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【人】 学生 涼風 遡ること数時間前。 実家に着いた少年は、和室の真ん中にその身を投げ出していた。い草の青々とした香りの上を、すらりと伸びた手足が我が物顔で乗っかっている。 「…………」 赤本を取り上げられた。折角服と服の間に隠して持ち込んだのに、祖母もまた父方の親族たちと連絡を取り合っていたのだろう、自分が勉強しようとする姿を見て笑顔で手を伸ばしてきた。実は、もう一冊持ってきていることは内緒だ。 「……………………………………………………………………………………暇だ………………………………………………」 そう、暇だった。都会に引っ越して暫くしてから、ずっと勉強するだけの毎日だった。勉強以外、何をしたら良いのか分からない。 ころりと寝返りを打つ。日に焼けていない真白の肌に畳の目がくっついているのがなんだか面白くて数えていたが、その数が十もしないうちに飽きてやめた。 縁側から聞こえる蝉の唄。肺に流れてくる畳の匂い。肌にまとわりつく熱気。今となっては田舎暮らしよりも長くなってしまった都会での生活から離れたのだと、あらゆる感覚がじわじわと事実を伝えてくる。そして。 「…………遊ぶか。それしかない」 少年はがばりと身を起こした。そうと決めたら早かった。 (131) 2021/08/10(Tue) 12:06:16 |
涼風は、家を飛び出した。その途中、物置が目に映る。 (a49) 2021/08/10(Tue) 12:07:37 |
涼風は、何かを見つけた。白いトートバッグに詰め込んで、持ち出して再出発。 (a50) 2021/08/10(Tue) 12:08:26 |
学生 涼風は、メモを貼った。 (a51) 2021/08/10(Tue) 12:09:15 |
【人】 学生 涼風 気だるい暑さもなんのその。蝉達の声をBGMに、少年は夏の空の下を歩く。 きょろりと辺りを見回して、目的のものを見つける。広場か公園か、その辺りの──水道だ。 「……♪」 海色の髪が上下に跳ねては軽やかに踊る。言葉にしなくてもその機嫌の良さが分かるだろう。 持ってきていたトートバッグを水道の近くに置いた。かちゃかちゃと何やら複数の物がぶつかり合う音が鞄の中で弾けて消える。 そのまましゃがみ込み、少年は何やら作業を始めた。気分はもう、10年前に戻りつつある。 (134) 2021/08/10(Tue) 12:22:23 |
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