人狼物語 三日月国


97 【R18ペア村】Decision【完全RP】

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【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>10タイトルから察するにどうやら難しそうな内容のようだが、文字を辿るのもいいだろう。
ページをめくろうとしたところに声がかかった。]

……え?

[振り返れば、自身よりも背の高い青年が立っている。
目深に帽子を被った姿は学生だろうか。
騒がしい場所なら掻き消えてしまいそうな声だが、手助けを申し出るところは“いい人”なのだろう。]

そうなんだ。
お願いしようかな。

[本棚と彼とを見比べて、厚意に甘える事にした。
にこりと微笑んでそう言うと、本を元あった場所に戻して彼の動きやすいように横にずれる。]
(13) 2021/09/25(Sat) 14:14:56

【人】 紅柱石 アンドレアス

[本を取って貰えたなら、それを両手で受け取って。]

ありがとう、親切な人。
君が教えてくれなければ、気付かなかったよ。

私はアンドレアス。
アンディでいいよ。


良ければ、君の名前を聞いてもいいかな?

[笑顔で感謝の言葉を告げると、彼の名を求めた。
髪を覆う布と中性的な顔立ちで間違えられる事はあるが、声と名前で男である事が分かるだろう。**]
(14) 2021/09/25(Sat) 14:17:14
紅柱石 アンドレアスは、メモを貼った。
(a4) 2021/09/25(Sat) 14:24:28

紅柱石 アンドレアスは、メモを貼った。
(a5) 2021/09/25(Sat) 14:24:52

【人】 紅柱石 アンドレアス

―図書館―

[>>15僅かに俯く彼の内心は知らず。
助力を求めれば、安堵する気配は伝わったが、視線は交わる前に逸らされて。
宝石人間(ジェム)は生まれつき見目美しいものが多く、旅慣れた青年にとってはそうした視線には慣れているので気にする事はなかった。

胸の中央辺りにある宝石―─紅柱石に似たオリーブグリーンからアンバーに移り変わる髪色は、他の宝石人間(ジェム)よりも目を引くもの。
薄暗い場所でも薄らと輝くのは自身ではどうする事も出来ない。
一度旅の途中で暗色に染めた事があったが、成熟期を迎えて故郷の泉に身を沈めて目覚めた頃には元の色に戻っていた。
以来、染めるのは諦めている。
この色が嫌いなわけでもなし。]
(18) 2021/09/25(Sat) 20:53:22

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>16学生は慣れた様子で踏み台に上り、本棚の一番上の棚から目的の本を取り出した。
確かに、あの高さでは青年が取るのは少し厳しそうだ。
この図書館の司書はこれらの本を管理しているというのだから大したものだと思う。
勿論、第二版の内容や、位置を把握していた青年も尊敬に値する。

本を受け取って感謝の言葉を告げれば彼は謙虚に応え、名を求めれば僅かに目を丸くした。
出会ったばかりの相手に愛称で呼ぶように求める。
青年としてはごく普通の心算だが、戸惑う人間も一定数存在する。
目の前の彼は真面目そうだから、後者の方かもしれない。
いい人のようだから、仲良くなれればと思ったのだが、難しいだろうか。
そう頭に過ったが]

ガラーシャ。
響きのいい名前だね。

[>>17彼は名乗ってくれた。
名の綴りはこの王都グラジアに似ているのかもしれない。
グラジアは“恵み”という意味を持つ。
乾燥した大地が国土の三分の一程度を占めるパルティローネ王国にとって、緑地に囲まれた台地は都を作るに適した“神の恵み”と言えるだろう。]
(19) 2021/09/25(Sat) 20:54:40

【人】 紅柱石 アンドレアス

君は精霊について調べている学生なんだね。
私は世界の様々な事に興味があるよ。
知る事が楽しくてたまらないんだ。

[青年は謳うように答えた。]

勿論、精霊にも。
かつては彼方此方にいたとされているのに、どうしていなくなってしまったのか。
まだ結論は出ていないんだろう?
もしかしたら、君がそれを知る最初の人間になるのかもしれないね。

[そう言って真直ぐに笑顔を向けた。
研究テーマに選んでいる彼程の情熱はないが、様々な事に関心のある青年にとっては、それも興味を持つ分野の一つだ。
もし目の前の彼が精霊についての研究の第一人者となるとしたら、それはとても興味深い。

グラジアには宿屋ではなく、中期滞在者用の貸家を借りての滞在。
合間に近くの都市に出掛ける事はあったが、青年は時折、図書館に赴くようになった。
図書館で、あるいは街の中でガラーシャと出会ったなら、青年は笑顔で彼に声を掛けた。
彼は自分とは違うタイプの人間。
そんな彼が段々と打ち解けてくるのを感じるたび、嬉しくなったもの。]*
(20) 2021/09/25(Sat) 20:57:28
紅柱石 アンドレアスは、メモを貼った。
(a7) 2021/09/25(Sat) 20:58:54

