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【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙 [だって、ほら。 俺は「リカちゃんパパ」なんだから。 一夜明ければシンデレラも家に帰るだろ? ならせっかくの舞踏会。 踊り明かさなきゃ勿体ない。] (260) 2021/07/04(Sun) 3:02:17 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ホテルの外に出てタクシーをつかまえると 千由里と一緒にアクアリウムへ向かう。] 僕も久しぶりなんだ、アクアリウム。 水族館は昔付き合ってた彼女と一緒に 美ら海水族館行ったなぁ…… ジンベイザメがでっかくってさ。 [道中、そんなことを話したろう。 俺から千由里の「恋」の話も尋ねたりして。 だってこんなところに来てまで 「普通に幸せな恋」を求めるのって なんだか不思議な感じがしたからさ。 アートアクアリウムには 流石にジンベイザメはいなかったけれど、 一歩薄暗い館内に足を踏み入れると 大きな掛け軸を模した水槽の中、 黒い琉金がゆらゆらと長い尾を揺らしていた。 アートとアクアリウムの融合を謳うだけあって 見た目も美しい様々な金魚たちが光を纏い 趣向を凝らした水槽の中で泳いでいる。 二人で手を繋いで歩いていても この時期に長袖の千由里に誰も振り向かない。 周りのカップル達と同じように 俺たちふたり、恋し合ってるように見えるのか。] (261) 2021/07/04(Sun) 3:02:52 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙ちゆ、はぐれないようにね。 [腕から指先までをしっかり絡めていれば はぐれるわけもないのに、 ついそんなことを言ってしまう。 途中、上開きの水槽の中に指を入れた 幼稚園くらいの子どもが、 こっぴどく母親に叱られていて…… 悲しげな、子ども特有のきりきりとした泣き声が 暗い館内に響いていた。 それを聞けば、つい、千由里と繋いだ手に きゅ、っと力が入る。] …………ごめんね、子どもが、苦手でさ。 [他の施設よりは子どもの来場者は少ないようだが それでも決してゼロじゃない。 ほの明かりに照らされた千由里の横顔に へにょ、と眉を下げてみせて。] (262) 2021/07/04(Sun) 3:11:25 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙……ずっと僕だけ見てほしい、っていうの やっぱり無理な話なのかなぁ。 [ぽつり、弱音を吐いてしまった。 既婚者で、子どももいるってこと 明言も匂わせもしたくなかったはずなのに。] ……ちゆは、もし、幸せな恋をして…… その先、どうするの? 結婚が、したい? それとも、子どもが欲しい? [この子の目は、何を見すえているんだろ、って なんとなく聞きたいけど、聞くのが怖い。 でもつるりと滑らせた口はそのまま 押し込めていた疑問を吐き出してしまった。] (263) 2021/07/04(Sun) 3:23:20 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[つい、じっと千由里の目を覗き込んで 問い掛けてしまった。 視界の端では、万華鏡の景色みたいに 金魚たちの長い尾が揺れている。 その美しさを表現するためだけの 狭いガラスのケースに押し込められた魚は 可哀想なのに、どうしてか魅惑的で。 人の流れに逆らい足を止め 俺は傍らの千由里の答えを待つ。]* (264) 2021/07/04(Sun) 3:38:35 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[道中たくさん話しをした。 コンビニレジ横のカフェラテ、 何処のが好き?俺はエブリーマートかな、とか。 近所にコーヒーのうまい喫茶店があって 夏の間はコーヒーかき氷を出している、とか。 年齢を聞かれたら32、って普通に答えるけど 千由里とはほとんど干支一回り離れてるって事実は 俺の官能を甘く刺激するだけだろう。 