103 【身内RP】森奥の工房【R18】
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| [曖昧な返事をすると、装具士殿が首を傾げた。 >>3:20 苦痛に苛まれていることは 身内に知られてはならぬ故隠してきた。 ついぽろりと漏らしてしまっていたが……、 あれは患者に向き合う彼の真摯な雰囲気が 自分をそうさせたに違いない。 憐れまれたいと思ったこともなかったが、 何十、何百の実例を見てきただろう 彼の前で偽った所で、無駄なのだろう。 やりにくいような、こそばゆいような。 何とも言えない気持ちが同居する。 不思議と、これも嫌ではなかった。] (3) 2021/11/12(Fri) 21:59:12 |
| [眼鏡の奥の瞳が細められたかと思うと、 >>3:22 二人きりの部屋に、彼の声がよく通った。 どこか、祭りの前のような、 浮ついた空気がなくなった気がする。 彼の中でどんな変化が起きたのか まるで見当もつかない。 だけれど、二週の 後────、 この工房で心から信用して 彼に身体を預けている自分の姿を はっきりと瞼の裏に描くことが出来た。] (4) 2021/11/12(Fri) 21:59:25 |
| [彼がしてくれた包帯は とても綺麗に巻かれていた。 手先が器用なのだろう。 撫でると、彼が息を呑んだ気がした。 >>1] ? [突き刺さる視線の理由はわからない。 確り巻かれているから丈夫そうだが、 触り過ぎて崩してしまいたくないから、 ひと撫でした後、手は下ろした。] (5) 2021/11/12(Fri) 21:59:52 |
| [一度断った包帯を巻く練習を 再度勧められれば >>2 それはそれは嫌そうに、顔を顰めた。 彼の言動が不快だったのではない。 見ていただけで心得たと豪語する男が 信用を得られぬのは当然。 考えたのは、「お連れ様」たちのことだ。] あやつらを呼ぶのは勘弁してくれ 断じて悪いものではないが 大……っ変に、煩わしいのだ 着替えだの何だのと、矢鱈と手伝おうとしてくる 包帯など預けようものなら 奪い合い殴り合いの末、目を輝かせた勝者に 俺は全身を巻かれてしまうだろうよ [やれやれといった風に言い終えると、 悪戯っぽく笑って、右目でウインクした。 大袈裟に言ったが、後半は冗談ということだ。] (6) 2021/11/12(Fri) 22:00:15 |
| [着替えも湯浴みも、彼らには一つとして手伝わせない。 包帯も今日からそこに加わった。]
俺は世話を焼かれるより焼く方が好みなのだ 自分のことは極力自分でやりたい
どれ、やってみよう
[二度同じ提案を口にさせてしまっていた。 装具士殿に心配を掛けるのは本意ではない。 今度は素直に従って、包帯へと左手を伸ばした。 量の多い睫毛が、頬に影を落とす。 彼が綺麗に巻いてくれたのを解いてしまうのは、 矢張り、勿体無い気がしてしまって。 瞬きふたつ分見つめてから、巻き終わりに指を掛けた。] (7) 2021/11/12(Fri) 22:01:36 |
| [白布を剥がしきると、一端を歯と歯で咥えた。 押さえる手がないので代わりだ。 左手を動かして、巻き付け、先ずは傷口を覆い隠した。 一度上にゆき、二の腕を一周させると、 咥えていた端を巻き込んで、腕先に向かって巻いていく。 彼の言葉 >>3:11を思い出し、 進むにつれて力を加えるようにするが、 自分でやると遠慮がない分、強くやり過ぎる。 二度ほど戻って緩めて巻き直すことをして、 概ね巻き終えると、顔を上げた。] 始まりで短くなった分終わりも変わったな これはどこにやるのが良い? [包帯の端を託そうと彼に向け訊ねた。 強めに押し付けるだけで留まるのは憶えているが、 咥えて長めにとって始めた分、 終わりの位置も角度も変わっていた。] (8) 2021/11/12(Fri) 22:01:53 |
| [……そんなのは、口実に過ぎない。 一度は崩してしまった包帯。 その仕上げだけでも、して欲しかったのだ。
彼の手で。*] (9) 2021/11/12(Fri) 22:02:19 |
| ああ、ああ、そうしてくれ [仲間を呼ぶ話を早口にて終わらせると、 噴き出した装具士殿に、したり顔をした。 彼もこの様に笑ったりするのだ。 >>10 周囲の人間を楽しくするのはすきだ。 どこか、使命感のように感じてもいるが……、 彼の表情が変わるのを見られると、 此方の心まで踊るようだ。] (16) 2021/11/14(Sun) 11:02:55 |
| [大仰に言うところがあるので 依頼の際は鹿狩りを 引き合いに出したが……、 男なら片腕のいまでも 狩れないことはないだろう。 弓を引ける腕が欲しいのは 理由の一つに過ぎない。 腕がなくなる前と後とで 自分の本質は何も変わっていないというのに そう考えてくれる >>1:2者はおらぬようで なくした腕を口実のように使われ まるで壊れ物かのような扱いをされるのが 何より嫌だった。 尊厳を取り戻す。 ────それこそが、真の目的だ。] (17) 2021/11/14(Sun) 11:17:25 |
| [託した包帯の先は受け取られ、 説明とともにつけて貰えた。 >>13 薄布越しに撫でてくる指を感じ、 柔らかく目を細める。 温かく感じられるのは、 包帯の持つ効果 >>3:10だけだろうか。 いいや、それだけではない気がする。 ここに宿った彼を連れて行こう。 日の下を駆け、街を歩き、星の夜を憩う。 その間、ずぅっと一緒だ。] (18) 2021/11/14(Sun) 11:17:42 |
| [賛辞は当然のように聞いた。 >>14 替えの包帯を取りに行く前の彼が やけに嬉しそうだったのは……、 見間違いではないだろう。 焚き火に当たっている時のような 柔く温かい熱が 胸の内に拡がっていくのを感じた。 戻ってきた彼から差し出された二袋は 有り難く左手で纏めて受け取った。] 二週の間、欠かさず交換しよう ……今日はこんな所だろうか? 先の依頼の邪魔をしては悪い 他にないようであれば 我々は早々に去るとしよう [長居は無用であるが、 段取りがわからぬゆえ訊ねた。*] (19) 2021/11/14(Sun) 11:25:21 |
| うむ [今日の用事はここまでらしい。 次回を万端に迎えてくれると言う彼に 鷹揚に頷くと、 >>22 脱いでいた服を身につけていった。 包帯の入った袋を手に彼を見れば 黒い外套を纏っていた。 金の糸で複雑な文様が刺繍された 派手な己のチャパンと見た目は対照的だ。 よく似合っている。 その彼に続いて建物の外へ出た。] (24) 2021/11/14(Sun) 22:32:38 |
| ああ 貴殿も食事を疎かにし過ぎぬように [送りの言葉 >>23を感謝の念とともに受け取り 一つ声をかけると、 愛馬に近寄り、そのまま流れるように 地を一蹴りして背に跨った。] (25) 2021/11/14(Sun) 22:33:05 |
| [仲間と幾つか言葉を交わして先頭に立つと、 草を食んでいた家畜たちが集まり、塊になる。 振り返り、羊毛の絨毯の上を通過して 装具士殿を三秒見つめたなら……、 左手のみで握る手綱を引いた。 朝の冷たい空気で肺を満たし、唄う。] ヒーヨーホー… イーヨー…… [憂いのある旋律と力強い蹄の響きは、 工房から遠ざかっていった。*] (26) 2021/11/14(Sun) 22:33:31 |
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