「やはりダビー殿でしたか…」
席を立ち、処刑室へと進む。

「して、殺害の方法と望む手段はありますか？」

「────なんでしょうね」
周囲に視線を向けつつ、腰を落とす。

>>15 イクリール殿
「いえ」
短く答える。その眼は、戦いを見据えている。

「…さて」
どう動くべきか…いや、どうしたいのか、か。

>>27
「とはいえ、無礼講ですからね」
各々の意志で動き出した、看守、囚人。
こちらに向けられる敵意がない以上は。

「やりたい事をしてみましょうか」

「…………」
各々の戦いを覧じ、各々の言葉を聴く。

約束を交わした彼も、
まだ言葉を多く交わせていない彼も、
皆、願いをもってそこにいるのだろう。
間違えようと、答えがわからなかろうと。

「…少し、羨ましくもあります」
見届ける。魂の行き場を、未だ知り得ていないまま。

「おや、行かれるのですかニア殿」
自分はどちらに行こうか。
倒れた二人には…起きてから、また話をしよう。

「…先ほどの波乱の後だと、どうしたものか悩ましいですね」
刻限を確認し、席を立つ。

「ダビー殿、先ほど死んでいますからね…死にたいのでしたらお手伝いしますし、そうでないのなら…拙は参加するつもりはありません」
宴では、人を殺す事をよしとされていた。だからそうした。
ただ…今の自分はそれを望んでない事を、理解している。

「…なるほど」
外の人間が貪り、飢えを満たす為。
ここで生かされる悪の餌の為。看守の言葉を思い起こす。

「…」
ここでは、自分が決めていい。
世界に、宙に、自分が思う波を起こしていい。

「拙が行きましょうか。…そうですね、先に言っておきましょう」
「
　ご安心を、他の人がどうするかに指図をするつもりもありませんので」

すっと処刑対象の前に出て、片側の手袋を外す。
それを頭に添えるまでは、ミン殿の処刑と同じように。

そこから。

中指を と持って
と反らして
と離して

である。

喰らった本人からすると、。
とはいえ、これまでのメサの処刑を見て、それを喜んでいた人たちからすると、物足りなく感じるだろうか。

「拙は、これで十分です。知らない人のために人を殺すつもりはありません」
「贖罪の仕方は、他にもいくらかやりようはある筈でしょう」

それだけ話して、その場を離れる。顛末は見届けるつもりだ。

「………何にせよ、あと数日で終わるのですね」
相談する者、それを眺める者。
部屋にいる皆を見渡してから、ぽつりと。