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【人】 ずっといっしょ マオきょろりと辺りを見回す。 どうやらここはレグナの部屋で、マオがいつものように 布団に潜り込んだ日の朝のようだった。 「レグナ…………?」 不安げな声が漏れた。 自分はたしか、ナイフを手にとって──── もぞもぞと動く。夢と現実がごっちゃごちゃだ。 いつもの朝ならばレグナはマオの布団にされているのだろう。 (1) 2024/04/18(Thu) 22:51:41 |
【人】 ずっといっしょ マオもぞもぞ。布団から顔を出すと、ぱちっとレグナと目が合う。 「レグナ……レグナ……?!」 もぞもぞ……すりすり……こしょこしょ……。 これはあなたの服の下に手を入れ、なにかを 確認するように体中をまさぐる音である。 「……なんともない……?」 マオは体中汗びっしょりなのが、きっとあなたにも伝わる。 けれど顔色はあまりよくない。 「う、う゛ぅ〜〜……」 挙句の果てにはぽろぽろと涙がこぼれはじめた。 (4) 2024/04/19(Fri) 7:59:36 |
【人】 いつもの マオ「あ゛ぁ〜〜〜わかんない゛……やな、ゆめをみたぁ わかんないけど、なきたいきぶんなのじゃあ゛ぁ゛」 あのもしもの夢の詳細はマオだっておぼろげだ。 だのに、苦しくて、胸が締め付けられる気持ちが涙となって溢れる。 すんすん。拭かれるがまま、それだけでは雨は止みそうもない。 「ん゛あぁ〜!!れぐなぁ〜!! れぐに゛ゃぁ〜〜〜!!!!」 「ぐすっ……ちゃんと身体をマオ様に見せろぉ……」 もぞもぞ。今度は服を剥ごうとしはじめた。普段のセクハラならぬマオハラをするテンションではないようだ。確認したら満足するのだろう。きっと。 (6) 2024/04/19(Fri) 12:57:31 |
【人】 いつもの マオぐずぐずしながら、ちーんなどせぬ!と手を振り払う。 「……………………」 肌を露わにしたあなたの上半身にそっと手を伸ばす。 ぺたぺた。するり。さすさす……。その手つきは慎重だ。 余計にくすぐったいかもしれないけれど、わざとじゃない。 泣き腫らしして赤くなった目を間近に向けながらじっと観察する。 「………きれいじゃ…………なんにもない…………」 入念に調べてもなにもわからない。 なでなでもちもちしても赤が吹き出たりはしない。 ……マオはすこしだけほっと息をついた。 そもそも、なぜレグナの身体を調べたがってるのか 自分でもよくわかっていなかったのだった。 「ぅう……れぐなぁ〜」 すっかり子供返りしたみたいにぐずりながら そのままひしっと、抱きついて。頬を擦り寄せる。 「…………お?レグナ……こんなところにほくろが……」 いつの間にか目的は変わり、脇の下まで覗き込んでいる。 (8) 2024/04/19(Fri) 18:41:07 |
【人】 いつもの マオ「……………」 ぺたぺたと、あなたの頬に触れてその蜂蜜色を間近で覗き込む。 たしかにレグナの体温を感じる。あったかい。ここにいてくれる。 だけれどこれは、ひとりよがりではないだろうか。 「……ほんとに、……?」 「マオ様を置いてどこか知らないところに行ったりしないか……?」 ふわふわの髪にくしゃりとレグナの手がしずむ。 マオは逃がさないと言わんばかりに背中に手を回して、不安げに見つめた。若草色にはまだ涙が滲んでいる。 「なあ、……レグナ……マオ様に行動でしょうめいしろ……」 ぜったい、どこにもいかないって。 「じゃないと、体中のほくろ全部数えるまで寝かさないのじゃ」 わがまま猫じじいは、きっと納得するまで離さない。 (10) 2024/04/19(Fri) 21:47:30 |
