【人】 3年 櫻井 快人── 昨日のこと ── [鯖味噌定食は、美味しかった。 午後の講義は相変わらず眠たかった。 なんてことはない、いつもの1日。 講義の後で部室に行ったら、いつものメンツは誰もいなかった。 いつメンがいて、僕がいないのが日常だったなら、それこそが非日常なのだけど、そこに非日常がもう一つ。] あ、先生。 なんかあったんです? [鍵空いてるなーと思えばおわしますは我らが顧問。 いや別に、と言いながら、映画をご覧になっている。 不詳櫻井、お供させていただきたく存じます。 少し傾いた椅子に腰下ろして、多分割と終盤の、よくわからないけど多分盛り上がってる場面をぼんやり眺める。 先生も何も言わなかった。 画面越しの音声だけが、部室内に流れている。] (8) 2020/11/15(Sun) 0:29:22 |
【人】 3年 櫻井 快人『ごめん、好きな人できた』 [目の前で泣きじゃくる彼女に、他になんて言ってあげたらよかったのか、今でもまだわからない。 まだ高校生だった櫻井は、そっと手を伸ばして、濡れる彼女の頬を包んだ。 なんて顔してるのさ。 約束忘れた? ねぇ、僕はまだ、茜の彼氏だよ。 2年前、卒業する先輩に告白して振られて、やっぱり泣いてた彼女に、試しに僕と付き合ってみない、と言ったのは櫻井の方だった。 別に私のこと好きじゃ無いでしょ、って今度は怒りだした彼女に、今はまぁ、そうだけど、でも好きになれるよ。大事にしてあげる。だから付き合ってみない、と畳み掛けたのも櫻井だった。 ただ、彼女の眦からキラキラこぼれ落ちる雫が勿体なさすぎて、止めたい一心だった。 黙り込んだ彼女に、本命ができるまででいいよ。だから、ねぇ、付き合おうよ、って、言い募った。 漸く顔を上げた彼女は、やっぱり目元に真珠を溢しながら、櫻井に問う。 ねぇなんで? ごくごく自然な問いだった。 一拍の間の後、櫻井は答える。 君に笑って欲しいから。 呆気に取られた後、彼女は笑った。 その時に、2人は約束を交わした。 誰よりもなんで言わない、だけど幸せになること。 一緒にいる時は、笑っていること。 泣かないこと。 でもどうしても泣く時は、その涙を拭わせて。 約束の通り、櫻井の指先は、溢れる雫をそっと払った。] (9) 2020/11/15(Sun) 0:29:58 |
【人】 3年 櫻井 快人 言ったでしょ。 本命ができるまででいいって。 元から、そういう約束だったでしょ。 [おめでとう。 ちゃんと、好きな人ができたんだね。 次の恋に、進めるね。 ねぇ茜、笑って。 そして僕に、幸せになるって、約束をして。 そうしたら僕は、笑って君の手を離せるから。 最後に君は、ありがとうと言って微笑んだ。 僕は君に、またねと言った。 別のクラスになっていた2人は、その後卒業まで殆ど顔を合わせることもなく、ただたまに廊下をすれ違えば簡単な挨拶を交わした。 卒業後、成人式の時に顔を合わせたら、それはもう幸せそうな惚気を聞かせてくれた。 幸せそうな君の笑顔に、僕もやっぱり幸せだった。] チクリ (10) 2020/11/15(Sun) 0:30:24 |
【人】 3年 櫻井 快人 じゃあ、試しに僕と付き合ってみる? [いつの間にやら、常套句。 恋に敗れて心を砕け散ろうとする人を見ると、つい手を伸ばしてしまうのは悪癖だという自覚はあった。 でもせめてものプライドのようなものが、櫻井に相手との一戦を超えることを阻んだ。 それが必要そうな相手が、それを望まない限り、決して超えない一線があった。 『お前櫻井と付き合ってたんじゃねぇの?』 『うん、いいのいいの! 櫻井はそういうんじゃないから、ねぇ?』 そう、新しくできた彼氏と腕を組んでにこにこと言われて、何を返せばよかったろう? そうだね、よかったねって。 好きな相手が幸せになるのは、櫻井自身願った事だ。 その為に、大事に大事にしていたのだから。] (11) 2020/11/15(Sun) 0:30:45 |
【人】 3年 櫻井 快人元々恋愛的に好きだったわけでなくても、大事大事に真綿に包むようにして、傷を温めそうして花開かせた相手だ。 掛けた時間と注いだ心の分だけ、そう、好きになるのも、当然じゃないか。 幸せに、なってもらわなければ。 幸せに。 たとえその幸せが、僕の隣になかったとしても、それはそれで仕方ない。 だけど、ねぇ、せめて別れの言葉くらい。 じゃないと僕は、終わりをつかみあぐねるのに。 だけど、ごめんって、泣かせるくらいなら────、 (12) 2020/11/15(Sun) 0:31:28 |
