【人】 4年生 小泉義哉―― 夢の終わり ―― ――? [ それは天使の手を取る直前のこと。>>6:122 義哉は不意に窓の外へと視線を向ける。 魔法もこちらに呼び掛ける声も、>>6:+187>>6:+188>>6:+194>>6:+195>>6:+197>>6:+199 義哉には見聞きすることはできなかったけれど。 何となく、そこに温かな何かがあることを感じる。 幻かもしれない。けれど、 もしそれが自分の存在が生み出した結果ならば、 少しは自分を誇らしいと思っていいのではないかと 義哉は胸を張った。 だから義哉は、津崎にもみんなにも、 最期に会えて良かったと心から思う。>>6:+172] (83) 2022/09/17(Sat) 3:08:26 |
【人】 4年生 小泉義哉[ けれど、どこか別の世界線で、 みんなが同じように成長して、 自分もまた現実と向き合いながらも、 誰も死なない未来があればいいというのも本心だった] (85) 2022/09/17(Sat) 3:09:17 |
【人】 母親から見た 小泉義哉―― 小泉家の後日譚 ―― [ それは義哉のお葬式の日のこと。 あの子の後輩らしい女の子が>>56>>57 夫に言い放った言葉に心当たりがあって、 夫の一声で葬儀場スタッフに追い出された女の子を 追って、私は話を聞きに追いかけました。 「……さっきのはあの子の遺言なの?」と震える声で 尋ねたら、あの女の子は何と答えたかしら。>>-386 いずれにせよ、私にはそれが あの子の本音と分かったから、 女の子がその場を去った後も、 私は茫然とその場に立ち尽くしていたのです] (240) 2022/09/19(Mon) 0:13:10 |
【人】 母親から見た 小泉義哉[ たまには義哉の部屋を掃除しなければ、と お葬式からしばらくしてあの子の部屋に入りました。 泣き濡らしたのでしょうか。 表紙がよれた数冊のノートが机の上に 出しっぱなしとなっていました。 本来なら、母親である私にも見てはいけないような あの子のプライベートなもの。 けれど、私はもう直接本人からは 教えてもらうことの叶わない、 あの子の本当の気持ちを知りたいという気持ちを 抑えることができなくて、 そのノートを開いてしまったのです] (241) 2022/09/19(Mon) 0:13:29 |
【人】 母親から見た 小泉義哉[ そこに書かれていたのは、 夫から言われて嫌だったこと、>>1:43>>3:9 夫が私を責めるのをやめてほしいという願い、>>3:10 憧れていたパン屋になれないことへの憤り、>>3:12 自立したら父親には絶対に会わないという強い意思、 義哉が幼かった頃、夫の躾が厳し過ぎることは 分かっていました。夫には苦言を言っても、 私の出来が悪いからと返されてしまうから、>>3:10 私には義哉の涙を拭ってやって あの子を抱きしめることしかできないと 思っていたのです。 離婚という選択肢は頭に浮かんだけれど、 専業主婦で頼れる身内もいない私が、 離婚後にあの子を幸せにしてあげることは できない気がして……。 私が夫の暴言を我慢すれば幸せだと、 本気で信じていたのです] (242) 2022/09/19(Mon) 0:13:45 |
【人】 母親から見た 小泉義哉[ パン屋のことも夫には何度も説得しました。 けれど、ずっと折れてくれませんでした。 義哉にもパン屋になりたいのならなってほしい、 好きなように生きてほしいと、何度も言いました。 けれど、あの子は大学に行くからいいと いつもやんわりと断って―― きっと私に気を使っていたのでしょう。 と、このノートを読めばわかるのですが、 あの頃の私は、あの子の気持ちを きちんと汲んであげることができませんでした。 そんな思いに耽っていれば、泣き腫らしたのかしら とても文字が滲んだページに行きつきました。 そこに書かれていたのは、] (243) 2022/09/19(Mon) 0:14:02 |
