人狼物語 三日月国


7 【R18】鈴蘭の村:外伝6〜カフェリコリス〜【RP半再演ペア】

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視点:人


古城の吸血鬼 ニクスが参加しました。

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 人の精気を糧とする化け物。

  ――吸血鬼。
   人々はそのように男を呼んだ ]
 
  
(54) 2019/04/08(Mon) 1:48:06

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ ――――夜は永く、昏い ]


  ねぇ、お嬢さん。
  夜の中でしか輝けない月を知っている?


[ 退屈凌ぎの問いかけに子供は首を傾げる。

 今夜の貢物もどうやら外れ。
 贄にするか玩具にするか奴隷にするのか。

 それはこの男一人に委ねられていた ]
(55) 2019/04/08(Mon) 1:50:05

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 一定の周期ごとに捧げられる贄。
 贈られたのは数多の少年少女達。

 吸血鬼から望んだ訳でもなかった。
 だが、結果として利用していた。
 単純に面倒であったし、
 自ら出向く必要性が減るからだった。

 いつの時代も人々の思考は
 誠に愚かで退屈で仕方ないと男は思う。

 送られてくる子供達は様々だった。
 怯えるもの泣き叫ぶもの憤慨するもの
 交渉するもの嫌うもの好くものもいた。
 男は時間潰しになるならばと様々な方法で
 可愛い仔羊と戯れていたが飽きが訪れる。

 その度に送り返したり、捨てたり、
 或いは乾涸びるまで啜ったりと
 享楽に耽り今までに生きてきた ]
(56) 2019/04/08(Mon) 1:50:37

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ だが、何をしても男の渇きは癒えず。
 何度目かの溜息を吐きながら
 玉座で脚を組み頬杖をつく。

 手袋越しの指はトントントンと神経質に
 子供のような表情で頬を膨らました。

 それも一瞬の事で関心の失せた瞳は
 血の気の失せた少女へと向けられる ]

  今度の子供は愉しい子がいいな。
  君もそう思うだろう?

  さて、父さんと母さんの所へ帰ろうか。

[ 朗々と陽気に流暢に男は告げた。
 その言葉に対して少女は頭を振る。
 化け物から解放されるというのに
 どうにも貢物は捨てられる事を拒む。

 だが、その理由も吸血鬼に興味はない。
 人々の諍いなどにかける温情もなかった。

 古城から放り出された子供の行末を
 男は知る由もなく不味い酒で喉を潤す。

 すぐまた訪れる渇きに伏せた眼差しは
 夜の空のように静かに凪いでいた ]**
(58) 2019/04/08(Mon) 1:51:20
古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。
(a6) 2019/04/08(Mon) 2:02:03

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 夜の森を独りで歩いてはいけないよ。

 小さな子なら誰でも耳にした事のあるお伽話。
 冷たくて恐い化け物に血を吸われてしまって
 枯れた薔薇の花弁のように散っていずれ灰になるから ]

(167) 2019/04/08(Mon) 21:58:35

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 幼子を放った夜は静けさに包まれていた。
 今頃あの子はどうなっただろうか。

 赤い頭巾も被らず、剥き出しの足に硝子の靴は遠く
 針に刺されなかった細い指で描く道は
 月夜に輝く白い小石のように道を示したりしない。

 そのままでは道草をしなくても狼の餌食になるか。
 随分と哀れな末路だと思い描くも同情はなく。
 訪れた暇な時間を過ごすこと如何程に。

 ふと、眷属の蝙蝠が耳元で囁いてくる。
 退屈に組んでいた脚を解けばゆらり蜉蝣が揺らめき ]
(168) 2019/04/08(Mon) 21:58:51

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  そう。 ……また送られてきたんだ。

[ ――次の子が

 伏せた睫毛はアッシュグレーと同じ色。
 陰を落とす表情は月に照らされることなく、
 踵の音を響かせながら古城の主人は階段を降りる。
 今宵訪れた哀れな仔羊を出迎える為に ]
(169) 2019/04/08(Mon) 21:59:09

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 掠める花の香り>>134は何処からか。
 這い寄る影は月夜にすら透けることはなかった。

 開かれない扉>>138は無言を貫く。
 空気を震わす金糸雀の囀り>>140をせせら笑うように。

 動きづらそうなシルクは誰の趣味か>>136
 夜に煌めく白金は月夜で眩く剱のように輝いた。
 唇に施された紅>>132だけが嫌に生々しい。
 人々の煮え滾る慾で搦め取られているようだった。

 男は眷属の眸を介し、視る。
 着飾った子供を無駄に浪費させる愚かな村
 繰り返される風習に鼻を鳴らして

 ふと夜の風が彼の頬を撫でるだろう。
 纏わりつくように微かに薫るのは薔薇の気配。
 瑞々しく熟れているが枯れる事を逃れられない芳醇の香り。
 視界を遮る程の冷え切った風が吹いた ]
(170) 2019/04/08(Mon) 21:59:29

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  今晩は、月のお嬢さん。
  こんなに昏い夜に出歩いていては
  恐ろしい化け物に食べられてしまうよ?

[ 静けさと共に現れるは幼子より一回りは上に見えるだろう男。
 迎えに来させた贄は初めてだと眸を瞬かせるも
 直ぐに月の如きプラチナブロンドに目が奪われる。


 ――――綺麗な子供、だと思った。


 少年か少女かは中性的な風貌故
 パッと見ただけでは判別がつかないまま
 かつんと、踵が鳴らす音が宵闇に響く。

 人ならざる者が持つ鋭き歯牙を覗かせ、微笑んだ ]
(171) 2019/04/08(Mon) 22:00:03

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  
俺のような、ね?



[ 一歩、踏み出す足は大きい。
 距離を詰めるように影は揺らめいた。
 狙うは彼の細く尖った頤。

 眸を見下ろすように長駆は嘲笑った ]

  ねぇ、君は……何者?

[ 贄なのか、客人なのか、奴隷なのか、玩具なのか、
 はたまた、何者になってくれるというのか。

 鋭い血色の眸玉は幼き瞳を見下ろして離さぬまま
 笑みを象ったまま、問いを一つ投げた ]*
(172) 2019/04/08(Mon) 22:01:00
古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。
(a19) 2019/04/08(Mon) 22:02:01

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 此方を見上げる宝石は二つ>>202
 男にしては珍しく片方ずつ異なる色彩に瞬きを数度。
 濡れた下睫毛を目敏く見つけ出せば双眸を細める。

 彼の問い>>203を満足そうに弧を描いた唇で迎えた ]


  その問いに自分の名を答えたのは、君がはじめて。


[ ほんの少し幼さすら滲ませる声色は微かに甘い ]


  その名前、よく似合っているよ。


[ 子供が名の意味を知っているかは定かではない。
 だが今はそれ以上告げることはなかった ]
(214) 2019/04/08(Mon) 23:22:14

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 何度も聞いた台詞>>204に片眉を上げる。
 村の子供は皆斯様な教育を施されているのだろうか。

 皆、切々とした表情を見せては縋り付く。
 この子供も同じように見えた。

 だが、一点だけ異なる点があった ]

  君、隠さないんだね。

[ ある種愚かとも思える言動だった>>205
 少年少女とまちまちであったが
 男の元に送られるのは大抵が少女だった。

 性別に対して拘りはない。
 ただ、極上の精気を喰らいたいだけ。
 だが、村の人々はそうではないだろう。

 教えを耳にしていたならば少女として
 過ごすことも出来ただろうが
 素直に打ち明けられた男は思案に数秒。

 彼の切実たる言葉>>206に口端を上げた ]
(215) 2019/04/08(Mon) 23:22:34

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



  セレン――君は生きる為に何処まで出来る?