【人】 いつもの マオ「むゃ……」 あなたの抱きしめる力で思わず音の鳴るおもちゃ みたいなへんな声が漏れた。 「……マオさまはやさしくあつかえ……」 そう言いながら、抱きしめられるのがすきなのが ふにゃりと液体のように身をゆだねる様子から溢れている。 「おまえのことは23ぱあせんとくらいは信じておる」 夏祭りの時喧嘩といい、今といい……今まで人間を山車にして 試練を笑ってながめていたツケでも回ってきたのだろうか。 「でも、目に見える証がほしいのじゃ…………」 すん、と呼吸をするとレグナのにおいがした。 ▽ (12) 2024/04/20(Sat) 4:30:28 |
【人】 いつもの マオ「レグナ、マオ様と一緒に住もう?」 「人間のようにお揃いの輪っかをつけて誓うのじゃ」 その輪っかがどんな輪っかなのかなんてマオは知らない。 絶対に離れない証となるようなものならなおよい。 (13) 2024/04/20(Sat) 4:36:30 |
【人】 いつもの マオ「そうじゃ」 液体のように溶けていたマオは見上げる。 レグナのりんごのように赤くなった頬に手を触れた。 「そもそも、おまえとは愛を確かめあったのじゃから もう番のようなものじゃろう…… マオさまといっしょに住むのは当然」 「それともなんじゃ?マオさまとは遊びというやつか?」 「はやくお揃いの輪っかを用意するのじゃぁ〜! 当てがないなら今から探しにいくのじゃ なくさないでかいやつがよい!」 「首輪とかどうじゃ?」 (15) 2024/04/20(Sat) 16:01:28 |
【人】 いつもの マオ「なにをりんごみたいに赤くなってるのじゃ。レグナ〜♡」 のしっ。軽い身のこなしで背中に乗った。おんぶ! 一緒に商店街にでも繰り出そうか。 ここはどちらかといえば、レグナの家の近く。 だからレグナが作り出した街だ。マオには都会は新鮮に映る。 「指につけるのはちいちゃくてマオ様がなくしそうじゃし すぐ外れそうだし、地味じゃし、あれではだめじゃ!」 「おまえがどこか遠くに行こうとしたら爆発する首輪がいいな」 (17) 2024/04/20(Sat) 19:03:52 |
マオは、もちろんマオも一緒に 爆発 する。 (a0) 2024/04/20(Sat) 19:53:33 |
【人】 いつもの マオ「そうなのか?」 もしレグナにプロポーズされた時のことを考えたみた。 なんだか背中らへんがむずがゆくなってくる。 「たまにはおまえがマオ様を照れさせてみたらどうじゃっ」 おんぶされつつ、隙あらばうしろからレグナの耳を はむっ と甘噛みしてみた。いたずら。なお、自分で歩くのが面倒なぐうたらねこじじいなので 街中でも構わずおんぶしてもらっている。 「こわくないのじゃ。遠くにいかなければいい ちょーかー? 首輪みたいなちょーかーなら良いのじゃ」 首輪っぽいなら良いらしい。 なおネックレスは引っかかったりしそうなのでマオ的にはNG。 「レグナ〜、首輪はどこにあるのじゃ?建物が多くてわからん〜」 きょろきょろと物珍し気に街並みをあちこち眺めている。 (19) 2024/04/20(Sat) 21:26:36 |
【人】 いつもの マオ「わははは! なんじゃ、今の色気のない悲鳴は。 おまえは猫か?おお、レグニャ。どうどう、よしよし」 仕返し楽しみにしてるぞ〜?と余裕をかましながら 我が物顔で上から頭をなでなでしている。 なぜかレグニャという呼び名にデジャヴを感じた。 「きらきらぴかぴかじゃ………いっぱいあるのう……… レグニャにはこの鈴がついたのが良いのではないか?」 悪戯心はとどまることを知らない。 うしろからひょいと、それをとってレグナにつけようとしている。 レグナはともかくマオは勝手に動き回ってどっかに行くので 音で目印にしたり、鎖でもついたやつで繋いでおくのが最適かもしれない。 (21) 2024/04/21(Sun) 7:47:33 |