【人】 母親から見た 小泉義哉[ そこにあったのはその一文だけでした。 しかし、次のページを読めば、 あの日のことを経験して>>5:112>>5:113 それを書いたのだと察することができました。 それから綴られているのは、 夫が求める“普通”と、あの子がなりたい自分との ギャップについての悩みと、 あの子が思い通りに生きたら、私が夫に どう扱われてしまうのかに対する不安。 最後のページに綴られた「逃げたい」の文字に、 私の瞳からは堪え切れず、涙の雫が流れ落ちました。 どれだけあの子はこの家にいて苦しかったでしょう。 どれだけ私はあの子の逃げたいというサインを 見逃したのでしょう。 今更、後悔しても遅いのに、 母親としてあの子に対してできなかったことだけが 頭に浮かんでは、悔いる気持ちを抑えることが できませんでした] (245) 2022/09/19(Mon) 0:14:37 |
【人】 母親から見た 小泉義哉[ それから、また数日が過ぎ、 義哉が亡くなってから、 すっかり意気阻喪といった様子の夫に あの子と私の涙で濡れたノートを見せることにしました。 あの子はきっと夫に見られることは 嫌がるとは思いました。 けれど、私は夫にも知ってほしかったのです。 あの子がどれだけ私たちを思いやっていたのか、 そして、私たちは親としてあの子に 本当は何を与えるべきだったのか、を ノートを読んだ後、夫は子供のように号泣しました。 彼が何を思ったのかは分かりません。 ですが、彼もまた自分がどんな父親であったのかを わかることがあればいいと、そう私は願うのです] (246) 2022/09/19(Mon) 0:14:52 |
【人】 母親から見た 小泉義哉[ それから、私は「もう“普通”に縛られなくていいの」 と囁いて、夫を抱きしめました。 そして、私の胸の中でわんわんと泣き叫ぶ彼を 見つめながら、その背をトントンと優しく叩きました。 夫が息子にした行いが罪ならば、 それをうまく止められずに助長させた私にも 罪があるのです。 いくら反省したところで、私たち夫婦に 幸せや生きやすい人生が待っているかは分かりません。>>6:27 もしかしたら、夫と別れる未来もあるかもしれないので、 色々と準備は怠らないようにはしようとも思います。 ですが、今はただ、罪を共有できるこの人の側で、 お互いに支え合いたいというのが 私の本音ではありました]** (247) 2022/09/19(Mon) 0:15:08 |
【人】 天国から舞い降りた 小泉義哉―― とあるお盆の日のこと ―― [ 美術館の災害から>>n0、数か月後のお盆のこと。 義哉は初めて現世の地へ下ることを神様から許された。 胡瓜の精霊馬に乗りながら、 久しぶりの現世の空気を味わっていると、 やがて精霊馬は、その地上へと降り立った。 霊体のまま、ふわふわと浮かんで、 まずは自分のお墓へと向かうことにする。 そこに見えるのは、両親が2人揃った状態で 墓前で佇んでいる姿で、 父親の顔は自分の生前とは違い、 どこか憑き物の落ちたような穏やかな顔だった。>>247 両親はうまくいっているのか、と 少々意外な顔をした義哉だったが、 幸せで生きやすい人生を送っているのならそれでいい、 と、穏やかに微笑んで、その場をあとにした] (257) 2022/09/19(Mon) 1:38:39 |
【人】 天国から舞い降りた 小泉義哉[ それから、義哉にはどうしても挨拶したい人がいた。 天国には毎日挨拶をしてくれる心の声も届いていたし、>>220 たまにお供えされるクリームパンもいただいていた。>>221 だから、彼女にはこちらの姿が見えず、 声も聞こえないとは分かっていても、 きちんと自分の思いを伝えたいと思ったのだ。 このお盆の時期まで彼女がクリームパンを 作り続けていたのかや、 まだ、出来栄えに満足していなかったのかは 分からないが、 いずれにせよ、義哉はお供えがあれば美味い美味いと 満足そうにいただいていたのは確かである] (258) 2022/09/19(Mon) 1:39:06 |
【人】 天国から舞い降りた 小泉義哉[ ふわふわと漂いながら、 もし工藤の姿を見つけることができたなら、 そっと彼女の耳元へ近づいて、内緒話でもするように 手をあてながら囁いただろう] (259) 2022/09/19(Mon) 1:39:43 |
【人】 天国から舞い降りた 小泉義哉[ それから、工藤から離れて、 再び現世の空気の中をふわふわと漂う。 茄子の精霊馬に乗って天国へ戻るまでに、 もし見ることが可能であったなら、 デートしている恋人達の姿や、 いずれ帰ってくる恋人のために 料理を頑張っている友人の姿、 仲良く連れ立って遊びに行く後輩達の姿を 微笑みながら眺めていたかもしれない]** (260) 2022/09/19(Mon) 1:40:16 |