[ 顎に触れていた手をそのまま頬へと伸ばす。

 涙の理由を問わないままその痕跡に触れた ]


  何でもすると、謂ったね?


[ 彼の言葉の一つ一つをなぞっていく。
 自らが選んだ台詞に重しを乗せる為に。

 血濡れのルビーを覗かせながら男は笑う。
 誰をも甘く蕩かせた眼差しで微笑んだ ]
(216) 2019/04/08(Mon) 23:23:34

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  俺を退屈させないでくれたら、
  ……君の欲しいものを与えてあげる。

[ 右と左でそれぞれの色を放つ眸を覗き込む ]

  君は俺の願いを叶えてくれる?
  誓えるなら、この手に口付けて。

[ 謂わば契約のように重たい約束の為。

 彼の涙の跡を追いかけた指で唇をなぞる。
 人差し指を不躾に差し出せばいっとう愉しげに微笑んで
 子供の見せる反応を期待するように赤はまた鈍く光った ]*
(218) 2019/04/08(Mon) 23:26:52

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 白磁の肌が紅潮する>>228
 随分と初心だと目を瞬かせるもの納得した。
 子供なのだからそんなものかもしれないと。

 男を見る子供の双眸は怯えも混じる。
 誘うような唇の彩りだけがちぐはくで
 その癖して濡れた瞳だけが印象的だった ]

  ……どうして?
  君が嘘を吐いていたって俺が困る事はない。
  なら、君の方に何か理由があるんだろうね。

[ まるで裏切られる事が嫌だと暗に告げられているよう>>229

 子供がその姿勢を貫いたとしても
 人とは異なる感覚を持つ男だ。
 不思議なものを見るような眼差しを向け

 絲を結ぶように絡まる視線に口端を上げた ]
(243) 2019/04/09(Tue) 1:17:29

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  人の子は夜の世界にいたって
  何処を触れても熱いね。

[ 壊れ物を扱うような指の力で触れる>>231
 柔らかくて滑らかな温もりを。
 ほんの一瞬だけ熱が灯った錯覚に目を伏せて

 望むこと>>232
 何処でも、望むこと>>236

 指先に口づけるだけではなく
 赤い舌を覗かせた子供>>235に首を振った ]
(244) 2019/04/09(Tue) 1:18:11

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  ――……セレン。

[ 唇に伸びた指を彼の頬にあてがう。
 まだ華奢な少年を見下ろせば此方を向かせた ]

  俺の望みは退屈させないで。ただ、それだけ。

[ 顔を傾ける。
 白銀は月の光を浴びて輝きを増した。

 そこに大きな影が翳される。
 静謐な真夜中、薔薇の薫風が舞う先で ]
(245) 2019/04/09(Tue) 1:18:37

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  望む事は、君自身でいてくれること。
  
[ 自己を殺し生きていた者からすれば
 難しい事を上げているのかもしれない。

 だがそれすらも此方の企みではあった ]

  俺の言う事を聞く賢い狗が欲しい訳じゃない。
  だから考えて?
  君が何をすれば俺の退屈が癒せるかを。

  きちんと合っていたらご褒美をあげる。
  
[ 何処までも望むもの。
 悠久を生きる吸血鬼としては、
 殆ど意味を成さないものになっていた ]
(246) 2019/04/09(Tue) 1:19:42

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ ふと見下ろす姿は肌寒そうだ。
 古城へと視線を移しながら一足先に中へ向かおうとする ]


  置いていかれたくないのならおいで、セレン。


[ 一瞥と微笑を彼へと向けながらも歩調は緩めず。

 扉を開けた先にはエントランスホールと
 上階に続く階段が見えている。

 上階には空き部屋へと変わった部屋があった。
 必要な洋服はクロゼットにまだ残っている。

 そちらを彼へとあてがえばいいだろうと考えつつ
 これからの事を考えては一度軽く瞼を閉じた ]**
 
(247) 2019/04/09(Tue) 1:20:16
古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。
(a30) 2019/04/09(Tue) 1:21:36

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 腑抜けになってしまうだろうか。
 いつも通り悪しき魔眼で見つめてみた。
 症状はそれらしいものを浮かべている>>283 ]

 俺が欲しいとは一度も願っていないけど、
 ……そう、教えてくれるのなら待っていよう。

[ 落ちない思考>>284に一つ評価を落とす。
 程度が緩かったか、それとも体質か。

 まだ判別がつかない段階ではあるが
 虚飾に塗りたくられたものに興味はない。

 あくまで時間を潰す為に選び取ったものは、
 子供自体が示した道を最後まで眺めることだ ]
(362) 2019/04/09(Tue) 22:41:56

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 彼がどのように育ち今までを過ごしたのか。
 全ては語られない以上想像に過ぎないが
 丁重に扱われている容貌に対して
 子供達の姿や末路に違和感は得られる。

 魅了がかかっていたとして
 家に戻れる子供が何故頑なに拒むのか。
 正に生贄を着飾るのと同じで
 彼らに帰り道は用意されていないのか。

 無欲で自身の意志すらも曖昧な様子>>286>>287
 しっかりこの目にも見定め捉えていた ]
(363) 2019/04/09(Tue) 22:43:27

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 門を抜けた先に待ち構えるのは大きな噴水。
 その奥に短い階段があり大きな玄関が待ち構える。

 扉を開けてエントランスホールの中へ。
 一先ずこれから使わせる部屋に案内しよう。

 今後の指針を決めた男が歩み出そうとした時、
 引き止める存在が一つあり立ち止まった>>288 ]

  セレン、……何か?

[ 男に対して好意を持つ者も中にはいたが
 星すらも雲隠れする夜に自ら手を差し出す子供はなく、

 首を傾げて不思議そうに彼を見下ろしていたが、
 問われた内容に数度瞬きながらも目許を緩ませた ]
(364) 2019/04/09(Tue) 22:43:59

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  名前? 人は皆俺を吸血鬼と呼ぶけれど……、

[ 人に呼ばれていた名前などそれ以上にないのだ。
 だから好きに呼べばいいと考えたが、
 ふと思いついたように口端を上げた ]

  でも、そうだな。
  君がセレンというなら俺はニクスとしよう。

[ 彼がどこまで言葉の意味を知っているのか。
 それも推し量る為に月に自らを「夜」だと名乗り出た ]
(365) 2019/04/09(Tue) 22:44:18

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  それで。
  俺の名を知った君はどうしてくれる?

