#水族館



響く靴音に水の音。

皆が合議をしている時間、舞台は、裏。巨大な水槽の上。

従業員が餌などを与えるその橋の上に、二人の男が立っていた。

#水族館

泳ぐ魚を見つめながら、一人の男が移動をする。

フカワはセーフティーの鎖を準備し、
水槽を覗き込むカミクズの後ろへと回り込む。


そして、フカワは

#水族館



小さくて届かないフカワの声。

カミクズの視界に広がるのは、青、蒼、碧。
熱が離れる、背に残るのはフカワの手の感触だけ。

不安定になるカミクズの前には、狭いあお。
熱が離れる、一歩二歩と、音が遠ざかろうとする。

無造作に落ちでもすれば、
少なくとも怪我をした者が落ちれば、

無事では済まないであろう水槽が彼らの目の前にあった。

#水族館

あっけなく行われ広がる光景に、忘れていた手を伸ばした。


消さなければ。
その、水を。


造られた海に落ちていく君を俺は見続けている。
吸い込まれるようにして堕ちる姿を目に焼き付ける。
いつまでも、いつまでも、最後まで見守り続けている。

#水族館

紫のシオンと、淡いグラデーションのカンパニュラ。
花束から崩れた花を君にをばらまきながら、鈴の音を幻聴に聞く。

そして、苦しまないように、一思いにと。




もし、君がここで命を落とすというのなら。
最後まで笑わなくて良いのだから。

>>6　ナツメ

『体調が悪いので欠席します』

学校の出欠確認のようなメッセージを返した。