盛大なギターの雄叫びと共に現れれたのはそう、この男。
…………と、だ。

超絶笑顔を浮かべながらヘビーメタル風の曲をギャリギャリと弾きながらその辺を練り歩き始めた。夜中にも関わらず割とビッグめな大音響である。

めちゃくちゃ楽しそうだ。


なんならテンガンショットガンズによるめちゃくちゃなリズムに合わせて派手な音が響き渡っていることだろう。うんうん、これもまた立派な楽器だね！

尚、テンガンを逃がす気は無いので
そりゃ耳イカれるわ。ごめんなテンガン。撃たれても文句言えへんわ。

「…………あ？　ああ、そっかアンタ耳」

気付くのが、遅い！

「ちょっと待ってー……」

ギターを演奏する手はそのままに。


「――――――――……」

いいぜ！こいよ！と演奏会の参加者を豪勢な音が迎えるだろう。
男はどんな音が来ても……いやまあ出来るかはともかく、合わせるつもりでいるらしい。
……なんでシンバル生えてんの！？

「…………演奏中に撃ち合いなんて始めたら勝手に弾の挙動変えっからなー……」



あ！　目が厳しい！！　演奏ガチ勢だ！！！！
尚、変えられた挙動の弾がどこに行くかは……おっと誰か来

「…………ンン？　そうなの？
　じゃー……二人で挙動変えれるンなら万が一があっても平気そうだなー……」

平気ではないと思うゾ。

「……


テンガンのおやすみの声にギターを弾く音が止んだ。

「なんだー、アイツが止めるんなら俺も今日はもういいや」

唐突に始まり唐突に終了した演奏会（隠語）である――――

これは蘇生組二人を見ての反応です。
おかえりなさいお二方。男は嬉しそうです。

「演奏は、えっとー……みんな上手かったぞ！！！！！！」

そのフォローいるか？

「…………、！」

これはいつの間にかクロノとエルナトの傍にいる囚人。
静かではあるが気配は別に消さずに来たので多分モロバレである。同じくトランペットの音を嬉しそうに聞いているだろう。

こっそり。ひょっこり。
人の音があまりしなくなった気がして顔を出してきた男がひとり。

「…………〜♪　〜♪　〜♪」

鼻歌まじり。気まぐれに散歩にやってきたようだ。

「…………、」

貰った紅茶を片手に、ロビーの隅でぼんやりしているアルレシャの方まで駆け足で近寄って首を傾げるだろうか。

「…………ン、なるほど」

短い返答と頷きの後。アルレシャの隣に座った。

「俺もやる。……今は揺れが少ないから出来そう」

はあ、と一息をついてぼんやり。
これくらいの揺れの方が落ち着くな。思いつつ。

「…………ン。…………あ」

静かな空気を壊さないような短い返事。
見られれば見返す。視線が合う。
隣に並ぶ形に座ったから、顔はすぐに逸らされるけど。

「無理しなくて良い。そのままにして。
　…………その方が落ち着くから」

あなたになら分かるだろうかと。説明は省いた。

「…………、ン、アリガト」

戻る音。揺れ。振動。
やっぱりこっちの方が落ち着くんだ。

もう一度はあ、と息を吐いて。
ぼんやりと上を見上げ膝を抱えた。

「…………、ンン」

もぞ。ぽや……起きました。
きっとずっとアルレシャの隣にいて、寄りかかって眠っていたことでしょう。

「くぁ……う、……」

暫くはぽや……っとしたままロビー見てそうですね。

「……ン、おはよー……アルレシャ……」

挨拶は返すけれどぽや……まだちょっとお寝ぼけさん。
もっかい寝れるかな、って思ったけど無理そう。諦め。

「……ンン、ン」

悩み。アルレシャとお膝を交互に見て。

「…………いや、……」

周囲を見て、ごにょ……。