人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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視点:人


裁判官 リーベルトは、メモを貼った。
(a2) 2019/04/18(Thu) 23:37:26

【人】 裁判官 リーベルト

─ 回想・ホテルまでの道中 ─


[ウェディングドレスは君こそ似合うと思う。
マーメイドラインのウェディングドレスとかどうですかね。
もっとも、君が着るならどんな形のドレスも愛らしく見えるのだと思う。

ついでにタキシード姿も想像して、口元が緩んだ。]


  えっ……
  朝飯食ってなかったんですか。

  それはいけません。
  言ってくれたらお菓子出しましたのに。


[完全に遠足気分な29歳児の鞄は、各種おやつ完備だった。
運転中でも、脇から砂糖たっぷりのドーナツを口に放り込むくらいは出来たかもしれない。

……なんて思ったけれど、
そういえば僕はぐっすり眠っていたのだった。
致し方あるまい。

不意打ちの写真撮影>>4には、完全に反応しそびれた。
可愛いスイーツに向かって舌を伸ばした瞬間が、ばっちりカメラに収められてしまったと思う。]
(38) 2019/04/20(Sat) 1:02:51

【人】 裁判官 リーベルト

[女顔の低身長がコンプレックスだったから、身体作りには自分なりに気を使ってきた。
こう見えて腹筋は六つに割れている。
食べる量は、まぁ人並みだと思う。

対する彼は、いくら食っても太らない夢のような体質。
おまけに、極度の甘党。

豪快な食べっぷりを眺めているだけで、満腹になってくる。
一緒にスイーツバイキングに行った時には、用意されたスイーツを出禁になる勢いで喰らい尽くしていた。
僕も甘いものは苦手ではない。
むしろ好きな方なのだけれど、彼に勝てる気はまったくしなかった。

体力の無さは、少しずつ筋力を鍛えてゆくしかないと思う。
これからは早朝深夜、一緒にジョギングしたりも出来るかもしれない。


―― 一度だけ、
手料理を振舞ってみようと頑張ったことがあった。

お互いの家でいつも美味い飯を作ってくれる彼に、何かお返しをしたかったのだ。

僕は焼きそばを作ったつもりだった。
出来上がったのはダークマターだった。

流石にこれは食わせられないな……そう思いつつ冗談のつもりでサーブした。
いつかちゃんと食べられる代物を作ってあげることが、僕の密やかな目標の一つだ。]
(39) 2019/04/20(Sat) 1:02:57

【人】 裁判官 リーベルト



  ちっ……、

  僕がやろうとしたんですそれ。
  先に取らないでください。


[どちらが先に舐め始めようと同じ結果なのだから、傍から見れば鶏が先か卵が先かくらいの話かもしれない。
大人げない対抗心は、上機嫌な彼の表情>>5を見たらどうでも良くなってしまった。

頬を滑る人差し指を取って、握り直した。
どちらかといえば口の悪い方が素だった筈なのだが、この数年ですっかり丁寧語でいる方が楽になってしまった。

言葉尻を丁寧にするだけで物腰柔らかに見える。気がする。
今ではどちらが元であったか、自分でもよくわからない。


執事ごっこの成功には、少しばかり得意になっていた。
だから、出し抜けに撫でられて>>6照れてしまった。

ヴィクに撫でられるのは好きだ。
心地良いし、落ち着くし、可能なら永遠に撫でていて欲しい。
ご主人様からの施しは素直に喜んで構わないだろう。

今までも、何度も車に乗ってもらった事はあった。
食料や日用品の買い出し、天気がいい日にはちょっと遠くまで。
けれどこんなに長距離を長時間、一緒に走ったのは初めてだったと思う。]
(40) 2019/04/20(Sat) 1:03:10

【人】 裁判官 リーベルト

[もうじきに着こうかという時。
隣で突然、ガタッと物音がした。>>7

驚いて助手席を横目で見やれば、彼が目を覚ましていた。
強かに打ち付けたらしい腕をさするのを見て、くすり笑う。]


  大丈夫ですか?