ドライブばかり連れ出す彼女の元カレは 車好きじゃないなら、きっと俺と同じ。 誰も俺たちを知らない世界に行きたくて 二人きりでどこまでも。 もちろん俺は千由里を責めない。 そうなんだ、とこくこく相槌打つだけ。] (283) 2021/07/04(Sun) 14:09:35 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[感動したような声を出す千由里に手を引かれ 人波を縫って歩く。 無邪気な顔がネオンに照らし出されて しっかり繋いだ手を時折振り返ってくれるのが 本当に子どもっぽいのに、全然嫌じゃない。] うん、可愛い。 [繋いだ手を揺らして、微笑む。 目は金魚じゃなく、千由里に向けて。 誰にも咎められない二人きりの世界を 子どもの声が切り裂いていく。 千由里が手を引いて、親子連れを追い抜いて そうして世界に静寂が戻った頃、 千由里はへらりと笑って言った>>269] ……意外。 [俺は目をちょっと見開いて、 それから強ばった頬を少し弛めた。 なんか子ども向けの用品店の販売員とかでも おかしくないかな、ってちょっと思ってたから。] (284) 2021/07/04(Sun) 14:10:05 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうして、俺が吐き出した弱音を 千由里は受け止める言葉を返してくれる。 俺だけを見ててくれて 俺だけを愛してくれて ずっと一緒でいて幸せなら、本当にいいのに。 だから、聞いたんだ。 その目で夢見るその先を。 子どももなく、 夫婦という枷もなく、 ただお互い一緒にいるだけ。 笑って、そんな答えを返す千由里の頬に 俺は黙って手を添えて───── そっと唇を重ねた。] (285) 2021/07/04(Sun) 14:10:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙……もっと早くちゆに逢えてたら良かったのに。 [神様は本当に意地悪。 覗き込んだ千由里の目の中には アクアリウムの照明に照らされた 悪い大人の顔が写ってた。] (286) 2021/07/04(Sun) 14:10:56 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[アクアリウムを抜けて、 せっかくだから、と近くのカフェに立ち寄った。 小さな店内にはコーヒーの香りがたちこめて 口コミによると夏季限定フラッペが人気だとか。 俺はアイスコーヒーとレモンケーキ。 千由里には、俺が誘ったんだから、と 好きなものを選んでもらおう。 ─────ああ、若い子って真っ直ぐだな、とか 感性が瑞々しくて、まるで熟れた桃みたいだ、とか 話しながらも、徐々に俺は焦がれてく。 ハグをして、キスして、デートまでして、 でも今夜はそこから先が確約されてる。 男なら、デートで一番テンションが上がる日。 さてその長袖の下の素肌は どんな肌触りがするだろう……。 想像するだけで、酸いものを頭に描いた時のように きゅっと歯茎の付け根が疼くよう。] (287) 2021/07/04(Sun) 14:16:27 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙ねえ、ちゆ。 [向かい合った席に手を伸ばし 重ねた千由里の手の甲を撫でて、尋ねる。] ここは、さっきよりも静かだけど…… もっと、二人っきりになれる場所、行かない? 君をもっと、知りたくてさ。 [色を含めた目で、それがただの 喫茶店のハシゴじゃないのを伝えながら 俺は千由里の意志を確認する。 けど、ちょっとマズったかな。 早計が過ぎたかもしれない。 他に千由里が行きたいところがあれば もちろん付き合うつもりだけれど、 果たしてなんと答えてくれるか。]* (288) 2021/07/04(Sun) 14:26:15 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[期待の色は裏切られず、 肯定の言葉と共に、掌をすう、と撫でられて 思わず背筋がぞわりと逆立つ。] うん、もちろん。 [無邪気な問い掛け>>304に目を細め 湧き上がる情動を鎮めるように、 冷たいコーヒーを喉へと流し込む。 