められた。 そうかぁ、残念だなぁと軽い調子で眉を下げる。 物心付く頃からそう在るようにと 教会で叩き込まれて育ってきたからだろうか。 与えられた試練は多少無理をしてでも全うし 気まぐれな神様の期待に応えきらねばならないと、 そう思い込んでいる節が僕にはある。 姿形や口調は勿論、時には性格まで平気で変えてしまう。 そういった自分でも気付いていない僕の危うさに、 君の方が余程危機感を覚えてくれているのかもしれない。] 本当かい? 頼りにしているよ。 僕だけではどうしても手が回りきらない部分があるからね、 本当に助かったんだ。 誰だって最初から完璧には出来ないし、 僕もまだまだ未熟者だなぁと感じるよ。 この先も毎年手伝ってくれるなら君は ゆくゆくはベテランサンタさんになるだろう。 それに、君と準備を進めながら初めて知ったんだ。 クリスマスの準備は一人でするより、 大切な人と一緒にした方がずっと楽しい。 (12) 2020/12/31(Thu) 23:35:03 |
【人】 きっと教育係 キネレト[そのうちに僕らの間に子供が生まれたら、 君には家でもサンタさんをお願いしないとな。 彼の複雑な心中は知らぬままに 僕の脳内には妄想の広大な花畑が広がっていた。] ふむ。確かに何も出来ないな……参ったね。 食事もお布団もきっと準備せずとも用意されて、 後片付けも宿の人がしてくれるんだろうか。 う、……今月は自覚する程度に忙しかったから 返す言葉がないなぁ。どうだろう、 君も少しは淋しがってくれてたりしたんだろうか……? [君と一緒に居られることを心から幸せに思う。 君は何もしなくていい。 ただ日々健康で、僕を傍に居させてくれたなら嬉しい。 自分はそう思っているのに、立場を反転させた途端僕は 自分に何らかの付加価値を付けなければ、 君の隣に居る資格が無いような気がしてしまう。 例えば掃除であったり。料理や裁縫であったり。 お節介なくらいに世話を焼こうとしてしまうのは、 君に必要とされる人間で居続けたいからだ。 幼い頃の古傷が無意識下で働かせる生存本能のようなもので もう体に染みついてしまっているからそう苦でもない。] (13) 2020/12/31(Thu) 23:35:39 |
【人】 きっと教育係 キネレト[だからと言って休みたいと感じる時が全くない訳ではなく、 君とのんびり過ごしたくないのかと訊かれれば のんびりしたいに決まっているのであって。 君は僕が本当に何もしなくても、 そんな僕に愛想を尽かしたりせず受け容れてくれるんだろう。 寧ろ喜びそうだとはこの一年で学んだ。でも本当に良いのかな。 そんな期待と不安を織り交ぜた自問自答の繰り返しも、 もしかすると君は見透かしているのかもしれない。] そうだね。温泉に先に行こうか。 浴衣は……入浴の後で良いのではないかな。 前だと折角着てもすぐに脱ぐことになってしまうしね。 ところで、……大浴場と貸切れる温泉と 客室にも露天風呂が付いているのかな。 君はどの温泉に入りたい? どのお湯も魅力的だけれど出来れば僕は、 ……君と一緒に浸かれるお湯が良いんだが。 [テーブル上に置かれた館内の案内図を眺め、 それから君へと窺うようにそろりと視線を向けた。 温泉を実際に訪れたのはここが初めてだったが 憧れて時々調べていたから、知識としては多少知っている。 君の感じた温泉への疑問点を、わかる範囲で解説していこう。] (14) 2020/12/31(Thu) 23:35:59 |
【人】 きっと教育係 キネレトそうか、そうだな。 気に入ったら、また来たら…… ……ふふ、そうか。 [君に言われて初めて、 無意識にまた家事のことを考えていたのに気付く。 『なにもしない』をすぐに実現するのは難しいらしい。] だめなわけないだろう。 僕も君と、いろんな場所に出かけてみたいよ。 [どこでも連れ出して欲しい。僕も連れ出すから。 君に請われたから、ではなくて 僕の意志で望んで本気でそう思っているのだと 信じて貰うにはどうすればいいんだろうね? 最初の第一歩にこの宿で君の手を引いて、 温泉へと歩を進めてみようか。] (15) 2020/12/31(Thu) 23:37:12 |
