【人】 虹彩異色症の猫[ 天高く響く龍笛の音、地を這い腹底響く和太鼓の音。跳ね起き落ち着かなげに辺りを見回していたが、宥めるように背を撫でる手で>>31またとろとろとうたたねに戻る。 運ばれるままに自宅に戻り、そのまま良い気分でおれたらいいものを、湿り気のある手拭いで背を、手足を拭われる。 にゃっ、にゃっ、と抵抗して見せる素振りだが、これも散歩跡のいつもの恒例行事だ。 冷蔵庫から澤邑が刺身を取り出し、いつもの錫の酒器を取り出すと>>32、ふなあ、ふなあと足元に纏わりだす。小さなお脳である癖に、鈍色に輝く銀の酒器は、御馳走が口に入る合図であることを覚えている。 今日ばかりは常の卓ではなく、縁側で名残の月を惜しみながらの晩酌となるだろうか。片目ばかりがまんまるの月を模した双眸で、膝に前足掛け晩酌のお零れを今か今かと待ち構えている。]** (33) 2022/10/04(Tue) 21:29:12 |
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