[ 立ち止まっていてはと思うもの、
 繋がった手を手持ち無沙汰とばかりに
 ゆらりゆらりと揺らして、止めた。

 枯れた花が僅かな一滴に喜ぶよう
 その視線はほんの僅かな予感に揺らめく ]*
(366) 2019/04/09(Tue) 22:44:33

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 手袋越しとはいえ人の体温は伝わる>>374
 彼にとっては冷え切った指だっただろう。

 故人を見送ったことがもしあるのならば
 血の通わない死人と同じものにも思えるだろう。

 人の形だけ成している手は好きにさせる。
 男を親代わりとして見るものはいなかった。
 庇護していた訳でもないし
 そのような愛情を注いだ訳でもない。
 
 だがしかし、繋がれた理由は分からず
 男とて首を傾げてしまう他なかった。

 その代わりに笑みを浮かべる子供>>375
 名を呼びたかった理由>>377に対しては
 不思議だとばかりに瞬きを繰り返した ]

  したいことが名前を呼びたいなんて
  君、変わってるんだね。

[ しかし彼が見せた兆しに一先ずはと
 双眸を眇めて口許は弧を描く ]
(400) 2019/04/10(Wed) 0:19:35

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  それなら呼び続けて。
  君が唯一この城で呼ぶ名前となるのだから。


  それに君が初めて自分から願った望みだろう?
  その意味が分かるまで他の名前を呼んではいけないよ。


[ 一つ約束ごとじみた命令を残して
 引くその手を特に離すことはなかった>>381
 寧ろ肯定するかのようにやんわりと力を加えてやった ]
(401) 2019/04/10(Wed) 0:20:03

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  手を繋ぐと落ち着く?

[ 歌うように若しくは揶揄うように言葉を綴る。
 階段を登り右角を曲げれば客室の並ぶ一角へ。
 その中の再奥を子供達にあてがっていた。

 腕を引きながら扉を開ける。
 華美ではないが落ち着いた気品ある家具の用意された室内は、
 少女の趣味に合わせた天蓋付きベッドになっている他には
 鏡とベッドと机、衣装入れが並ぶだけだった。

 飾られた絵画に特に意味はない。
 その前の前の子供の趣味でピアノも用意されているが
 大した手入れもされていない事だけが伺えるだろう ]
(402) 2019/04/10(Wed) 0:20:21

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  今日から君の部屋だよ。
  眠る場所がなかったら困るだろう?

[ 立ち尽くす彼>>395に促すよう室内へと一歩踏み入れる ]

  前ここに暮らしていたのは女の子だったからね
  衣装入れにはドレスばかり用意だし
  新しいものを用意しないといけないな。

  君が生活する上で欲しいものはあげる。
  人が何か口にしないと死んでしまうのも知っているから。

[ 彼がまだ困惑している様子であれば振り返ろう。
 そうして今更にその手を離した方がいいかと
 指をすり抜けようとするのだけども ]
(403) 2019/04/10(Wed) 0:20:42

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  手は、繋いだままの方がいい?

[ ふっ、と息が抜けるように笑った ]*
(404) 2019/04/10(Wed) 0:20:55

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 人と異なり別段食事を必要としない男の城は
 男と彼以外の気配を失くさせていた。

 実際は必要に応じた眷属を呼び寄せる事もあるが
 そんな事は些細なものだろうと決め括っていた。

 広々としている割に伽藍堂の城内で
 二人分の靴音は静かに響く>>406 ]

  一人を怖がる歳でもなさそうに思うけど
  君は随分と怖がりなんだね。

  でも安心するといい。
  今は、ふたり、だろう?

[ うっすらと熟れた頬の理由は何だろう。

 思い当たる節は幾つかあるものの
 震える細い指先を見つければ
 宥めるように親指で撫でてやった ]
(431) 2019/04/10(Wed) 9:44:06

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 男にとって性別など大差ない。
 だが例え線の細い少年であっても少女の服装は厳しそうだ。
 
 そんな事を考えながらも少年の様子を確認する。
 子供達の間に親密な繋がりはなかったのだろうか。
 大きなショックを受けているようには思えなかった>>412

 だが、この手は離されない。
 随分と気に入っているのだろうか。
 男は面白そうに口端を上げて、彼の願いを叶えた>>417 ]

  そうだね。
  君の為に仕立てるのもいいけど
  その間に倒れられてしまっては困る。

  一先ず、これを羽織って。

[ 肌寒さに震える子>>418に渡すのは
 同じく肩に羽織っていただけの黒の外套。
 薔薇の蜜を染み込ませたような薫りを残すそれと
 今彼が丹念に塗り込まれた花の香りが混ざり合う。

 傷一つない玉の肌を隠すような衣服を衣服を抱いたまま
 何処か落ち着きのない様子>>421に口角を上げた ]
(432) 2019/04/10(Wed) 9:44:39

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  そうだね。
  とても良い花の香りだと思うけれど
  君でなければ意味がないから。

  湯殿なら一階の右手奥側にある。
  左手側は君達が食事を摂る場所がある。
  お腹が空いているようであれば用意しよう。

  階段奥にある扉は庭園と繋がっているし
  今なら薔薇が咲いているだろう。

  気になるなら確かめてみるといい。

[ ここで日々を過ごす上で必要なことを伝えておく。
 ふと視線を合わせたまま双眼は眇めれば
 辿々しい話し方に片眉を上げた。

 耐性のある子供なのかと思っていたが、
 彼もまた夜に溺れてしまうのだろうか ]
(433) 2019/04/10(Wed) 9:44:59

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 子供が成す幼い戯れ>>422
 甲への口づけは敬愛の姿勢を示すものだが
 それにしては違和を抱いていく。

 手袋越しにも伝わる唇の柔らか、灯す熱。
 男の冷えた指を僅かに侵食する存在に
 ぴくりと僅かに瞼が震えた ]

  ――セレン。
  君はいけない子だね。
  そんなに熱い唇を押し付けて、どうしたいの?

[ 吐息だけで笑みの形を象り、
 くすくすと揺れる空気を作り出した。

 繋ぐ手を振り払うことは容易だった。
 しかしそれを是としないまま唇に押し付ける。
 滑らかな生地で仕立てられた手袋の下に
 骨張った硬い男の手の感触を伝えさせ ]
(434) 2019/04/10(Wed) 9:45:31

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  これも君の望み?

[ 問いかければ愉快だと滲む双眸を覗かせた。

 褒美だとばかりに親指だけはいたずらに動き、
 彼の赤く熟れた林檎色の頬を撫でる ]**
(435) 2019/04/10(Wed) 9:45:55

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 手を繋がれた理由>>470までを察する事は出来ず。
 男の目から若しくは眷属の眸玉から映る世界を
 言葉にして少しずつ埋めるだけ。

 随分と様々な子供を見てきた。
 だが、どれもすぐに捨てたりはしなかった。
 少なくともその子供が持つ色を見るまでは決して。

 問いかけに対して彼の返答を待つ。
 素手を覆う袋越しに子供を愛でていた>>471

 彼の答え>>472は小気味良いものではある。
 その回答に対する理由は続く言葉だろうか>>475
 しかしその中にまさか夜伽まで膨れまれているとは。

 悪趣味な爺い共に思わず喉を鳴らして嗤いそうになるが
 そこは押し留めて説き伏せるように言葉を綴った ]
(504) 2019/04/10(Wed) 22:40:51

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  君の申し出はとても嬉しいのだけど
  ……水の傍は苦手なんだ。

  聞いた事はなかったかな。

[ 彼は彼なりに色々と考えてくれたのだろう>>476
 彼らが何故そう躍起になって子供を差し出すのか。

 化物の陰に怯え手を出せない区域になっているとは知らず、
 また、此方のご機嫌取りの為に子供を捧げ、
 血を吸い過ぎなかった子供は返してやっているが、
 それもまた二度と村に戻っていないなど
 知らされなかった真実も耳にしていない。

 胸元に添えられた指に手を添えることはない。
 だが、代わりに服を掴む指に微笑んだ ]
(505) 2019/04/10(Wed) 22:41:07

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  役に立ちたいから学んだ。
  それは何の為に?

