【墓】 青嵐「……?」 誰かの返事が聞こえたような気がして、振り返る。 振り返っても、誰もいない。 サワサワと木々が擦れる音が辺りに響いている。 気のせいか。…気のせい、なんだろうけど。 …そうでなければいいな、と思った。 「今日は何すっかね。 まぁどうせ今日もどっかでなんかやってるだろ。」 呟いて歩き出した青年の口元は、僅かに綻んでいた。 (+4) 2021/08/14(Sat) 21:44:46 |
【置】 花守──夢を、夢を見た。 薄ぼんやりと映る景色のなか。 手入れのされていない雑木林。 寂れた木造の建物。 独りぼっちが。 迷いびとに甘い夢をみせて。 優しく包み込んで。 寂しくないように。 そう囁いて。 此処こそが自分達の還る場所で。 いつまでも、どこまでも居ていい場所で。 きっとまだ迷い込んていないみんなも、来たがっている。 だからみんなを…… それから……それから…… 「…………ぼんぼこ、ぼん?」 (L0) 2021/08/14(Sat) 22:04:10 公開: 2021/08/14(Sat) 22:30:00 |
天のお告げ(村建て人)は、メモを貼った。 2021/08/14(Sat) 22:45:00 |
【人】 学生 涼風 季節外れの雪を纏う。 艶めく白に、金の流水文様を走らせて。水辺に咲くのは紫苑の花。引き締まる黒の帯には蝶々が舞い、涼しげなガラスの帯留めが腹部を飾る。 御端折りを出すのに苦労したけれど、工夫さえすれば着丈が合わない着物も着れるものだ。 姿見に映る自分の姿。着物を崩さぬよう身を寄せて、鏡の向こうの己に触れる。 にこり。 紅を乗せた唇の端をほんの少し持ち上げて。 さらり。 髪に差した簪を揺らすように小首を傾げる。 一枚隔てたガラスの向こうで、母親が優しく微笑みかける。……微笑みかける真似をする。 病に倒れ、母と自分を混同するようになってしまった父の為に真似していたから母の真似事をするのは得意だった。 けれど、今この時は父の為ではなく。 父が母の為に仕立ててくれた、誕生日の贈り物。それを着る前に亡くなってしまった、母の為に。 ▼ (1) 2021/08/14(Sat) 22:52:04 |
【人】 学生 涼風「日舞なんて、本当に久々だから。間違っていても許してね、母さん」 目が覚めるほどの紅色を差した唇から溢れる柔らかで涼しげなそれ。いくら見た目が性別の垣根を塗りつぶしてしまうものだったとしても、はっきりと男のものだとわかる声だった。 四日目。まだ気温が上がる前の清廉な朝の空気が静寂と共に辺りを包む頃。 母親の仏壇がある部屋の真ん中で、恭しく一礼をして母から習った舞を踊り始める。 きっと、これは誰かがくれたきっかけなのかもしれない。やさしいやさしいゆめなのかもしれない。 だって、そうじゃないと説明がつかないのだ。 どうして、この着物がここにある? ──この着物は、母が亡くなった時に父が処分してしまったのに。 (2) 2021/08/14(Sat) 22:53:22 |
【人】 影法師 宵闇「────♪」 鼻歌を鳴らしながらあぜ道を練り歩く。足取りは軽い。 ギター <都会の象徴> を置き去りにしてまるで少年時代に戻ったみたいに。夏風になったみたいに。 「昨日は海、楽しかったな。今日はなにして遊ぼうか、」 「ずっとここにいて欲しいんだろ、なあ、田舎のかみさま」 ──なにかに、呼ばれている気がする。 ──だれかに、呼ばれている気がする。 ずっとここにいて、こっちで遊ぼう、って。 誰だろう、幼い時の自分? いつもつるんでた、記憶の中の友人? ずっと一緒にいた、古ぼけたピアノに魂でも宿ったかな。 向日葵畑に迷い込んだような 夏祭りではぐれたときのような、そんな不安もなくて。 この田舎に来た時から、実は知っていたのかも。 だってこんなに居心地がいいのだから。 泡沫みたいにふ、と宵闇に溶けてゆく迷子か 使命を忘却の彼方に置き去りにした導き手か なんにも知らぬまま男は、影のように田舎の風景に溶け込む。 (3) 2021/08/15(Sun) 0:43:57 |
(n1) 2021/08/15(Sun) 1:06:25 |
【置】 おかえり 御山洗がば、と体を起こす。汗だくの顎から伝った汗が布団にぱたと落ちた。 頭が痛む。汗のかきすぎだろうか。夏の暑さが皮膚を締め上げるようだ。 流れ落ちていく汗の感覚を意識が追って、時間を掛けて夢と現実が選り分けられていく。 深呼吸して喉を通る息の冷たさが、まるで水を流し込んだかのように思える。 「……」 張り付いたシャツを引き剥がして空気の通り道を作る。腹が冷えそうだ。 腕に触れ、肘の内側に触れ、皮膚と手の平の間の空気を追い出すようにぎゅうと握りしめた。 恐れている。怖がっている。何より自分が、いやになる。 自分がいる場所はここではない。もう、ここに自分の居場所なんてのはないのだ。 帰ってきてよかった。帰って来なければよかった。全部、そのまま忘れてしまえばよかった。 (L1) 2021/08/15(Sun) 1:15:43 公開: 2021/08/15(Sun) 1:15:00 |
御山洗は、怯えている。 (a0) 2021/08/15(Sun) 1:15:51 |
【墓】 現実に背を向けて 竹村茜「夏祭りか…皆と行きたいな。 かき氷食べて金魚掬って…ふふ、楽しみ〜♪」 にこにこ、これから待っている楽しみに思いを馳せて家に戻っていく。 女の子には、用意したいものが沢山あるのだ。 (+5) 2021/08/15(Sun) 2:26:58 |
【人】 学生 涼風【四日目 早朝】 線香とい草の匂いに包まれた部屋に、ぱさりと乾いた音がする。 纏っていた着物の下から現れたのは真白の肢体。肉付きは薄く、されど女のようなしなやかな曲線を描いている訳ではない。陶器製の人形めいたその体は、確かに男の形をしていた。 母への手向けの舞を踊った後。着物を畳み、手早く洋服を身につけて。仏壇の前に正座する。 「……こうして母さんの実家できちんと話ができるとは思わなかった。 そもそも、私はずっと勉強ばかりしていたから、拝む事さえきちんとしなかった親不孝者として怒られてしまうかな」 語りかける写真には自分と同じ顔がある。けれど慈しむようなその微笑みは、自分と似て非なるもの。 視界が狭くなっていた自分では、こんな笑い方できるわけがない。 「母さん。私は元気でやっているよ。少し話をしようか。あのね……」 …… …… …… ▼ (4) 2021/08/15(Sun) 3:07:18 |
【人】 学生 涼風>>4 滔々と語る言葉に相槌を打つ者などいない。けれど、少年は決して報告を止めるつもりなどなかった。 失われていた家族との時間がたまらなく愛おしかった。例えそれが相手が既に死んでいたとしても、今ここにいる場所が夢幻のようなところであっても。 「……」 身の回りに起きたことを少しずつ話して、途中ではたと気付く。 道を選ぶのが嫌で、夢と向き合うのが嫌で、甘く優しい思いしかないこの場所にずっといたかった。 でも。それでも。 この永遠にいてしまったら、夏の思い出に浸り続けてしまったら。 成長を喜んでくれた母に、今なお共に生きている父に、報告するものが無くなってしまう。 「それは…………寂しいな」 (5) 2021/08/15(Sun) 3:08:59 |
【人】 髪置4日目 朝 「今日も……遊びますか!」 今日は楽しい楽しい夏祭りの日! そんな日に遊ばないなんてありえないことだ。 なんなら祭りの前に一遊びするまである。 髪置にとって祭りの日とはそういうものであり、 手加減などもっての外だった。 (6) 2021/08/15(Sun) 3:43:55 |
【置】 髪置「祭りだからってはしゃぎ過ぎだろ」 「お祭りなんだからみんなに合わせようよ」 「髪置くん、私達と一緒にいても楽しくなさそうなんだもん」 そんな言葉をかき消していた囃子の音も、 もう聞こえなくなってしまった。 (L2) 2021/08/15(Sun) 3:49:43 公開: 2021/08/15(Sun) 6:30:00 |
【人】 学生 涼風 四日目。早朝、母親と会話をした後の時間。 今日はお祭りがあるらしい。百千鳥とは浴衣を着て一緒に行く約束をしてある。折角再会したのだから、自由行動の時間にでもなったらあとでふらりと髪置の家に行って声をかけにいくのもいいだろう。 でもその前にやる事をやらないと。遊んだら没頭してしまうから、先に友人への葉書を完成させなければ。 「葉書、おばあちゃんに出してもらったはいいけれど。書きたいものが多すぎるな……」 百千鳥の姉に伝える内容をしばらく考えてみたものの、なかなかまとまらない。 帰省する前に取った連絡では何を話していただろう。遊ぶ事、百千鳥の面倒を見る事、夏祭りの事、将来の事……よく話題に挙げていたものを中心に書けば彼女も満足するだろうか。 ▼ (7) 2021/08/15(Sun) 4:11:45 |
【人】 学生 涼風 ペンを持つ手が止まる。 「…………」 そこだけ記憶が抜け落ちたかのように、或いは初めからなかったように。 帰省する前に取った連絡の内容が思い出せない。 「……どうして」 鞄の中からスマートフォンを取り出して恐る恐るあちこちを探る。 普段よりも遥かに画面を叩く勢いが強いことにも気付かない。たんたんたんと音を鳴らし、いくつものアプリを起動する。立ち上がる前の準備時間さえももどかしかった。 「…………無い」 無い、無い、無い。 メールも、電話も、その他の記録にも。 どこにも"都々良 呼子鳥"の痕跡が見当たらないのだ。 そんな筈はない。だって、自分は確かに彼女と話を──。 「ほら、行くよ!いつまでもそんな所でぼーっとしてないの!」 ほら、思い出せた。彼女の声が聞こえてくる。 ああ、でも、どうして? ──どうして今のものではなく、昔の声しか思い出せないの? (8) 2021/08/15(Sun) 4:15:32 |
【墓】 枠のなか 卯波写真を見ている。 世界の果てみたくハッとするような澄んだ空気の中、 田舎の皆で集まって撮った、何より大切な集合写真。 様々な表情で、様々な姿勢で切り取られた四角形の。 『 』 慈姑婆ちゃんも、時任の さんも、呼子姉も、 この中にはみんないる。何一つ欠けていない。 誰もがあの頃の美しさのまま、そこに写って。 彼が、あの子が作ろうとしている枠の中とは、 決しても似ても似つかない。哀しそうに笑う。 今それをどうしようもなく愛してしまうのは、 やはり矛盾した心の、不自然な気持ちの動き。 「ずるいよ。俺にはないもの。 俺だって、みんなをここに閉じ込めて、誰も前に進まない場所で、背中に追いつきたかった」 警察の兄さんたち。ひとつ年上の人たち。 目を離せば、随分遠くを行く彼らだって、 ここに止まれば等しく『田舎の人間』だ。 ▼ (+6) 2021/08/15(Sun) 5:29:32 |
【墓】 枠のなか 卯波「俺は田舎が大好きで──でも、 それと同じくらい、前に進む皆が好きだから。 ここにみんなでずっと残っていたいし、 ここから出て様々な道を行く皆を見たい。 酷いよ、ほんとに。この先どうなっても、 俺は叶わなかった願いに心を痛めることになる」 十年前の写真。 ここで撮った写真。 それと──十年経つ中で、 己の人生をいくつも切り取った、 晶兄の名を借りたカメラが映し出した写真。 息苦しかったり、嫌なことがあったりの日々から、 美しく、甘く、優しいものだけを切り出したもの。 ここにあるのは人生の歩みだ。 並べて、ただひたすらに並べたら、 一ノ瀬卯波という人間の楽しく思う部分が全部詰まっている。 ここから先はもっとみんなを撮りたいから。 夢に浸りたいと願う人にも、現実に帰りたいと願うにも。俺は逃げたりしない。 (+7) 2021/08/15(Sun) 5:43:34 |
卯波は、誰でもない、一ノ瀬卯波の人生を、誰よりも美しく思っている。 (c7) 2021/08/15(Sun) 5:46:19 |
【見】 天狼の子 夜長>>3:146【三日目】百千鳥 行ったことがないのなら、自分が案内出来るだろうか? 自身が大人の今の内なら、百千鳥に何かをできるだろうか?……といったことを考えたが、夜長が帰りのボートをひっくり返して鬼走と一緒に海水まみれになったのは記憶に新しい。この件に関しては考えただけで終わった。 「……ありがとう、モモチ。 他の場所もまた、探してみようと思います」 こっくり、頷いて。あなたをまっすぐに見ていた。 この後あなたは、夜長をあの賑やかな中に引っ張って行ったかもしれないし、漁小屋の方の秘密基地に案内してあげたかもしれない。どんな時間を過ごしたにしろ、それは"あの夏の日の思い出"になるようなもので。 それでもって、今日の最後の言葉は「また明日」だった。 (@0) 2021/08/15(Sun) 6:01:27 |
夜長は、百千鳥が眩しい。 (t0) 2021/08/15(Sun) 6:01:32 |
