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【人】 地名 真昼[先生に相談したことはあるか。] …………無駄、なんだよ [薄く笑い、諦念を口にしたところで、自宅に届く。 年季の入った平屋戸建ての村営住宅。 学校よりなお粗末な佇まい。 続きは中で、と鍵を開けて招き入れる。] (4) 2020/11/28(Sat) 16:35:16 |
【人】 地名 真昼[扉を開けたらすぐ台所だ。人気は無い。 食卓の椅子を一つ引き、座るよう促すと 救急箱を探してきて、彼の足元で膝をついた。] ……夜端くんのことは、村中のひとが知ってる お巡りさんだって怖がって、誰も逆らえない この村を表で支え、裏をも掌握する ニノマエ家の人間だから [服を捲り上げ、また痛ましげに顔を歪める。 そこには靴底の痕がくっきりと残っていた。 そっと、冷えた指で撫ぜるだけでも、痛がるだろうか。] (5) 2020/11/28(Sat) 16:35:32 |
【人】 地名 真昼[もし彼が更なる説明を欲するなら、 ニノマエ家が観光資源のないこの村に 唯一ある工場を経営する家であること。 村人の大多数が工場に関わる仕事で 生計を立てられていること。 金貸しや危ない影の仕事も負っていて 過去に返金できなくなったり逆らった家は 何れも凄惨な結果を迎えたらしいこと。 それらの事実を教えよう。] (6) 2020/11/28(Sat) 16:35:45 |
【人】 地名 真昼[ぺりりと冷湿布の裏紙を剥がし、 残る痕の上に貼り付けた。 すぐに傷が癒えるわけも 痛みが消えるわけもないけれど 出来る限りのことをすれば 床にぺたりと腰を下ろしほっと息を吐く。] ……、僕と夜端くんは 半分だけ血の繋がった兄弟なんだ 母さんと二人でこの村に来てすぐの時は ニノマエのお屋敷で一緒に暮らしたこともある 追い出されちゃったんだけどね 先生たちは、家庭内の問題だからって理由つけて 取り合ってくれないんだよ [彼の行いは学校中、否、村中が知っている。 大人も子供も、誰もが加担をするか、見て見ぬフリ。 それは同居の母親とて同じこと。] (7) 2020/11/28(Sat) 16:36:25 |
【人】 地名 真昼[救いのない現実を教えた上で 再度伝える。] もう忘れ物しても、取りに戻ったらダメ 学校が終わったらすぐに帰るんだよ ……怖いものが出る前にね [加害に加わらない他の級友たちと同じように。 狙いは真昼ひとりなのだから 痛みを知るのも自分ひとりだけで良いと突き放す。 安心させるように淡く微笑みを浮かべて。] (8) 2020/11/28(Sat) 16:36:43 |
【人】 地名 真昼[それらの言葉には根拠がない。 理非がない。 何より彼には、利益がない。] ……っっ [向こう見ずの勇気だから 真っ直ぐに突き刺さる。 顔の皮膚がビリビリと痺れる。 胸の奥、深いところが震え、手足へと伝わり、 元の震えを強めることとなった。] (76) 2020/11/29(Sun) 20:04:47 |
【人】 地名 真昼[頭を倒し、彼の肩に埋めた。 教室のときとは逆向き、正面から。 二人の間、重なる手の上に ぽたりとあたたかな雫が落ちる。] ……僕の、そばに 居てぇ……っ [――暫し、その体勢に甘えさせて貰っただろう。 肩を揺らす嗚咽が収まり また明日、と彼を帰すその時まで。] (77) 2020/11/29(Sun) 20:05:02 |
【人】 地名 真昼── その後 ── [食事が始まる時間も終わる時間も把握している。 団欒の終えた頃合い、ニノマエの屋敷の裏口に呼び出し 緊張を隠せていない顔が近づいて来るなり 喉を強く押し壁に叩きつけた。] ……、蹴った時、態と巻き込んだよね これはおかえしね べつに怒ってないけど [怒っていないのは事実。 寧ろ歯向かうことを覚えたのだから 褒めてやりたいくらいだけれど それはそれとして躾は必要だと思うのだ。 どちらの立場が上なのかを、忘れさせぬ為に。] (79) 2020/11/29(Sun) 21:51:41 |
【人】 地名 真昼[引っ越して来る前、母さんは店の客を 毎日のように家に連れて帰ってきた。 体を売ってお金を貰う為で 僕に相手をさせることもあった。 客じゃなく、同僚を連れて来る日もあった。 前も後ろもよくわからないまま初体験は過ぎた。 相手をする頻度は次第に上がっていき 複数人まとめて、なんて日もザラになっていった。 母さんも隣の部屋か、同じ部屋で客の相手をしてた。 一度に沢山相手にした方がお金がたくさん貰えるから 僕もそれは効率的だなと思った。 客は勝手気ままに振る舞った。 ヤりながら殴られたり煙草の火を押しつけられたり ブッ飛ぶクスリを注射されたり――、 そんな非常識こそが僕にとっての常識。] (107) 2020/11/30(Mon) 9:46:59 |
【人】 地名 真昼[置かれた環境が世界の全てで 拒絶をするすべも発想もないまま完璧に順応した。 母と己が毎晩相手を変えて行っているのが 本来子を成すための行為だと知ったのは 身体がすっかり快楽を覚え切ったあとのこと。 ご飯を食べるのと水を飲むのと同じくらい セックスは日常に溶け込んでしまっていた。] (108) 2020/11/30(Mon) 9:47:09 |
【人】 地名 真昼[母さんは、お金が大好きだ。 DNA鑑定の結果と共にこの村にやってきて 僕らの世界は変わってしまった。 食べたことないような美味しい食事。 トイレと別にある泳げるくらい広いお風呂。 柔らかくてふかふかのお布団。 父と弟は、あたたかく僕らを受け入れてくれた。] (109) 2020/11/30(Mon) 9:47:17 |
【人】 地名 真昼[僕には物足りなかった。 客が帰り色んな体液に塗れてくたくたのへとへと 今日もよくがんばったねって掛けられる労いの声と 頭を撫でてくれる掌こそが親から貰える愛情。 他では、ダメなんだ。足りないよ。] (110) 2020/11/30(Mon) 9:47:40 |
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