  俺の為ではなくて君自身の為だと思うけれど。

[ 空腹ではなく退屈を埋める。
 つまり恐らく血を差し出す以外に彼は
 彼自身の退屈の埋め方を模索しているのだろう。

 だがやはり、何の為に?

 涙を流していた姿も覚えている。
 また、少し怯えたような表情をしていたことも ]

  ……少し意地悪をしたかな。
  湯浴みは君一人で行くといい。
  俺は揺らめく水の中では動けなくなるから。

  そういった俺を見たいのなら構わないけど。

[ バスローブは衣装棚の中にある。
 前にいた少女は十七だといっていたし
 大きめのサイズを用意していた。
 男女関係なく使えるだろう。
 タオルとバスローブを用意すれば彼に差し出し ]
(506) 2019/04/10(Wed) 22:41:25

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  それとも一人になるのは怖い?

[ 揶揄るような口端は相変わらず上がったまま ]*
(507) 2019/04/10(Wed) 22:41:40

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  俺の指は冷たいから。
  君とは違い血の通わない死人のものだ。

  湯殿は必要とする子がいたから用意したまで。
  
  君達と同じように温まることが出来れば
  君の頬を凍えさせる事もないだろうね。

[ 湯浴みに誘った意図>>523を全て察せる訳ではない。
 まるで謝ることはないと暗に告げながらも
 彼の言葉>>524には不思議そうに首を傾げた ]
(550) 2019/04/11(Thu) 0:20:02

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  俺の為?

  ……ふふ。おかしな子。

[ 自分が生きる為の間違いではないか ]

  確かに君が生きる為には、
  俺の為だと言わねばならないのだろうね。

[ こんな僅かなひと時で彼の心を喰らったとは思わない。

 ならば彼が口にする言葉は自分が生き永らえる為、
 男の起源を取ろうとしているようにも解釈出来る。
 寧ろその方が自然にも思えてしまった ]
(551) 2019/04/11(Thu) 0:20:24

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 捩じくれた捉えであっても
 その中唯一彼の本心とも思える一端>>525
 灰と蒼の眸を覗き込むよう瞬く ]

  独りはもう嫌、か。
  うん。君みたいな子、他にもいたよ。

  …………、君が裏切りたくない事と関係してるのかな。

[ 過去彼が言葉にしたものと>>229、今>>526
 何かが繋がったように思えて口角を上げ、
 離された指を追いかけるのは数秒の事。

 おざなりに着せられた上着が不恰好で
 幼い子供が親の外套に身を包むようだった ]
(552) 2019/04/11(Thu) 0:20:39

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  俺を知る為?
  いいよ。
  君が気になる事なら答えてあげる。

[ 慣れてはいなそうな表情>>527
 それでも彼自身が望んだ意志ならば拒む理由もない ]

  君にとっても得体の知れない化物は恐ろしいだろう。
  そうでなくとも相手を知らねば惑うこともある。

  尚更生活を共にするなら毎日怯えて
  一人思考を張り巡らせるよりずっといい。

[ 名案だとばかりに自由になった両手で評価する。
 だが、と一つ意味深に加えて親指を自身の顎に乗せた ]
(553) 2019/04/11(Thu) 0:20:58

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  だけど、セレン。
  行き過ぎた好奇心は猫を殺す。

  鳥だって餌をやり過ぎれば飼い殺すようにね。
  花に水だけやり過ぎても枯れてしまうのと同じ。

  セレン。
  二階に上がって左に曲がれば扉がある。
  そこは俺の部屋だから好きに訪れたらいい。

  だがね、さらにその一番奥にある扉だけは――
(554) 2019/04/11(Thu) 0:21:48

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  
決して開けてはいけないよ?


[ 視線を逸らす事なく彼の答えを待つ。
 口許の笑みは変わらず浮かべられていた ]*
(555) 2019/04/11(Thu) 0:22:08

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 沈黙の中に何が隠されているのだろうか>>556
 たった一つの相槌>>557では
 投げかけた二つの問い>>551>>552
 どちらに付随するものなのやら ]

  セレン。
  俺は確かに化物だと呼ばれているけれど
  流石に人の心まで読む事は出来ないよ。

[ 打ち明けたくないのならば言葉を重ねることはしないが ]

  君は生きる為に俺に尽くそうとしているんだろう。
  独りになること、裏切り。
  それが君にとってどれ程堪え難いものなのか
  俺には一つも分からないけれど、ね。
(608) 2019/04/11(Thu) 19:54:45

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  裏切られて独りになる事を拒んだとして
  それが今の俺に何の関係があるのか、
  俺には何一つ分からないから……。

  君が「はい」と答えるならそれ以外に問いようがない。

[ 元から化物は人の感覚が遠く、
 また暇潰しに人を弄ぶような男だ。

 化物らしく。より、化物らしく振舞う。
 化物が化物であり続けられるように。

 人の機微にやけに聡い矛盾を晒している事に
 化物と呼ばれた男自身も知らないまま ]
(609) 2019/04/11(Thu) 19:55:03

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ たったの一瀬で懐かれる経験がないわけではないが、
 何も始まる前から諦められているならば
 それはそれ以外施しようが此方にもない。

 物言いたげな眼差し>>556を向ける癖に
 無口な少年には外れだったかと感想を抱く。

 早めに村に返してやるべきかもしれない。
 忠告>>555に対して何か男の力を注いだ訳でもなし、
 契約など何の事やらと手を出した事すら
 よく分かっていない男であったけれど、

 男の言葉は少年の何かを惹きつけたらしい>>562 ]
(610) 2019/04/11(Thu) 19:55:29

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  …………君は、存外自分勝手だね?

[ 男の事を掘り下げるより先に、
 扉を開けた時に起こる自分への損害に関心を持つ>>563

 男の為と重ねる割に男に対する問いは少なかった。
 興味など無いのだろうと思ってはいたが、
 別の要因が絡んでいるように思えたのだ ]
(611) 2019/04/11(Thu) 19:55:50

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 片方ずつ異なる色を持つ眸>>564
 男は少年の欲求に初めて#笑む ]

  君は生きる為なら何でも出来ると言ったね。

[ あのひとときの言葉>>236を上げながら
 赤く熟れた薔薇の双眸が滲んだ ]

  今までにその扉を開けた子は、いなかったよ。

[ それは答えになっているようでならない形 ]

  鍵は俺の部屋にある柱時計の中にある。
  短針を抜いてしまえばそれが鍵となる。

[ 開けるなと告げる癖に場所すらもあっさりと明かした。
 男は楽しそうにそのまま続ける ]
(612) 2019/04/11(Thu) 19:56:18

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  俺は、夜にしか目覚められない。
  朝と夜は室内左にある寝室で眠っている。

[ 男は長駆を折畳まぬまま口角を上げて ]

  俺は子供を喰らった事はない。
  俺が欲しいのは人の精気だけ。

  ……君にでも分かるように答えるならば、
  血を吸わねばならないから吸う。
  吸わねば飢えと渇きで狂ってしまう。
  死ではなく、ただ血を求めるだけの自我のない化物にね。

[ 湯浴みに誘った子供にも分かるように
 その性質を答えては教え込んでいった ]
(613) 2019/04/11(Thu) 19:57:17

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  俺が捨てた子供の数は29人。
  いずれも生かしたまま放った。