【置】 巡査部長 鬼走【数年前 某――年 鬼走家】 鬼走の住居に雪子一家が遊びに来たとある日。 他人の家は物珍しい物なのか、表情は父親とまるで変らないものの子供特有の好奇心を覗かせる晴臣に好きに中を歩いていいと伝えていた時の事だ。 「興味があるのか」 少年が足を止める時は何かを見つけたと言う事。 視線に目を移して「ああ。」と納得したように呟く。 「どうせ壊れている物だ。 それ以上壊す心配もないから好きに触っていい」 年齢の割に渋い選択とも思ったが、同年代の子供よりは遥かに大人びているのを見て来たのを思うと違和感はない。村の当時の年下達を思う度、「雪子の遺伝子もある筈なのにどうしてここまで」と言いたくなる程に彼は父親似だった。 「親父の仕事は時間を計るのが大事だった。だからお袋がよく計る為にして使っていたのを、2人が元気な時はよく見ていた」 視線の先には針の動かなくなった懐中時計。 病弱だった母が亡くなった直後は整理する時間も金も、心の余裕もなかった故に長らく置いておかれた数多の私物。最近になってようやく回収できた物。やや困惑する様子を見て手に乗せてやった。顔はそこまで変わらないものの嬉しそうな反応は存在している。ここがまだ父親と違う可愛げだろうか。 「持って帰るか?」 (L3) 2021/08/15(Sun) 8:53:48 公開: 2021/08/15(Sun) 9:00:00 |
【置】 巡査部長 鬼走【数年前 某――年 鬼走家】 一般的な人間は、そんな形見に近い物を幾ら壊れているからと言って持って帰るかの問いに頷かない。それは幾ら大人びている晴臣と言う少年も同じだった。 そしてその反応も当然だと鬼走も理解はしている。だから、他に一人にしか語った事のない話を、少しずつ語り始めた。 これは贈り物で父と母の「家族の物」であったこと。 昔、母が入院し二人きりの時に落として壊してしまったこと。 時計屋に持っていけば技術的に直せない訳ではないが高額で、 当時は入院費などもあり直せないまま今日を迎えたこと。 他にも幾つか深く聞かれた上で、本当に問題ないのかと尋ねられた。勿論問題はない。あるなら提案はしない。それに事実、問題もないのも本当なのだ。だって自分にはもう、 「──家族ができた」 (L4) 2021/08/15(Sun) 8:59:38 公開: 2021/08/15(Sun) 9:00:00 |
【置】 巡査部長 鬼走【数年前 某――年 鬼走家】 「だからもう大丈夫だ。 そいつに渡すなら、新しい物を選ぶべきだろうから。」 いつか将来、『親ではない意味の家族』ができたなら。その時、欲しがったり渡したい奴がいたら渡すといいと。勿論自分で使ってくれても構わないし、飾りでもなんでも。あげた以上は好きに使ってくれていいと、箱に仕舞いながらその時計を手渡す。 「お前が大きくなった頃。 もっと簡単に直せるようになった未来に、」 「もう一度動かしてやってくれ」 これは某――年。数年前に、 「夜長晴臣」に託した、二人しか知らない話。 (L5) 2021/08/15(Sun) 9:00:40 公開: 2021/08/15(Sun) 9:05:00 |
【人】 巡査部長 鬼走>>3:@14 【海の洞窟】夜長 「因果関係と迷子は知らんが……正直全部信じ切ったとも言えん。だが晴臣が誰かに渡す……も、ないな。奪う必要性だって話を知らなければただの壊れた時計だ。……はぁ」 ますます持って、彼が7歳児の晴臣の大きすぎる姿。としか言えなくなった。否定しようにも肯定しようにも滅茶苦茶である。とは言え悪意や害意のようなものは今まで関わって来て一度も感じなかったし、それどころかまるで違和感がない。この淡々とした無表情っぷりとこの空気感は自分と和臣と、晴臣なのも知っている。 「大人になりたくてそんなになれる奴がいるか。と言いたいが、もう原因を解明とかそんな段階じゃないな。雪子に電話、……も繋がらないのか」 この時ばかりは田舎の不便さを恨んだ。村を出て16年。こんなにも電話が恋しく、こんなにも雪子か和臣と話をしたいと思う日が来るとは思わなかった。 「……仕方ない。今の所はお前が「晴臣」なのは信じる。一つ気になったんだが、お前はどうしたいんだ晴臣。俺が説明した所で信じる奴がいるかすらわからないが、まあ0とは言い切れない。お前は「晴臣」としてみんなと接したいのか。それとも和臣と勘違いされたままで構わないのか」 (9) 2021/08/15(Sun) 9:13:28 |
【墓】 枠のなか 卯波「じーちゃんばーちゃんいってきま〜す!」 紺色の浴衣の上からカーディガンを羽織り、 上機嫌で家屋から、下駄をころころと慣らして出てくる。 首には勿論、大事なインスタントカメラを引っ提げて。 「男前になった?ふふ、お世辞を言っても何もでないよ、おじさん。屋台は……あっちですね?ありがとうございます!」 手持ち花火セットを受け取って、 いざ祭りへ。みんなもう居るかな、と逸る気持ちは、そのまま急ぎ足の歩幅に映っている。 ずっと遊んでばかりだからか、 一日一日過ぎるのが早い気がする。 時を数えるのも、忘れてしまったみたいだ。 (+8) 2021/08/15(Sun) 14:28:05 |
【人】 少年 編笠「……?」 夏祭りに向かう道――。 小さな自分の背中を見つけた。 親から与えられた千円を握りしめて、 楽しいはずの祭りに向かう子供の自分がいる。 それは初めてで、最後の、独りだけの祭りの記憶だ。 結局その千円は俺の小さな手に握りしめられたまま、 親の財布に戻っていったことだけは覚えている。 どんな食べ物だって。 どんな遊興だって。 みんながいなければ、何の価値もなかった。 みんながいなければ、何の意味もなかった。 ……大丈夫だよ。 その小さな自分の、俯いた頭に触れる。 優しく、安心させるように、静かに。 幻影のそれに触れられるわけはないけれど、 何も言わなくても伝わるように。 ……――俺が絶対に、助けてやるから。 (10) 2021/08/15(Sun) 15:04:58 |
編笠は、ずっと皆で。――この祭りに来たかった。 (a1) 2021/08/15(Sun) 15:06:20 |
【墓】 夕凪夕凪は、声をかけました。 「青嵐くん、お祭りにいったら今日は何食べたい? お腹壊さないようにするんだよ」 話を早く区切って、誰かの元へ。 「茜ちゃん浴衣は着る? 着付けして欲しかったら夕凪に任せてね」 せわしなく、何かに焦っているようにまつりを楽しみにしている。 「……卯波、あのね。 夕凪たちの写真もっと撮って欲しくて、あれ?」 ずっと続くと、楽しいと思っていた世界にひびが入ってしまったような気がして不安で仕方が無い。 だから、できる限りのことをしようと思った。 「……大きくなってる? う…うん? ……前よりも、ずっと。 お世辞じゃないよ、素敵だと思う……」 ここにみんなでいたいという祈りは、間違っているのかな。 夕凪たちは、閉じ込めたいとでも、おもっているのかな。 だんだんと変わっていく皆の心に、亀裂は溝を深めていった。 (+9) 2021/08/15(Sun) 15:41:03 |
【墓】 枠のなか 卯波「時任の さん、どうかした?」 最初に境内に訪れた時と比べて、 ほんの少し背が伸びて、髪も伸びて。 こころなしか、体格もしっかりしている。 卯波は確かに、田舎でみんなで居られたらどんなにいいことだろうと思っている。 だけどそれはまるで、もっと外へと飛び出そうとする、子どもの、眩しい成長のような── 「勿論、写真は沢山撮りますよ! フィルムはいっくらでもあるから、寧ろみんな俺が撮りすぎてイヤになったりしないか不安だな。 ……ふふ、皆の着物や浴衣、今から凄く楽しみ」 そう笑う顔には、他でもなく卯波少年の面影を色濃く残していていた。 (+10) 2021/08/15(Sun) 16:03:18 |
卯波は、行く道で編笠にも「晶兄〜!」だの声をかけた。 (c8) 2021/08/15(Sun) 16:07:20 |
【置】 学生 涼風拝啓 朝顔の花にも名残惜しさが感じられる頃となりました。お変わりなくお過ごしでしょうか。 貴方へ送る手紙も、いつのまにか片手で数えられる分をゆうに超えていましたね。頓挫せずに続けることができてほっとしています。 (中略) 芸術とは何のために存在すると思いますか? 人がただ生きるのであれば労働を続け、得た対価で命をつなぐ為の食べ物を買い、適度に体を清潔にして必要な睡眠をとればいい。けれど、決してそうはいかない。 「芸術は、それによって一層幸せになれる人のために存在した。」「芸術は人間の仕事を幸福なものにし、休息を豊かにするのである。それゆえ、真の芸術とは人類に対する純粋な祝福である。 」「芸術の目的は、仕事に創造の喜びを与えることで労働にかけられた呪いを破壊することにある。」 多方面で活躍したとある人物が提唱したものです。深い話を始めるともっと長くなりますから、かい摘んで言うとこのようなものになります。 きっと人によって結論は様々です。私も話すと少し長くなりますが、ひとまずはこれだけ。 小説、絵画、写真、音楽……芸術の分野は多くありますが。 芸術とは多くの人の手に届きやすい位置で、見えないものをすくいあげて伝える為に存在するのだと思っています。 感情、記憶、希望……見えないものは様々。 貴方は何を伝えたいですか?私は── (中略) 敬具 20××年 8月××日 涼風薫 (L6) 2021/08/15(Sun) 16:13:16 公開: 2021/08/15(Sun) 16:30:00 |
【置】 学生 涼風 家か、或いは関係者に渡したのか。 手触りのいい和紙の便箋がとある人宛に送られた。 『髪置くんへ お祭り行くでしょ?行こうね! 追伸 いちご飴とりんご飴、どっちが好き? 今度は私が奢ってあげるね そうじゃなくても、あとで君についていって遊ぶところを眺めたいな。 』君がいきいきと動くところを見るの、好きだもの。許してくれる? ほっそりとした字で、ガキ大将のような無茶振りが書かれている。 文章の内容に従うも従わないも自由だ。そもそも、海原のようにおおらかで自由な貴方はいつ気付くだろうか。手紙を書いた人物は、きっとどう転がるか分からない結果さえも楽しみにしているかもしれないが。 (L7) 2021/08/15(Sun) 16:21:50 公開: 2021/08/15(Sun) 16:30:00 |
【墓】 青嵐「そっか今日夏祭りか」 並ぶ屋台を見て一言。 生憎水着も持ってこない男だから 浴衣なんてあるわけないのでTシャツで失礼。 夏祭りならみんな来るんだろうな。と期待に胸を膨らます。 「なーおじさんもうやってる?たこ焼き食べたいんだけど」 (+11) 2021/08/15(Sun) 17:18:08 |
髪置は、全速力で記憶に残っていた"らしい"涼風の家を訪れて、呼び鈴を鳴らしまくった!!! (a2) 2021/08/15(Sun) 17:26:11 |
青嵐は、みんなを待ちながらたこ焼きを食べている。 (c9) 2021/08/15(Sun) 17:26:14 |
涼風は、笑いながら立ち上がる。傍にいたおばあちゃんはころころ笑っている。 (a3) 2021/08/15(Sun) 17:36:32 |
【人】 学生 涼風>>12 髪置くん! 「はーあーいーっ!」 どたばた。どたばた。からん。ころん。 忙しなく廊下を走る音。その数秒後、下駄が鳴る。歌うように軽やかに。 柔らかな象牙色の浴衣に黒の兵児帯。朝に着た母の着物と色合いは少し似ているが、こちらはれっきとした男物の浴衣だ。 長い髪を編み込んで髪を短く見せた少年は満面の笑みで飛び出した。 「ふふっ。来てくれるって信じてた。それじゃあ行こっか。 モモには先に行っててって言ってあるし、他の人もきっとお祭りに行ってると思う。きっと賑やかだよ」 そう言って当然のように自転車の後ろに座った。今日はお祭り、無礼講。警察に籍を置く皆さんが帰省しているが、バレたらその時謝ればいい。涼しげな顔で、悪どいことを考えながら。 (13) 2021/08/15(Sun) 17:36:54 |
【人】 おかえり 御山洗「……」 まだ昨日の内から気の晴れないまま。海の記憶が残ったまま。 幸いにして家の中に昔の浴衣はあって、幅は調整すれば着れそうだった。 着れそうだな、というところまで確認したのに、まだ袖は通していない。 蒸し暑く射す太陽を受けながら、玄関先の縁台に座ってぼんやりとしている。 みんなお祭りに行っている頃だから、ぼんやりとしているのを誰かに見られることはないだろう。 もう少し、あと少し。気分が晴れてから向かえばいいだけだ。 (15) 2021/08/15(Sun) 17:43:56 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥 黒地の女物の浴衣。 白の花々が散るそれに赤い帯を締めて、 これまた赤い鼻緒の下駄をからんと鳴らして 祭りに浮き立つ村の中を行く。 涼風の祖母に尋ねれば、やはり今日は祭りがあるようで ならばと今日も皆を誘って回るのだ。 後頭部のやや高くで括った髪を揺らして、 目に付く限りの人に、一緒に遊びに行こうと 明朗に声を掛ければ、ほら、大丈夫。 こうしていれば、まだ呼子鳥と同じで居られる。 (16) 2021/08/15(Sun) 17:47:06 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥──また明日。 また明日、がいつまでも続くと そう無邪気に思えるほど子供では居られなくなってしまった。 いつだって時間は有限で、そしていつかは 別れの時 が来る。だから、この今日という日が 少しでも長く続いてほしいと願ってしまう。 それなら最初から、期待なんかしなければよかったのに 自ら選び取った 延命処置 に心は緩やかに絞め殺される。こんな事をしている間にもきっと、 意地悪な時は足早に逃げていってしまうのだろう。 明日になれば、 夢のように 何もかもが消えてしまう気がして。本当はもう、ここが甘い夢だと知っているから 何もかも いつかは覚める夢 だと知っているからだからどうか夢が覚めないでほしいと願うのだ。 夢は見るものであって、住むものではないのに。 それでも、一番に望むものはもう、この夢の先にしかなくって。 (L8) 2021/08/15(Sun) 17:51:03 公開: 2021/08/15(Sun) 17:55:00 |