【人】 いつもの マオ「怒鳴るのはやめろぉ…… マオ様はおまえをかわいがっておるのに〜 それならわしだって猫じゃないのじゃ! ねこじじいはゃじゃ〜〜不敬なのじゃぁ〜〜」 背中でジタバタしている。 「……でもレグナがほんとうにマオ様に似合うと言うならつけるのじゃ 」だってずっといっしょの証だから。選ぶのはおまえじゃ、と半分はレグナに任せる気満々のようだ。 ちりんと鈴の音が鳴る首輪に触れる、わるくはない。 おそろいなのでレグナも今のように鈴がつくことになるのだが。 マオにはどれが良いのか悪いのか実のところあんまりわからない。 「レグナはどれが良いのじゃ……」 離れ離れにならなくて、首輪っぽければよいのだ。 爆発は正直本気で言っていたのであったらよいなとは思っている。 (23) 2024/04/22(Mon) 4:37:26 |
【人】 いつもの マオ「レグナがそんなに猫が好きなら褒美に にゃんにゃんしてあげてもいいのじゃにゃん」 レグナが真剣に選んでいる間はひょいと背中から降りて ぺたぺたと裸足でその辺をうろついたり、近くのアクセサリーを眺めたりしていた。あらぬほうに迷い込みそうになったところでレグナに呼び止められ、そっちに向かう。 「にゃ?」 猫ムーヴしたまま、ぺったりとくっついて横から覗き込む。 「レグナがくれた髪飾りに似ておる。 悪くないのじゃ。それにしてくれるのか?」 「ついでにこっちのもおまけに買ってくりゃれ いざという時に使うかもしれん」 うろうろしている間に鎖付きの首輪を持ってきた。 いざという時とは何なのかは謎だ。 (25) 2024/04/22(Mon) 15:18:50 |
【人】 いつもの マオ指で鈴をつつくたび音がする。細かい装飾がきれいだ。 「レグナがマオ様に似合うと思ったほうにしてくれにゃあ」 プロポーズをしたのはマオのほうなのだが、完全にあなた任せにするつもりだ。腕にすりすりして、猫をしている。 口調以外そんなにやっていることは変わらないのだが。 「ん?何って……」 「首輪と聞いて真っ先におまえが考えたことじゃぞ?レグナはえっちにゃ♡ 」ひそひそと耳打ちした。そういうプレイ。 それに、どこにもいかないように繋いでもおけるから。 「やならいいのにゃ。おまえからもらった首輪でもあとからつけようと思えば鎖はつけれるからにゃ」 (27) 2024/04/22(Mon) 21:05:18 |
【人】 いつもの マオ「……………なあんじゃ、そら」 とぼけたような、だけどどこか喜色を帯びた声。 「レグナは相変わらず回りくどいのう…… おまえが選んだやつならそれで良いのじゃ」 ちりん、と太陽の鈴が揺れる。 マオはたしかにお日さまが好きだけれど あったかいのはレグナのほうだと思う。 もう一対の月の模様の鈴の首輪を勝手に手に取る。 これはマオがあなたにつけてやるのがよいだろうか。 「…………レグナ」 「わしのぷろぽおずの返事をまだちゃんときいてないのじゃ」 こうして選んでくれているのがなによりの返事なのはわかっているのだけれど、マオははっきりと言われないと実感できない性分だった。 「なんじゃ、ホントに考えたのか……」 「………爆発は上品さがないからべつのを考えるのじゃ……」 きまぐれだから、結局なにもつけられることはないかもさはれない。 それよりも今の脳内は帰ったら全裸に首輪だけつけて待ち構えてやろうかと目論んでいた。 (30) 2024/04/23(Tue) 8:47:33 |
【人】 いつもの マオ「…………うん。 もうわかったのじゃ……」 いつも照れるくせに、こういう時だけ真面目な顔して言うんだから。 ちょっとだけ、手惑いつつもチョーカーをつけてやった。 あなたの首元で月の鈴が揺れている。 レグナもそういう風情とか気にするのじゃなぁと余計なことを言いつつ、素直に待っていた。 「わししか見ないのだから絵面など気にする必要なんかないのじゃ……」 今は何処かに行くつもりがなくても、この先何が起きるかわからないと……マオはなぜか理由のわからない不安が胸の片隅にある。 ここはなんでもかなうずっと幸せな世界なはずなのに。 めずらしくレグナにひっぱられて着いていった先は マオも知らない青空の広がる高い場所。吹き抜ける風が気持ち良い。 「どこまで行くのかと思えば……ここが風情とやらのある場所か?」 改まって連れてこられるとなんだかそわそわしてくる。 マオは空を見上げた。 (32) 2024/04/23(Tue) 15:20:21 |
