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【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 人通りが戻る前に中庭を立ち去り、 エドゥと別れ、客室に戻り着替えを済ませ ふかふかのソファに腰掛けぼうっとする。 皆褒めてくれたけど、 綺麗なドレスはやっぱり私には合わない。 そう、世界を救った勇者と一緒になんて無理だった。 縁が無かったというのはこのこと。 早く気づけて良かった。 未だ残る心の痛みを抱えたまま ]何度も自分に言い聞かせる。 (10) 2022/09/26(Mon) 19:47:15 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 客室にノック音が響き、居留守を決めかねようとした時 エドゥの声が聞こえてきたので、扉の近くまで向かい 話を聞いていた。>>6>>7] うん、いいと思う。 まだ見たことのない場所いっぱいあるものね。 [ ── 二人は、きっと忙しそうだから。 出そうと思った言葉を飲み込んで。] (11) 2022/09/26(Mon) 19:47:27 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウムそうね。私も行くわ。 塞ぎこんでいるより、外に出て体を動かす方がいいし ……その間は、色々忘れられると思うから。 頼りにしてくれてありがとう。 ……いつか、今回の分のお礼もしなきゃね。 [ 誘いには二つ返事で乗ることにした。 話も終わり、扉にバスケットが当たる音がした時 内側から扉をそっと開けた。 その場にエドゥはまだ居ただろうか。 居たならば、先程よりは多少落ち着いた表情を向けて] ……ありがとう。 [ ただ一言、感謝のみを告げた。] (12) 2022/09/26(Mon) 19:47:37 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 彼が帰った後、差し入れのパンや果物を貪る。 食べ慣れた普通の店先のパンとは違う 王家の宴で格式あるディナーに出された高級品。 特に食にこだわりがある訳では無いけど、 味が全然違うのは直ぐに理解できた。] (13) 2022/09/26(Mon) 19:47:50 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 高級素材の美味しいパンが塩辛く感じたのは 塩入りだからか、私の涙の味か。 ──どっちなんだろう。] (14) 2022/09/26(Mon) 19:48:03 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム─ 翌日 ─ [ 一晩泣き腫らした顔は、多少跡が残っているものの 良く持ち直した方だと思う。 普段通り鎧を着こなし、得物を持ち宿を出る。 玄関で待ち合わせしていたエドゥの顔を見ると 申し訳なさげに笑顔を作った。] おはよう、エドゥ。 昨日はごめんなさい……そしてありがとう。 まずはどこに行く? 行きたい場所とかある? [ 散々心配かけさせてしまったから 顔を合わせにくかったのは事実。 本当はもっと具に謝りたいけれど 今の時点では浅い傷口が開く結果になりそうなのと 新たな旅立ちの始まり、 心が落ち着いてから話す方が良いだろう、と。 それに、また迷惑をかけてしまうから。] (15) 2022/09/26(Mon) 19:50:34 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 話す時が来たその時 また泣いてしまうかもしれないけれど。 エドゥなら、突き放すことはしないだろうから。 寄り添ってくれるだろうから。 ──そんな甘えが、安心が 私の中に存在している。*] (16) 2022/09/26(Mon) 19:51:53 |
【人】 妖もどき 辰沙―――――…。 ……それ、本気で言ってます? 『いちおう七割くらいはな。 ……んだよ、信用ないなぁ。 まぁさっき言ったことはうちの上層部の見解だが。 全部が全部、あちらの見当違いってわけでもないんだろ?』 それはまぁ、そうですが…。 [ 言いながら首を微かに動かして周囲を伺う。 微かな星明かりの中、先生の影が小さく肩を竦めて。 ] 『悪いな。此方もサシで話したいと頼んだんだが お偉方はそういうわけにはいかないってさ』 ……ですよね。 [ 此方も先生に合わせるように小さく肩を竦める。 ] (17) 2022/09/26(Mon) 21:59:55 |