[ 子供が自分の番だと番号を聞かされているならば、
 彼は31人目に該当するだろう。
 その言葉が言外に告げる事は答えない。
 たった一人だけはどうなったのかなど、
 今は問われない限り答えぬとばかり微笑 ]

  セレン。
  俺は陽の光に弱い。
  直接浴びればたちまち灰と化すだろう。

  銀製の弾丸では血を得たとしても痕が残る。
  流水を渡る事も出来ないし、
  それから杭で心臓を打たれてみろ。
  きっと簡単に死んでしまうだろうね。

  ……実際はどうかは知らないが、
  君たち人間はそう答えていたよ。

[ 試された事はないけれど。
 付け足す言葉はそれ以上なく。

 彼が湯殿に向かうというならば追わぬ姿勢のまま ]
(614) 2019/04/11(Thu) 19:57:47

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  さて、湯の中で考えてみるといい。
  また知りたい事があればおいで。

  彼に願えばすぐ向かおう。

[ 代わりに呼び寄せたのは一匹の狼。
 男によく似た色の毛並みを有していた ]

  君の言うことならば何でも聞き入れるよう、
  言い聞かせてある。

[ 行ってらっしゃい。
 そうして見送る男は相変わらず笑みを開かれたまま。
 狼は一定の距離を保ったまま
 少年についていこうとするだろう ]*
(615) 2019/04/11(Thu) 19:58:25

【人】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―傍白―

[ 白百合の君が微笑う。

 あなたの手、とっても冷たいのね!

 贄として送られてきた筈の彼女は、
 私が最も毛嫌いする太陽のようだった。

 あなたの眸って、まるで  のよう。
  ねぇ、今度からあなたのこと、
   って呼んでもいい?

  私に拒否権は無いのだろう。
 ええ、そうよ、よく分かってるのね

 鈴を転がすような声が響く。
 ピアノの旋律みたいに紡がれる音。
 耳を塞ごうと聞こえてくる声。

 人々が恐れてやまない存在に対して
 彼女は一度も怯えることなく微笑んだ ]

(618) 2019/04/11(Thu) 20:18:57

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 心などない。
 心などない。

 化物にあるのはお飾りの心臓だけ。

 覆われることのない指に熱が灯る。
 触れられているのだと初めて知った。

 不快だと手を払えばよかったのだ ]


(619) 2019/04/11(Thu) 20:19:32

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 忘却。

 人は哀れで愚かで素晴らしい。
 忘れることの出来る生き物だ。

 何時迄も忘れられない化物は、
 愚かなのだろうか。
 素晴らしいのだろうか。

 本に尋ねようと答えなど来ない。
 無限にも続く沈黙、沈黙、沈黙。

 忘れたい事を、何時迄も忘れない化物を、
 どうか、どうか、■■してくれ、と。
 黒く、黒く、塗り潰していく ]


(620) 2019/04/11(Thu) 20:20:08

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 誰かの言葉が、呪いが、化物を生かす。

 嘘を、呪いを、吐き出すだけの存在が、
 生きている。生き延びている。どうしようもなく。
 その理由を問い続けようと答えなどなく、
 ただ、生かされている、生きている。

 あなたを、たまに、思い出す。

 死が救いだと謂うならば、この生は。

 一体、なんだというのだろう ]

(621) 2019/04/11(Thu) 20:21:25

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 最低な■■をどうか■■しておくれ ]*


(622) 2019/04/11(Thu) 20:22:26
古城の吸血鬼 ニクスは、メモを貼った。
(a68) 2019/04/11(Thu) 20:27:39

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 生き汚い人間の方がいい。
  彼らはきっと■■を■■してくれるから ]
 
(674) 2019/04/11(Thu) 22:35:25

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ まだまだ小さな子供>>628
 男にとっては瞬きの生しか持たない存在。
 だが、しゃんと伸びた背筋は好ましかった。
 
 彼が男に尽くす理由>>629>>630
 男は目をほんの僅か瞬かせたまま笑う ]

  そうだね。
  君を生かす事は出来るだろう。

[ そこに含まなかったものは打ち明けず
 緊張した面持ちの彼に目を細める>>631 ]

  君の価値は、君だけが決めるものじゃない。
  君がこれから行う物によっては、……ね?

  でもその心意気は買おう。
  君の手で探ってみるといい。
  俺に直接問わずとも答えが見つかるかもね。

[ 彼の想い>>632を拒絶することはない。
 寧ろ歓迎するとでも言いたげに言い切った。
 彼が制御する苦労>>633も知らぬまま ]
(675) 2019/04/11(Thu) 22:35:49

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 子供たちが化物に対してどれほどの知識を得ていたか>>642

 男にとってさしたる興味も無く、知らぬことだった。
 ただ、その後の行方>>656に対しては眉を僅かに寄せた ]

  野犬の餌になったか。
  他の人ならざる者の贄となったか。
  それとも口封じの為に殺されたか。

  俺や俺の眷属の手ではない。
  君が信じてくれるなら……ね?

[ 子供らしさの覗く口調には良いと許し、
 それとは別の思考で村の人間の思惑に不快さが滲む。

 目の前の子供には見せぬよう努めるも、
 彼が選んだ一つの問い>>657に答えよう ]
(676) 2019/04/11(Thu) 22:36:15

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  どうしたいのだと思う?
  その答えを真に知る事が出来れば、
  ……君の願いを叶えてあげよう。

  ここで生かす事だって、ね。

[ 質問を質問で返す狡猾さ。
 彼に掲示したカードは何枚にも及ぶが
 まだ手の内は明かさぬと手を振った。

 狼は少年の言葉が通じるとばかりに
 小さく吠えては彼に血の通った温もりを与える。
 彼を守るように、または監視するように
 少年が拒まぬ限りはきっと離れず傍に。

 その様子を見守りながら姿が消えれば、
 男は室内の片隅にあるピアノへと向かった ]
(677) 2019/04/11(Thu) 22:36:30

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



  ねぇ、   

  今度の子供は私を、■■してくれると思うかい?

[ 問いかけに答える声はない。
 絵画に飾られた太陽の如きブロンドと
 空色の瞳を輝かせる少女は梔子のまま

 今日も祈りを捧げるとばかりに鍵盤を叩く。

 またそんな寂しい曲ばかり弾くのね

 ベッドの上に腰掛け行儀悪く両脚を
 揺すっていた少女を思い出す ]
(678) 2019/04/11(Thu) 22:36:51

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  だって、あなたが好きな曲だから。*
  
(679) 2019/04/11(Thu) 22:37:15

【人】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―男の部屋―

[ 彼の衣装棚の中には彼のサイズに合った洋服が
 何着も用意されていることだろう。
 普段着から寝着まで揃えられている。

 また、葡萄や林檎の果実も籠の中に備わっていた。

 男は部屋の支度を終えると自室に戻り
 柱時計を開け、短針を引き抜いた。
 そうして迷うことなく男の自室右側にある
 扉の鍵口へと短針を差し入れ、回す。
 カチリと乾いた音が響くと同時にノブを回せば、
 むせ返る薔薇の香りが溢れ返った。

 少しでも漏れないようにと扉を閉める。
 踵の響く音を立てながら跪くのは、
 天蓋付きのベットの傍。

 陽の光が差し込まない室内は薄暗く、
 しかし男はそっと大切なものを扱うかのように
 革手袋越しにその手を取った ]
(680) 2019/04/11(Thu) 22:37:42

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



  ――――君と同じ■■の子供が、来たよ。


[ ふわりと笑うまま、瞼を伏せる ]