【人】 きっと教育係 キネレト[『愛されることより愛することを。 理解されることより理解することを。』 そう語った偉人がかつて居たらしい。 僕は君を愛しているつもりでいるけれど 君がくれる愛に応えられているかは日々自問してしまう。 君という人間を真に理解できているかと問われれば、 まだまだ全然足りていないと思う。 『あいしている』と言葉にしなければ伝わらなくて ただ言葉にするだけでも伝えられないような気がする。 僕が身を寄せ唇を重ねようと試みることを 君が拒むことはないのだと思い知りながら、 それでも独りよがりになっていないか不安になってしまう。 君は、 僕のありもしない神力を欲して僕を望んだ訳じゃない。 家政婦や介助者が欲しくて僕を望んだ訳でもない。 僕を僕個人として尊重して大切にしてくれている。 君に惹かれて主義さえ改めるような人は沢山居て 僕よりも機転の効く美しい人も世の中には大勢居て、 そんな中から僕を選んでくれた君に何が出来るんだろう。 僕にとって君の存在が 何よりかけがえのない大切な存在だと、 どうすれば君に伝えられるんだろう。 そう真剣に考えて行動しようとすることが 君を愛するってことに繋がると思っていた。] (56) 2021/01/02(Sat) 17:50:41 |
【人】 きっと教育係 キネレト[君にだって大変な時はある筈だ。 何でも話せる間柄になりたいと伝えてはいても 知らないうちに我慢してくれていることだって、 飲み込んでくれている不満だってある筈だ。 君の喜ぶ顔が見たいと、 いつだって心地好く幸せで居て欲しいと 力を尽くす程にどうやら君を落ち込ませてしまうらしいと 学んだのはごく最近のことだ。 君の身の回りの世話全てをこなしてしまうことが 必ずしも君の為にはならないと知っている。 まして君自身がそれを望んでいないのだから それでも行おうとするのは僕のエゴに他ならない。 『与えようとばかりして、貰おうとしなかった。 ただ相手に与えるだけではいけない。 相手からも貰わなくては。』 そう語った昔の偉人も居たらしい。 何も貰っていないどころか貰いすぎている気でいるのに、 僕は知らず知らずのうちに君を 爪弾きにされている気分にしてしまってるんだろうか。] (57) 2021/01/02(Sat) 17:50:46 |
【人】 きっと教育係 キネレト君は十分すぎるくらいに役立ってくれているよ。 君を頼れないのは決して 君を頼りにしていないんじゃなくて、 ただ、何をどうお願いすればいいのか わからないだけなんだ。 [子供たちにならあれをこれをと手伝いを割り振れるのに、 君の前ではどうしても格好付けたがってしまうのもある。 食事の買い出しや調理や後片付けも、 部屋の掃除や洗濯も半分以上が自己満足だ。 自分の行いで喜ぶ君の姿が見たいからなんて下心も満載で、 教会で普段行なっているような崇高な奉仕の精神は殆どない。 第一、春頃に比べれば 随分と楽させてもらっているつもりでいたんだが。 君の基準ではどうやらまだ物足りないらしいと知る。] 僕には君が必要だよ。いつだって。 僕は君のことが好きなんだから。 君にしか出来ないことが沢山あるよ。 例えば、僕と一緒に眠ってくれることとかね。 (58) 2021/01/02(Sat) 17:50:51 |
【人】 きっと教育係 キネレト[お手伝いがなくたって 君は生きてくれているだけで僕の心の支えだし、 きっと君が思っている以上に 僕は君を必要としているんだよ……? ……という答えが君の求めるものではないことを 今の僕はそれなりに理解している。 君も僕に何かしたいと思ってくれている。 なかなか素直に受け取ろうとしない僕を、 もどかしく感じてくれている。 いい加減それを自覚しないほど強情ではないし そうだと確信が持てる程度に君に愛されてきた。 僕が受け取ってくれる君に喜びを感じるように 君も受け取る僕に喜びを感じてくれるのなら、 僕は君の喜ぶ機会を奪っていることになるんだろう。 いつかきっとそのうちに、なんて言っていたら 計画性にも決断力にも甚だ乏しい僕は 恐らくいつまで経っても実現出来ないままだ。 尤も、君がそんないつかの日まで隣に居てくれることを 無意識に当然と思うようになっているからこそ、 ずるずると先延ばしにしてしまう面は否めない。] (59) 2021/01/02(Sat) 17:51:10 |
【人】 きっと教育係 キネレト[だから、今日、今この時から。 いっそそう決めてしまって 考えを改めてゆくべきなのだろう。けれど、] 君も僕をもっと頼って、 必要としてくれたら嬉しいな。 我儘言って困らせてくれたっていいんだ。 [君は君であまり僕を頼ろうとしてはくれないから 僕では役不足だろうかと淋しく感じることもある。 なんとなく子ども扱いされているような負い目があるから 余計に不甲斐なく感じてしまうのかもしれない。 ひょっとすると君が僕に対して感じている歯痒さも 似たようなものなんだろうか。 ならば猶更、僕はもっと君を頼るべきなんだろうね。 自分の心の中だけでは永遠に答えの出ない問いと向き合い 自分を見つめ直すきっかけをくれる君と、 これから先もずっと。 心の奥底に君が灯してくれたあたたかな灯火を、 いつまでも絶やさずに居られるように。 ──なんて大真面目に何時間も考え込んでしまう そんな時間も楽しく感じてしまう。 得体の知れない淋しさも叫びたくなるような喜びも、 君とともに過ごすようになって初めて知った。] (60) 2021/01/02(Sat) 17:51:20 |