【人】 3年 櫻井 快人 え、あ、なんです? [突然先生に声をかけられて、我にかえる。] あー、いや、恋愛もの苦手ってわけじゃ… ただラストあたりだけ観ても… ってゆーか先生、恋愛ものとかみるんですね。 [流れゆく、エンドロール。 映画のエンドロールって、映画の余韻から戻ってくるための大切な時間なんだって、誰かが言ってた。 心の切り替えには、時間がかかるものだから。] あ、先生帰ります? じゃ、僕も帰ろっと。 [先生がいなくなってから、誰もいない部室をざらっと見て回って、それから鍵をかけたような気がする。] (13) 2020/11/15(Sun) 0:31:48 |
【人】 3年 櫻井 快人── 朝 ── [人恋しい、季節だからか。 いいえ、朝から講義があったからです。 午前の講義を終えて、朝アパートの下で買ってきたチーズフランスを手に、部室へ。 パンでも齧りながら、映画見ようと思いつつ。 思いつきで、車に乗って時間遡行する映画をかけてみる。 チーズフランスのお供は紙パックのコーヒー牛乳。あっまいやつ。**] (14) 2020/11/15(Sun) 0:32:12 |
【人】 3年 櫻井 快人[朝の講義を終えた後の部室、何飯だかよくわからないパンを齧りながら眺めるバックトゥーザ・フューチャー。 時間遡行のSF的理論について、つい調べたり考察したりしたのも懐かしい。 お陰で櫻井の中にはタイムリープ警察が住んでおり、君の名は、がなんだか色々許せなかった。 映画を眺めつつ、朝のメール>>26を思い出す。 『おめでとう。 小鳥遊らしいんじゃない?』 その小鳥遊らしさが可愛いって思う人間も、ちゃんといるんだって、と書きかけた文は削除。 『小鳥遊を特別に想ってくれる人、 見つかってよかったね。 多分犬鳴は、映画中にキスは間違っても しないだろうから、安心だ。』 そんな風に、返したメールを、思い出す。] (34) 2020/11/15(Sun) 10:10:25 |
【人】 3年 櫻井 快人 んー、一役買えた、んですかね、 [多分関係ねぇなぁと思いつつ、伸びをひとつ。 パンは食べ終わったが、甘いコーヒー牛乳はまだ半分くらい残っている。 舌先に、やけに甘ったるかった。 いつものことだ。 むしろ、いつもより軽く済んだ。 誰かが、新しい恋に出会うための橋渡し。 残す思いは、いつもに比べればずっと少ない。 いつもより、ずっと。 ある意味予想通りの展開な部分もある。 小鳥遊に、あの夜残した言葉>>2:21は、本心だった。 だって小鳥遊は、誰かの特別になりたい、という願いをまだ諦めてなかったし、多分その誰かは本当は誰かじゃなかった。 まぁ、相手が若干予想外だし、予想外にスピード展開なのは否めないが。] (35) 2020/11/15(Sun) 10:10:40 |
【人】 3年 櫻井 快人[いつの間にか画面が進んでて、展開を追えなくなった。 これは映画に失礼な話なので、潔くやめてしまう。] …帰ろ。 [午後の講義はない。 部室を後にしたのは、小鳥遊が来る前だった。 櫻井は幸いそのことを知らないが、出会わなかったのは僥倖だったかもしれない。 櫻井が小鳥遊にあると感じるキラキラした何かは、櫻井にとって今だけはちょっとだけ毒だったかもしれなかった。 そうであったとして、やはり顔には出ないのだが。*] (36) 2020/11/15(Sun) 10:10:55 |
【人】 3年 櫻井 快人── 大学構内 ── [帰ろうかなぁと思って歩いていたら、見知った影を見かけた。>>38>>39] いつ見ても、仲良いね、君ら [声をかけられれば、歩み寄り、挨拶がわりの一言。 高藤が山田の腕を離す瞬間は見えていたので、つまり仲良くしているところも見えていたわけだ。 会話はほぼ聴こえていないが故の暴挙だが、タイミングの悪い櫻井です。] 山田は一昨日ぶりだな。 随分飲んでた雰囲気だったけど、大丈夫だった? [飲んでる現場を見たわけではなかったが、何となく、山田が酔っ払ってたのは察しているので問うてみる。 まぁ今日時点で元気なら、もうそれで良い気がするが。**] (42) 2020/11/15(Sun) 10:30:28 |