4年生 小泉義哉は、メモを貼った。 (a30) 2022/09/19(Mon) 1:48:14 |
【人】 将来の夢はパン屋の小学生 来世の 小泉義哉―― とある夏の日、どこかにあるパン屋にて ―― [ とある街の駅前にある、自宅に併設されたパン屋にて、 少年は夏休みの間、お店でお手伝いすることになった。 お手伝いを頑張ったら、お父さんとお母さんが 次のお休みに美術館に連れて行ってくれるのだ。 少年の生まれるより前になる、 十数年前に地震で倒壊したその場所に、>>n0 少年は一度も訪れたことはない。 けれど、写真で建物を見ると、 なぜか胸が締め付けられるような思いになって、 少年は「行きたい行きたい!」と駄々をこねた。 その結果、両親による 「働かざる者、我儘言うべからず」の方針のもと、 こうしてパン屋で少年は作業をすることとなる] (364) 2022/09/19(Mon) 19:22:08 |
【人】 将来の夢はパン屋の小学生 来世の 小泉義哉[ お手伝いといっても、 小学生の少年にできることは限られた。 開店前や空いている時間に店の前の掃除をしたり、 夕方の割引きセールとなったパンを いくつかにまとめて袋詰めをしたり、 閉店後の後片付けを手伝ったり。 それでも、パン屋にいればいつもパンの匂いが漂い、 その匂いが大好きだった少年は、 ずっとお店にいたかった。 まあ、忙しい時間になれば邪魔になるから、 やれることが終われば、とっとと退散したのだが] (365) 2022/09/19(Mon) 19:22:27 |
【人】 将来の夢はパン屋の小学生 来世の 小泉義哉[ パン屋のお手伝い以外は、少年は夏休みの宿題をしたり 友達と遊んだりして過ごした。 客商売に向いてそうな性格の両親のもとで育った少年は、 それはそれは大らかでしっかり者の性格になったもので。 友達もなかなかに多く、 話題に乗れないくらいで離れる友人もいなかった。>>1:44 お父さんとお母さんからは、 泥だらけになって帰ってきたり、 部屋を散らかしたままにしたりしていると、 たまに叱られることはあるけれど、 友達と喧嘩すれば、両親は慰めてくれて、 友達と仲直りすれば、自分のことのように喜んでくれて、 小さなことでも何かお手伝いをすると褒めてくれて、 そういったことがある度にぎゅっと抱きしめてくれた。 少しだけ気恥ずかしい思いはあったけれど、 両親から向けられる一つ一つの愛情表現が、 少年にはやはり嬉しいものだった] (366) 2022/09/19(Mon) 19:22:48 |
【人】 将来の夢はパン屋の小学生 来世の 小泉義哉[ そんなこんなで過ごす長い夏の日。 もし少年がお店にいて、 見知ったお客様が来店したなら、 「いらっしゃいませ!」と楽しそうな笑顔で 元気よく挨拶することもあるだろう] (367) 2022/09/19(Mon) 19:23:14 |
【人】 4年生 小泉義哉[ 記憶喪失だった時のことにも触れた手紙には、>>393 夢の中でも謝ってもらったのに律儀だなと思いながら。 彼女の心が少しでも楽になったのなら、 自分の生きた時間も無駄ではなかったのだなと思う。 この手紙で工藤もパンを作っているのを知ったときは、 すでにお供えが来ていただろうか。 いずれにせよ、美味いといただいていたのは 変わらないが。>>258 きっと朝霞と工藤は仲良くなったのだろうと、 文面からも分かるから、そのことも嬉しい。 天国から姿形を見守ることは難しく、 現世に還るときに見つけられたら、にはなりそうだが、 転生するまでは、ずっとこの場所から、 みんなの幸せを祈ることは続けようと思う] (436) 2022/09/19(Mon) 23:55:42 |
【人】 4年生 小泉義哉[ もしかしたら、 その他にも手紙は届いていたかもしれないが、 いずれにせよ―― みんな、ありがとうな。と心の中で呟きながら、 目を閉じて、届いた手紙を胸に抱える。 みんなと出会えて本当によかった。 次にもしまた会うことが叶うのなら、 みんなのことをもっと大切に思えるような 人間として出会い、 自分が死ぬことに決して満足しないような そんな人間でありたいと義哉は願う]** (438) 2022/09/19(Mon) 23:56:11 |
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