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【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥「……いやいや、全然!そんなことないですよー! え?あはは、やだなあお婆ちゃんったら…うん? うん、わかった!モモチに任せて!」 それじゃあいってきます、と言って広い玄関を潜る。 まだ来て数日も経っていないけれど、涼風の祖母は優しくて。 よそよそしさは殆ど消えて、既にもう一つの家のようだった。 それから、今日は何をして遊ぼうか、と考えて 川遊びをしていた時、卯波や夕凪が 近くの海について話していた事を思い出した。 「……海、海かあ… みんな、誘ったら来てくれるかな?」 (2) 2021/08/12(Thu) 22:16:29 |
百千鳥は、昨日のように目に付いた人に片っ端から誘いを掛けて回った。 (a5) 2021/08/12(Thu) 22:17:29 |
百千鳥は、夕凪の事も探しに行った。遊びに行くなら、みんなと一緒がいい。 (a6) 2021/08/12(Thu) 22:18:35 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@0 夜長 「秘密基地?」 夜長からの問いを、ころりと首を傾げて復唱した。 人を探しているのはそれとなく聞いていたけれど 目の前の大人の人から、そんな言葉が出てくる事が あまり結び付かなくて、子供心になんだか意外だったのだ。 「うーんとね、今もあればだけど… たしか、あんまり使われてない海の家があったはず。 そこなら秘密基地になるんじゃないかなあ?」 それでも尋ねるからには何か理由があるのだろうと 秘密基地、の心当たりを一つ答えてみせた。 子供の行くような場所は、子供に尋ねた方が早い。 (3) 2021/08/12(Thu) 22:51:47 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>+2 「あ、夕凪姉! うん、昨日みんなが行きたいねって言ってたの思い出して!」 ひょいと顔を出した捜し人に、ぱっとそちらを振り向いて 問いに答えを返して、何をして遊ぼうかと考える内に 見付からなかった事の違和感など、遠くへ消えてしまった。 「そっか、車で行かないとなんだよね。 じゃあモモチ、もう少しみんなの事を呼んで来るから 夕凪姉にはその間に色々準備してもらっていい? えっとね…そうだ、夕凪姉は何して遊びたい?」 (4) 2021/08/12(Thu) 23:03:13 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@1 夜長 「母さん……えっと、雪子さん、だよね?」 大人の大きな背を見上げて、念の為にもう一つ尋ね返した。 狭い田舎の中だから、人の事はすぐに覚えられるけど それでも念を入れて悪い事はない。 「ううん、案内するくらいなら全然! 秘密だから秘密基地、っていうのはわかるけど… ひとりじめはずるいし、他の誰かに見つかっちゃう場所なら そもそもそこを選んだのが大失敗!それに……」 まだまだ子供の少年は、にっかり笑って言い切った。 「かくれんぼだって、見付けてもらえなきゃさみしいもん!」 (7) 2021/08/12(Thu) 23:33:30 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>+4 夕凪 「やった!」 了承の言葉に飛び跳ねんばかりに喜んで それから、羅列されるやりたい事、にふんふんと頷いた。 「わかった!じゃあモモチ、みんなの事呼んで来るね! 清和も翔兄も、引き摺ってでも連れて来る! あと今度こそ着替えてサンダル持ってって…」 その中に、女の子らしい遊びが含まれていなかった事は 百千鳥にとっては、幼い頃に一緒に遊んだ夕凪が 今も変わらずそこに居るようで嬉しかった。 モモチもスイカ割りやりたいなあ、なんて 海でできる遊びを指折り数えてから、 集合場所を決めて、また皆を呼び回りに一度別れただろう。 (8) 2021/08/12(Thu) 23:47:46 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@2 夜長 「まっかせて!モモチ隠れるのは下手くそだったけど、 探すのはけっこう得意だったから!」 しんしんと降り積もる言葉に得意げに胸を張って見せて、 それから付け足されたお願いと問いに肯定を返した。 「うん、わかった!まだまだみんなを呼ばなきゃだから またあとでね、和臣さん!あ、そうだ…」 ぱっと手を振って別れようとして、ふと思い当たる。 「モモチ、でいいよ!」 まだまだ子供と言って差し支えない少年は、実に子供らしく 自分の言いたい事だけを言い残して駆けて行くのだ。 (10) 2021/08/13(Fri) 0:54:21 |
