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【墓】 木峰 夏生[ 前屈みに近づく瞳。 余裕ぶった煌めきと笑顔。 悪魔の囁きに、 心の底から満足気に笑んでしまう。 絡めた指に力を入れて、下から 腰を思い切り突き上げる。 幾度も幾度も。 本当は、ずっとこうしたかったんだ。と 身体も心も悦んでいて、羞恥心も何もかも 今は捨てて、腰を動かした。 ] (+14) 2021/12/11(Sat) 16:12:30 |
【墓】 木峰 夏生[ 口内に錆びた鉄の味を感じながら、 一層深く抉った瞬間。 腸の奥深くに、白濁が迸る。 脳から全身から、繋がった結合部から、 ぜんぶ、全部、溶けてしまうような錯覚を感じて。 唸る声を噛み殺して、 ] (+15) 2021/12/11(Sat) 16:13:06 |
【墓】 木峰 夏生[ ほたり、ほたりと涙の雫が落ちてくる。 熱で溶けてしまったみたいな身体に 冷たさが沁みて、心地良くて。 雨、みたいだな、と思った。 乾いた地面に染み込んでいくように、 俺の肌から吸収されればいいのに。 なにも、逃さないで、ぜんぶ、俺のものに。 ] (+26) 2021/12/12(Sun) 22:24:59 |
【墓】 木峰 夏生[ 繋がったまま倒れ込む身体をがっしりと 受け止めることが出来たのは良かった。 海斗の出したものが腹の間でサンドイッチの具になって、 汗だくだしもうなんかぐちゃぐちゃだったけれど、 珍しく囁かれた素直な愛の言葉は、 やっぱりとても小さかったから。 声も吐息も、一言も聞き漏らさないように きつく抱き寄せたなら、 頬に触れたキスのお返しを、 俺は優しく、唇に。 ] (+27) 2021/12/12(Sun) 22:26:04 |
【墓】 木峰 夏生[ べたべたで、ぐちゃぐちゃで、 それでも、ひっつきあって、 触れ合った熱の温度は、不快さなんて微塵もない。 心地良くて、幸せで、満たされる。 繋がったまま、この胸の中で眠らせてしまおうか。 そんな考えが頭をよぎるけれど。 腹に収めたままでは腹を壊すというのは、 俺が口にした通り。 経験談?さぁどうだったかな。 ] (+28) 2021/12/12(Sun) 22:27:17 |
【墓】 木峰 夏生[ とりあえず重たい身体を引き摺るように起こして 風呂に入ろうと提案したら、素直に頷いたかな。 きっと狭いだのなんだのと 眉間にしわを寄せただろうが、 掻き出してやるっつったろ、と有無をいわせず にんまりと嗤って約束を持ち出せば、 ぶつくさ言いつつ、しぶしぶ了承してくれただろうか。 ] (+29) 2021/12/12(Sun) 22:28:01 |
【墓】 木峰 夏生[ あの夜とは比べ物にならない、自宅の浴室。 幼い頃から、何度も一緒に入ったけれど。 さすがにせまいな、とそれでも心底楽しそうな表情で 男二人、みちみちと入浴を楽しもう。 ざざっと浴槽を流して湯をためる間、 シャワーを手にして、海斗の後ろへ。 適温の湯を頭からかけてやりながら、 どうしても身体が密着してしまうのは、狭いからよ? シャワーフックに引っ掛けて、 海斗がシャンプーでもしていれば、 ボディソープを手にして背中を洗ってやろう。 もちろん下腹部も尻のあたりも、念入りに。 ] (+30) 2021/12/12(Sun) 22:28:48 |
【墓】 木峰 夏生[ 泡だらけの身体を一度、流してしまえば、 壁に手をつかせてシャワーを手に取る。 せっかく綺麗にしたのにまたローションを纏わせて ゆるりと後孔へ忍ばせた指を、ゆっくり沈めていく。 ] ……掻き出して、いいんだっけ? [ と背後から耳元でいやらしく囁けば、 ぐにぐにと無遠慮に動かしてしまおうか。 だってほら、出さなきゃ腹下すからさ。 ] (+31) 2021/12/12(Sun) 22:29:27 |
【墓】 木峰 夏生腹に力入れてよ。 [ と愉しげに耳朶を喰みながら、 ベッド部を外したシャワーをそっと、当てて。 人肌に温い湯をほんの少しの水流で、入れて、 流して、綺麗にしなくちゃな。 変態、恥ずかしい、そんな罵倒もどうぞご遠慮なく。 甘んじて受けましょう。 だって腹、下すよりいいだろ? やっていいって言ってくれたし、と にっこりと笑いながら、いい加減怒られるまで しつこく洗浄しようかな。 風呂から出たら、シーツとバスタオルをはがして 洗濯機に突っ込めば、 必然的に俺の部屋へ来てくれるだろうなって、 海斗の顔を思い浮かれるのは、 めちゃくちゃ、いい気分。 ]* (+32) 2021/12/12(Sun) 22:30:41 |