紅柱石 アンドレアスは、メモを貼った。
(a8) 2021/09/25(Sat) 21:03:28

【人】 紅柱石 アンドレアス

―図書館―

[>>21名を誉めれば、律儀に言葉が返ってきた。
その名が首都と同じ意味であるのならば、名付け親は彼に祝福を施す意味で付けたのだろう。

視線を外していた彼が、こちらに視線を向けたのには気付いたが、その意味には気付かなかった。
精霊を見る機会など、昨今では滅多にない事である故に。

旅する時、青年は図書館を探す。
村や街には望めないが、首都には大抵大きな図書館が存在するものだ。
それが異国人にも開放している場合は、その土地が異国人に対して寛容である事が多い。
郷土資料などはその国で少部数しか存在しない事が多いので、巡り合う機会は貴重なのだ。

確か、以前に来た時にも図書館に詰めて本を読み漁った記憶がある。
きっと人間の一生では読み尽くせない量の本が此処にはあるだろう。
宝石人間(ジェム)の身なら或いは、と思うが、それは残念ながら望む事は出来ない。
此処は人間の国である故に。]
(25) 2021/09/25(Sat) 22:53:17

【人】 紅柱石 アンドレアス

うーん、広く浅く、かな。
この世界には色々なものがあるからね。
君のように研究している人程の知識はないさ。

[>>22彼の言葉にはゆるく肩を竦めてみせた。
青年の好奇心の向かう先を一つの分野に絞る事が出来れば、研究者にもなれるのかもしれない。
けれど残念ながら青年の興味の向かう対象は数多く、その道の専門家にはなれそうもない。
またお会いできれば、との言葉には大きく頷いてみせた。]

いいね、是非。
旅人だから、あちこちの国の話なんかも出来るよ。

[目の伏せた彼には、社交辞令に聞えたかもしれないが。
次に会う事があったら、声を掛けてみようと思っていた。

会釈をするガラーシャに手を振って別れ、再会したのは数週間後だったか。
図書館で彼を見かけて笑顔で話しかけた青年は、この間のお礼と称して喫茶店に誘ったのだった。*]
(26) 2021/09/25(Sat) 22:55:06

【人】 紅柱石 アンドレアス

―喫茶店―

[ガラーシャを首尾よく誘う事が出来た青年は、彼にコーヒーを一杯おごった。
旅の資金は自身の生んだ宝石を商人に売却して得たものだ。
紅柱石は紅玉や青玉と比べれば需要は落ちるが、黒い十字の模様が入ったものは守り石として異国に売れるらしい。

青年は店の中でこの前のお礼と、取ってくれた本の感想を彼に話した。
この本を書く為には各地の詳細な情報が必要だ。
著者や協力者達の地道な努力の結晶だっただろう。
精霊の司る力によって条件が違うというのも面白い、などと。
そう言った事を話した後、初版で欠けていた箇所を彼に尋ねてもみた。
そうして、旅の日々の話に移っていく。
本に書かれた中の一つ、精霊がいたと伝わる森に訪れた事があったが、結局森の散策で終わってしまった事。
初めて海を見た時に故郷の湖との大きさの違いに感動した事など。]

君の生まれはグラジアかい?

[首都に馴染んでいるように思えるが、此処は各地から人が集まる場所。
グラジアに住んでいたとしても、彼も旅をした事があるのかもしれないと考えて。]*
(27) 2021/09/25(Sat) 22:55:29
紅柱石 アンドレアスは、メモを貼った。
(a10) 2021/09/25(Sat) 23:01:57

【人】 紅柱石 アンドレアス

―夜の街中―

やぁ、こんばんは。
いい夜だね。

[>>23時刻は夕飯時。
陽も落ちて、厳しい暑さもこの時間には緩んだ心地がする。
ガラーシャと何度か会う内に、季節も移り替わろうとしていた。

パンなどは店で購入するが、幾らかは材料を買って自炊をしている身。
今日はどうしようかと表通りを歩いていると、通りの端辺りで聞き慣れた声がかかった。

店外に並んだ椅子やテーブルで軽い食事を取る人々の中にガラーシャの姿を認めると、青年は笑顔で彼の許へと向かう。
ガラーシャの座るテーブルの上には総菜の乗った皿とビールの入ったグラスがあったか。]
(28) 2021/09/25(Sat) 23:27:29

【人】 紅柱石 アンドレアス

うん、今日はどうしようかなって。
……へぇ、そうなんだ。確かに美味しそう。

[自炊状況は彼に話した事があったか。
皿に乗った惣菜はいかにも美味しそうで青年の食欲を擽り、フォークで指し示された店を見て頬を緩める。]

確かに、大分、暑さがましになったね。

[いつもより、彼の様子が和らいでいるような気がするのは、酒精の所為だろうか。
彼の言葉に応じながら、通りを抜ける風に青年はアンバーの瞳を細めた。
風は布の間から覗く髪の先を浚っていく。
それを布の中に収めていると。]

うん?
……そうだね、昔と比べると夜も明るいね。

[落ちた言葉は自分に向けられているわけではなさそうだったが、最初に来た頃の記憶を掘り返しながら応じていた。
その“昔”は、彼の祖父母が生まれていない頃の話だったが。]*
(29) 2021/09/25(Sat) 23:28:32