  ……ふふ。よく眠ってました。
  そうですねぇ、
  寝言は……内緒です。


眼前に海が広がった瞬間、隣からも歓声が上がった。
ここを選んだ甲斐があったというものだ。

リクエスト通り、海の見える場所。
本当は海外のリゾート地へ連れて行きたいところだけれど、二人とも多忙でまとまった休暇が難しいから、それはまたの機会に。

せめて、と国内に居ながら海外気分を楽しめるホテルを選んだのだ。美的センスに優れた彼のお眼鏡にも適ったようで>>8安堵する。]


  気に入って貰えて良かったです。

  青が綺麗な場所に、
  一緒に行けたらと思いまして。


[停車した車に、空と海の青が反射した。]*
(41) 2019/04/20(Sat) 1:03:21

【人】 裁判官 リーベルト

─ ホテルに着いて ─


[車を停めて敷地内に入れば、事前に写真で見た通りの絶景。
非日常感溢れる、異国の街並みのような作り。
断崖に沿って並び立つ美しい白壁と、真っ青な丸い屋根のコントラストが鮮やかだ。

なるほど、噂に違わず素晴らしい。
思わず感嘆の声が漏れた。

けれど、海を借景としたテラスよりも。
豪奢な内装よりも。
少年のようにきらきらと瞳を輝かせてはしゃぎ回るヴィク>>9を見て、頬が緩んだ。

チェックインを済ませて、予約した部屋へと向かう。
室内に一歩踏み込めば、海を思わせる蒼の光が優しく降り注いでいた。]


  これはまた。
  すっっごいですねぇ……


[壮観。流石のスイートルーム。
キングサイズのベッドも、ソファや机などの家具も一級品だ。

海の生物をあしらった調度品はどれも美しい瑠璃色で、白壁によく映えている。オーナーのセンスの高さが垣間見える。
バルコニーの向こうには水平線が広がっていた。]
(42) 2019/04/20(Sat) 1:03:33

【人】 裁判官 リーベルト

[同じく「凄い」としか言葉が出てこない。
スイートルームに泊まる機会など今までなかったのだから。


これから数日間お世話になる予定の部屋は、直結でオーシャンビューのプールに飛び込めてしまう場所に位置していた。

部屋の窓からも一望できるゆったりしたプールに、他の宿泊客は見当たらない。
ほとんど貸切状態だ。

デッキチェアに身を横たえて、優雅にシャンパンを飲んだりするのも良いかもしれない。
こういう場所でならば許される気がする。


持ってきた仕事道具をこそこそ隠しつつ、まずは荷物整理。
水着にゴーグル、ウォーターガン、浮き輪。
他にもクジラのフロート、水に浮かべて遊ぶおもちゃのあひる等々。

どれで遊びましょうかと声を掛けようとした時、丁度彼からも声が掛かった。>>10]
(43) 2019/04/20(Sat) 1:03:39

【人】 裁判官 リーベルト



  はい。二人っきりです。
  こちらこそ。

  ……夢みたいですけど、
  夢じゃ、ないですよ。


[真珠モチーフのソファにどっかりと腰を下ろしている彼は、
もう既に一流の俳優のようだ。

これから写真集の撮影か、雑誌のインタビューでも始まってしまいそうな堂々とした雰囲気。
足元に解いた荷物が無造作に散らばっているのさえ、まるで一枚の絵画のアクセントみたいに見えた。

遊具弄りを中断して携帯のレンズを向け、一枚。
こっそり彼を写真に収めた。
それから誘われるまま、ソファへと。


肩を引き寄せられると同時、彼の背へと手を伸ばした。
こうしているだけで、
ここに至るまでの疲れなんて吹き飛んでしまう。


――髪を撫でる優しい手に甘えて、
唇の甘さに酔いしれた。
]*

 
(44) 2019/04/20(Sat) 1:03:44

【人】 裁判官 リーベルト

[夕食の予定時刻までは、まだ余裕がある。
このままソファでまったり過ごすのも、大層魅力的ではあるのだけれど。]


  ヴィクさえ良ければ、なんですけど……
  
プール、入ってみたくありませんか?!