【墓】 木峰 夏生[ 本日二度目の風呂と、ついでにシャンプーだったのかも 知らない。 だから長湯をすればのぼせてしまうな、とは 心の片隅では海斗を案じながら、 それでも注ぎ込んだ胤が湯に混じり流れていく様に 視線ごと身体を離すことが出来なかった。 鏡に映る海斗の白い肌に、いくつもいくつも 赤が咲いていて、感じたことがないほどの 充足感に満たされてしまうから。 ぶつけるつもりなどさらさら無かった、 それでも迸らせてしまった嫉妬と執着心を 思い出せば我ながら呆れて苦笑いするしかない。 受け止めてくれた海斗が愛しい。 あんなにどす黒い、穢い欲望なのに。 ] (+37) 2021/12/13(Mon) 8:11:11 |
【墓】 木峰 夏生[ 排水口に消えていく白に、抱きしめた海斗から 吐息が漏れる。 ほんの少し、切なさと寂しさを含んでいるような声に 俺も気付かれないよう眉尻を下げた。 必要以上に丁寧な愛撫を文句も罵倒も聞き流して しつこく続ければ、3回も出したものがまた ゆらりと反応を始めているのが、 動かしている手に微かに触れる。 くつくつと含み笑いを噛み締めながら、 それでもこれ以上ふやけてのぼせると危ないなと 理性を奮い立たせて身体を離した。 湯船に浸かるか、もう先に出るか、 どちらにしても海斗が離れればその間に 俺もざっと身体を洗う。 ] (+38) 2021/12/13(Mon) 8:13:15 |
【墓】 木峰 夏生[ ふいに痛みを感じたのは肩で、 視線を落とせば歯形とそこに沿う傷が鮮やかで。 キスマークより深く、きっとそれより ずっと消えづらい所有印。 さらに満足気に湯気のカーテンの下、ひとり笑んだ。 ] (+39) 2021/12/13(Mon) 8:14:20 |
【墓】 木峰 夏生** [ 海斗は部屋の窓を開けていて。 俺は一応、酷使された働き者のマットレスに シトラスの香りの除菌消臭剤をシュシュっとしておいた。 自室に戻る前にリビングに寄って、 親父の好きなジャパニーズウイスキーをちょっと拝借。 グラスを氷と琥珀色の液体で満たして、 それを手に自分の部屋へ戻れば、 幼い頃と同じように、遠慮もなく俺の布団に潜り込む、 変わらず愛しい弟が居て。 酒を一口、ぐいと呑んだ。 喉を焼くアルコールが心地良い。 ] (+40) 2021/12/13(Mon) 8:16:42 |
【墓】 木峰 夏生[ ぽつりぽつりと語られる胸の内。 声はいつもより掠れて、低く艶を帯びて。 妙に大人びて、色っぽく鼓膜を揺さぶる。 ] ……まぁ、な。 どっかで、俺のこと嫌いになって、 離れていってしまうことを望んでた。 それが、幸せだって 思い込もうとしてたから。 [ 返す言葉を、同じように訥々と。 期せずして海斗も同じ気持ちだった、と悟るから、 声はやっぱり同じように少し掠れて。 きっと、俺から終わりを示唆すれば 受け入れるつもりだったのだろう。 避けた唇に、酒が滲みる。 ] (+41) 2021/12/13(Mon) 8:20:33 |
【墓】 木峰 夏生───…… ああ。 おれも、おんなじ。 [ 社会的な道義や、モラルや常識の傘を被って、 目を背けていた自分の感情に、 不謹慎にも嬉しくて、 不覚にも、喜んでしまったから。 だから、腹を括る。 高い酒をそんな飲み方するなと 親父の憤慨する声が聞こえそうなほど、 グラスの中身を一気に呷って。 海斗の覚悟を全部受け止める。 そんな決意を一滴残さず、飲み干すように。 ] (+42) 2021/12/13(Mon) 8:25:26 |
【墓】 木峰 夏生[ ベッドの海斗にゆっくり近づいた。 胸元に押し付けられる温もりを、優しく、 そしてしっかりと抱きしめながら 狭い布団に滑り込む。 あたたかい、離したくない。 離れたくない、誰にも、渡せない。 ] ああ、そうだな。 ずっと、な───。 [ 自信に満ちた表情でにやりと笑う、 その唇に口付けを落として、髪を撫でる。 ] (+43) 2021/12/13(Mon) 8:26:52 |
【墓】 木峰 夏生ふたりは、いつまでも、 しあわせに、くらしました。 [ いい歳して、デカい図体で、 そんな御伽噺を信じるロマンチックな兄貴でも 海斗は、 しゃーねぇな、良いよって 言ってくれるだろ?─── ]** (+44) 2021/12/13(Mon) 8:30:16 |
