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【人】 桧垣 やよい[ 喧騒に消えないように少しだけ顔を近づけて、 人生で一番の感謝を伝えた。 ] ……本当に、感謝してる。ありがとう わたし、 やよいちゃん≠迎えに行ってくる。 だから、続きはやよいちゃんと過ごして? [ やよいちゃんも何より今日を楽しみにしていたから。 困ったように笑う彼から一歩、距離を取った。 ] (27) 2023/02/19(Sun) 0:45:34 |
【人】 桧垣 やよい[ 震えたスマホを取り出して、 映し出された名前を確認すると、動悸は激しくなる。 ] ……… 朔也くん [ 通知でメッセージの冒頭が見えてしまう。 ああ、手に取ってはいけなかった。 ] (30) 2023/02/19(Sun) 0:47:35 |
【人】 桧垣 やよい[ 中身を見ないように、ギュッとスマホを握りしめる。 それでも目頭が熱くなって、零れてくる熱に視界は滲む。 熱くて、痛くて、苦しくて、恋しくて ──── ] …………… ごめんなさい。 [ この場にはいない彼へ向けた言葉が届くことはない。 ] (32) 2023/02/19(Sun) 0:48:54 |
【人】 桧垣 やよい[ きっと何があってもわたしは、 やよいちゃん≠ェ大切だから。 だから、ごめんなさい。 何かを残してしまうことは、 お互いにツライことだから …… だから、このままお別れさせてください。 ] (33) 2023/02/19(Sun) 0:50:49 |
【人】 桧垣 やよい愛智くん、やよいちゃんをよろしくね。 [ ─── 行ってきます。 そう残してその場に倒れ込むと、 意識の奥の方へと深く深く潜っていった。 やよいちゃん、帰ってきて。 ] (35) 2023/02/19(Sun) 0:53:25 |
【人】 愛智 哲弥[ 誕生日に何が欲しいかと、 母に聞かれても、首を傾げるしかできなかった。 一緒に遊ぼうと言われても、 肯きはするけど、楽しそうに笑えなかった。 訝し気に見る両親の顔。 気味が悪いものを見るような同級生たちの顔。 小さな頃の記憶が一瞬だけ蘇る。] (36) 2023/02/19(Sun) 12:42:17 |
【人】 愛智 哲弥[ 人の気持ちが分からなくて、 自分の気持ちも分からなかった。 そんな人間だと、君に知られたくなかったから この話は、したことはなかったよ。 "君"に出逢って、 初めて人を好きになる気持ちを知った。 悲しいも、寂しいも、 羨ましい、妬ましい。 そんな感情すら、 "君"を想うことで初めて知った。 それは、"君たち"のおかげなんだ。] (37) 2023/02/19(Sun) 12:42:18 |
【人】 愛智 哲弥[ こんな俺で、本当に良いのか。 不安がないわけではない。 ―― それに。 なんで、好きな子を殺さなければいけないのか こんなことをするために、 俺は"君"を好きになったんじゃないのに。 ―― だけど。 俺は、選ぶことを決めた。 選ばなければ、"君たち"がいなくなってしまうなら、 俺にしか、君を殺せないのなら。] (41) 2023/02/19(Sun) 12:42:26 |
【人】 愛智 哲弥[ 近づく距離に、こんな時でさえ、 ほんの少し鼓動は早くなる。 君の感謝の言葉に、胸の奥がずきり、と痛む。 声が震えてしまったけれど、ちゃんと笑えた。 こんな時ばかりは、見様見真似してきたこと 良かったのかもしれないと思う。] …… え、待って [ 迎えに行くと、離れる君に、 思わず手を伸ばしたけれど、 それを止める術なんて、 俺にはないから――― スマホを握って、呟いた名前に 頬を伝った涙に、言葉を紡げず。] (42) 2023/02/19(Sun) 12:42:28 |
【人】 愛智 哲弥うん、…… まかせて [ ――― いってらっしゃい。 予想はしていたから、 瞳を閉じて、倒れていく君に腕を伸ばす。 抱きとめて、もう一度ベンチに座らせれば、 身体を支えるように隣に座り、 鞄からハンカチを取り出して、 濡れている頬をそっと拭う。] (43) 2023/02/19(Sun) 12:42:31 |
【人】 愛智 哲弥…… ごめんね [ 君のことなのに、 彼女と俺で決めてしまった。 ぽつり、と涙の代わりに呟いて、 憎々しいほど、良く晴れた空を見上げた。] (44) 2023/02/19(Sun) 12:42:32 |
【人】 愛智 哲弥[ ちらりと、君と反対側のベンチの上を見る。 船の中で、半分残ったたこ焼きは、 もうすっかり冷めてしまって。 一つ、ひょいと持ち上げて、口に放り込んだ。] (45) 2023/02/19(Sun) 12:42:35 |
【人】 桧垣 やよい[ 帰ってきて、と呼ばれた気がした。 急激に意識が持ち上がる感覚がある。 頬に何かあたたかなものが触れ、 私は、ぱちぱち、と目を開ける 凄くにぎやかな場所にいる。 それが最初に感じたことで、 状況を整理するために、 私は周りを見渡そうとした この感覚はもう慣れたもの。 ………そう、ここまではいつも通り、 ] (47) 2023/02/19(Sun) 14:45:07 |
【人】 桧垣 やよいあ [ とても近くに、愛智くんがいた。 驚いて、ベンチ、一歩後ずさろうとして 後ろにたこ焼きが置いてあるのに気づく、 これじゃあ、後ずされない。 ] (48) 2023/02/19(Sun) 14:45:44 |
【人】 桧垣 やよいご、ごめんね、 なんか、もしかして眠っちゃってた? おま、お祭りだよね。疲れちゃったかな… [ そうやって、きっと誤魔化した これは、どこからどう見ても、いつも通りの私。 ] (50) 2023/02/19(Sun) 14:46:39 |
【人】 桧垣 やよいわたしが、いないの、 [ ほんの少し泣きそうな顔になっていただろう 私は、二人のやりとりを知らないから、 伝わらないよね、ごめんね、なんて謝った ] もう、いないの、 [ ごめんね、愛智くんは何も知らないよね いないって言われても、困るよね。 ] (52) 2023/02/19(Sun) 14:48:13 |
【人】 桧垣 やよいだけどね、 ちゃんと、 居る の。[ 私は、涙を流して、そう言った。 涙を流した私の顔が、ほんの少し笑顔なのはどうして? だって、確かに 頬に伝わる涙のあたたかさを、 私は憶えてる≠だもの わたしは、ちゃんと、ここにいるんだって。 その意味を、知らないだけで ]** (53) 2023/02/19(Sun) 14:51:03 |
【人】 愛智 哲弥[ 冷めたたこ焼きをごくり、と飲み込んで、 唇についたソースを拭っていれば、 隣で人が動く気配がした。 すい、と視線を向けると、 驚いて、慌てた様子に、 ―― あぁ、君の方だと、わかる ] (54) 2023/02/19(Sun) 17:03:42 |
【人】 愛智 哲弥おはよう桧垣さん 大丈夫だよ [ 教室で交わす挨拶のように、 目覚めた君に、優し気な笑みを向けて、 謝る言葉に、首を横に振った。] (55) 2023/02/19(Sun) 17:03:44 |
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