3年 櫻井 快人は、メモを貼った。 (a14) 2020/11/15(Sun) 10:31:48 |
【人】 3年 櫻井 快人[話の途中に現れた天音にも、よ、と簡単な挨拶をして。>>46 報告を受けた小鳥遊と犬鳴のこと以外、この2日で部内の人間関係がガラリと変わっていることには当たり前だが気づいていない櫻井です。 これ取り残されてるメンツによっては後が面倒なやつだぞだがそこは櫻井なので大丈夫ですご心配なく。 なんとなく、皆でどこかでランチという流れ>>48に櫻井も、手元の飲みかけのコーヒー牛乳の紙パックをチラリと眺めやった。 因みに女子3名に男子1人囲まれた状態になっているのだが、そこは櫻井、性別にあまり意味を見出さない人種なので、気にしておりません。>>67 内2人が彼氏持ちということも知らないので!(知ってたらどうにかするのかはそれはまた別のお話。) 中庭へ行く流れっぽいのでついていく。] (73) 2020/11/15(Sun) 14:57:32 |
3年 櫻井 快人は、メモを貼った。 (a22) 2020/11/15(Sun) 15:02:16 |
【人】 3年 櫻井 快人 手練手管、なぁー…… [聞き様によっては突飛な問いに、その単語を繰り返す。>>105] いらないんじゃないか、そういうの。 むしろ、素のままの高藤の方が、きっと可愛い。 [恋する者は、輝いているのだ。 真っ直ぐな好意を向けられていて、一分一秒惚れ直さずにいられる奴は、なかなかいないだろうと思う。 向けられる本気って、わかるものだから。 逆を言えば、本気を向けられていないこともね。 ]まだまだ付き合いたてなんだから。 少なくとも今の高藤に、菊波が惚れたのは 間違いないんだし。 [中身が空になった紙パックが、ずぞっと音を立てる。**] (118) 2020/11/15(Sun) 18:44:37 |
【人】 3年 櫻井 快人 ……そっか。 [理不尽に投げ返された質問に、山田はいっそ生真面目なほど真面目に答えを出した。>>170>>173>>174 きっとそれは、口にする気は決してなかった言葉だ。 なのに一生懸命になって、言葉にして紡いだ。 だから最後まで黙って聞いたし、少しだけ、咀嚼する為の時間を要した。] ま……甘えても、いいと思うけどね、僕は。 甘えるのがうまくいかないことも、あるけどさ。 [だが、高藤のように甘えてみせるのが上手な人間もいれば、そうでない人間もいる。 櫻井自身、甘え方が上手かと言えば、そうでもないと思う。ただ、なんだかんだ甘やかされるにのっかっているだけで。] でもね、山田。 誰かの特別になりたいって気持ちは、捨てないで。 諦めなくていいよ。 それは、人間として、ごくまっとうな願いだから。 [ 僕は、随分前に諦めて捨ててしまったけど。 誰かの特別になることを諦めた時に、初めて人は誰の特別にもなれなくなる。 わかっていたけどさ、楽だったから、その方が。 だから、諦めさせないように、ちゃんといつか、“特別”になれるように。 大丈夫、君は特別なんだよって。 僕とは違って。 ] (193) 2020/11/15(Sun) 22:25:07 |
【人】 3年 櫻井 快人 それがほんとに山田の幸せなら、僕はとめないけども。 “良い子”にならなくたって、良いんだよ。 別に。 そうじゃなくても、山田は山田だし、ちゃんと山田を 好きな人はいる。 [映研の皆だって、きっとそうだ。 けれど、櫻井自身の幸せに言及されて、それには返答ができずにいた。 多分自分は、誰かを幸せにしようとしている自分のことが好きなナルシストなんだろう。 だから、そういう時が、幸せで、 そう、信じていて ]うーん、そうだな、それじゃ。 (194) 2020/11/15(Sun) 22:25:35 |
【人】 3年 櫻井 快人 試しに僕と、付き合ってみる? [何でもないことのような口調と同時、ざぁと、風が吹いた。 一瞬流れた前髪の隙間から覗いた眼は、険のあるものではないが、決して恋をしているそれでもない。] (195) 2020/11/15(Sun) 22:25:55 |