【人】 木峰 夏生[ キノミネくん、最近いい子だね。 ふわりと漂う香水の匂い。 今にも笑い出しそうな声に振り返れば、 件の先輩がデスクのすぐ後ろで 艶っぽい笑みを浮かべて立っていた。 ] お疲れ様です。 そーなんすよ、いい子なんです。 [ リモートワークの隙間、週に一度の出社日も 仕事が済めばさっさと帰宅する。 なんやかんやと理由をつけてダラダラと残業し、 その後も飲みに行ったりホテルに行ったり、 そんな爛れた生活はこのところ すっかり鳴りを潜めていたから、彼女だけではなく 俺の一面を知る友人や同僚から揶揄されることが ちょいちょいある。 ] (6) 2021/12/14(Tue) 7:02:45 |
【人】 木峰 夏生[ そう、とけらけら笑いながら、 先輩は俺の座る椅子の背もたれに手をかけて、 身体を寄せてくる。 背中に、あいつとは違う柔らかな膨らみ。 今までだったら───そうだな、まぁそれはいいか。 相変わらずな彼女にこちらもふふ、と笑いながら さりげなく身体を離そうと立ち上がりかければ、 つ、と細くひんやりとした指が、首筋を伝う。 ] (7) 2021/12/14(Tue) 7:03:44 |
【人】 木峰 夏生「 いい子ねー。」 [ まるで歌うみたいに首筋を撫でて。 いつつけられたやつだったかな、 シャツの隙間から覗く肩の咬み傷に、指が、 そして綺麗に整えられ飾らせた爪が、触れた。 ] 「 えっちー。 」 [ ゲラゲラ笑いながらするりと離れる熱。 こちらが何か言う前に、さっさか歩いて去っていく しなやかな背中。 ] やっぱオンナってこえぇ。 [ こちらも思わず吹き出して。 さっさと帰宅準備を整えれば、席を立った。 ] (8) 2021/12/14(Tue) 7:05:55 |
【人】 木峰 夏生** ただいま。 [ 開いた玄関に、知らない靴があることにすぐ気づいた。 海斗の靴と似たような、カジュアルなものだったなら 珍しく友達かな、と驚きつつ嬉しくなっただろう。 すっかり母よりも口煩く言われることにも慣れて、 言われる前にちゃんと手洗いとうがいをしてから、 リビングへ向かう。 ] ─── ああ、こんにちは。 海斗の友達だよな?いらっしゃい。 (9) 2021/12/14(Tue) 7:06:56 |
【人】 木峰 夏生[ ソファの端っこに座っていたのは、長い前髪の 綺麗な顔をした男。 真ん中に座ればいいのに、居心地が悪いのか 遠慮がちに端にいる様子に印象は悪く無かった。 ] 海斗? [ 2階で物音がする。 一度リビングを出て階段の下から上に向かって 声をかけてみた。 じきに降りてくるだろう。 整った顔立ちの彼に向けて ] コーヒーでいいかな。 [ と話しかけながら、いつものクセでジャケットを 脱いでダイニングの椅子の背にかけた。 ユカリ先輩の香水の匂いが少し残っていて、 ふわりと部屋の空気を揺らす。 あー、やべぇ、海斗に怒られる、と思って コーヒーを淹れながら一人、密かに笑った。 ]* (10) 2021/12/14(Tue) 7:08:53 |
【人】 木峰 夏生[ しっかりした挨拶と、気さくな笑顔に こちらもにこやかに会釈を返す。 ] なんだあいつ、人に参考書借りといて どこ置いたかわかんなくなってんのかよ。 [ 苦戦してそう、の言い回しが頭の良さを感じさせる。 2階から聞こえるがさがさ音に半ば呆れた顔で、 ごめんなぁ、と彼に肩を竦めて見せた。 ] ほい、どーぞ。 あ、俺は海斗の兄で、夏生です。 (18) 2021/12/14(Tue) 10:51:51 |
【人】 木峰 夏生[ マグカップにくすくすと笑う吐息を集めながら 鼓膜を微かに擽る呟きにしっかりと耳を傾けて。 ] ─── そっか。 兄から見ても隙の多い弟なんだ。 手がかかるやつだけど、 いい友達が居て良かったよ [ 少しだけ、低くなった声を 感じさせないような完璧な笑顔でにっこりと笑った。 なんでもなかったように、コーヒーを 褒めてくれる表情に、そお?よかった、と笑い返して。 今度、メシでも行こうぜ、なんて話しかけながら ドタドタと鳴る天井を見上げて悪戯に笑んで。 意味ありげにちょっと肩を竦めて見せた顔は、 ちゃんと兄貴の顔だったかな。 ]** (29) 2021/12/14(Tue) 19:56:14 |
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