百千鳥は、そんなふうに「また明日」を言える夜長の事が羨ましかった。 (a4) 2021/08/15(Sun) 17:51:15 |
百千鳥は、卯波のように愛情深くはなれなかった。 (a5) 2021/08/15(Sun) 17:51:22 |
百千鳥は、結局誰のようにもなれなくて、それでも姉の面影をなぞり続ける。 (a6) 2021/08/15(Sun) 17:51:30 |
百千鳥は、今日も皆に声を掛けて回る。「一緒に遊びに行こう!」 (a7) 2021/08/15(Sun) 17:52:03 |
【墓】 枠のなか 卯波>>14 編笠 「え〜、折角久しぶりのお祭りなのに。 楽しみなのはそりゃ当然として、 さらにテンションあげてきましょうよ」 先輩ら二人が普段着なのは何となく予想がついていた。瞬兄は良くも悪くも変わってないし、晶兄もまわりに流されたりするタイプじゃないように見えたから。 「これじゃあまるで俺だけが望んで……違うな、楽しそうみたいじゃないですか。普通逆ですよ、俺は撮る側」 ほら、とインスタントカメラを掲げてみる。 今なら、空気のなかで弾けるような、賑やかでどこか寂しい笛や太鼓の音までも切り取れそうな気がする。気がするだけだけど。 (+12) 2021/08/15(Sun) 17:55:03 |
【人】 花守「……とおいね」 一向に街に辿り着かないことの違和感はあった。 最初はあなたがわざと遠回りしてるのではと疑ったが。 違った。 恐らく、先ほどからずっと"同じ道を走り続けている" それでも切り出せずにいた、切り出さないでいいと思った。 都会の蜃気楼を追いかけて延々と走り続けて、この刻を永遠にしてしまえばいいと思った。 「じゃあ、センパイはどうやって飲み込んだの? どうして"オトナ"でいられるの?」 花守縁は"オトナ"になれなかった。 (17) 2021/08/15(Sun) 17:57:34 |
卯波は、フラッシュを閃かせた。 (c10) 2021/08/15(Sun) 18:03:15 |
枠のなか 卯波(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/15(Sun) 18:10:00 |
枠のなか 卯波(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/15(Sun) 18:10:14 |
【人】 少年 編笠>>+12 卯波 楽し気にカメラを持つ卯波に少しだけ違和感を覚える。 何かが、決定的に変わった様なそんな違和感。 焦燥に後押しされるように口を開く。 「俺は……。 そういや、昔からあんまり祭り得意じゃねーらしい、実は」 ポケットに手を突っ込んだまま、言う。 「別に嫌いってわけでもないし、好きなんだけど。 それでも、苦手なんだよ。 祭りは必ず終わりを迎えて、 終わった後の日常は始まる前より寂しいから。 なあ卯波、祭りの最中に、この祭りが ずっと続けばいいなって思ったことねーか?」 薄暗くなってきた周辺の真ん中に立ち、 静かにそう尋ねた。表情は何も変わらない。 (18) 2021/08/15(Sun) 18:10:18 |
枠のなか 卯波(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/15(Sun) 18:11:37 |
【墓】 現実に背を向けて 竹村茜夕凪姉に着付けを手伝ってもらって。 薄い水の色に白の葉が踊る浴衣を身に纏った少女は祭りに繰り出した。 少女に合うサイズの浴衣が用意されているなんて有り得ないのに。 ちょこんと頭の後ろに括られた髪が、走るたびに揺れる。 「シュンー!アキラー!うーなーみー!遊ぼーっ!」 そして、一目散に幼馴染の元へ駆けて行くのだ。 (+13) 2021/08/15(Sun) 18:15:24 |
【墓】 枠のなか 卯波傾いた日の、光が当たる地面に立ち、 ほんの少しだけ首を傾げて。 あなたを木陰に残して、 一歩、二歩と早足で歩き、 振り返ると、微笑んでみせる。 「あるよ」 誰かにも見せた。今まで誰にも見せなかった、 恋焦がれるような、悪戯を思いついたような、 ほんのちょっぴりだけ蠱惑さを煮詰めた笑み。 「お祭りが終わった後の日々は、 切なくて、つまらないことばかりだもの。 帰りたくないなって何度思ったことか」 それは変わらないあなたの表情と対照的だ。 違和感は違和感だけでは終わらず、 確かに、何かの変化を齎そうとしている。 ▼ (+14) 2021/08/15(Sun) 18:19:29 |
【墓】 枠のなか 卯波▲ >>18 編笠 「でもね。楽しいからこそ切なくなるんです。 お祭りも、その先の味気ない日常も、 俺は全部ひっくるめて好きで居たい。 ずっと同じ風景ばかりの写真じゃ──飽きるでしょ?」 俺に勝負を吹っかけた晶兄だから分かるでしょうけど、と続けて──また、昨日のように手を伸ばす。 遠くから聞こえてくる彼女の声も、また同じようなシチュエーション。きっと、映るものも似たような四角い枠の中だ。 「ね、はやくいこ? 俺、今日は沢山みんなを撮って、遊んで、楽しむんですから」 夕焼けが後ろ髪に透けて、縁に淡い光を含む。 陰の差す顔の表情は、それでも晴れやかで、あなたを見ている。 (+15) 2021/08/15(Sun) 18:26:32 |
【人】 影法師 宵闇遠くから聞こえる祭囃子、遊びへと誘う声 ──お祭りの気配がする。 「……なあ、母さん。浴衣ってあったっけ。 祭りに行くなら雰囲気ってのは大事だろ?」 今の自分に合うサイズが実家にあるのはおかしかったが なんの疑問ももつことはなくて。 或いは気づかないふりをして。 まるで思い通りの夢みたいにそれは不思議とそこにある。 どこまでも黒い、夜に溶けそうな黒地の浴衣を纏う。 履きなれない下駄をからころと鳴らして 帰りたくない (22) 2021/08/15(Sun) 18:39:08 |
【置】 おかえり 御山洗帰ってきてよかった。 帰ってこなければよかった。 それはどちらも嘘偽りのない心だ。 楽しかった思い出を、暖かかった思い出を。 子供の自分が守ろうとしたものを、掻き回しているのは俺だ。 誰にも暴かれることのなかった不発弾を、揺り動かしてせせら笑うのが俺だ。 ずっと、いつからだっただろう。もう遠くなった夏の頃からずっと抱えている。 恐れ、怯え、震えている。誰にも悟られなければいいと思った。 まだ保身ばかりを考えていた頃の自分はもう少しだけ演技が上手かったのに。 優しい風と暖かい日差しが、懐かしさで腕を降ろさせる。 どうせ、抱えていても意味のないものなら、捨ててしまえればいいのに。 (L9) 2021/08/15(Sun) 18:48:01 公開: 2021/08/15(Sun) 18:45:00 |
竹村茜は、屋台をみんなと回っている。金魚掬いはあまり上手にできなかった。 (c11) 2021/08/15(Sun) 18:54:43 |
卯波は、目を丸くして── (c12) 2021/08/15(Sun) 18:58:48 |
卯波は、満足げに、あどけない笑みを浮かべた。 (c13) 2021/08/15(Sun) 18:59:39 |
竹村茜は、祭りを回りながら、編笠のズボンのポケットにメモを突っ込んだ。 (c14) 2021/08/15(Sun) 19:05:24 |
清和は、百千鳥と一緒に神社の方向に向かっていった。たくさんのショベルとスコップを持って。 (a8) 2021/08/15(Sun) 19:10:33 |
夕凪は、浴衣を着て境内に訪れた。髪は結わずに、手にはヨーヨーを持っている。 (c15) 2021/08/15(Sun) 19:15:20 |
編笠は、いつの間にかポケットの中に入って居たメモに気づき、祭りの最中に開いて見た。 (a9) 2021/08/15(Sun) 19:17:24 |
涼風は、思った。りんご飴やいちご飴は上位存在があるのかと。りんロク、いちシチ、りんジュウ、いちジュウとか… (a10) 2021/08/15(Sun) 19:22:04 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>21 編笠 掛けられた声にちらりと視線を上げて、 新たにベンチに掛かった体重を感じながらりんご飴を齧った。 今は祭りの喧騒はずうっと遠くにあって、 何処か疎外感すら感じさせるほどだった。 道行く人々は自分達など眼中にないように過ぎ行くばかりだ。 「…うん、 僕 も少し疲れてきたとこ」下駄を突っ掛けた足をふらふらと揺らしながら。 浮かべた笑みは、思ったよりも淋しげなものになってしまった。 「疲れるんだね、夢を見るのって」 (27) 2021/08/15(Sun) 19:23:08 |
【墓】 枠のなか 卯波>>+17 凪 「ずっとお祭り……ふふ、素敵ですね。 ほんと、そうならどれだけよかったか」 今だって夢見ている。 ひしひしと感じている、迫る現実が全部嘘で、何もかもが嘘になって、夢のままでいられたら、なんて。 夢は、叶わないこそ夢だって、思い知ったのはつい最近のことだ。 「俺は……来年も再来年も、 十年なんて時間を待たず、みんなと遊びたいと思ってますよ。おじさんおばさんになるまでずっと遊んで、撮って。 そうなればいい。そうなるために、これからを」 晶兄の方に向かっていき、 その途中で顔を向け、歯を見せて笑う。 「歩んでいくんです」 (+18) 2021/08/15(Sun) 19:35:27 |
【墓】 青嵐「お。 よーうアカネ。 アキラと卯波も一緒じゃん。おっす。」 食べ終わったたこ焼きの空はゴミ箱へ。 着飾った友人を頭のてっぺんから足の先までまじまじと観察して一言。 「馬子にも衣装? あ、卯波はにあってんね。 でもカーディガンは暑くね?卯波寒がりだっけ。」 (+19) 2021/08/15(Sun) 19:44:12 |
【墓】 枠のなか 卯波「夜は冷えるかなーって思ってね。 流石にまだ暑いけど、きっと役立つはず! ……あと、あんまり身体のラインが出るのちょっと恥ずかしいなあって思って……でも褒めてもらえて嬉しいです」 ユニセックスな浴衣にぶかっとしたカーディガン。一見厚着のようだが、風通しが良いので汗一つかいてないぞ。 (+20) 2021/08/15(Sun) 19:50:46 |
【人】 警部補 添木「流石に今アキラのズボンに花火突っ込むと怒られちゃうんだろうな。残念」 なんていいながら、祭りの喧噪を歩いている。 誰かに呼ばれたようで、すぐそちらへ行ってしまった。 (31) 2021/08/15(Sun) 19:55:46 |
編笠は、メモを畳んで、りょーかい、とだけ言ってそれをパーカーに仕舞った。 (a11) 2021/08/15(Sun) 19:56:05 |
【人】 少年 編笠「よーう、アオ。 いうと思った馬子にも衣装。 お前のために言わずにとっておいたからな」 それなりに祭りを楽しんでいる様子の親友に、 雰囲気だけで笑いながら言う。 「そういや花火とかも打ちあがるらしいな。 なんか毎年限られた予算のなかで頑張るよな……」 (32) 2021/08/15(Sun) 19:58:19 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>28 編笠 「あはは」 最後の一口を口に運んで、食べ終わったりんご飴の串を玩ぶ。 どんなに甘くて酸っぱくて、 食べるのが勿体無いくらいに綺麗なこの食べ物も そう思えるのは、食べている間だけ。 食べ終えてしまえば、忽ち全ては夢のように消えてしまう。 「 そんなこと知ってたら、こんなことしてないよ 」祭りの喧騒は近くて遠く、 自分達の声なんて誰も聞いていやしない。 だから今だけは、同じような愚かを働く子供同士で居られる。 「でしょ?」 (35) 2021/08/15(Sun) 20:01:28 |
夜長は、もう少し話して。それから、鬼走にどうしたいかを告げた。「もう少し、大人になったつもりでいたいです」 (t1) 2021/08/15(Sun) 20:07:06 |
夜長は、海食洞からの帰りのボートでオールを手にした。行きに話していた通り。 (t2) 2021/08/15(Sun) 20:07:24 |
