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【人】 少女 コトネ■ジェイドの秘密抜き キネイの意見を聞いて、今は考えを変えたものの。 ………本当は、私は昔彼と会った事があるかもって、どきどきしてた。 最初から初対面のはずなのに見覚えがある気はするなぁと思ってたんだけど、“あの人”に会ったのは随分昔の事。 ジェイドはどう見ても若いし、他人の空似かしらって。 なのに────500年生きてるとか、言うから。 もしかして同一人物、かしら、とか。 少しだけ思っていたんだわ。 私までチューニビョーみたいだから、絶対口には出さないけど! (5) rein-joir 2019/12/29(Sun) 8:56:00 |
【人】 少女 コトネベジタリアンでヒキコモリでチューニビョー。 日光アレルギーまであるらしい。 だから、叶えたい願いがあるというのは、納得なの。 むしろ叶えたい願いがあり過ぎて、選べないくらいじゃないかしら? 彼は、自分が500年生きていると自称してる。 500年ってとても長いわ、16世紀ならルネサンスだわ。 キネイが言っていた通り簡単に言える設定じゃないと思う。 ベジタリアンも、ヒキコモリも。 ジェイドの話を聞いていると、彼はとても生き辛そう。 「ジェイド、ジュースは好き?」 野菜ジュースを手に、私は首を傾げる。 私はあんまり好きじゃないけど、ジェイドには良いんじゃないかしら。 好きだと言うなら渡してあげるつもりで、グラスに注ぐ。 野菜たっぷりトマトジュースベースにしたけれど、見た目はいまいちね。 私はグレープジュースベースの方が好きだわ。 その方が、まだ飲みやすい気がするの。 とろとろした赤を眺めて、私はこてりと首を傾げる。 「ジェイドは…何を叶えたいの?」 叶えたい願いが多いのと、叶えたい願いが重いのは、違う概念。 その願いは、私とキネイの願いに勝る程のものなのかしら。* (6) rein-joir 2019/12/29(Sun) 8:57:30 |
【人】 少女 コトネ■キネイの秘密抜き 「おはようキネイ、今日も綺麗ね」 声を掛けて、当然のようにその頬にキスをする。 毎朝恒例の光景。 キネイ側の基準は聞いた事が無いから知らないけど、それはなんだかちょっと踏み込んだ風に親しい感じで…私は結構好んでいる習慣なの。 もっとも────キネイが大人になったら嫌がられるかなとは思っていて。 (だって例えば彼女とか出来たら、同じようにする訳にはいかないわ!) 期間限定のお楽しみ、なんて思っている節もあるのだけどね? (7) rein-joir 2019/12/29(Sun) 9:20:38 |
【人】 少女 コトネそんなキネイに“叶えたい願い”があると聞いて、私はびっくりした。 何かしら。 13歳の男の子が、叶えたいと思う願い。 サンタさんには貰えないような特別な物かしら。 そもそもキネイはまだサンタさんの対象なのかしら? お年玉が欲しいなら、私からもあげて良いのよ? 「………本当に大丈夫かしら?」 叶えたい願いがある、というのと心配なのは別問題。 願いを叶えるとか言ってる黄色いプリンみたいな何かを、はいそうですかと信じるのって難しいわ。 願いを叶えるってお誘い自体は魅力的だとしても。 私がお姉さんなんだから、ちゃんと判断してあげなきゃ。 そう気負う反面、キネイの願いはとっても気になる。 何かしら。 私、キネイの事尊敬しているのよ。 だってあなたってすっごく頑張り屋さんだわ。 そんな頑張り屋さんにも叶えられない願いって、何? 「ねぇ。キネイはもし勝ったら、何を叶えたいの?」* (8) rein-joir 2019/12/29(Sun) 9:22:01 |
【人】 少女 コトネ■コトネの秘密開示 「私の願いはね、“ キネイの力になりたい ”よ。叶えたい願いなんて無かったけど、ゲームには参加したかったの。 ………ごめんなさいね?」 少女はちょっとばつが悪そうに、微笑んだ。 (14) rein-joir 2019/12/29(Sun) 19:20:52 |
【人】 少女 コトネ私の人生で、あんまり困る事なんてなかった。 それは“ちょっとお小遣い増えないかなー”とか。 テスト前だったら“テスト用紙が燃えないかなー”とか。 そういう、他愛も無い願いだったら沢山転がってるけど。 可愛い友人が居て、優しい家族が居て、不満無い生活があって。 普通の女子高生の日常に、“大きな願い”なんてあるはずも無い。 だから、最初は誘いを断ろうと思ったくらい。 人と争ってまで叶えたい願いなんてありません。 私以上に欲している人に、その権利はあげてください、って。 でも────ぽきゃは言ったわ。 “キネイ様は参加すると仰られてますよぉ?”って。 ぽきゃの誘いは、宝くじのすごい版なのかなって思っているの。 当たる確率はすごく高くって、当てたら世界を変えられる。 ぽきゃはキネイが何を望むかは教えてくれなかったけれど、私にとって“キネイのゲームへの参加”という情報は非常に大きな意味があった。 私は彼の願いが認められないなら何としても止めなければいけないと思うし、逆に良いと思うなら応援してあげたかったの。 その為には、私もゲームに参加する必要があった。 キネイからしたら余計なお世話でしょうけどね? (15) rein-joir 2019/12/29(Sun) 19:21:39 |
【人】 少女 コトネ「?」 スズネさんという、ジェイドがお世話になった人。 語っている彼の瞳は懐かしげで、どこか遠くを見るようだった。 ヒキコモリの作り話というには…随分真に迫っているのね。 それが本当かどうかは、私には分からないけれど。 少なくともジェイドにとって、とても大切で大事な話をしてくれたんだって事は痛い程分かったの。 その恩人さんに似ている私の幸福も祈ってくれてるらしい、って事も。 だから………同じ“大切”を返すのは、道理だわ。 「………笑わない?」 ほんの少し冗談っぽく、囁いてみる。 知ってるわ。ジェイドは笑ったりなんかしない。 「あのね、私。キネイの力になってあげたいの」 だから、素直に応援できる願いだと良いなぁって思ってるんだわ。* (24) rein-joir 2019/12/29(Sun) 20:27:37 |
【人】 少女 コトネ>>10キネイへのお返事 「えっ?騙されて困ってる?」 キネイからの問いは予想外過ぎて、何度も瞬いてしまうの。 それって…詐欺に遭って困ってるんじゃないかとか、そういうお話? 私、そんなに頼りなく見えるかしら。 これでもちゃんとお姉さんなのよ? 「ううん…キネイが力になってくれるなら何とかなるとも、言えるわ」 頬に手を当てて、こてりと首を傾げる。 だって、私の願いは。 「あのね、キネイ。私…キネイの力になりたいの」 そっと顔を寄せて、こっそり耳打ちした。 だって、すごく大きな悩みがあって、ぽきゃの誘いに乗ったんでしょう? この髪色で男の子にいじわるされてた私を助けてくれた事もあったわね。 そんなキネイが悩んでいるなら、力になってあげたい。 私、キネイが幸せになれるなら良いなって、本気で思ってるのよ。* (26) rein-joir 2019/12/29(Sun) 20:48:02 |
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