[HPもMPも、彼のおかげでフルチャージした。
目の前の誘惑には抗えない。

許可が降りたならいそいそと服を脱ぎ、今日この日の為に購入した水着姿へとチェンジしよう。

青と緑のグラデーションが美しいサーフパンツ。
もちろんサバクンジャー的イメージカラーを連想して選んだもの。

浮き輪も膨らませて、ゴーグルも装着して。
最後にウォーターガンをスピンする振りをして、ちゃきっと構えて見せる。

傾き始めている太陽の元に鍛え上げた素肌を晒すと、準備運動もそこそこにプールに飛び込んだ。]**
(45) 2019/04/20(Sat) 1:04:08
裁判官 リーベルトは、メモを貼った。
(a8) 2019/04/20(Sat) 1:47:02

【人】 裁判官 リーベルト

[>>57御名答。
自宅で荷物を床に放置していたら、間違いなく真っ先に小言を飛ばしてしまうと思う。

ソファに腰を下ろす前に中身を片付けろ。
入れるスペースがないなら物を減らせ、と。

叱る気力も吹っ飛んでしまうのは、旅行の魔法だったのかもしれない。

フロートもあひるのおもちゃも通信販売頼み。
不在でも宅配ボックスに入れておいて貰えるから、多忙な身にも有難い。


隠し撮りに気付かれれば特に驚きはせず、包み隠さず画面を見せた。]


  指定のポーズを取ってもらうのも良いですけど、
  自然な表情は不意討ちでこそ撮れるものでしょう?

  ま、見つかっちゃいましたけどね。


[撮影技術は素人レベルながら、被写体への愛ならばプロの写真家にだって負けない。
先刻撮られたお返しのつもりでも勿論あった。

興味本位で件の写真を見せて貰えば、想像以上に可愛らしい雰囲気で激写されている自分がいて顔を覆った。

どうにも腑に落ちない。
こんな風に見えているのか、と気恥ずかしさもある。]
(69) 2019/04/20(Sat) 19:35:47

【人】 裁判官 リーベルト

[自分の携帯のカメラアプリを開いて自撮りモードを選ぶと、]


  これがご希望するポーズです。


[――そう言って、利き手を前方へと伸ばす。

フレーム内に二人ともがしっかりと収まったのを確認したところで、シャッターを切った。


わざわざ記録を付けずとも忘れることなんて有り得ないけれど、確かな思い出として足跡を刻んでゆくのも良いものだ。

『ね。
 夢じゃないでしょう?』

そういう意図も込めて、撮影した写真を見せた。]
(70) 2019/04/20(Sat) 19:35:54

【人】 裁判官 リーベルト

 ─ プール ─

[カラフルな遊具を並べ爛々と目を輝かせて、
「ちゃんと君の分も用意してありますよ。安心してください」
そう言い添えてウォーターガンを手渡せば、君はどんな顔をしただろうか。]


  
ヴィク〜〜!!
  早く早く〜〜〜〜!!!



[一足先に豪快な水飛沫を上げて飛び込んだプールから、ぴょこんと顔を出す。
遅れて姿を現した彼>>59にウォーターガンを向けようとしたのだけれど、それより先にばしゃっと手で水が掛けられた。

仕返しとばかり銃口を向ける。
同時にヴィクの動きが止まったから、最初は水鉄砲に怯んだのかと思った。
彼の目線の先を見るに、どうやらそうではないらしい。

僕に触れるのに、わざわざ許可なんて取らなくていいのに。
どうぞと笑顔で両腕を広げてみせれば、適度なしなやかさを保った胸筋が呼吸に合わせて上下する。
感触を確かめるように触れられて、くすぐったさに身を捩った。]


  ヴィクにはヴィクの、良いところがありますよ。
  ……僕も触ってもいいですよね?


 
(71) 2019/04/20(Sat) 19:36:10

【人】 裁判官 リーベルト

[普段は綺麗にセットされた癖っ毛が、水に濡れて色気を格段に増していた。

細身ながら、絹のように滑らかで美しい肌。
きっと日々の手入れの賜物なのだろう。

同じようにぺたぺたと肩を触り、胸を触り、腹へと指を伸ばした。

筋肉隆々でがっしりとした肩幅のヴィクはちょっと想像が付かない。無理に筋肉を付ける必要はないと思う。
ただ、多忙なスケジュールを熟せるだけの体力は着けておいて欲しい。彼の身を案じる故だ。