お揃いのレモンケーキの、 皿の端についたクリームまで 綺麗にきちっと平らげたなら また手を繋ぎ合わせてホテルへと帰ろうか。 ちょっとこのドキドキするような、 甘いひとときが好きだ。 タクシーに乗ってホテルまで向かう時の 互いの期待を胸に秘めあったまま でも、望むものは同じ、みたいな。] (311) 2021/07/04(Sun) 21:50:02 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[今度はちゃんと、ホテルの部屋へと足を進めると 広々とした空間が視界の端から端へ拡がっている。 大人二人が並んで大の字で寝ても余りあるような 大きなベッドだけじゃなく、 ゆったり寛げそうなリビングまである。 生活臭からかけ離れた、上質な空間。 つい、深呼吸しちゃう。] ちゆ。 [ここでキスでもしようかな、って 思ってたんだけど……ふと思い付いて 俺は悪戯っぽい笑みを浮かべて、言った。] ……ただいま。 [ここは俺たちの家であり、 世間から逃げるように帰ってきた 二人だけの愛の巣……っていうごっこ遊び。 そういやデキ婚だったから、新婚生活なんて無かったや。 千由里をまた思い切り抱いて、 微かにレモンの味が残る唇を吸えば 「ああ、本当にこんな新婚だったら良かったのに」 って、またちょっと思った。] (312) 2021/07/04(Sun) 21:50:55 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[性急だと言われたら 「余裕無くてごめんね」って眉を下げて謝るし 何も言われなければ、ただただ 相手の形を確かめるよう、千由里の背に 回した腕で、体の輪郭をなぞっていく。 軽いキスの雨を何度も何度も降らせながら 目を閉じても、もう子どもの声は どこからも聞こえなかった。] ちゆは……僕の何が知りたい? [口付けの合間に、まつ毛の隙間からじっと 彼女の顔へと視線を向けて問う。] 血液型?それとも星座? 出身校とか、それとも…… 僕がどうやって、人を愛するか、とか? [何を教えたら、彼女はよりより 俺の方を向いて、このひとときを より情熱的に過ごさせてくれるだろう。 千由里の手を、俺のTシャツの左胸に導いて フードの下で解れた髪を、そっと耳にかけてあげる。] (313) 2021/07/04(Sun) 21:51:19 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙分かる?ドキドキしてるの。 [掌じゃ分からないなら、耳を寄せてもいい。 それでも分からなければ、 もっと深いキスを受けて欲しい。] (314) 2021/07/04(Sun) 21:51:44 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[このままバスルームに二人で なだれ込んでもいいんだけれど、 装わない、素のままの千由里を じっくり味わってもいい。 長い口付けから彼女を解放して 俺は唾液で絖った唇を持ち上げる。] ちゆ。 [「君をもっと見せて。」 そう、唇の形だけで乞う。]* (315) 2021/07/04(Sun) 21:52:08 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙 [「ただいま」って帰ってきても 「おかえり」って言ってもらえないんだ。 「ミックス卵やめてって言ったよね」 「低脂肪乳じゃないやつ、ってもう忘れたの?」 「梨花寝てるんだけど」 「連絡遅いって毎回毎回言わせないで」 だからそのうち、言わなくなった。 でも、文句は変わらず増えていった。] (331) 2021/07/05(Mon) 4:15:09 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[ドキドキしてるのは一緒だ、と 導かれた指先に、千由里の膨らみが触れる。 薄い皮膚の下にある骨の、そのまた奥に どくどくと脈打つ心臓があって、 でもそこにはまだ触れられない。 もっと見せて、と奥に踏み込もうとしたら 質問で通せんぼ>>320 千由里の指先が、指輪の跡をなぞる。 