【人】 妖もどき 辰沙『…で? 答え合わせと行こうか。 まー個人的な見解をいうと、 お前があの隕石の化身だとか、そういうのはともかく、 禍の種っていうのは個人的には非同意なんだよな。 そんなんだったらとっくの昔に滅ぼしにかかってるだろ』 …………。 『待て待て待て、何その顔。 今のどういう心情?』 …いや。 そこまであなたに信用してもらえてたとは思わなくて。 『は?』 あ、いえ……。 [ こほん、とその場を誤魔化すように咳払いをすると 頭上に輝く赤い星を見上げてから。 ] (18) 2022/09/26(Mon) 22:01:03 |
【人】 妖もどき 辰沙……僕があの星の化身というのは、少し違います。 正確には、僕はあの星の欠片。 僕とあの星の関係を例えるなら…親子とか、銃と弾丸というか、 とりあえず、そういうふうに言い表せるかと。 あの星…ソラナキは、この世界、いえ、 この星の命と魂の系統樹の観測を目的として 星の海…この星系の外から派遣されてきた存在です。 (19) 2022/09/26(Mon) 22:03:41 |
【人】 妖もどき 辰沙[これから語るのは、少し永い昔話。] この星は、星の海の外からやってきた者たちによって それこそ気の遠くなるような昔から、 数多くの干渉を受けてきました。 彼らがこの星に入植し、生態系に干渉した結果、 この地は人間等の肉の命を持った生命体と 妖など闇に属する者たちで溢れることになりました。>>0:43 この星は、ソラナキの主たちにとって 有益な存在を生み出すための研究所であり、実験場でした。 だから、なんといえばいいのか……。 『…要はあれだろ? ソラナキはこの星に生きるモノ全てにとっての造物主か、 その化身みたいなものだ』 …そう、ですね…。 『だからまぁ、仮に祟り神なんて名乗らなくても あの子に神様って名乗ってたのは強ち間違いでもなかったな』 …。 (20) 2022/09/26(Mon) 22:05:08 |
【人】 妖もどき 辰沙ソラナキは星の海の外にいる彼の創造主に情報を送るため、 この星や他にも実験場にしていた星々を見回り観測していました。 時に個々人やそのときの文明に干渉し、混乱を呼び寄せ 或いは闇の者たちに干渉し、その数を増やしたり減らしたり。 …そうしてあるとき、ソラナキと観測者たちは考えたのです。 「人間という生き物を少し試してみよう」と。 既に何度か試したことのある実験でしたが、 今回はこの小さな島国で試してみよう。 彼らは、そんなことを思いついたみたいです。 ……そうして、ソラナキは自身の外装の一部を削り、 この島国へと投下しました。 [ 空から落ちてきた異能の力を持った石を この地の人々はどのように扱うか。 それを、ソラナキと観測者は見たかったらしい。 ] ……ですが、星から分離した星の欠片は 自我を持ち始めました。 そして、自身の組成を変えて動き始めたんです。 [ ―――それが、僕。 ] (21) 2022/09/26(Mon) 22:07:38 |
【人】 妖もどき 辰沙僕は、この星の人間たちにとって異物でした。 ……それはそうですよね。 人間にしてみれば、空から落ちてきた隕石が 勝手に動いているようなものでしたから。 僕を見つけた人間たちは、きっと怖かったろうなと思います。 [ 思い出すのは、赤い夕焼け。 人の温かさに憧れて、叶わなかったときの記憶。 ] そうして、長い時間彷徨った後に 僕は渡守の道具として利用され、封じられました。 其処から先は貴方たちが知っている通りです。 (22) 2022/09/26(Mon) 22:10:50 |
【人】 妖もどき 辰沙[ そこまで話したところで、 ふと気になっていたことを口にする。 ] ……『幽明門』は、僕の身体は見つかりましたか? [ 身体は『幽明門』を封じるための依代として利用し、 精神は身体から分離したうえで、神として奉じることで その力を自身の身体と結界の強化のために利用する。 …僕が言うのもなんだけど、よくできたシステムだと思う。 ] 『…ああ』 『厳密には、見つかったはいいが発見から間を置かず、 捜索隊の目の前で再度ロストしたそうだ。 そのときに採取できた微量の破片の分子構造と ソラナキの分子構造の一致、 そして幽明門のロストと同時刻に観測していた天文所から ソラナキの移動速度の上昇と進路変更が確認された。 これらの情報から合わせて、 お前とソラナキの関連性が疑われたわけだが』 [ そこまで話したところで携帯灰皿にタバコの火を押しつける。 そうして、辺りにはただ、闇だけが残った。 ] (23) 2022/09/26(Mon) 22:15:17 |
【人】 妖もどき 辰沙『……お前さんの話に嘘はなさそうだな。 ま、それはそれで面倒な話ではある、が』 ……。 『表向きには発表されてないが、 おそらくソラナキはこのまま地球へ落下する。 いや、お前の話が本当なら落とされるのかもな。 創造主様からの文字通りの「天罰」として』 [ そこまで語られたところで、 不意にぽん、と彼に肩を叩かれた。 ] 『なんにせよ、あとは大人の仕事だ。 お前は、あの子の傍にいてあげな』 (24) 2022/09/26(Mon) 22:19:20 |