ジョギングが難しそうであれば、これに乗って着いて来いと自転車を進呈するかもしれない。
 

そんな体力のないヴィクが頑張っていた。
僕はというと普通に泳ぐのは早々にやめた。
フロートのくじらに座って優雅にぷかぷか浮かびながら、彼を眺めていた。

時折ウォーターガンを向けて西部劇ごっこに誘ってみたり、一緒にフロートに乗ってみたり。
おもちゃのあひるで遊ぶヴィクを、防水カメラで写真に収めたりした。可愛かった。

心地良い疲労感に襲われた頃プールから上がって、デッキチェアへと移動した。
柵の向こうにどこまでも碧い海と、碧い花畑が広がっていた。

――明日は海の方へ行くのも良いし、あの花畑を覗きに行ってみるのも良いかもしれない。]
(72) 2019/04/20(Sat) 19:36:16

【人】 裁判官 リーベルト

[オーダーしたブルー・ハワイを味わいながら、取り留めもない会話をして。
気付けば辺りはマジックアワーの幻想的な色彩に包まれていた。

金色の光が反射する水面も、オレンジに染まる白壁も、
この世のものとは思えない程に美しい。


そしてその只中に佇むヴィクは、
息が止まるほど美しかった。

――たとえ彼の頭の中が、飽くなき食への探求心で満たされていたとしても。


見惚れているうち夕陽が沈んで、プールには室内のシャンデリアと同じ蒼の光が灯る。
夜景を見に行くのはどうですか? 次の予定相談>>61にそう答えながら、部屋に戻って彼の髪を乾かした。

僕にセットは難しいから、乾かすだけ。
どうせ後で風呂にも入るんだから構わないだろう。

お待ちかねのディナーの席へと着けば、サーロインステーキと新鮮な魚介類が待っているにちがいない。]**  
 
(73) 2019/04/20(Sat) 19:36:24
裁判官 リーベルトは、メモを貼った。
(a21) 2019/04/21(Sun) 0:34:05

【人】 裁判官 リーベルト

─ 回想・室内〜プール ─


[>>130「悪くない」と写真を褒められれば、
ふふんと得意げに口角が上がってしまう。
学生時代のバイト先でも、ヴィクはこんな風に何かと己を褒めてくれた。

素人でもそれなりの写真が撮れるのは、最新技術の詰め込まれた携帯機器と写真アプリの恩恵に過ぎない。
それでも、褒められると素直に嬉しい。

SNS映えする写真がどういったものかは解らないけれど、
他ならぬ彼のご依頼とあらば断る理由は何もない。

己の挙動が相手の瞳に可愛く映ってしまっているのは想定外。
不本意なよしよしに頬を膨らませつつ、居心地良さから糸目がより細まってしまうのは最早条件反射。

一緒に写真をとお願いするとすぐさま映りを意識したポーズを取れるところは、流石現役の俳優さんだ。
僕は空いた方の手の親指と人差し指を重ねて、指先で小さなハートを作ってみることくらいしか能がなかった。

撮影した写真は、即待ち受けに設定した。
最愛の人に肩を寄せられた自分が、幸せそうに写っていた。]
(140) 2019/04/21(Sun) 14:52:30

【人】 裁判官 リーベルト

[>>131エビの浮き輪にスイカのビーチボールまでこの場にあったら、僕のテンションは最高潮に達していたと思う。
最初のウォーターガン攻撃は不発に終わってしまったものの、後の西部劇ごっこでノリ良く倒れてくれたなら少年(29)は大はしゃぎした。]


  君にみっともない姿は
  見せられませんからね……、
  身体を動かすと気も紛れますし。

  僕は得します。


[こうして触れ合うのも久しぶりだ。
何かと理由を付けて触れたくなるのは君も同じでしょう?と。
悪戯心で下へ下へと指を進めれば色っぽい声が漏れた>>132から、また理性が吹っ飛びそうになった。

ヴィクも、昔に比べれば筋肉は増えていると思う。
三食もやしフルコース生活だった頃はもっと痩せていて、今の心配とはまた違う、生命の危機を感じてしまうレベルだった。

あひるとヴィクのツーショット写真はSNS拡散待ったなしだろう。被写体が最高だし、カメラマンは僕ですからね(自過剰)

ヴィクが乗っかって来てフロートがバランスを崩し、二人揃って水中に投げ出された時には。
抱き締められるのとほとんど同時に腕を伸ばしていた。
先刻と違って直に触れる素肌が、温かくて、心地良い。
浮き上がってからも暫しの間、僕から腕を離そうとはしなかった。