夜長は、ボートをひっくり返した。岩礁に引っ掛かっちゃった。 (t3) 2021/08/15(Sun) 20:08:18 |
夜長は、この後鬼走にめっちゃ助けてもらったし世話を焼かれました。ごめんなさいとありがとうをした。 (t4) 2021/08/15(Sun) 20:08:29 |
天狼の子 夜長は、メモを貼った。 (t5) 2021/08/15(Sun) 20:10:58 |
天狼の子 夜長は、メモを貼った。 (t6) 2021/08/15(Sun) 20:12:05 |
天狼の子 夜長(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/15(Sun) 20:12:48 |
【墓】 青嵐「流石卯波。用意がいい。 かき氷食いすぎて寒くなったら卯波に借りよ。 …なるほど?じゃあカーディガン取り上げるのは酷か かき氷の食い過ぎには気をつけるかぁ」 多分関係なくそれは最初から気をつけて欲しいとか言われそうだが 俺は小さい頃から後先考えたことがない。 変わってないらしいのできっとお墨付きだ。 「分かられてんなー、俺。 気を使われたんだかヘイトを俺だけに集めたのか分からんがサンキュー」 普段通りの親友の格好に、アキラはいつもと同じなんだな とか言いながら、それでも私服仲間がいた事に安堵した。 「お、花火健在なのか。 いやー、ホントにな。こんな田舎の村に花火打ち上げる費用どっから捻出してんだろうな。 昔は気にしたことなかったけど成長と共に謎に疑問湧いてくんのなんかウケるな」 (+21) 2021/08/15(Sun) 20:21:55 |
【人】 少年 編笠>>35 百千鳥 ハハ、と。愉快に。 誰にも見せたことのない笑顔で笑う。 心から笑う顔を見せたのは、貴方にだけ。 「そうかい。 そりゃ、随分聞き分けがねえ子供だな。 大人に見つかったらきっと怒られちまうんだろうなぁ」 空に静かに、もうすぐ花火が打ちあがるらしい。 いよいよ、花火がこの祭りをクライマックスにしてくれる。 さっきクジで外れが出てもらった、出来の悪い水鉄砲を置く。 「そうだな。 じゃ、通りすがりのアンタよ。 お互い最後まで祭りを楽しもうぜ。 これ、やるよ。多分次の一回しか撃てねえけど。 俺は十分遊んだから。やる。 さて……俺もちょっと、 抱えきれないくらいのメシ、屋台で買ってくるかな。 ……我慢できねーらしい」 んじゃな、とベンチから離れた。 (37) 2021/08/15(Sun) 20:22:47 |
【墓】 現実に背を向けて 竹村茜「馬子にも衣裳って言った!? 素直に褒められないわけ〜!?」 心外!とぷりぷり怒っている。 本気ではなく、その後すぐに笑い始めてしまうのだが。 「あーあ、皆とたこ焼き分けっこしようと思ってたのに。 卯波とだけにしよっかな〜〜」 (+22) 2021/08/15(Sun) 20:28:18 |
【人】 少年 編笠「いやたこ焼きは分けろよ。 悪かった。超似合ってる。 可愛すぎて目が潰れそうで直視できねえし、 正直これが本当の「孫にも衣装」と思って悪かった」 たこ焼きは食べたい。なぜならたこ焼きは美味しいので。 「そうだな。 大人になるとなんか仕組みとかが気になって、 純粋な気持ちで楽しめなかったりするんだな。 やっぱあの時が一番楽しかったな……ジジくさいか」 (38) 2021/08/15(Sun) 20:37:27 |
【墓】 青嵐「え?たこ焼き?しまった、焼きそばにしときゃよかった。 アカネやべー超かわいー(棒)」 待ってる間にたこ焼きを食べてしまったことを弱後悔 でもたこ焼きは美味しいので何個でもいける。 「アキラ老けるの早くね? 孫って言ったりあの頃は…とかいうのかなりジジイだぞ。 もはやジジイ。俺らなんて世間で見ればまだ若者なのに。 まぁ知識が増えると気になることが増えるのは当たり前か。 はぁー、また成長を感じちまったぜ…」 (+24) 2021/08/15(Sun) 20:53:49 |
【墓】 現実に背を向けて 竹村茜「うなみ〜〜〜〜」 えーん。泣きついている。 それはそれとして、たこ焼きを全部食べるにはちょっと多いので4人で分けた。慈悲の心がある。 「花火技師の人がいるって聞いた気がする。 地元の為に毎年手作業で頑張ってるんだってさ。 だから費用は抑えられてるんじゃない?おじいちゃんたちが若い子に喜んでほしいからって星とかハートの花火作ってるの可愛いよね〜」 (+25) 2021/08/15(Sun) 21:05:31 |
【墓】 枠のなか 卯波「寒いんだったら勿論貸すよ。流石にかき氷の食べ過ぎで鳴るのはやめてほしいですけど」 変わってないなあなどとこぼして、 大方の予想通りの台詞が出てきた。 「やった、茜ちゃんと二人でたこ焼き分けっこだ、なんて。似合ってるよ、馬子だなんてとんでもないよ。 子どもの頃が純粋に色々楽しめたってのはあるかもですね……少しくらいは酸いも甘いも噛み分けられるようになったってところでしょうか」 (+26) 2021/08/15(Sun) 21:06:38 |
竹村茜は、たこ焼きは熱かったのでふーふーしながらたべた。 (c16) 2021/08/15(Sun) 21:17:26 |
髪置は、メモを貼った。 (a12) 2021/08/15(Sun) 21:21:08 |
涼風は、はしゃぎながら髪置とお祭りへと向かったそうな。その無邪気さは、10年前と寸分違わず。 (a13) 2021/08/15(Sun) 21:25:43 |
【人】 花守花守は、連なる屋台を抜けた先、神社へ至る石階段を数段登った所で腰を下ろしている。 家には何故か浴衣が用意されていたけれど、着ることはなくワンピース姿のまま、子供達を、大人達を、喧騒を眺めている。 「こなくても、よかったなあ……」 (41) 2021/08/15(Sun) 21:27:18 |
【人】 少年 編笠「子どものころもっとりんご飴って でけーもんだと思ってたがそうでもないことに気づいたり、 フランクフルトとかもここじゃなく、 都会のコンビニで買った方が安いなとか考えると 気持ちが後ろ向きになるのが大人になるってことか……?」 そんな大人のなり方嫌すぎるので。 「なるほどな、大人はちゃんと考えてくれてるんだな。 ……まさかこうやってまた四人で 夜空見上げるとは思ってなかったな。 もうすぐ打ちあがるんかな、花火」 夜空の方を見上げる。 (42) 2021/08/15(Sun) 21:27:23 |
(a14) 2021/08/15(Sun) 21:28:19 |
【墓】 青嵐「え、そんな職人いたんだ。 花火作るの大変なんだろうに、すげぇな。 ありがとう職人の人たち。」 田舎の暖かさを感じたしたこ焼きも暖かかった。 ありがとう慈悲の心。ありがとう聖母様マリア様アカネ様。 「なんでそんな後ろ向きな所にスポット当ててんだよ もっとあるだろ、駄菓子屋で酢イカをPOT容器ごと買えるようになったとか。 子どもの頃なら届かなかった木に届くようになって ミヤマクワガタ捕まえられるようになったとかさぁ。」 まぁミヤマクワガタは捕まえたことないのだが。 「そうだな。 …ずっとこうして一緒にいられたらいいのにな。」 つられて夜空を見上げながらポツリと呟く (+27) 2021/08/15(Sun) 21:45:59 |
【墓】 現実に背を向けて 竹村茜「もっと色々あるでしょ大人って…… 子供の頃は足がつかなかったプールよりも、もっと深いプールに入れるとか。 好きな服を自分で買えるとかさ〜」 どっこいである。 「……そうだね。 ずっと一緒がいいな。 でも、さ。 皆いつか都会に戻って…結婚してバラバラになっちゃったりするのかな 」 (+29) 2021/08/15(Sun) 21:52:54 |
竹村茜は、胸が痛んだ。 (c17) 2021/08/15(Sun) 21:53:10 |
【人】 少年 編笠そのアオの言葉を、無言で聞いている。 そのアカネの言葉を、無言で聞いていた。 「おい、せっかくの祭りなんだ。 祭りが終わった後のこと考えるの、早いんじゃないか。 ……なあ、卯波」 ギシと。 何かが歪む音がする。 「アオ、お前が呼べば俺はいつでも帰ってくるよ。 アカネ、まだまだずっと、ここにいられるはずだろ。 卯波だって、ずっと見たいモノ見せてやるよ」 「だから。 もう。頼むから。 ――どこにも行くなよ……」 大きな花火が上がって、小さく囁いた言葉は掻き消される。 (45) 2021/08/15(Sun) 22:00:15 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>37 編笠 「どうせなら、もっと早くに叱ってくれたらよかったのにね」 ベンチから立ち上がる姿を視線で見送って、 すぐ傍らに置かれた水鉄砲を手に取った。 皆ではしゃいだあの日は、もう遠い昔のようだった。 「せめて落とさないようにしなね、どっかの誰かさん」 本当にその笑顔を見たかったのは自分ではないだろうに。 そんな事を思いながら、遠ざかる背中に言葉だけを投げ掛けた。 花火も祭りもこの夢も、終われば全てが色褪せるばかり。 その中に敢えて置き去りにするのならいいけれど、 もしそうでないのなら、せめて両の手に収まるものくらいは 今あるものは、そのまま持っていた方がいい。 (46) 2021/08/15(Sun) 22:00:27 |
御山洗は、恐れている。怯えている。……一体何に? (a15) 2021/08/15(Sun) 22:14:45 |
【墓】 青嵐「…悪い、しんみりしちゃったな。 花火が上がるとさ、もう祭りも終わりかーって感じがして。 まだ、夏は終わってないし、 アキラもアカネと卯波とだってずっと友達だし、 ずっと一緒だよな。」 大きな音がして、花火が夜空を彩った。 その刹那――― ……? 「……アキラ?」 親友が何か呟いたような気がして、そちらを見た。 親友の瞳に、花火の光がキラキラと映り込んでいる。 何を言ったのかわからなかった。 でもそれはとても大切な事のような気がして。 なんだか今にも泣き出してしまいそうな雰囲気の親友の背中を叩いて励ましてやることくらいしか、今の俺には出来なかった。 (+30) 2021/08/15(Sun) 22:21:31 |
青嵐は、この瞬間が、ずっと続けばいいと思った。 (c18) 2021/08/15(Sun) 22:21:56 |
花守は、嘘をついていた。 (a16) 2021/08/15(Sun) 22:31:01 |
【墓】 あの頃の気持ち 竹村茜「……変なの。アキラこそノスタルジーにあてられてるんじゃないの」 へにゃ、と眉尻を下げながら。 困ったように笑って。 「いるよ。まだやりたいこといっぱいあるもん。 変なこと言っちゃったけどさ、まだ駄菓子屋のお菓子制覇もしてないし!」 (+31) 2021/08/15(Sun) 22:42:34 |
竹村茜は、ずっとずっとこの時間が続いてほしいと思う。 (c19) 2021/08/15(Sun) 22:43:19 |
編笠は、ずっとずっとこの時間が続いてほしいと、思っていた。 (a17) 2021/08/15(Sun) 23:18:00 |
(t7) 2021/08/15(Sun) 23:20:29 |
夜長は、雪子の話を思い出した。シリウスは今、太陽の向こう側。 (t8) 2021/08/15(Sun) 23:21:25 |
竹村茜は、ずっとずっとこの時間が続いてほしいと思っていた。夢に背を向けて、一歩を踏み出した。 (c20) 2021/08/16(Mon) 0:02:47 |
竹村茜は、置いていかないように、手を差し出して待っている。 (c21) 2021/08/16(Mon) 0:03:36 |
【人】 学生 涼風>>+32 夕凪 「ううん。苦しんでいたのは、夕凪姉ちゃんのせいじゃないよ。 今ここに帰省していてもしていなくても、私はずっと捨てきれない夢を抱え込んだまま苦しんでいたと思う」 貴方のせいじゃないよと伝えたくて、そっと優しく首を横に振る。 「むしろね、夕凪姉ちゃんの言葉には感謝しているんだ。 捨てきれずに抱えているだけだった私に、諦めなくていいって背中を押してくれたから。道を捨てる必要はないと、教えてくれたから。 苦しんでいるのだとしたら、それは私に勇気が無いせいだ」 これはきっと、己自身がどうにかしなきゃいけないこと。 【→】 (48) 2021/08/16(Mon) 0:06:37 |
【人】 影法師 宵闇>>47 御山洗 蝉時雨を聞きながらぼうっとしているうちに、さすがに遅いな、と思う程度にはそれなりに待ってしまっていた。 彼が約束を破ったことはないとは知っていても 慌てて戻っていったわりに、遅いことに疑問を感じた。 待たなくてもいいとは言われた手前、いいかとも思ったし いつものめんどくさがり屋の男なら先に行っていただろう。 「……おーい、アキラ。遅くね? 着方忘れたとか?」 だからこれは気まぐれか、他に思うところがあったか。 一度立ち上がって、開いたままの扉を開けて勝手に上がり込んできた。昔やっていたくらい図々しく。 ただ少し様子をみるくらいの、軽い気持ちだった。 (50) 2021/08/16(Mon) 0:16:58 |