【人】 きっと教育係 キネレト手伝ってはいけないのかい?そうか…… 僕? 僕は平気だよ。この通りぴんぴんしてる。 [何せ狼の襲撃にも耐えうる鋼鉄の肉体を 二重に持っていたらしいからな。 その割に耐えうらなかった僕の軟弱さを君は知っているから 余計に心配してしまうのかもしれない。 自分なりに気を付けてはいたつもりだったし 別段自分を蔑ろにしているつもりもない。 無茶をしているつもりも自分ではないのだけれど…… そっか、君は心配してくれるんだ。 優しい君ならそう思うよなとすとんと納得出来るのに 君に直接言われるまで愚かな僕は気付けない。] 傍目から見ても心配になる程度には 憔悴して見えていたのかな……ごめんね、 心配してくれてありがとう。 それを僕に頼む……と、いうことは 君も当然君自身を大切にしてくれるね? どうせキスするなら床や机じゃなく僕にしてくれ。 僕の大切な君もまた、 一番大切に出来るのは君なのだからね。 (61) 2021/01/02(Sat) 17:51:26 |
【人】 きっと教育係 キネレト[ところで。いまさりげなく 『わたしにとって大切なきみ』って言われた気がする。 あまりにも自然すぎて流すところだった。もう一回言ってくれ。 いやもう一回と言わず何度でも言ってくれ。 既にわかりきったことであっても、 改めて口にされると嬉しいものだ。 今日の君がそう思ってくれていても 明日の君も同じように思ってくれる保証はどこにもないと 最初の内は密かに怯えていたけれど気付けば一年経った。 今は、傲慢ながらこの先もずっと 君は僕と一緒に居てくれるものと信じて疑わない。 君が定期的に口にしてくれるなら、 僕も多少は自分の価値を見直せる気がする。] だよね。僕もそう思ってたところだ。 泳げるくらいに広いお風呂に入りたいなら、 きっと大浴場が良いのだろうけれどね。 折角一緒に来て君と別々は僕は嫌だな。 ぬ、脱がしたくなってしまった時は…… (62) 2021/01/02(Sat) 17:51:34 |
【人】 きっと教育係 キネレト[頬を赤らめた僕を見て楽しんでいそうな君に 消え入りそうな声で続けかけてはたと気付く。 確か──旅館では、食事が客室に用意されたり お布団を仲居さんが引きに来てくれたりする、と。 即ち部屋に誰かが入って来る可能性がまだあるということだ。 もし万が一鉢合わせになれば お互いに気まずいことこの上なかろうし、 僕だって君の肢体を僕以外の誰かに晒したくない。 ふむ。と顎に手を添えて 差し当たり意識をマッサージの方に全集中させることにした。] (63) 2021/01/02(Sat) 17:51:52 |
【人】 きっと教育係 キネレト[不意打ちで唇を寄せられた指先がぴくりと微かに震えた。 何もなかったみたいにすっと立ち上がる君を見て、 本当に効いたんだなと胸を撫で下ろすとともに なんだか後ろめたい気持ちになった。 君が何事もなかったように振る舞うなら、僕もそれに倣おうか。 脈を落ち着けるように小さく息を吐いて、] 温泉宿巡り……良いなぁ、楽しそうだ。 春や夏や秋の温泉も乙なものだろうし、 君と一緒に居られるなら温泉に限らず 僕はどこにでも行きたいけれどね。 君だっていそがしいだろう? 一大イベントが無事に終わったからね、 僕は暫くは落ち着けるはずだ。 [バスタオルと浴衣セットを二人分手に取って 片手で持ち、もう片方の手で君の手を引こうとして…… ふと、気付く。これも君にとっては世話焼きに入るか? こういう小さなことから変えていくべきなんだろうか。] (64) 2021/01/02(Sat) 18:04:54 |
【人】 きっと教育係 キネレト[ならば、と君にバスタオルと浴衣セットを押し付けて 旅行鞄を開き、ごそごそと漁り出す。 ええと確かこの辺に……ああ、いたいた。 君と温泉旅行に行くことになったときに 連れて行こうと密かに準備していた あひるちゃん(6)1d10匹セットを手に、 改めて君の手を握り直した。 さ、行こうか露天風呂。] (65) 2021/01/02(Sat) 18:06:32 |
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