【人】 妖もどき 辰沙……でも。 『ま、これからどうなるかはわからないが、 あの星が落ちてくるのが、人間やら この星の生き物に対する天罰だっていうのなら。 これはな。 俺たち自身が解決しないといけない話なんだよ、辰沙』 『何より、お前もあの子ももう十分傷ついてきた。 俺も、うちのかみさんも あの子に幸せになってほしいと想っているが。 それと同じくらいお前にだって、 俺たちは幸せになってほしいと思ってるんだよ。 それは、どうか忘れないでくれな』 …。 (25) 2022/09/26(Mon) 22:21:42 |
【人】 妖もどき 辰沙『さ、話はこれでしまいだ。 さっさと部屋に戻って寝なさい。 あの子のそばについていてやってくれ』 [ そう促されれば、 それ以上何も口にすることもできなくて。 ひとつ、こくと頷いてからその場から姿を消した。 ] (26) 2022/09/26(Mon) 22:22:32 |
【人】 妖もどき 辰沙[ 寮の部屋に戻れば、 すやすやと穏やかな寝息がベッドから聞こえてくる。 転がり落ちそうな彼女の体勢を再度整えて 先程部屋を出たときと同じように毛布を掛け直す。 ] ……理音。 [ 彼女の髪を撫でて、そのまま頬へと手を滑らせる。 もし、彼女と出逢うことがなかったら。 あのとき。>>3:D37彼女に受け入れられなかったら。 きっと、今の僕はここに存在しなかった。 人間を無条件に善いものだとは決して思わない。 それは今でも変わらない。 ……それでも。 僕は、あの夜の闇の中、彼女に見つけてもらって。 『あたたかさ』を、教えてもらった。] (27) 2022/09/26(Mon) 22:25:40 |
【人】 妖もどき 辰沙[ 僕が、ソラナキの欠片である以上、 彼に伝えなければならないものがある。 この星に落ちてから、ただ、人から忌み嫌われ 利用され続けるばかりたったけれど。 それでも、たとえ千年の時のなかの ほんの十年に満たないような時間であったとしても、 この心に刻まれた温かな記憶を。 ―――僕は、彼に、伝えなければならない。 ]** (28) 2022/09/26(Mon) 22:27:03 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 宴は終わり、セシリーとの婚約を正式に王に認められ その後はディナーでしばらく身動きが取れずにいた。 いざディナーが始まると、会場にヘンリの姿は無かった。 兄さんに聞いてみると、体調が悪いとか。 兄さんもヘンリも気遣ってくれたのだろう、と 優しさに感謝しながら時は流れ、気付けばこの時間。] ヘンリ、体調は大丈夫? [ 落ち着いた頃、ヘンリの部屋の扉をノックする。 昔からあまり病弱なイメージは無かったから、 素直に心配だった。] (29) 2022/09/27(Tue) 20:42:27 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ エドゥが帰ってから数時間が経過した頃 再び扉をノックする音が響き渡る。 エドゥかしら、と思っていたら聞こえた声は] …………。 [ アスだった。 私の大好きだった、聞き馴染んだ暖かい声。 なのに、今は耳に入るだけで胸が突き刺さるように ……──痛い。 どう返事すれば良いのか分からず、 出す言葉を悩みながら時だけが過ぎていく。 ノックの回数も徐々に増え、ノブを回そうとする音も やがて響き始める。] ……ね、そのままで。 今のままで……少し話を聞いてくれる? [ 扉は開けず、互いに顔が見えないまま話し出す。 ぐしゃぐしゃになった顔を見せたくなかったのと 彼の顔を正面から見れば、再び泣き出す自分が 容易に想像出来た。] (30) 2022/09/27(Tue) 20:42:34 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 何故か扉を開けない様子に首を傾げるも 夜中に女性の部屋に強引に入る訳にもいかない。 しかも自分は、王女と婚約中の身であり 変な噂でも出たら目も当てられない。 結果、扉の前に立ったまま話を聞くことにした。] 体調悪いって聞いてたけど 大丈夫……? [ 彼女の声はどこか震え──怯えたように聞こえて 体調不良が続いているのかと、不安になり始めた頃。] (31) 2022/09/27(Tue) 20:44:57 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム[ 声が震える。 正面から向き合ったら言えないだろう、と 扉を開けなかったのに。 