  今度こそ、私は……  きっと。


[ 腐り落ちた眼孔に青い硝子
 破れかけた腕に絹の肌
 侵された内臓に綿のガーゼ
 宝石で飾った純白いドレス

 朽ちてくたびに取り繕った彼女に傅いたまま
 弧を描いた唇は落とされた ]*
(683) 2019/04/11(Thu) 22:38:30

【人】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―傍白―

[ お腹が空いたわ

 憤慨する男は首を傾げた。
 その様子に少女はまた地団駄を踏んだ。
 
 人の子は食べないと死んじゃうの

 そうなのか。
 初めて知ったとの様子に少女は頷く。
 
 だから早く用意してちょうだい

 これではどちらが主人なのやら。
 男は言われるままに用意した ]
(697) 2019/04/11(Thu) 23:28:58

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ しかし初めてでうまくいくはずもなく、
 結局二人で分かち合ったのは林檎一つ。

 これはこれで美味しからいいわ

 お気に召した彼女に男は笑う。

 でもあなたは普段血を吸うのよね

 男は曖昧に表情を崩した。

 いいの。最近吸っていないじゃない

 男はたった一度だけ頷く。

 薔薇の精気だけで生きていける?本当に?

  男は口角を上げたまま微笑んだ ]
(698) 2019/04/11(Thu) 23:29:54

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 真実の愛を知った吸血鬼は、
 人の血を吸うことはなく、
 薔薇の精気だけで生きる事が出来る ]

(699) 2019/04/11(Thu) 23:30:28

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ そんな莫迦げた伝承を信じた愚か者はだれ

 喉の渇きと飢え。
 それらから目を背けた代償。
 だが、あの日々は男にとって―― ]

(700) 2019/04/11(Thu) 23:30:57

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ あの赤い薔薇も燃やしてしまおう。

 手にかけようとした時、遡る記憶。

 私、この花が好きだわ

 たった一言で伸びた手を下ろした。

 人の言葉は、よくも悪くも他人に影響を及ぼす。
 それはまるで呪いのように染み渡る。
 名前ひとつですら簡単に縛ってしまう。

 毎日呼び合っている度にきっと、まともではなくなっていた  ]

(701) 2019/04/11(Thu) 23:31:21

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ あなたの優しさが、あなたの寛容さが、
 あなたの偉大さが、罪であり、罰なのだ。

ねぇ、
 神様が、世界が、時間が、
 私達の大切なものを奪っていくのだとするなら
 私はきっと奪われる前に殺すわ。
 だから安心しないで。怖がらないで。
 私はきっとあなたの事が好きだから。

 だから、ね――……?

 男を殺したのは彼女達で
 あなたを殺したのは他でもない私達で
 私は今日も誰かを殺す。
 あなたは今日も誰かを殺す。

 あなたが望んでいてもいなくとも、
 私が望んでも、望まなくとも、だ。

 言葉というのは、まるで呪いだ ]*
(703) 2019/04/11(Thu) 23:32:03

【人】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―現在:男の部屋―

[ 結局庭園の花は今も咲き誇っている>>684
 観るだけに留めているから棘の処理は甘く
 白い指に血を浮かせているとは知らぬまま>>685
 血を吸っても尚赤い薔薇は熟れており、

 その度に苦々しい記憶を思い出す。

 男はベッドに飾られた赤薔薇を見つめる。
 そろそろ新しい物を用意する必要がありそうだ。
 ついた膝を床から離せば立ち上がった。

 隠し部屋を抜ける際、もう一度振り返る。
 一瞥に留めて、自室へと戻った。

 寝台に眠るのは白いドレスを見に纏った白骨死体だけ ]*
(706) 2019/04/11(Thu) 23:32:50

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 獣は触れられる度尻尾をぱたりと振る>>684

 彼に呼応するよう反応を示していた。
 首筋を撫でる人>>686に呼び寄せらるまま>>687
 彼の独白めいた一言>>693に耳を欹てる。

 眷属の耳には主のピアノの音色は届いていた。
 だがそれに対して何かを伝える事はなく、
 ただ、一度だけ彼>>704を慰めるように
 その頬を舐めようと舌を伸ばした。

 覗き込まれる眸>>707と見つめ合う。
 狼は人の言葉を持たないけれど理解は出来る故、

 身支度を整える彼>>708の邪魔をせぬよう
 しかし小さく主に伝えるよう遠吠えをし、
 紅茶を運ぶその傍にひっつきながら
 主の場所に向かうのだった ]*
(709) 2019/04/12(Fri) 0:07:26

【人】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―自室―

[ さて。
 室内にある机に向かって本を読んでいた頃、
 眷属の声>>709がこの耳に届いた ]

  おや……案外早かったな。
  
[ 進めていた読者を止めれば本を閉じる。
 寓話などに興味などなかったが
 こうしてまた読み進めてしまっていた。

 ノックの音が数度>>708
 どうぞと返答を返した。

 彼が進むのならば狼もその傍についていく ]
(713) 2019/04/12(Fri) 0:17:29

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  茶葉の良い香りだね。
  でも、君の部屋に着替えを用意したけれど
  着替えてこなくてよかったのかい?

[ 未だバスローブのままである彼にひとつ。
 用意した衣服のことを示しつつ>>680 ]

  足だって寒そうだし、
  上着だって君の肩に合っていない。

  風邪を引いてしまわない?

[ 彼が叶わないというのであれば
 強く付け加える事はなかったけれど
 首を傾げたまま問うた ]*
(714) 2019/04/12(Fri) 0:17:40

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 狼は何も語らない。
 主をいつまでも見守り続け、
 こうした子守を主から任される事も慣れていた。

 緊張した面持ちだった少年は>>748
 少しずつ氷山の角を溶かすように思えた。

 決して暖かくなどないのだ>>749
 しかし夜風に当たった少年がこれ以上冷やさぬよう
 給仕の真似事をする傍らを離れる事はなかった。

 ただ、一つ返事をするよう吠えるだけ ]

  ( 全く、いつも通り、趣味が悪い! )*
 
(767) 2019/04/12(Fri) 11:48:40

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 緊張を孕む雰囲気は隠されていても
 扉越しにも伝わってくるよう思えた>>749
 
 意外に躊躇なく侵入を果たす小柄な少年>>750
 面白そうなものを見るよう目を細める。
 大人しく従事する狼にはご苦労と目配せし、
 彼が少々不満そうに唸るのを聞いて鼻を鳴らした ]

  ……薔薇の香りがするね。

[ 男にとっては苦い記憶を彷彿させるものだ。
 しかし無知故の気遣いだ>>751 ]

  血の通わない化物に茶を出すなんて、
  やっぱり君も変わっているね。

[ ありがとうと一言彼に告げる。
 無意識に彼以外を含んだ事は気づかなかった ]
(768) 2019/04/12(Fri) 11:48:53

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 彼の魂胆は何となく朧気に理解している。
 だから彼の言葉>>752を拒んだりしなかった。
 彼の言動を責める事もなかった。

 届きそうで届かない位置で従順な彼は、
 彼の意志>>753を紡ぎ出す。
 男にとってその言葉は望んで他ならないもの。

 ただ、その後に紡ぐ想像を履き違えていた。

 薔薇の花弁が香る紅茶を飲む。
 男にとって意味のない茶番を演じた。
 ふと、同じ花を纏う少年に瞬きをして ]
(769) 2019/04/12(Fri) 11:49:04

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ ひとつ落とすのは確信めいた答え。
 男の眸をもってして与えられた好意とは異なり、
 無邪気で無知で残酷な彼の望みに双眸を眇める。

 ならば返す答えは三つある。
 その中の一つを切り取るだけだった ]

  君の言葉通りならば、
  城を追い出された子供に未来はない。

  そして願いを叶えてくれるならば
  君がこの城に住み続ける事すら許そう。

  そういった話だったと覚えているね?