【人】 学生 涼風>>髪置 沢山沢山美味しいものを食べ。 沢山沢山楽しいことで遊んで。 熱を纏った空気に酔いしれ、ふわりふわりと浮き足だった様子で祭りを味わう。 どれくらいそうしていたのだろう。再び貴方と合流して、少しひと息ついた時。 「ねえ、髪置くん。 ……私ね、君に憧れていたんだ」 おもむろに少年は唇を震わせる。 「いつ見ても、何度見ても、君はとっても元気で無邪気で。一人でもどこまでも駆けていく姿が眩しかった。……まさか10年経った今も変わらないのにはびっくりしたけど。 私は楽しかった思い出を沢山沢山忘れてしまっていたというのに」 お囃子の音はいつのまにか溶けて消えていた。それから姿を見せた、何か不平不満を言う者の声を知っていても。 それでも、自分は貴方に憧れていた。 【→】 (51) 2021/08/16(Mon) 0:38:45 |
【人】 学生 涼風>>髪置 >>51 「どうしたら君みたいになれる?どうしたら君みたいに変わらず、元気に走ることができる? 私も君みたいになれたなら、どれだけ躓いて転んでも、夢を抱え続けながら走ろうって思えるかな。 …………なんて!こんな話をしたら君を困らせてしまうね。ごめんね」 聞かなかったことにして、とおどけるように肩をすくめた。 それから、深呼吸をひとつ。 困らせる本音の代わりに、貴方に伝えたかった言葉はこちらだ。 「……髪置くん。 もし、もしもなんだけどね。ここでの時間が終わって、またバラバラになってしまっても。 また連絡を取って話をして……また一緒に遊んでも、いい?」 変わらない貴方を見ることができたなら。 きっと私も、変わらずに走ることができると思うから。 (52) 2021/08/16(Mon) 0:40:42 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥 祭りの喧騒の中を、どこか他人事のような気持ちで歩いていた。 昔はあんなに特別だったりんご飴も、焼きそばも、かき氷も 色褪せた夢の中では、 一人では 何もかも味気なかった。人間の腕が二本しかない理由。 どう頑張っても、伸ばせる腕の数しか持てないように。 お利口なのは、その時抱えきれる分だけを手に取る事。 賢いのは、幾つか纏めて袋に入れて提げてしまうこと。 どちらでもない 僕 には、順番に手に取って回る事が関の山。そうしてその全てを噛み締める暇も無く飲み下して。 ああ、粗末に扱ってしまったな、なんて思うのだ。 (53) 2021/08/16(Mon) 1:05:47 |
【墓】 夕凪>>49 >>48 涼風 「 後悔は、してないよ。 喧嘩したこと。意見が合わなかったこと。 自分の夢を自分で決めて、離れようとしたこと、全部。 だけど、仲直りをしてないことだけは気にしてる。 伝えていなかったことをずっと、ずっと気にしている。 ちゃんとしていない……ちゃんと話せていないんだ」 おかしな事が起きてるといったら信じてくれる? 夕凪がここにきて、みんなと笑い合っていたこと。 夕凪がここで笑って、やりたいことをやっていたこと。 が突然この身体で目を覚ましたこと。 夕凪が話しかけて、 と話をしたこと。 夕凪の声が聞こえなくなったこと。 夕凪はここにこれるはずがないってこと。 「拾うのが夕凪なら、夜凪は捨てる選択肢を肯定しに来たのかも。 だけど、答えは多分一緒だったかもしれないな。 君のファンである夕凪たちはここにいて、いつまでも待ってる。 夕凪たちは喧嘩をしたことを、悪くなかったと思ってる。 すごく、離れている時間が寂しいだけ」 (+33) 2021/08/16(Mon) 1:09:43 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥──三年前。 あの頃から、祭りの喧騒は他人事のようになってしまった。 病院に面会にばかり行って、同年代と遊ぶ時間も減った。 『院内ではお静かに』。 弱っている人の前だからと落ち着きのある言動を心がけて、 姉のお下がりを着て人をからかって回る事も止めて。 もう、元気が取り柄の子供では居られなくなってしまった。 昔過ごしたあの村で、昔過ごした皆ともう一度会いたい。 そんな淡い夢さえ叶う事無く旅立ったあの人とは対照的に、 自分は郷愁に苛まれる事も無く、この村に未練を残す事も無く ただ何となく、漠然と生きていく事ができてしまえている。 死ぬのが自分であればよかったのに。或いはせめて、 ここに居るのが自分ではなく、あの人であればよかったのに。 (L10) 2021/08/16(Mon) 1:13:04 公開: 2021/08/16(Mon) 1:30:00 |
【人】 学生 涼風>>+33 夕凪 目の前の夕凪姉ちゃんの姿をした人は、本当に夕凪姉ちゃんだろうか。 確証はない。 ただ、滲み出る他人事のような節が気になって、そして自分もまたおかしな出来事を経験した身であるからなんとなく「そんなおかしな事があってもおかしくない」と若葉にも似た頼りない予想が芽生えただけ。 人をよく描いている貴方のスケッチブックを見れば、話は違ってくるだろうけど。 姉は景色を、弟は人を描くのが得意であることは知っている筈だ。互いに互いの作品を見せていたのだから。 だから、相手が言わない限り少年は抱いた違和感を指摘しないだろう。 だから、少年は言葉を綴る。姉と弟、二人に宛てた言葉を。 「……仲直りは、しないの? 寂しいって思っているのなら会いに行こうよ。口実ならそこにある。『仲直りをしにきた』って」 ゆっくりと貴方に手を伸ばす。そっと優しく貴方の手を包み込むように。 二日目、夕凪がそうしてくれたように。 「待ってくれるのは嬉しいよ。大好きな二人にそうしてもらえるなんて、夢みたい。 でも、さ。私と一緒に駆けてみたいって……思わない?」 (56) 2021/08/16(Mon) 1:47:45 |
【人】 学生 涼風>>54 髪置……優くん! 貴方と同じように、一度、二度、三度。 ぱちぱちと忙しなく瞬きを繰り返して、それでも信じられないといった様子で。 時間をかけてゆっくり貴方の言葉を飲み込んで、代わりにそっとはにかんだ。 「無理に変わらなくていいんだよ。だってそれが君の魅力で、私が惹かれた部分なんだから。 君が君である限り、皆が何と言っても私は君を肯定するよ」 そこまで話し、少年は笑みを深める。陶器製の人形めいた顔立ち、けれどそこに乗る目尻や頬の赤みは確かに生きている事の証であり、貴方に紛れもない好意と信頼の形でもあった。 「うん。これからも、大人になっても! ふふ、ありがとう髪置く……、……。 …………ううん。優くん!」 (57) 2021/08/16(Mon) 2:07:41 |
【墓】 夕凪「だめだなあ、わかっていたのに」 「いられるなら、ずっとここにいたいのに」 「――夕凪はきっと嫌がるんだ」 夕凪はここに来たかった。 ずっとずっとみんなが楽しそうなところをみたくて。 笑っていたかった。 だから、きっとこの夢のような時間は夕凪のためにあるんだ。 夕凪が楽しむために使おう。 間違った、ことじゃない。いつまで。 本当にいつまで―――続くのだろう。 「――いるわけない。 さみしがっているのに。 呼べないよ、」 体育座りで石段に座り込んで花火が上がる空を見上げた。 (+34) 2021/08/16(Mon) 2:21:37 |
【人】 巡査部長 鬼走>>@1 夜長【三日目/海の洞窟】 「最後はお前の父親の名前を呼んだ。ああ。だからみんなお前の事をそう思っている。……そこだけ聞こえないのも本当にキツネにつままれたようだが、まあ仕方ない」 わからない。到底信じられない事が起きているけれど、何故か不思議と腑に落ちた。一瞬何かに引かれている感覚を覚えたが、自分はすぐに振り払えたけれど。多分それができなかった人間がいる。だから彼らを気にしてた。晴臣は事情が違ったようだけれど、この不思議な現象に関わっていたからそう思ったのかもしれない。 「明日、祭りがあった気がするな」 そして一つ、思い出した事。 どうして1年前、雪子が一人で村に帰ったのかと言う事。理由を知ってはいるはずなのに、なぜか靄が掛かった様に思い出せない。けれど伝えられるこれだけは言うべきと思った。 「それと、雪子は無事だ。理由は上手く思い出せないが、それだけはハッキリと言える。もう探さないで楽しんでみるといい。全部終わった後、思っていた事を言ってやれ。……3人でな」 (58) 2021/08/16(Mon) 2:24:43 |
鬼走は、「気にするな」と言いながら晴臣の分の水着を買って海に顔も出しただろう。 (a21) 2021/08/16(Mon) 2:26:27 |
【墓】 夕凪>>56 涼風 夕凪は怒っていない、寂しいだけだ。 夜凪は嫌っていない、ただ、変わっただけだ。 「会いに行けないよ、【話してくれない。】 夜凪は夕凪を納得させる答えを持ってきていないから。 どうして離れたがったの、なんて、言えっこない。 一緒の夢を、涼風みたいに駆ける勇気が無い。 涼風は、夕凪に出せる答えは見つかったの? 将来の夢、まだまだ悩む時間がいっぱいでしょ。 わからないって答えを、大人になって言うのは」 格好悪いじゃないか。 夕凪はきっと格好悪いなんて気にしない。 夜凪が気にしているだけ、全部そうだ。 だけど、夕凪は、格好いい奴が好きだから。 目の前の存在は会えないと思っている。 物理的にも精神的にも、大きな亀裂が出来ている。 勝手にあなたに置き換えて自分の事から逃げている。 だけどベクトルが違えど似たような名前の悩みを、ずっと胸に燻らせて、寂しがっていた。 (+35) 2021/08/16(Mon) 2:42:39 |
【人】 影法師 宵闇>>55 御山洗 「……よう、アキラくん。 俺がこの家に上がるのも久しぶりかな、変わってないね」 男は扉に手をかけたまま、まるで最初から行く気がないかのようなその姿に何を言うこともなく、いつもどおり、にやりと笑って見せた。 「外、暑かったからさ、勝手にあがらせてもらったけどよかったかい」 男はぱたぱたと胸元に空気を送りながら ずかずかと部屋に上がり込んで、後ろ手に扉をしめた。 「それに、まだ昼だしな。祭が盛り上がるのは夜だ。 ……久しぶりにゆっくり語り合おうか?」 特に咎めるような様子はないが、何か言いたいことがあるなら聞いてあげよう、そんな姿勢だった。 (60) 2021/08/16(Mon) 2:44:21 |
【置】 巡査長 清和鬼走も、宵闇も、御山洗も、添木も、花守も、誰も違った。 この金髪を持っていたのは、外から来た、清和だけだった。 それがコンプレックスだったわけではない。むしろ、誇りだと思う。 母から貰った大切な宝物だった。だけど、それでも寂しかったのだ。 だから、あえてみんなから浮いて、前に進んで、羨まれる位置にいた。 お前が自分と同じになってくれて、俺は、嬉しかった。 寂しくなくなったんだ。お前がいてくれたおかげで、俺は。 だから、お前が戻ってしまうのが、こんなにも寂しいんだ。 だけど、お前は追いかけてくれる。こんなにも嬉しいのか。 ああ、どうすればいいんだろうな。この気持ち、わからないな。 (L11) 2021/08/16(Mon) 2:54:12 公開: 2021/08/16(Mon) 2:55:00 |
清和は、添木の髪に酔った勢いでキスをした。 (a22) 2021/08/16(Mon) 2:54:52 |
【置】 巡査長 清和俺は本当は、鬼走さんの部下でも、添木と一緒の配属先になったわけでもない。 これは俺が10年前、この田舎に捨ててきた憧れと願望が作り出した、夢幻なのだ。 無力だと感じた。事が起こる前になんとかできなかった。 みんなを守れる"オトナ"にならねばならないと強く思い知らされた。 ハーフで地毛が金髪だなんて、警察官になれないと何度も言われた。 すべて、実力と実績で黙らせてきた。それをするほどの覚悟があった。 そして俺は『公安』になった。この田舎のみんなを守るために。 何かが起こってしまう前に、すべて俺たちで解決してしまえるように。 俺は『公安』だ。夢が終われば、あの不発弾の中身は全て処分しなければならない。 『公安』の正体が明らかになるようなものは、可能な限り処分しなければならない。 それがどれだけ思い出深いものであろうと。 俺の名前は『清和ルカ』 ──清和とは、世の中がよく治まって穏やかなこと。 ──ルカとは、光をもたらす聖者の名前。 お前たちの未来に光あれ。清和の世を生き、幸せであれと俺は願う。 (L12) 2021/08/16(Mon) 3:20:13 公開: 2021/08/16(Mon) 3:20:00 |