――身体の内から湧き上がる衝動を抑えつけて、

身が離れたなら、折角だから浮力を利用してみようと。
彼を水中でお姫様抱っこして、額にキスを贈ってみたりした。]
(141) 2019/04/21(Sun) 14:52:58

【人】 裁判官 リーベルト



  ……ええ、本当に。
  僕も、此処に君と来れて良かったです。


[プールから上がった後、夕陽を二人で眺めながら。
左頬に思いがけず口付けが贈られた>>133のには抑えきれない破顔のまま、背伸びして同じように口付けを返した。

髪をセットしていないヴィクは新鮮だった。
普段のきりりとシャープな印象とはまた違う、ふわっとした柔らかい雰囲気になっていた。

人に髪を乾かしてもらうのは心地良い。
己の髪は絵に描いたようなストレートで、特にセットせずとも乾かしただけでつるんと丸く頭を覆う。
玉子みたいだなんて言われたこともあった。

ヴィクが髪の指通りの差にショックを受けている様子>>134に気付けば、よしよしと髪を梳きながら慰めた。]


  あっ、良いですね。
  この辺りは街明かりが少ないから、
  星が良く見えそうです。


[都会では数える程度の星しか見えない。
星影を落とした夜の海も美しいだろう。
潮風に乗せて清々しい甘美な香りを振り撒く花畑には、夜明け前後に訪れる案に賛成した。
起きられなかったなら、それはそれで。]*
(142) 2019/04/21(Sun) 14:53:10

【人】 裁判官 リーベルト


─ レストラン ─


[お待ちかねのディナータイム。
量より質派の己の舌も満足させる、流石の高級ディナーだった。
>>135珍しくしっかりと食材を味わうように噛み締めているパートナーの姿もまたご馳走。微笑ましく見守った。]


  良いんですか? いただきます。
  ……んっ、……美味い。

  僕も、お肉分けてあげますね。


[口元へ運ばれたムニエルを味わい、代わりに一口サイズに切り分けたステーキを彼の口元へと。
周囲の視線や黄色い声は気にならない。

昔から、二人で居ると何故か目立った。
その度に「うんうん。ヴィクは格好良いからな」と誇らしい気持ちになったものだが、時々己も含まれていたようだったのは不思議だった。
それももう、慣れてしまった。むしろ見せつけてやれの勢い。
完全に二人の世界な気分になってしまうのも、旅先の非日常感のなせる業。

彼が舞台俳優だと知る人間はこのレストランには居ない様子だったけれど、

 『綺麗な子ね』
 『どこかの若手俳優さんかしら』


なんてお姉様方の声はあちらこちらから聞こえてくる。
上機嫌で地酒を頂き、ほろ酔いしながらデザートまできっちり完食した。
「ご馳走様でした。美味しかったです」笑顔で会釈しつつ、レストランを後にした。]
(143) 2019/04/21(Sun) 14:53:16

【人】 裁判官 リーベルト

[潮の匂いに混じって、甘い花の香りがする。
日中の暑さは和らいで、頬を撫でる涼やかな夜風が酔いを覚ましてゆく。

食後、提案された通り見晴台へと向かうことにした。
ヴィクの手を取り、指を一本一本絡めて恋人繋ぎにして、ゆっくりと小高い丘へ向かう散策路を歩く。

足元はきちんと整備されているようだったが、何分糸目なので夜目は人並みにしか利かない。
本質に逆らったあるまじき欠陥。
一応は闇に生きる種の出身であるというのに。
それでも月と星の灯りはしっかりと、眩しく判別できる。

街灯は少なく、周辺には民家の明かりも見当たらず、
夜空を見上げれば夏の大三角を見失ってしまいそうな程数多の星々が煌めいている。

丘の上の鐘には、
"
共に鳴らした二人は一生別れない
"
――なんていかにも観光地らしいロマンチックな伝説があるそうだ。
デートスポットとして有名らしい。
ちらほら、カップルらしい人影も他に見えただろうか。

なだらかな坂を登りきれば、遠くに宝石を散りばめたような美しい夜景が広がっていた。]**
(144) 2019/04/21(Sun) 14:53:23
 




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