【人】 3年 櫻井 快人 山田が、本当に特別にしてほしい相手を見つけるまで。 あるいは、特別にしたい相手を見つけるまでの間だけ。 [君が、本当の恋に出会うまで。 本当の、倖せに、出会うまで。 ちくり、胸の奥が痛む。 *]臆病な僕は、初めから置き去りにされる未来を覚悟しないとたったの一歩すら踏み出せない。 (196) 2020/11/15(Sun) 22:26:12 |
【人】 3年 櫻井 快人 ……泣かないでよ。 [キラキラとした雫が、目の前の女の子の眦から零れ落ちる。>>217 それはとても綺麗で尊いものだけど。 櫻井は、涙と言うものに滅法弱かった。 預けていた上体を起こし、再び隠れてしまった眉を、すぃと寄せる。 その呟きが聞こえたか否か、ぐっと服をひかれる気配に、一度だけその握りしめる手をちらりと見やった。>>221 押し殺した嗚咽が聞こえる。 嗚呼、こんな顔を、させたいわけじゃない。 細い声が、やたら静かに感じる空気をそっと震わせた。 山田はここでも一生懸命だった。 何のために? 思い至った瞬間、がつんと鈍器で後頭部を殴られたような錯覚に襲われる。] (238) 2020/11/16(Mon) 8:42:53 |
【人】 3年 櫻井 快人[付き合うなら、相手を好きになるのは櫻井からしてみれば当たり前のことだった。>>223 仮にいつか離れていく相手だったとしても、今隣を赦されているのが自分なら、その間は本気になって大事にしてきた。 それが、誠意だと思っていた。] それは…全然我儘なことじゃ、ないよ、山田。 [それだって、ごくごく当たり前の願いだ。 だけど…だけど君は。] 君は……残酷だね。 優しすぎるよ。 [ふは、と零れ落ちたのは、苦笑。 今まで、付き合った女の子は6人。男は2人。 その中で、残される僕のことを想った人は、たったのひとりだけだった。 その一人すら、僕は何でもないことのように誤魔化して、送り出してしまったのだけれど。 その事実を、突き付けられたような気がして。 けれど、山田の思いやりに似た気持ちは、冷え切った身体を湯船に沈めた時のような、痛みを伴うほどの痺れを胸の内に呼んだ。] (239) 2020/11/16(Mon) 8:43:14 |
【人】 3年 櫻井 快人[そ、と伸ばした掌が、山田の頭に柔らかく乗る。] 特別ってね、頑張って、なるものではないよ。 自然と、なるものだ。 [特別にしてあげるのは、そう難しいことではなかった。 多少なりとも好意のある相手なのだから。 それを特別な感情へと昇華させるのは、容易かった。 けれど、自分が誰かの特別になるのは…ひどく難しい。 他人の心を変えることは、できないのだから。 だから、諦めたのに。 そういうものだと、己を納得させたのに。] それでも山田は、僕を特別にしてくれるの? [頭を撫でた手が、顔の横に垂れた髪の先を掬う。 するり、指に絡めた毛先が、ひどく触り心地良くて、つい前髪の裏で目元を細めた。] (240) 2020/11/16(Mon) 8:43:31 |
【人】 3年 櫻井 快人 わかった、僕の負けだ。 一緒に、倖せを、探そうか。 [もしかしたら…もしかしたら。 この人は、僕を置き去りにしないかもしれない、なんて。 ささやかな期待を胸に抱いた。 そのささやかな期待が櫻井にとって、どれほどの勇気を必要とするものだったのか。 それは、いつか知ってくれれば良い。知ってくれる時が来たら良い。 いつか、笑い話にできるようになった時に。 願いを無音のまま唇に乗せ、掬った毛先に口付けた。**] (241) 2020/11/16(Mon) 8:43:55 |
【人】 3年 櫻井 快人[僕の人生なんて、間違いだらけなんだけどな。>>247 だけど、君にとっての僕が、そうなら…… それでも、いいかもしれない、なんて。] ああほら、また泣く。 [溢れんばかりの言の葉と共に零れ落ちる雫を、親指の腹で掬う。>>248 その涙がもう、哀しいだけのものではないのには気づいていたけれど、 やっぱり僕は、涙に滅法弱いのです。 だからほら、ちょっとでも君に笑ってほしくって。 ちょっと気障ったらしいことを、やってみたのだけれど、君は思ったよりも鮮やかな色を見せた>>249ので、つい、悪戯心が湧いてしまう。 だから、これは、出来心。 少しだけ顔を寄せて、囁く。] (267) 2020/11/16(Mon) 20:28:23 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 エピローグ 終了 / 最新