[ ひとりを拒む子供の姿は覚えている>>525
 つまびらかにするように言葉を続けた ]
(770) 2019/04/12(Fri) 11:49:58

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  ……独りを拒む理由はよく分かるよ。
  堪え難いものだろう。

[ 一口。茶で唇を湿らせながら唇を開く ]

  だがね、君はいずれ死ねるだろう。
  君が望まなくとも、誰かが望まなくとも。
  それは人にしかない素晴らしい特権だ。

  また、君達は忘れる事が出来る。
  どれ程堪え難い苦痛も
  やがて薔薇の棘より丸いものになる。

[ 人と化物の違い。
 説教など垂れるつもりもないからこそ
 男は身勝手に語り続けるだけだ ]
(771) 2019/04/12(Fri) 11:50:10

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。
  君は自分が何故生きているのか、考えた事はあるかい?

  私はね、考えて、考えて、考え尽くした。
  その結果、行き着いたんだよ。

  セレン、私はね、――――

  赦されたいだけなんだよ。
(772) 2019/04/12(Fri) 11:50:27

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ コトリ、と。
 音を響かせながら男は微笑む ]

  君が寂しがるならその眷属をやろう。
  この城で独りは嫌なんだろう?
  それはなんだかんだ子供が好きで
  俺のことは嫌いだからね。

[ 狼は相変わらず子供から視線を逸らさない。
 見張っているというわけではない事を
 男はゆうに知っていたから笑っていた ]

  セレン。
  君はまだ俺の全てを知らない。
  だからそんな事を願えるんだろう。

  ……俺のことを知りたいと言ったね?
  ならもっと、知ってくれ。

[ この屋敷の中を探る以外に
 彼が他の手段を選ぶというのならば
 男は大した抵抗もせずに許すだろう ]**
(773) 2019/04/12(Fri) 11:51:19

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 揚げ足を取られるよりも一本取られる。
 そんな評価に相応しい傲慢な答えだった ]

  よかった。
  君は馬鹿じゃないんだね。

[ 無知な子供は嫌いではない。
 だが、愚かな人間では相応しくない。

 彼の言葉>>788に答えは返さない。
 否定もしなかった。

 無関心から少し芽生えたものがある。
 彼ならば伝えずとも理解出来るだろうと ]
(805) 2019/04/12(Fri) 16:17:42

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  死なないんじゃない。
  死ねないんだ。

[ 不死だから?
 それにしては試してこなかった事が沢山ある。

 男が数多の子供に尋ね得た知識>>614
 断言した子供の扱い>>613は断言した癖に
 死に関しては言い訳めいた台詞となった。

 死なない為に生きる>>790
 漠然とした死が取り憑く人の姿はいつも遠い。
 やはりどうしようもなく羨ましく、恨めしい。
 何故、そんな事を思い描いてならないのか ]
(806) 2019/04/12(Fri) 16:17:58

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  …………罪を償わなば死ねないからだよ。

  死が救いだというならば、生きる事とは即ち罪だ。
  一生を付き纏う罰なんだろう。

[ 誰に、とは言わなかった。

 付き纏いこびり付き離れないのは、白い首>>56
 透き通るような肌。赤い唇。
 全てを見透かすような空色の眸。

 ちょうど、彼によく似ていて、
 ちょうど、その声だってよく似ていて、
 それから、彼は、彼女と同じ――名前 ]
  
(807) 2019/04/12(Fri) 16:18:20

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  意志のない我楽多に裁かれても意味などない。

[ 彼の問い>>792に対して答えない。
 だが、その解釈を正す事はなかった。

 ふわりと漂うのは血の甘美な香り。
 思わず口許を手で塞いだ。

 他人に殺され続けてきた?
  ――そんなもの生きていたら誰だって、

 言い訳めいた言葉が溢れるのは余裕が剥がれつつあるから。
 追い出した少女の血を吸っていればよかったのだ。

 彼の存在がひどく曖昧に溶けていく>>793 ]
(808) 2019/04/12(Fri) 16:18:35

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  どうして、……俺なんだ。

[ 知れと望んだ癖に見透かす事を拒む我儘な男は、
 少年が選んだ知りたい存在に疑問を抱いた。
 変わった子は、今までにいた。今までに。
 たった、二人だけ ]

  ――――同じ名前で同じ言葉を言うな!

[ 吐き捨てるような怒声が寝室に響いた ]
(809) 2019/04/12(Fri) 16:19:00

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



  二度と同じ事は繰り返したくない。

[ 化物はどうしようもなく化物だ。

 それを、よぉく知っているのだ ]
 
(810) 2019/04/12(Fri) 16:20:10

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ Noir

 黒く黒く黒く塗り潰す。
 インクをぶちまけても剥がれない記憶。

 飢えと渇き、自我を失う程の衝動。

 赤赤赤赤赤赤赤と求める鮮血。
 眠る少女を包む揺り籠を長い爪で切り裂き
 未だ心臓から流れる血潮を求め光らせた歯牙を
 柔らかく甘い肉を食い破った牙を
 破れた皮膚から滲むあまりにも甘美な味を

 悲鳴。絶叫。慟哭。
 耳を塞ぎたくなる。
 眸を抉りたくなる。
 唇を引き裂きたくなる。
 あの悪夢は未だに醒めず ]

(811) 2019/04/12(Fri) 16:20:40

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ だから裁くのはセレン≠ナなくては意味がない ]**
  
  
(812) 2019/04/12(Fri) 16:22:27

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 違わない。

 反射的に返す言葉を歯の奥を噛み堪えた。
 此方を見つめる左右非対称の眸>>813
 やはり今にも泣き出しそうなのに、
 意外にも少年は諦めが悪かった。

 続く言葉>>814と問い>>815
 男は眉間の皺を苦悩で歪めた。

 はくりと震える声で紡ぎそうになったのは
 あまりにも素直な言葉だった ]

  まだ、苦しまなくてはならないのか?

[ 分からないからこそ相槌も打てぬのだと。
 問いに対する問いを返して気づいた ]
(830) 2019/04/12(Fri) 18:28:34

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  ただ、生きる為なら何でもすると、
  俺の望みなら何でも叶えると
  そう言葉にした君ならば、……、

[ 叶えてくれると男は希望していた。

 切々と身を切り裂きたくなる想いを抱えながら
 生きながらえてしまい、日々懺悔と贖罪に明け暮れる
 途方も無い永遠の後日談を過ごすには、
 あまりにもきっとあの日々が眩し過ぎた ]

  
君など、拾わなければよかった。


[ まだ何も知らない子供>>816

 孤独に飢え、傷だらけの手を差し伸べる。
 裏切りを厭い、独りを拒む少年。

 少なくとも男が理解したのは、たったそれだけ ]
(831) 2019/04/12(Fri) 18:29:08

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 伸ばされた腕が空恐ろしく思えた>>818
 先がないと告げる少年の気配は>>817
 吹き荒ぶ風に流れていきそうだ。

 振り払った手は存外強い力だった。
 彼の手の甲に残った赤い跡を眺めれば
 自然何かで切ったのであろう指先も覗き ]

  そんな事、ない。
  君はまだ若いだろう。
  生きてさえいれば他の可能性だってある。

  金だってあるんだ。
  君が望めば人の一人くらい用意して
  欲しいものは何だって手に入る筈だ。

[ それとも雛鳥のように最初に見つめたものを、
 親だと認識してしまったとでもいうのだろうか ]
(832) 2019/04/12(Fri) 18:30:07

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  何故君は、居場所が此処しかないと思い込む。
  ……セレス、君のその眸と関係するのかい?