【人】 学生 涼風>>+35 凪 なんだか不思議な感じがして、八の字眉を下げて微笑んだ。二日前、勇気が無いと迷い子のようにしていたのはこちらだったのに。 「……うん。見つかったよ。夕凪姉ちゃんへの答え。ここに来て気づいたんだ」 忘れていたものを思い出した。 ずっとこの日々が続けばいいと、皆を誘う担い手か。 何故かここに残らなければならないと声を聞く者か。 違う、そんなものじゃない。そんなものを思い出す前に私は気づいてしまったんだ。 「私はね、ここでようやく亡くなった母さんにきちんと近況報告をすることができた。母さんは成長を喜んでくれる人だから、きっと楽しく聞いてくれたはず。きっとこれからも、望んでくれるはず。 だからね、私は。 ここにはいない、ここには来れなかった人たちに…… 沢山の思い出を、沢山の感情。 生きてきた軌跡を綴って、報告してあげたい。 それが私の……今を生きる人としての本当の役割だと思うから。 だから立ち止まるなんて出来ない。私は、もう一度ペンを執るよ」 【→】 (61) 2021/08/16(Mon) 3:45:26 |
【人】 学生 涼風>>+35 >>61 目の前の貴方 「ねえ、教えて」 からん、ころん。 下駄が鳴る。誘うように、手招くように。 「こんな私は、格好悪いかな? 医者を目指して、物書きもして。両手にいっぱい抱えるから、私はきっと沢山転ぶ。 そんな私は、格好悪いかな?」 からん、ころん。 夕凪よりも少しだけ高い目線からそっと優しく見下ろして。 「大人って、どういう人のことを言うの?」 からん、ころん。 出来る限り距離を詰めて。貴方と離れるのは嫌だと言うように。 「──ねえ、お願い。 答えが出ないのなら、出るまで一緒に考えよう?勇気が無いのなら、出るまで一緒にいてあげる。 会えないなんて、寂しいよ。大好きな夕凪姉ちゃんと夜凪兄ちゃんが苦しむのは、悲しいよ。 私に出来ることはない? ねえ── ■凪さん」 からん、ころん。 貴方に寄り添う、夏の音。涼やかな囁き。 (62) 2021/08/16(Mon) 3:48:49 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>59 鬼走 【四日目/夏祭り】 「………あれっ、」 不意に名前を呼ばれて、下駄を鳴らして振り向いた。 その声と呼び方には覚えがあったけれど、 自分に声を掛けるような用事があっただろうか、そんな疑問。 「鬼走さん! ううん、約束はしてるよ。 先に行っててって言われたから適当にぶらついてただけ!」 涼風と、一緒に行こうと約束したのは事実で 先に行っていてほしいと言われたのも事実だ。 独り歩きの違和感、その理由にはならないかもしれないけど。 (63) 2021/08/16(Mon) 5:13:14 |
【墓】 夕凪>>62 目の前の君 「はは、……あははっ、格好良くなったね涼風は。 素敵な夢で、夕凪たちの理想の君だ」 勝手に話したあなたたちだ。 ずっと会いたかったあなたたちの未来だ。 たった数日で迷子の少年は夢をつかもうとしている。 夕凪のおかげなのだろうか? もっともっと他の人の言葉もあって彼が出来たのだろう。 それぞれが、それぞれを必要としている。 夕凪たちは自分ではない片割れを、基準にしていたから、 お互いを、みんなが必要にしていると思う単純な双子。 だから最初から。 最初から夕凪たちを求めてくれているあなた達がいるだけで。 こんなにも嬉しいと思う単純な考えをしている。 (+36) 2021/08/16(Mon) 5:26:56 |
【墓】 夕凪>>62 >>+36 目の前の君 「夕凪たちにとっての大人は――20歳になったら。 だけど理想は、立派に格好いいって自分に胸を張れるようなことができるようになったら」 嬉しいと思うけど、頼るのはやっぱり恥ずかしいから。 遠慮をしていたけれど、もういいよね。 みんな本当に立派になって、頼りがいがあるのだもの。 「一緒に、いて、考えてくれる……? まだ、絵しか自慢できることがないけど。 今は【夕凪に夏を楽しんで欲しい】って思うだけの僕だけど。 お祭りが終わったら、全部話したい。 そして――会いにいきたいな、あの子に。 今一人で行く勇気がないから、みんなに会いに行って欲しいって考えるぐらい情けない気持ちなんだ」 (+37) 2021/08/16(Mon) 5:30:15 |
【墓】 枠のなか 卯波>>45 >>+30 >>+31 いつもの三人 竹村茜の、明るさに滲んだ寂寥や。 青嵐瞬の、優しさから覗く憧憬に、 編笠晶の、どこまでも不器用な夢。 誰もが田舎から離れがたいと思う。 そんな侘しい田舎の後ろのページを── インスタントカメラで、自撮りでもするように撮った。 「ば〜か」 十年コレ使ってきたヤツ舐めんな!そんな気持ちで、 してやったりという笑い方で三人に言う。 卯波は、ずっとこの時間が続けばいいなと思ってるが、 未来に希望を失くしてしまったわけではないから。 「違うでしょ。そうなればいいな、じゃないでしょ。 もしこの田舎にずっといられなかったとしても、 都会に帰ることになったとしても、さ。 俺達が揃って会うことって、 そんなに難しいことなんですか?」 カメラから出て来た写真を、 花火の咲く空の下風に浴びせて、 鮮やかな光のなかで、踊るように。 ▼ (+38) 2021/08/16(Mon) 6:42:04 |
卯波は、この時間が終わってほしくないと思っている。 (c22) 2021/08/16(Mon) 6:42:23 |
卯波は、それでも、この田舎に執着するみんなの背中を、押してあげたい。 (c23) 2021/08/16(Mon) 6:44:12 |
卯波は、ようやく、その背中に追いつけた気がした。 (c24) 2021/08/16(Mon) 6:44:27 |
【墓】 枠のなか 卯波>>45 >>+30 >>+31 いつもの三人 「何だったら俺達で結婚でもする? ……なんてね。冗談半分だけど。 でも俺はさ、鬼走の兄さん、添木兄さん清和の兄さんだって、十年経って大人になってもずっとつるんでるのを見て、そうありたいって思ってたんだ」 彼らの関係を知ってか知らずか、 田舎に帰ってきても仲の良かった彼らを思い浮かべて、 それと比べて自分たちの繋がりはそんなにも、 もろくて、弱くて、不安定なものなのか?と問う。 「寂しいよ、俺は。 田舎から離れることだけじゃない。 田舎から出たら、離れ離れになると思ってる、 皆の考え方が寂しいんです!」 瞬兄みたいな何事も率先して突っ込み、 やりたいことなんだってやってる人が。 茜ちゃんみたいな昔はずっと男勝りで、 いつだって兄二人を振り回してた人が。 晶兄みたいな、俺に無いもの全部持ち、 絶対勝てないって思わされた様な人が。 十年前の写真にはっきりと残る、 俺を追いかけさせ続けたその背中なのに。 (+39) 2021/08/16(Mon) 6:55:36 |
【墓】 枠のなか 卯波「都会に行ったらさよならなんて、 そんなの、おかしいと思わないの?」 「会おうよ。何度だって」 「田舎でも都会でも、ずっと遊ぼう。 どんなときも一緒にいられるわけじゃないけど、 そうなろう!って思って行動してったら、 絶対に、できないことじゃない。そう信じてます」 そう、何度でも笑って見せた。 (+40) 2021/08/16(Mon) 6:57:16 |
卯波は、この田舎の村の歪みやヒビが嫌いだ。 (c25) 2021/08/16(Mon) 6:58:08 |
卯波は、もっと外の考えまで及ばない村の皆に、憤った。 (c26) 2021/08/16(Mon) 6:58:52 |
卯波は、ここにいる人たちと、田舎から出てもこんな時間があったらいいと、心の底から思っている。 (c27) 2021/08/16(Mon) 6:59:21 |
【人】 学生 涼風>>+36 >>+37 目の前の貴方、夜凪兄ちゃん 「じゃあきっとまだ大人じゃない。大丈夫。 だから、まだわからないままでいいんだ。はっきりした夢が見つからなくてもいい。 だから、君は格好悪くなんてないよ」 それは単なる子供の屁理屈かもしれない。でも、それが当然であるかのように少年は涼しい顔で言ってのける。 「うん。勿論。 全部聞かせて。私も全部話すから。 そうして一緒に会いに行くんだ。皆で会いに行こう。きっと皆も会いたがってる。皆、二人を必要としてるもの」 ここに来て夕凪が色んな人と助け、助けられをしていたのをこの目で見ている。 貴方たち姉弟を、皆好いていることを知っている。 「約束だよ。──夜凪兄ちゃん」 絵が得意な年上のお兄ちゃん。夏を楽しんでほしいと願う姉思いのお兄ちゃん。 貴方は遠慮しているけれど、自分にとっては自慢の兄貴分なのだ。 少年は笑って手を伸ばす。 大丈夫だよと伝える為に、抱きしめる為に。 (65) 2021/08/16(Mon) 7:23:37 |
【墓】 枠のなか 卯波男らしくなりきれず、 かといって女らしくはいられず、 どっちつかずな一ノ瀬卯波でも。 十年越しに見えた背中は遠くても、 どこか子供らしいとこがあるのに気づいた。 身体はどれだけ大人になっても、 心まで大人になるかどうかは別の話だ、と。 誰が言うでもなく気付かされたきがする。 時任の さんが言ってたように、 俺はやはり自分から卯波を置いてっていた。 こんなにも努力家で、転んでも起き上がって。どこまでも変わっていく魅力的な被写体は、こんなすぐ傍にあったのに。 「バーカ。 俺はずっと格好よかったんだっての!」 花火の下、言えなかったことばを、 そっと囁くように、夜空へ溶かした。 (L12.5) 2021/08/16(Mon) (+41) 2021/08/16(Mon) 7:25:38 |
【置】 少年 編笠ある日家に帰ったら母親がいなくなっていた。 誰もその理由を教えてくれなかったし 俺宛の手紙や言葉も何一つ残されてなかった。 だから想像するしかなかったんだが どうやらどう考えても子供の俺には 悪者が世界のどこかに連れ去ったんだって そんな想像しかできなかった。 でもどうせそうやっていつか皆んな 黙って俺の元からいなくなるんだって思ったら いつからか上手く笑えなくなってた だってそうだろ… 母親がいなくなって泣けないやつに 誰が笑うことを許してくれるんだよ。 例え誰がいなくなっても泣けないかもしれないやつに 誰が手を差し伸べてくれるってんだ。 あの時独りで見上げた空と同じ空が 今ここには広がっている。 (L13) 2021/08/16(Mon) 10:23:20 公開: 2021/08/16(Mon) 12:00:00 |
【人】 おかえり 御山洗>>66 宵闇 「行く、つもりは……ないわけじゃ、ない、けど」 すぐ間近に見下ろした顔を見てまた怯えたように顎を引いた。これ以上逃げる場所がない。後ずさろうとした肘が壁にぶつかって擦れる。痛みを感じない。 夏の盛りだというのにやけに冷えて感じる空気が喉を凍りつかせていくばかりだ。 「俺は、別に。後からでも、みんなで、行けば、」 うまく言葉が出てこなかった。自分は何を言い訳したいのだろうか。何を申し訳なく思って、何に後ろめたさを感じているのか。思考がごちゃ混ぜになる。 怯えている。恐れている。全部が全部壊れそうな思いだ。 見下ろした目の中に鏡のように映り込んだ背の高い男の表情は、罪の重さに耐えられないような顔だ。 「来なければよかった、帰ってれば」 そのまま踵を返してどこかに行ってしまうことを願っていたのに。じっと黙り込んでいれば、そのまま別のところに行くだろうとそう思っていたのに。夢の中の景色と重なって息を呑む。苦しさで瞼の裏の景色が滲んできた。 「俺は、」 思い出を壊したくなかった。壊すのは自分自身だ。 思い出を汚したくなかった。忘れ去るままでいたかった。 「俺は、」 息ができないほど焼き付いた胸が、楽になろうと自白しかける。 ずっと隠していた罪悪は、紐解くつもりなんて一度もなかった。 10年も昔から。子供だった時分から。 どうして今、思い出してしまったのか、帰ってこなければよかった。 → (68) 2021/08/16(Mon) 11:30:11 |
御山洗は、恐れている。怯えている。思い出を壊す自分自身の心に。 (a23) 2021/08/16(Mon) 11:31:03 |
【人】 さよなら 御山洗>>66 宵闇 掠れるような声でそう吐き出して。伸ばしてたが肩を押して遠ざけた。 苦痛を堪えるように目を伏せる。焼けた髪の色より幾分濃い色の睫毛が視界を閉ざした。 首を横に振る。力は強かった。そのまま、腕を伸ばしても届かないくらいに距離を空ける。 「……ごめん。祭りには、一人で行ってくれ。 瑠夏とか百千鳥とか、みんな待ってるだろ。 俺は一緒に行かない。行けない。だから、一人で行ってくれ」 言うつもりはなかった。言うべきことではなかった。 ずっと、いつだったか、子供の自分が口を閉ざして隠していたものを、自分が壊してしまった。 御山洗は恐れていた、怯えていた。自分にとって大事な思い出を壊すこと。 御山洗はこの場所に帰ってくるまで思い出の中にしまっていられた、焦がれるほどそばに置かずにいられた。 なのに、帰ってきてしまったから。思い出のままにしておきたかった全てを掘り起こしてしまった。 口にすれば全てを終わらせてしまうのをわかっていた。 いつかの三人組ではいられなくなることを、わかっていた。 「……今までありがとう」 だから、これは、決別だ。 (70) 2021/08/16(Mon) 11:32:23 |
