【人】 Y『恋人』 クリスタベル── 最初の朝 ── [ 鏡を前に、難しい顔をして黙り込む。 あまりの見慣れなさに脳が理解を拒否している。 着られている、というのも正しいかも知れない。 16歳の誕生日には、相変わらず選ぶという意味を 知らない包装の山の中、男女揃いの衣装があった。 聞けば母親が仕立てさせたものだというが、 どれも身体に合わせて作られたらしいそれ。 彼女の目に、ひとりでふたりを嘯く我が子は どう映っていたのだろうか。 ] (300) 2022/12/19(Mon) 9:26:49 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 夜色の美しい生地だったから、渋々クローゼットに 眠らせたままだったアフタヌーンドレス。 3年前からサイズに変わりはないようで、そこは安堵。 箱庭の恋人は両性具有で、 ドレスを着た女性らしい姿で描かれることが多い。 ……今更ながらクリスでありベルを謳うなら、 女性の衣装を着たとしても構わなかったのだろう。 ただ、上辺だけでも男性らしさを損ねることが怖かった。 随分と”わたしたち“であることが下手だったように思う。 今更詮無い話だけれど。 ] (301) 2022/12/19(Mon) 9:27:11 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 答えは持った。覚悟も決めた。 あとは──── ナハトはここに来てくれた。 洋館に誘ってくれた時のように、>>0:360 洋館を出ようと言ってくれた。>>2:392 なら、今度は私から行かなければ。 ] (302) 2022/12/19(Mon) 9:27:30 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 窓から臨む朝日は、 まるで新しい世界が始まるみたいに綺麗だった。 私はこれを、私の夜にも見せたい。 ] (303) 2022/12/19(Mon) 9:27:55 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 早足で辿り着いたナハトの部屋の前。 ……ノックをして ドアが開かれるなら あなたはどんな顔をするんだろう? 「変だったら笑っていいよ」なんて言って、 素直に笑われたら拗ねてみようか。 ] (304) 2022/12/19(Mon) 9:28:29 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ ドアが開かないなら、いつかみたいに待ってみようか。 迷惑かな? だったら少しだけ。 ……そんなことを考えてから、深呼吸。 ノックを二回。] (305) 2022/12/19(Mon) 9:28:42 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベルおはよう、ナハト。 今日出るなら、私も一緒に行きたいな。 ナハトがいない明日なんていらないからね。 [ 朝の挨拶の続きのように、 或いは最初の誘いの答えのように、>>0:523 >>2:392昨日の答えを返した。 * ] (306) 2022/12/19(Mon) 9:29:07 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a69) 2022/12/19(Mon) 9:32:32 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a71) 2022/12/19(Mon) 12:32:04 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a72) 2022/12/19(Mon) 12:35:24 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a73) 2022/12/19(Mon) 13:02:42 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ そこに居てくれたことにほっとした。 扉を開けてくれたことが嬉しかった。 昨日の最後は扉越しだったから、 顔を見たら泣きそうなくらい胸が苦しかった。 大きな目を瞬かせる>>344姿が、 まるきり猫の仕草で可愛くて愛しくなった。 …………駄目だな、と思った。 『恋人』の証持ちのくせに、 恋で死んでしまいそうな心持ちさえしている。 ] (361) 2022/12/19(Mon) 17:44:13 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 一度は何もかもと諦めようとして、 それまでも何度も気持ちを誤魔化そうとしてきて、 そんな恋心に振り回されて ──そして振り回してしまって──今ここに立つ、 自分の滑稽さに呆れてしまうけれど。 でも仕方ない、これが私なんだから ] (362) 2022/12/19(Mon) 17:44:30 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ だというのに、 完璧を愛した彼に 何年も片想いを誤魔化してきた天邪鬼は、 そんな心をちらとも覗かせず。 挨拶みたいに告げた言葉に同意を返してくれたから 「ありがとう」と目を細めるだけ。 振られなくてよかった、 だなんていじらしいことを言うものだから、 「不安にさせてごめんね?」と 私だけの可愛い子の夜色をさらりとひと撫で。 ] (363) 2022/12/19(Mon) 17:44:49 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ どさくさに触れたことに満足していると、 その格好、と指摘されて、 一大決心を一瞬で忘れてしまっていたことに気付く。 無言で見られる間が気恥ずかしいやらなにやらで、 誤魔化すみたいに予定していた言葉>>304を ポツリと零せば、 言い淀みながら「似合ってる」>>347、なんて。 やっぱり駄目かな、アリアお化粧教えてくれるかな? 他の……勝手に遠ざけていた証持ちの彼女たちに お洒落について聞いてみても受け入れてくれるかな? なんて、世界が終わるかも知れない時に暢気な悩み ] (364) 2022/12/19(Mon) 17:45:13 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル16歳の最後の誕生日プレゼントなの。 あなたの色だったからどうしても捨てられなくて。 [ つい昨日まで“わたしたち”をやってきていたのに、 ドレスを持っている自分に言い訳するように 何となく出所を明かした。 ……やっぱりもう一回チャンスが欲しい。 次は悩む余地なく 綺麗 と言って貰いたいなんて 胸裡でそっと決意を固めて。 ] (365) 2022/12/19(Mon) 17:45:32 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 案の定、 神様なんかより真っ先に答えを届けにきたことを、 容易に看破されて笑ってしまった。 駆け落ち、だなんて冗談には 心臓が跳ねて怯んでしまうけれど。 ] うん、行く。 一緒に行こう。 [ そう答え、先に手を差し伸べることは出来ただろうか ] (366) 2022/12/19(Mon) 17:45:48 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ それは昨日の二人の似姿で、>>1:298 もし私が彼にそうしていて、 この手を取られなかったらと考えるだけで 身も世もなく泣き伏してしまいそうだった。 傷付いたとしても、もう許してる。>>136 そう言ってくれたけど、 その優しさに甘えるだけの自分でいたくない。 だからこの手を握り返してくれるなら、 絶対に幸せにしてみせる。 まだ自分に何が出来るかはわからないけれど、 心の中で宣誓をするなら 神の前はさぞかし御誂え向きだと思った。 * ] (367) 2022/12/19(Mon) 17:46:40 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a78) 2022/12/19(Mon) 17:52:37 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a79) 2022/12/19(Mon) 17:55:33 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 『洋館を出るなら』などと言ったものの、 ドレスなど纏っている時点でお察しであるが、 この元・深窓の令嬢に旅支度の想定などまるでない。 早速旅立ちの何もかもを頼ることになりそうなのは 自明の理であった。>>407 またこれも余談ではあるが、 誕生日付近の帰省に夜を連れて行きたいと申し出て、 両親にやんわりと断られる、を毎回やっている。 邸宅に不法侵入した窃盗と拐かし疑惑のある人間を、 しかしながら娘がとても大切なものと扱う姿に、 彼らとて思うところがあったのは想像に難くない。 完璧を求める人形のようだったものが、 まるで人間らしさを得たような姿に、 自分たちが間違っていたのではないだろうかと。 * ] (447) 2022/12/19(Mon) 23:35:46 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ すいと伸ばされた手指が頬を滑る。 >>409 夜色と同じくらい綺麗な、猫みたいな瞳が細められ。 ………まるで内心の決意を察されたように 「綺麗」と欲しかった言葉を先回りされ。 >>410 攫って行ける? って? 混乱を余所に続く言葉もとても嬉しいものの筈なのに、 勿体無いくらいにそれ以前の情報を処理するのに必死で 上手く咀嚼できない。 ] (450) 2022/12/19(Mon) 23:36:09 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ ナハトが触れてくれた。 忠実と誠意で線を引いて、壊れ物を扱うみたいに情愛を 注いでくれて、触れられることなど終ぞなかったのに。 見下ろす目が、いつもみたいに安心してもっと見ていて 欲しい温かさじゃなくて、嬉しくて恥ずかしくて隠れて しまいたくなるようで、勝手に熱を感じて頭が茹る。 なんだろう、なにか違う。 違う気がするのにわからない。 立っているのも覚束なくて、いつもの困った時みたいに 縋りたい気もするけど、悪化する未来しか見えなくて。 すぅ、はぁ、と何度も深呼吸。平常心、平常心… ] (452) 2022/12/19(Mon) 23:36:30 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ そうして差し伸べた手に体温が重なる。 嬉しかった。 …………と思ったら、 握った手を引き、その甲に、唇 が ] (453) 2022/12/19(Mon) 23:36:57 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル────っ!!?? [ 絵本で見た王子様みたいな所作で目が離せなかった。 なのになんでこんなに嬉しいのに逃げ出したいの。 あまりに流麗だったから慣れてるのかなとか、 手の甲の口付けは敬愛や尊敬だったっけとか、 どうしてそんなに落ち着いてるのとか、色々。 考えたり言いたかったりしたけれど、結局ひとつも 形にならなくて、曖昧な言葉未満を漏らすだけで 手を引かれるままに歩き出す。 ドレス姿を誰かに見られるよりよっぽど消えたくなる。 …………だけど嫌じゃない。そんなのは当たり前で。 こんなに混乱させておきながら至って涼やかな横顔を 恨めしく見つめ……結局爪先に視線を落としただけ。 ] (454) 2022/12/19(Mon) 23:37:17 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル[ 当て所ない筈なのに的確な足取りは、 毎度飽きもせず通っていたガゼボに向いているようで。 辿り着けばまるで待ち合わせみたいに佇む姿。 大事な場所に貴方なんか居ないで欲しい。 と思うけれど何を言ったとて聞きやしないんだから、 腹を立てるだけ無駄なのだろう。 彼の答え>>413に続いて、 握られた手の感触を、ここにいることを確認するように 力を込めて、ゆるり口を開いた。 ] (455) 2022/12/19(Mon) 23:37:28 |
【人】 Y『恋人』 クリスタベル私も箱庭には行かないし、 貴方の独り善がりのためにナハトはあげない。 …………不完全に作っておいて、 それでも愛してるんでしょう。 だから我儘を聞いて。 頼んだら世界を壊すのを止めてくれるんでしょう? 私は私の大好きな人とこの世界の明日を生きたい。 ナハトが私にそうしてくれたように、 いつか好きになれるかもしれない世界を見せたい。 ……だから、お願い。お願いです。どうか…… [ 振り絞るように答え、懇願した。 * ] (456) 2022/12/19(Mon) 23:37:44 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a94) 2022/12/19(Mon) 23:41:29 |
Y『恋人』 クリスタベルは、メモを貼った。 (a95) 2022/12/19(Mon) 23:42:09 |
(a96) 2022/12/19(Mon) 23:49:44 |
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