[ 伸ばされたままの腕を痛々しげに見遣る。
 今度はその手を払う事はせずに、
 代わりに彼の長く伸びた前髪を払ってやった ]

  君を愛してくれる人はきっと、いるのに。
  ……どうして?**
(833) 2019/04/12(Fri) 18:31:07

【人】 古城の吸血鬼 ニクス

  ―傍白―

[ 声を出す。
 息を吐く。
 足で歩く。
 手で触れる。
 目で追う。

 今日も生きている。
 誰かの言葉が、呪いが、其れ等を練る。
 今日も生きている。

 生きていていいのか、音を、息を、吐き出すだけの怪物は、
 生きていていいのか、嘘を、呪いを吐き出すだけの怪物は、

 分からないから、怪物は今日も生きている。
 呼吸の仕方も、両足のつけ方も、紡ぐ言葉も、
 忘れてしまいそうな不安が、恐怖が、
 目醒めたばかりの怪物を襲う。

 それでも怪物は、今日も生きている。
 それでも怪物は、今日を生きている ]

(837) 2019/04/12(Fri) 19:19:59

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 夢を見ていた ]

(838) 2019/04/12(Fri) 19:20:26

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ あなたがまだ生きている頃の夢だ。

 あなたと作った料理を口にしていた。
 私は泣いていた。
 どうして泣いているのだろう。
 そう考えたらなんだかもっと悲しくて、
 私はもっと泣いていた。
 泣きながら食事をしていた。
 味が全くしなかった。

 私は何かを言ったけれど、何を言ったのか
 全く覚えていない。
 あなたは何かを話したけれど、
 全く覚えていない。
 そこで目を覚めた。
 目に少しだけ涙の跡があった。

 あの頃には戻れない。
 そんな気持ちが少しだけして、
 痛むはずのない心臓がギュッとした。
 そんな夢を見た。
 そんな夢を見た。 ]

(839) 2019/04/12(Fri) 19:20:47

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 化物に心なんて存在しない。
 化物に心なんて存在しないのだ。

 しかし分かってしまう。
 心が痛いと分かってしまう。

 心が痛い。
 心が痛い。
 心が痛い。

 ずっと、ずっと、あの時から、ずっと ]

(840) 2019/04/12(Fri) 19:21:55

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ あなたをたまに、思い出す ]

(841) 2019/04/12(Fri) 19:22:33

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[ 笑った顔、怒った顔、泣いた顔、嬉しそうな顔。
 全部、全部、全部、まだ、覚えている。
          まだ、忘れられない。

 あなたは本当に表情が豊かな人で、
 あなたは本当に感情が豊かな人だった。

 あなたをたまに、思い出す。

 伸ばされた手が届かなかったこと
 怪物の為に祈ったこと
 あなたが、私の為に泣いてくれたこと。

 あなたをたまに、思い出す。
 あなたをたまに、思い出す ]

(842) 2019/04/12(Fri) 19:23:02

【人】 古城の吸血鬼 ニクス



[あなたを赦さない世界なんて
 私が壊してあげる。

 決してあなたを独りにしないから、だから

 あなたは死なないでね

  ――――なんて、酷い呪いだ ]**

(843) 2019/04/12(Fri) 19:23:36

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ そうだね>>847
 彼の反応は淡白で男が期待していたものではなかった。
 この少年に男は何を求めていたのだろう。

 セレンとセレス。
 同じく闇夜を照らす月を持つ名前。
 彼に彼女の像を重ねて何を望んだのか。

 バカバカしくなり、鼻を鳴らした ]

  そうだね。

  君に問いかけてどうかなる話でもない。
  今まで通りと同じだ。
  君と同じ眸を持つ人と君を重ねて、
  君に問いかけることで、答えを見出そうとする、なんて。

  愚かな行為だ。やめるよ。

[ 狼は彼の傍らに付き添ったまま吠えず。
 二人のやりとりを見守るようそこに居る。

 落ちる腕>>848を男にはどうしてやる事も出来ない ]
(875) 2019/04/12(Fri) 22:33:37

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  そうだね。
  君がせめて何処かで生き延びれる場所を探して……

[ 棄ててしまうのも悪くないのではと。
 擡げた思考のまま考え出す。
 どちらにせよ夜も深いから明日以降の話にはなる。

 男はそもそも生贄を望んだ事もなかった。
 送られる二度目以降の子供に期待する事はあれど
 いつも期待外れだと思えば外に放してきた。

 その結果、子供達が村に戻る事がなかった事実は、
 男が少年から語られた新たな真実であった ]
(876) 2019/04/12(Fri) 22:34:09

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


[ 男は人が無駄に死ぬ事は望んでいない。
 だとして長年蓄積した願いを一日で
 葬り去る事など出来なかった。

 僅かな胸の痛みは些細だと視線を逸らし
 狼はそんな主を非難するが撫でる手に静かに懐く>>850
 よっぽど少年の気を汲んでやれるのは狼の方で
 それは今までの主の愚行を見守ってきたせいもあった。

 だとしても噛みつかないのは狼は狼で
 主に対して思うことでもあるのか。
 問いかける主をアイスブルーの双眸で
 狼は見守っていた ]
(877) 2019/04/12(Fri) 22:34:27

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  …………気持ちが悪い?

[ 少年の言葉>>855に男は首を傾げる。
 それは初めて見つけた生き物を眺めるようだった。

 確かに少年は人にしては珍しい風貌をしている。
 輝くようなブロンドにアクアマリンの双眸を持つ
 天使のようだと愛された彼女とは違い、

 彼のプラチナブロンドは月明かりに照らされたように白く、
 蒼い月と霞んだ星を思わせる双眸は、
 不思議な色味であれど男にとっては、
 月の満ち欠けを思わせる色味であった ]

  愛が、何かは……俺にも、分からない。

[ 彼の問いかけ>>856には白状する。
 無責任な発言をしていると露呈するだろうが
 今はそんな事よりもと、言葉を続けた ]
(878) 2019/04/12(Fri) 22:34:52

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  でも、化物というのはこんなに鋭い牙をもって
  血を吸わねば生きられない存在を言うんだ。

  そんな俺からしたら君はよっぽど普通の人間じゃないか。
  それに、二つの色を持つ眸なんて、
  この世界で君だけがもつ特別だろう?

  普通が何かは知らないが、
  月に照らされた髪の色は気持ち悪くなどない。

[ 幼子に言い聞かすように視線を合わそうと男は彼に跪く。
 愛など知らぬ筈の感情ではあるが
 幼い子供の苦労に同情したのかもしれない ]
(879) 2019/04/12(Fri) 22:35:21

【人】 古城の吸血鬼 ニクス


  セレン。

  君は、綺麗な人間だよ。*
 
(880) 2019/04/12(Fri) 22:36:13