【墓】 枠のなか 卯波───時を戻して。 片手には綿あめ、りんご飴、(5)1d6(1)1d6飴を指に挟み、もう片手には金魚と水ヨーヨー。側頭部に狐面をつけた、フルアーマー装備の機体もかくやという状態になった卯波。 所かまわず撮った写真がカーディガンのポケットいっぱいに詰め込まれている。 「盆の最終日、そのお祭りの日。 そんな時にする事と言えばひとつに決まってます」 盆の祭りは、生者と死者がもっとも密接な位置に近付く日。 慈姑婆ちゃんが出迎えてくれたのはそういうことだろうし、 だからもしかしたら呼子姉も着てるのかもね。 りんご飴を当社比大き目な口でかぶり付き、 祭囃子の音へと近づいていく。 (+42) 2021/08/16(Mon) 12:01:08 |
卯波は、世にも珍しいゴイチ飴を、器用に写真に撮った。 (c28) 2021/08/16(Mon) 12:02:16 |
夕凪は、メモを貼った。 (c29) 2021/08/16(Mon) 12:04:23 |
夕凪は、メモを貼った。 (c30) 2021/08/16(Mon) 12:08:57 |
【墓】 枠のなか 卯波「今では、帰省した人たちの再会の場として、 夏を楽しむお祭り行事にでもなっていますけど。 盆踊りは、帰ってきた霊や、 行き場を失くした魂を、 安らかに踊り出すための舞、って言われてます」 十六夜の暮れ。提灯や覗く月灯り。 賑やかな人の流れ、喧騒に従って、 中心へとどんどん、距離を詰めていく。 近付くにつれ響きを増す、笛や太鼓の音。 飴を食べ切るまでは混じれないが、 それでもぽつぽつと人が踊りに集まって来る。 (+43) 2021/08/16(Mon) 12:11:53 |
【墓】 枠のなか 卯波「貴方も寂しかったんですね、婆ちゃん」 そう、祭囃子の端に佇んでいる 気がする 、皮肉気な笑みが素敵な彼女に声をかける。 孫に情けない姿は見せられなくてね、 なんて素直じゃないことばが聞こえた気がした。 (+44) 2021/08/16(Mon) 12:12:21 |
枠のなか 卯波(匿名)は、メモを貼った。 2021/08/16(Mon) 12:16:43 |
卯波は、彼らと花火を見終えたら、盆踊りに混ざりに行くだろう。 (c31) 2021/08/16(Mon) 12:19:37 |
【置】 警部補 添木添木には何もない。 両親の写真は、一枚もなかった。 一枚だけ祖母がとっておいたものを、見もせずにキッチンで焼いた幼いころ。 自分を捨てた大人なんかと、自分が繋がっている由縁を、一つたりともこの世に残したくなくて。 あんたは優しいけど。 ずっと前にいるのに、時折振り返って笑ってくれた。 ずっと一緒に過ごせるんじゃないかって、そう思わせてくれた。 嘘つきだ。 あんたは嘘つきだ。 本当にひどい。 でも、今度はその嘘を俺が引き継いで、誰かに背中を見せてやる。 こうしないと、きっと救われない”誰か”がいる気がすんだよ。 これでいいよな。 これでいいんだ。 きっと。 (L15) 2021/08/16(Mon) 13:22:55 公開: 2021/08/16(Mon) 13:25:00 |
添木は、寝たフリをした。少しだけ、泣いた痕が残っても、多分気付かれないだろうから。 (a24) 2021/08/16(Mon) 13:24:06 |
【見】 天狼の子 夜長【祭り、どこかのベンチ】 夜長は祭りの中、藍鼠の甚平姿。食べ終わった飴の棒を、行儀が悪いなと思いながらかじっている。つまようじみたいな味と、しみ込んだ飴の味。嫌いじゃなかった。 雅也さんに、もう母さんを探さないでいいと言われた。母さん、ここに来ていないんだな、と思った。雅也さんも言い切れない何かはあるみたいで、ちゃんとは言われていないが……そうだと思えば、本当なんだろうなと。 母さんが約束をなかったことにするなら、ちゃんとした理由があると思うから。 探して探して、俺でない他の人も、本当に誰も見ていなかったから。 いくらかくれんぼが上手でも、日が暮れたらみんな出てくるものだから。 父さんに怒る理由が増えたかもしれない。母さんがここに来ていないのなら、父さんの方が嘘をついていたことになる。雪子さんはこの村に来ていない。ああ、晴くんの方が先に来てしまった。モモチと同じで、母さんは気にしないだろうが。 (@2) 2021/08/16(Mon) 16:04:24 |
【見】 天狼の子 夜長【祭り、どこかのベンチ】 自分ひとりで考えて、自分ひとりで決めて、ここに来た。大人になったら、全部じゃなくても、そうやって自分で決めることが増えると思って。大人になったら、出来ないことがたくさん出来るようになるとも思っていた。 でも、けっこう出来ないことは出来なかったな。怒っているからあまり考えなかったが、父さんだったら上手く出来たのだろうということはいくつもある。 あの人も晴くんみたいに、誰かに迷惑をかけてごめんなさいをして、助けてもらってありがとうをしていたことはあるんだろうか? 今度話してみようと思う。怒るのが先だが。 (@3) 2021/08/16(Mon) 16:04:45 |
夜長は、人を見ているのが好きだ。話を聞くのが好きだ。思い出に触れるのが好きだ。だから、 (t9) 2021/08/16(Mon) 16:04:55 |
夜長は、ひとりでもけっこう、この祭りをたのしんでいる。でも、 (t10) 2021/08/16(Mon) 16:05:04 |
夜長は、誰かと一緒の方がもっとたのしいだろうなと思った。 (t11) 2021/08/16(Mon) 16:05:11 |
【見】 天狼の子 夜長【祭り、どこかのベンチ】 「みんなでいて、たのしくないこともないと思う」 だからみんなのいる所に来ていたつもりだが、みんなはそうでもないのだろうか? 今日見ていない人は、俺が見ていないだけならいいと思う。 かくれんぼじゃないが、隠れている人はいるかもしれない。なんとなくそんな気がした。動かないでじっとしているだけじゃなくて、ひとりで歩いて鬼 -誰か- から隠れている人も、たぶん。隠れている人も、隠れていない人も見つけに行こう。鬼は得意でないが、そうしたいので。それが今の俺の、祭りをたのしんでみるだと思う。 (@4) 2021/08/16(Mon) 16:05:56 |
夜長は、ベンチを離れて歩き出した。見つけられるだろうか。 (t12) 2021/08/16(Mon) 16:06:08 |
夜長は、慈姑に手を振った。 (t13) 2021/08/16(Mon) 16:09:09 |
夜長は、ばあちゃんは祭りをたのしんでいるのだと思った。振り返ってどこかに行く後ろ姿が、ご機嫌そうだったから。 (t14) 2021/08/16(Mon) 16:09:26 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>67 鬼走 【四日目/夏祭り】 「……あー、うん」 頬を掻いて一度、返答のなりそこないのような声を発した。 とはいえ何か言葉に詰まるような事があるでもなく、ただ そんなふうに見えているのか、という思いがあるだけで。 「うん、つまんないよ。 …てよりは、寂しいかなあ。 一人でご飯食べるのって味気ないじゃない? 多分、そういうことなんだと思う」 それが本来どんなに楽しい時間でも、一人では味気ない。 それがあなたにとって共感に足る心情かはわからないけど 一般論としては理解の及ぶものではあるはずだ。 そんな例題を一つ挙げて、だから大丈夫と笑って見せた。 だってもうすぐ、一人ではなくなるから。 (71) 2021/08/16(Mon) 16:10:43 |
【墓】 青嵐『青嵐って悩みなさそうだよな』 これは恐らく俺が最もよく言われる言葉。 初めて言われたのはいつだったか もう覚えてはいないけど。 確かに特に深く悩んだこともないし 何かに悩まされたこともない。 だから去年部活で県大会で負けて全国行けなかったときに、 3年にとっては最後の試合だったからどうにか先輩を励ましてやりたくて冗談言って笑わそうとしたら 「悩みないやつはお気楽でいいよな」 って言われたことも全然悩んでないし、 俺に求められてたのは表面の賑やかしだけだったってこともすぐ悟ったし、それから人の悩みとかにも深く突っ込まないようにした。 俺って立場弁えてるからね。 「……今が楽しければ、なんでもいいよ、俺は。」 皆だって、それを求めてるんだから。 (+45) 2021/08/16(Mon) 16:40:34 |
【人】 影法師 宵闇>>68 >>L14 >>69 >>70 御山洗 ──瞬き。 嗚呼、軽率だったな、と男は悔いた。 目の前の友人は、海で手を引いてくれた時と同じ目をしていた。 宵闇 翔にとっての御山洗 彰良は、幼い頃からの友人だ。 清和とぶつかり合っている中に無理やり引っ張り込んで 自慢していつも困らせているような。 けれどそれでも付き合ってくれて、影で頑張ってくれるような。 ──今でも、そうだ。 御山洗の言う好き、とは違っても。 ただ、大事な友人であることは確かだった。 何年経っても、再会できて過ごせたことは この夏のひと時は、安らぎだった。 今の宵闇 翔は今にも夢に縫い付けられそうな "かえりたくない" "このままでいたい" そういう思いでいっぱいの、だめな大人だった。 その夢が崩れていく音がして、ほんの一瞬、迷子のような妙な顔をしてしまった。 いつもの余裕で取り繕うことが、できなかった。 耳に届いた掠れた音が、苦痛を堪えるように目を伏せる姿が いつまでも焼きついていて、 気付いた時には、距離が離されていた。 男は、ただ無表情でその場に立ち尽くしている。 → (72) 2021/08/16(Mon) 17:54:17 |
【人】 影法師 宵闇>>68 >>L14 >>69 >>70 御山洗 「なあ、アキラ」 「……俺が、好きだって言ったな」 確かめるように、呟く声は夜の海みたいに、静かだった。 大きな体で小動物のように震える男を前にして まるで怯えさえないように、静かに言葉を紡いでいる。 「そりゃあ、さすがに驚いたよ。 けど、"今までありがとう"?別れの言葉に聞こえるなー…… だから俺と付き合いたいとかじゃないのかい」 わざとらしい、いつものような調子を作る。 「俺は、切り替えのできる大人ではあるが。 "はいそうですかさよなら"って今のやりとりで 友人捨てられるほど、薄情でもなかったらしい……」 「来なければよかった? なぜだ? 俺が好きなのに?」 「……どうして、逃げる? 俺が好きなのにかい?」 「なんで、そんなに怖がってるんだ」 「教えてくれないのかい、俺は聞きたい」 「話がしたい」 無責任なことを言っている自覚はあった。 → (73) 2021/08/16(Mon) 17:57:24 |
【人】 影法師 宵闇>>68 >>L14 >>69 >>70 御山洗 「──本音を言うとお前とこのまま別れたくないだけさ。 ……さよならするなら、納得がいってからがいい」 男は、まるで昔の諦めの悪い少年のような目をしていた。 「俺、この田舎にずっといれたらいいなって思ってるんだ。 ここにいたら忘れてしまった大事なことを取り戻せそうで。 ……帰りたくない、お前は、そうは思わないか?」 ──そんなことは無理とは、どこかでわかっているのに。 今の宵闇 翔は今にも夢に縫い付けられそうな "かえりたくない" "このままでいたい" そういう思いでいっぱいの、だめな大人だった。 男はあなたが本音を言ったのと同じように、本音を返してやった。 「……祭りには一人で行くよ、それは言う通りにする。 けど、──急に、いなくならないでくれよ。 俺がまた海に落っこちたら、そのまま沈んじまうかも」 笑顔を作る。 「"またな"」 男は一方的にそう言い放って、背中越しに手を振った。 (74) 2021/08/16(Mon) 17:59:29 |
【置】 学生 涼風拝啓 夕涼みにほっと一息つく、晩夏のきょうこの頃、いかがお過ごしでしょうか。 (中略) 今の私は沢山の欠片を持っています。 例えば、こうして便箋を手に取ってペンを持った時。 例えば、どこかの街で賑わう夏の祭りを目にした時。 やはり私は昔を思い出すのです。皆と会ったあの頃を。 いなくなってしまった人を思う度、美しい思い出たちはガラスの破片となり、振り返ろうとする私の足に噛みついて鋭い痛みを与えてこようとする。 痛みに泣いて、蹲って、砕けてしまった思い出をかき集めて抱きその場から動けなくなってしまったら、きっとどれほど楽だったことでしょう。 でも、優しい夢に囚われ続けるのであれば。 完璧な形でないといけない、そう思いませんか? いてほしい人がいない甘い夢では、いない人の事ばかり考えてしまうもの。弾き出されたその人が寂しい思いをしてしまわないかと、私は気になってしまうのです。 だから私はここにいる。こうして貴方に手紙を出す。寂しさが少しでも埋まるように、お裾分けできるような思い出の欠片を沢山拾いながら。 生者のエゴだと思いますか?ええ、きっとそうでしょう。葬儀とは、弔いとは、死者のために行うものは、生者が己の心の整理をする為にあると言われるほどですから。 じゃあこの手紙も送るのをやめましょうか?なんてね。 エゴかどうかは、生ききって私も死んだ先、貴方と合流してから答え合わせをしましょうね。 それまでに土産話を沢山用意しておきますから。 (中略) 敬具 20××年 8月××日 涼風薫 (L16) 2021/08/16(Mon) 18:42:39 公開: 2021/08/16(Mon) 19:00:00 |