別に好きな人がいるでしょ、って。 それでも一番になりたい、って。 千由里の視線はそう言う。 ─────そうだね、俺は君にまだ 「愛してるよ」なんて言ってないもの。] ……本当に、本当に、愛し合ってたら、 きっとこんな場所まで来てないよ。 [困ったみたいに眉を下げ、 俺は宥めるような声を出す。 そして、離婚したとかじゃなく 本来帰るべき場所があるのを暗に認めて 俺は千由里の髪を一筋絡めて 甘い香りのする毛先にキスを落とした。] (332) 2021/07/05(Mon) 4:16:21 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙家にいると、ね。 まるで自分が透明な何かとか、 もしくは捨て損ねちゃった粗大ゴミみたいに なっちゃったような気分になるんだ。 僕はちゃんとその場にいるのに。 辛くて、寂しくて、 受け止めてくれる誰かが、欲しくて。 [脳裏で絵美が「何もしてないくせに」と嗤う。 それを黙殺して、俺は顕になった 千由里の額に唇を押し当てた。] ……僕は、受け止めて欲しいだけ。 でも、それでいて更には ちゆの一番になりたい、なんて そんなの、わがままだって思ってる。 [額から瞼、頬へと徐々に口付けを下ろしていって…… もう一度、拒まれなければ唇にキスをして。] (333) 2021/07/05(Mon) 4:16:55 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙どうすればちゆに伝わるかな。 ……なんていえば、伝わるかな。 胸がドキドキしてるのも同じ、 キスもして、ハグもして…… それでもまだ足りないなら。 [例えば今すぐその脚を押し広げて、 雄を捩じ込んで、その胎の奥の奥で 埒を明け、胤を撒き散らかして その時やっと一言「愛してる」などと囁けば 君はそれを鵜呑みにしてくれるのか。 その先に、「愛」は芽吹かなかったというのに。 ] (334) 2021/07/05(Mon) 4:18:35 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうして、お風呂に行こう、と 俺を掴んだ千由里の手を取り その薬指にやんわりと歯を突き立てた。] お風呂は、後にしようよ。 [じっと千由里の目を見つめて 俺は小さく乞う。 彼女の指に出来た歪な指輪の跡を 舌先で優しく慰めながら。] 俺は、綺麗じゃなくてもいい、 そのままの千由里を愛したいから。 だから、今の俺から離れないで。 一番俺の事が好きな千由里でいて。 [そう願ってしまう俺を、 君は卑怯者だと突き放せるのかな。] (335) 2021/07/05(Mon) 4:20:33 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[もしそれでもお風呂に行きたいって言うなら 別に無理強いはしない。 (千由里じゃなくて俺が入るべきなのかもだし) でも、このままベッドに千由里を運ぶのを 許してくれたら、きっと俺はうっそりと微笑んで 「そういうとこ、好きだよ」って耳元で囁くだろう。 そうして仰臥する千由里から 俺が手ずから靴を脱がせて、 顕になった爪先を口に含んで愛撫したい。 そのままの君を愛してるって証のために。]* (336) 2021/07/05(Mon) 4:30:26 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[言い放った卑怯な台詞も 責められることなくすんなりと受け入れられて もう何度目かになる「好き」が返ってくる。 でも言われる度に、胸の奥がムズムズして 塩水ばかり呷らされて乾いた喉を 瑞々しい「好き」が満たしてく。 可愛くて、若くて、家の匂いがしない子が 俺の事でいっぱいになっちゃう甘露が。 華奢な体を抱き上げて ふわふわのベッドの上に載せると その上に伸し掛るように這い上がる。 二人分の体重が掛かってもベッドは 雲みたいに音一つ立てやしない。 ハイヒールをひとつひとつ、 丁寧に脱がして床へと置いて そうして両足とも裸足になったなら 右の足の爪先から咥内へと招き入れた。 小さくてキャンディみたいは爪先の爪から 指の付け根へと舌を滑らせる。 