【人】 生物学者 アマノ【帰還後 引っ越し後のある日】 は?…………な、に。 [研究所からの帰り道、今日はシーフードカレーだと材料抱えての集合住宅前。 俺はいくつかのカメラと記者とに囲まれた。 アマノ先生ですよね、あのミスティックアンテナ号からの生還者の、と。 そうですが、とその若干不躾な言い様に片眉を上げる俺に、輪を掛けて不躾なシャッター音とマイクが襲いかかる。 ごちゃごちゃ奴らが言ってきたことをまとめると、 『"あの"マエダ機関士長と同居されているのは事実ですか』、とか、 『マエダ機関士長と恋仲なのではという噂は御存知ですか』、とか、 『あの事故後の閉塞空間が心境の変化の一端だったのですか』、とか。] ────……ッチ。 [不機嫌を隠しもせずに舌打ちしたら、一瞬奴らは怯んだように見え、俺は「失礼」と言い置いてとっととセキュリティーゲート向こうの自宅建物を目指そうと一歩踏み出した。] (220) 2022/07/22(Fri) 22:56:44 |
【人】 生物学者 アマノ[なんで、今更? 帰還後は確かに相当騒がれていたらしいけど(でもその頃はクルー全員が病院に居たから騒動の実感はあまり無い)、最近はその熱も随分引いていたところだったのに。 どうやらラサルハグの新しい仕事 >>209 が公になったらしく、それでまたちらほらとゴシップ誌が騒ぎ出したらしいという背景を俺はまだ知らなかった。 そんな背に、一際耳障りな男性インタビュアーの声が届く。] 『残るべきはマエダ機関士長だったとの声も多くありますが、アマノ先生もセリーニ医師の犠牲が妥当だと?』 [ざわ、と身体中の毛穴から"怒り"が零れた気がした。] (221) 2022/07/22(Fri) 22:58:11 |
【人】 生物学者 アマノ────ッてめえら、何も、知らないくせに、良く言う……ッ! [つかつかと奴らに歩み寄り、睨め付ける。 知らないくせに。 何も知らないくせに。 俺達がどれだけ悩んで、どれだけ苦しんで、できれば誰も犠牲にしたくないと、過ごしたあの日々の事、何も知らないくせに。] 艦長はマエダ機関士長じゃない。アンテナだ。 俺達はアンテナの決断に従った、それだけだ。 [言い切った後、なおも胸のムカムカがあまりにも消えずに、俺はつい、言い放ってしまったのだった。] (222) 2022/07/22(Fri) 22:58:43 |
【人】 生物学者 アマノラサルハグと恋仲で何が悪い。 今更同性同士で騒ぐ世でもねーだろうが。 俺は学生時代から奴の事が好きだった。 あの事故はきっかけの1つだったかもしれないが、理由じゃない。 クソ下らない事を嗅ぎ回ってんなよ、この下衆が。 (223) 2022/07/22(Fri) 22:59:14 |
【人】 生物学者 アマノ[ああムカつく。まじムカつく。クソが。 俺はなおも何か言ってこようとしてくる奴らを振り払うように帰宅して、予定だったカレーライスを作った。 気が荒れてると良くないな。この日のカレーはいまいちな出来映えだった。 ────で。] あー………………。 [知らなかった。気付いてなかった。 カメラしか来てないと思っていたのに、どうやらあの場ではビデオカメラも動いていて。 朝のワイドショー的下世話な番組で、俺の啖呵が盛大に電波に乗っているのを目にしてしまったのだった。 マスコミって奴は、度し難い。つくづく度し難い。 俺はテレビ局雑誌社その他諸々に撒き散らしてやろうかと、超弩級クラスに危険な生物兵器の存在を脳裏に過らせたのだった。**] (224) 2022/07/22(Fri) 23:00:08 |
【人】 生物学者 アマノ【帰還後 引っ越し後のある日・2】 [あの日 >>220 、日付が変わる少し前に帰ってきたラサルハグは何も言わなかったから、建物前のマスコミは既に撤収していたんだろう。 別に報告するものでなし、と俺も何も言わず──ただ思ったより美味しくはならなかったシーフードカレーについては謝った──、いつも通りの夜を過ごし、そして翌日。 大学へ向かうラサルハグを見送るところまでは平穏な、これもいつも通りの朝だった。 そしてそのほんの少し後に、あっという間に拡散した俺の罵声つきカミングアウト。 それはもう、いかにもわかりやすくセンセーショナルなものだったろう。 まあ、そうだろうよある程度までは覚悟してたよ。 まさか動画で流されるとまでは想像していなかったけどな。 動画拡散と同時にネットで有象無象が一斉に囃し立て始め、曰く、 『続報:遭難船熱愛COアマノはS星系アマノ大臣の息子』 『アマノ大臣まだ生きてたワロス。環境分野の重鎮的なアレだしょ?』 『アマノ大臣同性愛者否定動画発見、先の展開胸熱案件』 etc、etc。] (268) 2022/07/23(Sat) 6:14:22 |
【人】 生物学者 アマノ[自らそんなものを検索して目にしたわけじゃないが、研究所へ赴けば刺さる視線をちらちらと感じた。 研究所の奴らは、同僚もしくは上司部下であって、"仲間"じゃない。 「コーヒーありがとう」なんて知らぬ振りで笑いかけてくれる奴は居ない。 「何か飲むー?」と純度100%の笑顔つきの呑気な声も無い。 「ベラベラ喋りすぎ」と困ったように窘めるあいつの腕もない。 俺は小さく溜息吐きつつ、変わらぬ業務を続けていて────、 ────『すまん、今日は帰れない。』 ラサルハグからの着信に「そうか」と小さく呟いた。」 "すまん。あれの所為だよな。" "動画撮られてたとは思ってなかった。" "本当にごめん。" [ほんの10秒足らずの会話の後、その文字列だけ追って送信し、俺は深く溜息を吐いた。] (269) 2022/07/23(Sat) 6:16:00 |
【人】 生物学者 アマノ[結局この日は俺も自宅へ帰る気になれなくて(だってどうせ自宅前に増えてるんだろう?マスコミが)、研究所内の休憩室ソファに寝転がる深夜。 ────良かった、"あっち"は表に出ていない。 見たくもないが件のあれこれに纏わる表題を手元のタブレットで流していく。 頭に血が上ったのはチャンドラ云々言われたのが一番大きかったけれど、もう1つあった。 『謹慎措置中の管制官の保証人がパイロットの男性とのことですが』 『仲睦まじくデートしていたとの目撃情報についてアマノさんも御存知では?』 『極限状態ではやはり性の乱れが当たり前なんでしょうか』 デート云々なんて、どうせ一緒に買い物していた >>21 とかそんなものだろうし、それを言うならスピカは俺の家に来たりラサルハグと会ったり様々しているだろうに、切り取りたいところだけを切り取って囃し立てるのが奴らのやり口。 かつて研究絡みで追いかけられた事もある俺は、うんざりするほどよく知っていた。] (270) 2022/07/23(Sat) 6:19:07 |
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