涼風は、相手の手を優しく握り返す。 (a25) 2021/08/16(Mon) 18:46:32 |
涼風は、ふらりゆらりと歩き出す。からん、ころん。下駄が鳴る。からん、ころん。それは遠くへ。 (a26) 2021/08/16(Mon) 18:47:36 |
百千鳥は、その手を握って、喧騒に背を向けた。 (a27) 2021/08/16(Mon) 18:56:02 |
百千鳥は、ずっと前から、全ては夢だと知っていた。 (a28) 2021/08/16(Mon) 18:56:16 |
百千鳥は、見ないふりをしていただけ。 (a29) 2021/08/16(Mon) 18:57:31 |
涼風は、ただ寄り添う。寄り添って、二人でそっと抜け出して。 (a30) 2021/08/16(Mon) 19:00:10 |
涼風は、ようやくここが夢だと気づいた。それでも、何も言わずに貴方と並んで歩く。 (a31) 2021/08/16(Mon) 19:01:08 |
【墓】 枠のなか 卯波「いつかの未来。 やがて今≠ノなる日。 そこになって、楽しくなくなって、 そこでやっと後悔したら遅いんですよ」 本当にそうだろうか? 編笠晶も、竹村茜も、一ノ瀬卯波も、 そうあることを望んでいるのだろうか。 聞こえてきた言葉に、 面と面を向かって言うでもなく、 遠くを見ながら、声を発している。 「俺は一度諦めた。でも後悔は絶対にしない。 夢が叶わなくても、 それは夢を持っちゃいけない理由になりませんから」 風を受けて色をつけた写真を覗き、 四人が枠に収まってることにうんと頷く。 何度も皆を撮りに行く。 そして、何度でもみんなと遊びたい。 「うかうかしてると、 今度は俺が皆を置いていっちゃいますよ」 そう言って、花火のあがる方へ一歩踏み出し、 嬉しそうに振り返って、笑い続けるのだ。 (+46) 2021/08/16(Mon) 19:02:18 |
【墓】 枠のなか 卯波時は先へ。 飴の食べ切った棒を捨て、 金魚とヨーヨーは暫く預かってもらい、 写真の詰まったカーディガンと、 祭りの淡い光で良く映える紺色の浴衣、 どこか怪し気な狐面を斜めに被って。 待ちに待った盆踊りへ、向かう。 十年前と何も変わらない懐かしい民謡が、 あまりにも懐かしすぎて笑ってしまったりして。 そういえば、失敗しないように、 こっそり練習したりもしたっけと思い出して。 首から揺れるカメラを片手で持ち、 その上から軽く手を叩いて、空へ向ける。 踊るのは久しぶりなのに、 身体が覚えているのもなんだかうれしかった。 (+47) 2021/08/16(Mon) 19:13:35 |
【墓】 夢との決別 竹村茜「…置いてかれるのはやだなあ」 わかっている。 夢の中にいつまでもいられないこと。 これが現実逃避だということ。 竹村茜は知っていた。 「みんなで結婚出来たらいいね、ほんと。 そうじゃなくっても、また違うところのお祭りとか…ううん、何もなくたって集まりたい」 (+48) 2021/08/16(Mon) 19:17:48 |
【墓】 夕凪>>65 約束をした僕たち 「格好いいって言われたくて頑張ってきたのに。 慰められちゃった、あーあ……」 ありがとう、小さな言葉で呟いて。 涼しげなあなたの髪にすり寄った。 まるで恋人のような仕草は青い夏の中では絆を確かめ合う行為だ。 「約束、しよう。涼風。 夢も将来も、これから一緒に。 ――あの頃みたいにいっぱい話そうね」 やっと会えたのだ、奇跡のようなこの時間。 夢を、やりたいことを後悔をしないように。 誰かが与えたチャンスだったんだ。 今だけは不思議な時間に浸りたい。 そんな気持ちで感じた温もりは、涙が出そうになるほどあったかくて。 独り立ちなんて、暫く出来そうにないって、答えを先に知ってしまった気分だった。 涼風。涼風くん。夕凪達とも遊んでよ。 射撃でもいいよ、それとも何か食べたいものでもある? 今度は三人で、ううん、もっと多いかも。 僕ら双子はみんなを連れ回しちゃうからね。 大勢誘って。また。 もっと笑える思い出を語り合おう。これからもずっと。 (+49) 2021/08/16(Mon) 19:18:12 |
【墓】 夕凪>>編笠 「さみ……しー……なー」 大事な友達と再会できたのに。 夕凪に楽しい夏を与えると決めたのに。>>+34 やっぱり隣に誰かがいないと寂しいんだ。 何故か心の何処かでもうすぐ終わってしまいそうな気がする。 "あの狼の子"が寂しがっているのがわかる。 自分と似たような感じがした、あの子。 大事な誰かに隣に居て欲しかったあの子。 突然傍にいなくなる寂しさや辛さを、 思い出してしまったのが運のツキだ。 夢ならば都合よくずっと夢のように過ごしていたかったな。 なんだか心まで女の子になってしまうのかもしれない。 だけど、いまこのままで聞きたいことがある。 聞いておかないと。 「よっし。編笠を探そう」 たとえ、この夢が終わったって。 伝えたいことは変わらないけれど。 動かなければ始まらないよね。 (+50) 2021/08/16(Mon) 19:33:40 |
【人】 さよなら 御山洗>>72 >>73 >>74 宵闇 「……ひどいやつだな、お前は……」 喉の奥からほとんどつっかえて出てこないような涙声が、ようやく震えながら音を成す。 なぜかだなんて。克明に思い出さずに済んだなら、この想いを風化できたからだ。 どうしてかだなんて。そんな気持ちを抱いたところで叶うわけが無いのを理解してるからだ。 目の前の彼が思うよりもずっと不届でみっともない願いを抱えて、 唄うような声もはしゃいでる声もとぼけたような声も、 長い前髪から覗く目もろくに体を作れるものを食べてないような細さも、 全部どうしようもなくこの手に掻き抱いてしまいたくて、そんなのは、お前には向けるべきじゃない。 "友達"だと言うのなら、こんな不自然な気持ちは最初から持つべきじゃなかったからだ。 抑えられないくらい好きな自分が、夢に見るくらいに好きな自分が、 自分では制御できない怪物になったようで、自分から思い出を守れないのが、恐ろしかったからだ。 宵闇の思いと御山洗の想いは全く違っていて、それはどちらも両立することは出来ない。 「俺は……」 首を横に振る。同じ思いを、抱けなかった。 ここにいたら、綺麗なまま額に入れてとっておきたかった大事なことを壊してしまう。 此処には居られない。いてはいけない。思い出に触れないまま、しまっておきたいと願う。 帰ってよかったと思う気持ちより、帰ってこなければよかったと後悔する愚か者は、 永劫の花園にはいられない――帰りたくないなどと、思えない。 このままでいることにも、ここままでいられないことにも、何もかも耐えられなかった。 → (76) 2021/08/16(Mon) 20:14:32 |
【墓】 夕凪>>75 編笠 「うん、探してた。どう? 浴衣似合っているかな。 みんなに褒めてもらったから聞かなくても返事はわかってるけれど」 話しかけてくれたのは、暗い顔をした魚を見つけてくれたのはあなただったのに。 今の印象はなんだか黙ってばっかりの人だ。 本当にその口が開くのはいつなのか。 いつまでも待てる気分なのは確かだけれど。 「編笠くん、ここに来て、ここで話してくれたこと。 ――何処まで本気にしていい? 夕凪は、夜凪が居ないとすぐに落ち込む寂しがり屋さんで。 夜凪は、夕凪のことになるとすぐに考え過ぎるお節介屋。 まだ、夕凪たちのことが好きで。さ。 代わりになってくれるっていってくれるかな。 ううん、代わりとかじゃなくって。 居て欲しいなって頼んだら、隣に来てくれる?」 (+51) 2021/08/16(Mon) 20:25:20 |
【墓】 青嵐「…誰も置いてきゃしないって。な。」 不安がるアカネにぽんぽんと頭に軽く手を置く。 こういうの、ガラじゃないって? うっせー、ほっとけ(笑) 「…卯波には昨日言ったけどさ、今生の別れじゃないんだし 望めば会えるよ、俺は。まぁ受験やら大学で忙しくなるし、 アキラに至ってはどうなるかわからんけど…。」 でも、と続ける。 「俺は何処にも行かないし、俺たちはずっと友達だ。 8年くらいしか村には居なかったけど、 今の俺を作ってるのはその8年間だし その中でお前たちと会えて良かったって思ってるよ。 …ありがとな。」 最後の花火が咲いて散る。 きっと俺はこの花火を忘れないのだろう。 例え、これが泡沫の夢だとしても。 (+52) 2021/08/16(Mon) 20:35:27 |
青嵐は、あ、たまやーっていうの忘れた。 (c32) 2021/08/16(Mon) 20:36:14 |
【人】 少年 編笠>>78 夕凪 視界の中の風景は、過去を移す。 憧れであり、淡い思いを抱いていた相手の姿が、 憧れであり、追いかけていた背中である誰かが、 今の夕凪に重なる。 「でも、ごめん。 俺はここで、嘘を吐くことに決めて。 だから、その嘘に今縛られてんだ。 ……ここにきて。 俺のことを好きって言ってくれたやつがいるんだ。 でも俺は、応えられなかった。 答えすら与えてやれなかった」 それはもう実感としてあるかもしれない。 この世界が、誰かの思いで紡がれていることを。 「"夢"が"夢の中"である限り。 俺にとっては、それは"夢のような言葉"なんだよ。 黙ってようと、思ったんだけどな……」 そしてそれを自覚した今。 この夢の時間が綻び始めていることにも気づいている。 (79) 2021/08/16(Mon) 20:42:14 |
【置】 君ぞ来まさぬ 百千鳥ここが都合の良い夢だなんてわかっていた。 慈姑が姿を消した時に、あの人は夢に還ったのだと思った。 姿を消しては現れる夕凪や卯波を見て、 そういうものなのだと思った。 夢の中で何の根拠も無く、けれど確信じみてそう思うように。 居なくなった人も確かにここに居て、 決してどこかへ消えてしまったわけではない。 会おうと思えば会いに行けて、一緒に遊ぶ事だってできる。 今はここに居ない人も、きっと見えないだけでここに居て ここで待っていればいつか、 せめてその面影に触れる事は叶うと思っていた。 皆に会いたいと願いながら亡くなった姉が寂しくないように。 あの頃のままのみんなと一緒に、 あの頃のままの村を保って、待っていてあげたかった。 それは決して叶わないという現実に見ないふりをして。 夢を見せるなら、最後まで騙していてくれたらよかったのに。 (L17) 2021/08/16(Mon) 20:46:45 公開: 2021/08/16(Mon) 20:50:00 |
【墓】 枠のなか 卯波「ふふふ、みんながついてきてくれたら、 置いてくこともないですかね〜?」 なんて、意地悪なことも言ってみたり。 「みんなが忙しかったら俺が会いに行きます。 幸い、漸く進路が決まったところで、 全然時間がありますからね。 俺もみんなと会えてよかった。 この田舎で生まれて本当に、よかった」 自分らしくあれるのは、 この田舎の人たちの前だから。 性別とか、そういうしがらみから離れられる。 最後に咲いた花火も、四角形のなかに切り取った。 (+53) 2021/08/16(Mon) 20:52:53 |
【置】 さよなら 御山洗「――……ああ」 バカだ、と。やってしまったな、と思った。 今まで自分が大事にしてきたものは、この手で壊してしまった。 今までひた隠しにしてきたものは、この手で暴いてしまった。 思い出は浅ましい思い出塗りつぶされて、曇ってよく見えない。 これが、自分の望んでいた"夢"なんだろうか。 もしもそうなら、とんでもなく悍しい悪夢だ。 それでも俺は、翔のことが。 「……本当に、バカだ……」 (L18) 2021/08/16(Mon) 20:53:30 公開: 2021/08/16(Mon) 20:55:00 |
涼風は、百千鳥の手を握った。 (a32) 2021/08/16(Mon) 20:55:32 |
卯波は、盆の暮れに、盆踊りをする。 (c33) 2021/08/16(Mon) 20:56:04 |
御山洗は、恐れていた。怯えていた。今は、後悔ばかりが焼き付いている。 (a33) 2021/08/16(Mon) 20:56:40 |
卯波は、田舎を楽しむための行事が、田舎を終わらせることに繋がることに気付いている。 (c34) 2021/08/16(Mon) 20:56:47 |
卯波は、それでも、この田舎のことを愛していた。それだけだ。 (c35) 2021/08/16(Mon) 20:57:11 |
花守は、諦めて、諦めなかった。 (a34) 2021/08/16(Mon) 20:59:00 |
添木は、”遊び”を終わりにする。 (a35) 2021/08/16(Mon) 20:59:10 |
花守は、ウソをホントにする、きっと。いつか。 (a36) 2021/08/16(Mon) 20:59:57 |
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