百千鳥は、一度振り返って夜長に手を振った。「またあとで!」 (a12) 2021/08/13(Fri) 1:04:08 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥「よっ、こい、……あれっ」 潮風に少し傷んだ扉に手を掛けて、 それが然して抵抗も無く空いた事に首を傾げた。 海に着いてからまずした事は、 クーラーボックスから取り出した棒アイスを齧りながら 久しく使われていないであろう海の家を見に行く事だった。 「んー、やっぱり誰か使ってたのかな? 雪子さん……じゃなくても、 今も秘密基地に使ってる子は居てもおかしくないもんね。 それとも和臣さん、先に見に来てたのかな」 海の家の中を軽く見て回る。 所々傷んではいるけれど、決して荒れ放題という事は無く ある程度は人の手が入っている事が感じさせられた。 「秘密基地、他にこの辺にあったかなぁ。 ……そうだ、あの漁小屋はまだあるかな?」 この海の家よりはずっと小さな小屋だけど、 秘密基地らしさで言えばあちらの方がそれっぽい。 そう考えて、一度海の家を後にした。 当然、遅れてきた百千鳥は少し前にこの場所で ナマコを美味しく頂いていた人が居た事など知る由もない。 (71) 2021/08/13(Fri) 23:47:33 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥 海の家を出て、波打ち際をずうっと歩いていった。 寄せては返す波が時折サンダルを突っ掛けた足を濡らしても 今日こそは水遊びで濡れてもいいように、 適当なシャツとハーフパンツに着替えて来たのだから それを厭う理由なんて何処にも無かった。 遠くから、宵闇の歌が聞こえる。 遠くの方に皆が集まっているのが見えて、 そちらの方へと足を向けて、声が聞こえる所まで近付けば どうやら歌い終えて暫くした頃のようで、 おうい、と声を掛けて手を振った。 その背を押すように一際強く風が吹いて、 一瞬、風に弄ばれる長い髪に違和感を覚えた。 「──アタシも髪、短くしようかなあ」 「…なあに、真似っ子?僕は呼子お姉の髪、長い方が好きだけど」 (86) 2021/08/14(Sat) 3:07:03 |
百千鳥は、違和感の正体は掴めなかった。ならきっと、大したことではなかったんだ。 (a32) 2021/08/14(Sat) 3:07:48 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥 (125) 2021/08/14(Sat) 18:27:32 |
百千鳥は、宙を舞うナマコをぽかんと眺めている。ナマコって飛び道具だったっけ? (a77) 2021/08/14(Sat) 18:30:06 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>122 涼風 「──かーおる兄!」 やにわに近くも遠い水面の向こうから声がして、 たゆとう海に溶けてしまいそうなその人の腕を ぐっと引いて、水面という膜一つ隔てた向こうへ引き戻す。 その手はもう随分と大きくて、 ただ手を引いて、こちらを見てとねだるだけの子供ではない。 きっと誰の事だって、楽しい事へと連れ出してしまえるのだ。 「ねえ、一緒に遊びに行こう!」 リフレイン。 「ほら、行くよ!いつまでもそんな所でぼーっとしてないの!」 (131) 2021/08/14(Sat) 18:58:19 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>134 涼風 「お、言ったね! 競争となればこのモモチ、薫兄だからって容赦しないぞぅ!」 引き上げたその手を取って、ころころと笑い合いながら 二人、飛沫を上げて波を掻き分けて行く。 その次は何をして遊ぼう、なんて気の早い話をしつつ。 憂鬱なんて、みんなで遊んで忘れてしまえばいい。 楽しい遊びなんてここにはたくさんあるのだから。 夏はまだまだ終わらないけど、 日々を物思いに耽って過ごしてしまうには少し惜しい。 ぼやけて被る輪郭に、大切な何かが欠けているような感覚に 今は見ないふりをして、ただ淡い夢に浸るのだ。 (143) 2021/08/14(Sat) 20:35:07 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@16 夜長 「あ、やっぱり! さっき見に行ったんだけど、誰か来てたみたいな感じしたから そうなんじゃないかなーって思ってたんだ!」 述べられた答えに特に落胆する様子もなく、 微妙な雰囲気を物ともせずに溌剌と応えを返した。 夜長の様子からして捜し人は見付からなかった、という 推測に思い至る事は無く、ただ単純に 自分の見立てが間違っていなかった事を喜んでいるようで。 「ううん、気にしないで気にしないで! あそこは案内しなくってもすぐわかると思ってたし、 洞窟の方…は多分、危ないからって モモチ連れて行ってもらった事無かったし!」 夜長の纏うばつの悪さを振り払うように、 気にしないでと快活に笑って片手を振った。 (146) 2021/08/14(Sat) 20:48:33 |
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