一日歩いた足だけど、別に臭くも汚くもない。] (381) 2021/07/05(Mon) 21:30:58 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙汚くないって、言ったでしょ。 [足の指を離した舌を、土踏まずまで つう、と滑らせながら 俺は千由里を足越しに見下ろして笑う。 草むらの野いちごみたいな、 野性味溢れる官能が口の中に溢れてく。 湧き上がる愉悦を口元を緩ませて 両足とも、千由里の足を清めていく。] (382) 2021/07/05(Mon) 21:31:20 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙[そうしたら、千由里の手が 俺のTシャツの中に滑り込んできて、 裸の肌に触れていく。] ……そうだね、俺も見せないと不公平だ。 [悪戯っぽい笑みと共に 俺はベッドに膝立ちになったまま 自分のシャツの裾に手をかけて ばさり、と放り投げる。 週3のジム通いで、うっすら皮膚の下に 筋肉の隆起を浮かせた肉体を露にして さあ、次は……って千由里に向き直った矢先。] (384) 2021/07/05(Mon) 21:31:48 |
【人】 リカちゃんパパ 敷島 虎牙…………? [不安を浮かべた目に、首を傾げていると 千由里の腕が顕になる。 白い腕に何度も刻まれた 痛々しい「寂しい」の痕跡に 俺は一瞬息を飲む。 女の子の汚れのないまっさらな肌の上の 消えない傷に、今しがたの淫猥な雰囲気が すっとなりを収め、代わりに湧いてきたのは 「ああ、この子もおなじなのか」って───── ] (385) 2021/07/05(Mon) 21:32:16 |
【人】 敷島 虎牙ちゆ。 [小さく震える千由里に声をかけて 傷のたくさん刻まれた方の腕を取って そこへもねろりと舌を這わせた。] あまい。 ……アイスクリームみたい。 [にやにやと笑うでもなし、 何か神聖な儀式みたいに ぷっくりと肌の上に浮いた傷の凹凸を 味蕾の上で確かめていく。] 自分が不確かな時って、あるよね。 自分がここにいるのか、自信なくなっちゃって。 [そんな時、自分を受け止めてくれる人の存在が どれだけ愛おしいかも、俺は知ってる。] (387) 2021/07/05(Mon) 21:33:16 |
【人】 敷島 虎牙……でも、今ここにちゆと一緒にいる俺は その不安な気持ちを知っている。 おそろい。 [傷の一つ一つを確かめ、その上にキスしても 悲しみも苦しみも癒えやしない。 結局、傷の舐め合い、って思うかもしれないけど] ちゆ、まだ傷は痛い? [俺は千由里の目を覗き込んで尋ねる。 傷の全てにキスをしたなら、 改めて、千由里の頬に手を添え 優しいキスをひとつ。] 今は、今ここにいる俺は 全部ちゆのものだから。 俺の「寂しい」も、「愛おしい」も。 だから、ちゆの「寂しい」も 今は一旦、俺に全部頂戴。* (388) 2021/07/05(Mon) 21:33:54 |
【人】 敷島 虎牙[別に慰めでもなく、偽りでもなく 舌を滑らせた肌は甘かった。 ちゅ、と吸い付くと時折ほろ苦い鉄の味がして それがまた舌を楽しませてくれる。 それを説明する代わりに、 赤を肌に刻むように、強く強く吸い付いた。 「優しい」大人の顔のまま。 千由里の冷たい手が、火照った身体の上を滑ると 背筋がどうしようもなく ぞくぞくしてたまらなくなる。] 俺は、好きだけどね。 [弱いところを全部無防備に さらけ出しすこのひとときは まるでセックスにも似ていて] ……いいじゃん。 [千由里の腕をを最後にひとつ舐めて そう笑って見せた。] (454) 2021/07/06(Tue) 18:35:13 |
【人】 敷島 虎牙めんどくさくて可愛くなくて 寂しがりのどうしようもないちゆでも 嫌いになったりしないよ。 [何度目かのキスを受け止めたら また何度目かの俺からのキスで返す。 可愛くて、可哀想な俺だけのちゆ。 もう子どもの声も、妻のため息も 何処からもそんなの聞こえなかった。] (455) 2021/07/06(Tue) 18:35:36 |
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