何の意味も無かったことに打ちひしがれ 同時に、自分の駄目さ加減に頭を覆いたくなる。 この想いを墓まで持っていくかは悩んだ。 墓までとは言わずとも、時を置いて伝えることも考えた。 でも、私のような小心者で勇気も無い人間は この機を逃したら一生言えない気がした。 未来、笑い話にも出来ない気がした。 同時に────貴方のことを思っていた人間は 此処にも居たのよ、私の事も見て、といった 今更アピールも含んでいる。] (33) 2022/09/27(Tue) 20:49:17 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス…………え、っ。 [ 予想もしなかった言葉が、告白が 扉の奥から聞こえてきた。 彼女とは同い年で、何でも気軽に話せる間柄で 前衛同士のコンビネーションも文句無し。 小さい時は、二人で兄さんに悪戯を仕掛けたり その後一緒に怒られたり。 兄弟のようでもあり、失いたくない大切な仲間だ。 とはいえ、俺に恋愛感情を持っていたとは寝耳に水。 仲間、幼馴染の関係と思っていたから。] ヘンリ、開けてくれ……! [ 扉を強く、激しくどんどんとノックするが 開く気配は、一向に見えぬまま。] (34) 2022/09/27(Tue) 20:53:09 |
【人】 騎士 ヘンリエッタ・ストゥディウム……ごめんね。 今更何を言うんだ、って思うだろうけど……。 でも、もう、最後だから 私の想い、伝えておきたかったの……。 セシリーと、幸せにね……。 [ これ以上は無理、と扉前から離れ、ベッドに飛び込み 布団に埋もれ大粒の涙を流す。 アスベルの声が、激しくノックする音が暫くの間 聞こえていたけれど、耳を塞ぎ続けていた。] (35) 2022/09/27(Tue) 20:56:31 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 拳が赤く腫れ上がる程にドアを叩き続けるが、、 やはり反応は無い。] ヘンリ……。 [ こんな経験、過去に経験したことが無いものだから どう声を掛ければ良いのか分からず、沈黙が続く。] なあ、好きなら開けてくれよ……。 俺の頼みを聞いてくれよ……! [ 沈黙を破り、振り絞って出した言葉はか細く、小さく 既にドアの前から離れた彼女には、聞こえない。] (36) 2022/09/27(Tue) 21:02:24 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス俺のことを好きになってくれて……ありがとう。 そして……君の純粋な想いに応えられなくて ………ごめん。 でも、俺は昔からヘンリのことが大事で、 それは今も、この先も。 ずっと変わらないままだから。 それだけは覚えていて欲しい。 また、話せる時を、楽しみにしている……から。 [ 既に彼女には聞こえていないだろうけど 心からの礼と謝罪を残し、部屋の前を去っていった。*] (37) 2022/09/27(Tue) 21:07:08 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ セシリーと契りを交わした宴の日から暫くが経過し あの日から、俺を取り巻く環境は一変した。 結婚式をなるべく早く行って欲しい、と国中が躍起になり 式の予行練習から勉学やら作法やら 山のように勉強や覚えることが増えた。 しかも小さな村育ち、作法なんてほぼと言ってもいい程に 分からないのだから。 最初の方は全てが新鮮で、やがて訪れる未来を思えば 楽しさが勝っていたけれど、いかに俺が勇者であれ 当然、疲れもすればだるさを覚えることもある。 それでも、傍には常に妻のセシリーがいてくれたから 毎日を幸せに過ごすことが出来た。 正確に言えば未だ妻では無いのだが、既に気分は夫婦。 なんていえば惚気だと思われそうだが。] (38) 2022/09/27(Tue) 21:10:17 |
【人】 勇者 アスベル・レイフェルス[ 兄さんとヘンリは、あの後旅に出たらしい。 結局ヘンリとは別れの言葉も言えないまま、 直接話せないままだったけれど きっといつか話せる時が来ると思う。 生まれてからずっと俺を見守り続けてくれた兄さんと 苦楽を共にした昔からの仲間が居なくなって寂しいけど きっとふらっと立ち寄ってくれるだろう。 その時には、昔に戻り 皆で笑って時を過ごせるだろうと信じている。 それまで、俺は待ち続ける。 その頃には、俺達はどうなっているだろうか。 式を無事終えて、婿入りが終わった後か。 父を知らぬ俺が、父親となった後か。 ……この先訪れる未来は、きっと明るいものだから。] (39) 2022/09/27(Tue) 21:12:53 |
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