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【人】 こどもの アルレシャ「…………アマノ!」 アルレシャは、お城の中を走り回っていました。 使用人にアマノの所在を聞くも、皆一様に首を振ります。彼等も初めての失踪者に、半信半疑なのでしょう。 「ねえ、アマノ! どこにいるの?」 アマノは大人です。子供ではありません。だから、いつかお別れがあることをアルレシャは知っていました。 けれどもこんなに早いなんて、ちっとも思っていなかったのです。 「せめて……、さよならくらい、してよぉ……」 段々と足が重くなり、ついには立ち止まってしまいます。歩くのに疲れたので、大きなクマのぬいぐるみに抱っこしてもらいました。 泣き出しそうになるのを、ぐっと堪えました。 だって、約束しましたから。 (5) 2022/01/20(Thu) 10:45:24 |
【人】 こどもの アルレシャ>>a3 スピカ 「……スピカぁ」 服の袖を引っ張る小さな手がありました。大きなぬいぐるみのクマ……に、抱えられたアルレシャです。 「…………ふたりとも、どこいっちゃったんだろうね?」 声色は沈んでいました。普段の振る舞いからすれば泣き喚いてもおかしくはありませんが、今の所その予兆はありません。 「…………アルはおそらから、さがしてくる。あったかいふく、きていくから」 メイド姿のうさぎのぬいぐるみが、コートを持って来ました。 (8) 2022/01/20(Thu) 14:42:51 |
【人】 こどもの アルレシャ>>9 スピカ 「うん、……うん…………」 そんな言葉へ縋るように、何度も頷きます。心配性なスピカのことです。本心からの言葉だと思いました。 「アルはぜったい、いなくならないよ。ケガしないように、きをつける」 煙のように現れた絨毯が、ふわりと宙に浮きました。アルレシャが上に飛び乗ると、絨毯は窓を目指して進みます。 しかし、ふと思い出したように戻ってきました。 「これあげる。アルレシャあてのおてがみだよ。 かみはいってるからー、それにかいて、ふたするとアルにとどくの。 はやくつたえたいことあったら、これにおねがいね?」 差し出されたのは、閉じる前の封筒でした。淡いピンクに黄緑が混じる、アルレシャらしい色合いです。 言う通り、中には一枚の便箋が入っていました。 (10) 2022/01/20(Thu) 18:38:50 |
【人】 こどもの アルレシャ>>11 スピカ 凄い魔法使いかはわかりません。アルレシャは、自分が使う力が魔法なのか、どんな原理なのかも知りませんから。 でも、なんだか嬉しくなりました。 「……ふふ、ありがと?」 ようやく、アルレシャも笑いました。今なら何でもできる気がします。絵本のようなハッピーエンドが迎えられるのだと、子供はいつでも信じています。 「いってくるね! スピカも、ケガしちゃだめだよっ」 そして空飛ぶ絨毯が窓から外へ、夜空を飛んで行きました。 (12) 2022/01/21(Fri) 6:27:16 |
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