【人】 ずっといっしょ マオ「……うむ。この場所もくつろげるところが あったら最高なくらいよい景色じゃ」 飛行機雲が一直線を描いている。 マオがいつも落ちている山も、空がよく見えるから少し似ている。 違うところといえば自然の割合くらいだ。 「……………もっと、ほしい」 蜂蜜色を見つめ返し、いつものように指を絡めて手をぎゅぅと握る。 ほんのりと頬に、あなたへの視線に熱を湛えて。 「もっとマオ様が喜ぶ言葉で言え。喜ぶことをしろ」 「……その、契りを交わす時の誓いとやらは他になにをする?」 「病める時も健やかなる時も、共に過ごし、マオさまをやさしく可愛がり甘やかしお世話をすることをマオ様に誓うか?」 神など、ここに自分がいるのだから不要だと言わんばかりに。 あなたの首元にそっと顔を寄せ、その月の鈴に口づけを落とす。 「わしは誓うのじゃ」 「ずっと、ずっといっしょなのじゃ。レグナ……」 (35) 2024/04/23(Tue) 21:27:53 |
【人】 ずっといっしょ マオ「マオ様とレグナがこれからすることくらい知りたいのじゃ。 これくらい、ふつうじゃ。 ……レグナはわしのじゃ。ずっとわしのじゃ」 「うそついたら。爆発なのじゃ」 上から、下々の文化に興味を持つ神さま気分のつもりなのだろうが、人の……レグナに近づこうとしているのが背伸びに見えてしまうのだろう。 熱を伝え合うように見つめ合う。 やわらかな唇が触れ合い、マオは目を閉じてその幸せに浸るように、今はしずかに受け入れている。誓いは交わされた。 ずっとこうしていたいくらい、しあわせだ。 (37) 2024/04/24(Wed) 14:02:36 |
【人】 ずっといっしょ マオ「レグナ〜……」 まだすこし名残惜しそうにひしっとあなたにすり寄る。 マオが動くたびちりんと鈴が鳴っていた。 「気が早いのじゃ〜。そんなにマオ様と暮らしたいのなら 仕方がない。いっしょに行くのじゃ」 のしっ。また急に背中にとびつく。 マオ様はおんぶを所望している。 「のう、レグナ。いっしょに住む家はあたらしく建てさせるのじゃ。ここみたいに高くて、空がよく見えるとこで、おまえの飛行機も止められる家じゃ」 どうじゃ?なんて夢を語る弾む声が帰り道に響く。 (39) 2024/04/24(Wed) 17:34:38 |
【人】 ずっといっしょ マオ「山の上ならどんなビルよりも高いのじゃ…… 空気はうまいし、星もきらきらじゃ。原っぱで日向ぼっこもできる もちろん、マオ様のベッドはおっきくてふかふかじゃ」 ぺったりとあなたに掴まり身を委ねて、頬を背にくっつける。 ちょっと街に出てきただけなのに、なんだか疲れたみたいだ。 「家が建ったらおまえの家族や村のやつらを呼んで 派手に祝うのじゃ。天下のマオ様といっしょになったなんて 大ニュースなのじゃ……たのしみなのじゃ」 特に深いことも考えないまま、希望をむにゃむにゃと語る。 「……レグナ、だいすき……」 やな夢を見て苦しい思いをしたこともすっかり忘れたように レグナの背中であたたかい体温と、しあわせを感じながら マオは目を閉じた。今はよい夢を見れそうだ。 (41) 2024/04/24(Wed) 21:00:58 |
マオは、レグナと、これからもずっといっしょだ。 (a1) 2024/04/24(Wed) 21:01:55 |
マオは、最後にそう言って眠った。 (a2) 2024/04/24(Wed) 21:06:13 |
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