【人】 紅柱石 アンドレアス

―喫茶店―

[>>30注文以外に喋る様子のない彼は緊張しているのか。
あるいは元々あまり喋らない性質なのかを判断するには共に過ごす時間は少なく。
誘いに肯いてくれたので、無理矢理連れてきた、というわけではないだろうと。

改めて感謝の言葉を告げた後、彼との接点である本について触れる。
お礼代わりに彼の求めた話をしている内に、俯きがちだった彼の視線が上がってゆく。
青年の髪よりも濃い草原を思わせるグリーンの瞳と視線が合えば、にこりと微笑んでみせ。]

落丁か。
確かにそこが抜けるとかなり不自然だな。
出版する上でチェックはするんだろうけれど。
君と同じように気付いた人がいたようで良かったね。

[研究対象に関わる事だからか、口も滑らかに動いたようだ。
一人の声よりも、声は大きい方がいい。
専門書は小説と比べて元々の部数も少ないが、誠実な対応をしてくれたようだ。]
(36) 2021/09/26(Sun) 18:17:47

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>31やがて話題は本から旅の話へ。
ガラーシャは静かに耳を傾けてくれた。]

そうかい。
君は若いから、これから自分で資金を作って遠出するのもいいだろうね。

[学生の身である彼は若芽のようだと思う。
見た目と実年齢に差があるので、妙に年寄りじみた発言に聞こえたかもしれないが、しみじみと言って。
けれど精霊の正体に関する学説については唖然とした。]

……昆虫。
確かに羽を持つと伝わっている物がいるけれども。
流石に森の中の昆虫にまで意識がいかなかったな……。

[眉尻を下げながら、頬を掻く。
精霊の姿は様々に描写されるが、その正体が昆虫であったなら聊か浪漫がないような。
目の前の彼は微笑んでいた。
余程に、精霊の話が好きなのだろうなと思った。]
(37) 2021/09/26(Sun) 18:18:09

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>32彼の事について知りたいという欲求の許、出身について触れれば、彼の動きが止まる。
小さな笑みは浮かんでいるものの、先程のような微笑みではなくなった事に胸が痛んだ。]

う、ん。
此処は様々な場所から人が集まるから、不思議ではないけれど。

[グラジアに古くから住まう人々は肌が白く、砂漠などに住む民は浅黒い肌を持っている事が多かった。
ルーツを異にする人種は、場所によっては差別を受ける事がある。
何か嫌な思い出でもあるのかもしれない。]

……そう。
君も遠い場所から旅をしてきたんだね。
無事に此処まで辿り着いて本当に良かった。

[母と一緒に来たという事は、父親の身にか、間にかに何かしらあったのだろう。
海を越える程の旅であれば旅程は長い。
子供と母親二人旅では難儀する場面もあったかもしれない。
悪くすれば、旅の途中で命を落とす事だってある。]
(38) 2021/09/26(Sun) 18:18:49

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>33視線を外していた彼がこちらを向いた。
向けられた質問は何度か向けられた事があったので大きく驚く事もない。
彼の出身を聞いたのだから、ここは答えるべきだろう。]

ふふ、ありがとう。
君は詩の才能もあるのかな。

そうだよ。
私も別の場所から此処に来た旅人だ。
これも私の故郷では珍しくないんだけどね。

[アンバー色の毛先を一房掬い、淀みなく答えてみせる。
それは嘘ではないが、全てを語ったわけでもなかった。
各国に住まう民について記された旅行記にも、そうした民が住んでいる国は記されていない。
けれど世界は広い。
秘境に住まう民であれば、そうした本に記される事もないだろう。
実際、宝石人間(ジェム)の里は場所を秘匿するものなのだから。]*
(39) 2021/09/26(Sun) 18:19:43

【人】 紅柱石 アンドレアス

―夜の街中―

ありがとう。
それじゃあご相伴に預かろうかな。

[>>34向かいの席を勧められれば、笑顔で一つ肯いて。
彼の勧めてくれた店で惣菜とビールを購入してくる事にした。
酒場などで相席になったり、旅で知り合った人間と食事をする事も旅の楽しみの一つだった。

皿とグラスを手に彼の向かいの席に腰かけた時には、彼の手元のビールは更に量を減らしていたか。]
(40) 2021/09/26(Sun) 18:20:01

【人】 紅柱石 アンドレアス

覚えているさ。

[>>35言葉静かに頷いて、総菜を口にしながら彼の語るのに耳を傾ける。
こうした都市では夜も灯りが多いが、村や町単位ではそうした地域も多い。
青年の故郷もどちらかといえば後者の方だ。]

いずれは、村や街でも明かりが絶えなくなるのかもしれないね。
ふふ、そう言って貰えると私も嬉しいよ。

[いつもより笑顔の多い彼に合わせて青年もグラスを掲げる。
乾杯を交わして口にするビールは美味しかった。]

……え?
あるのかい、本当に?

[喉越しを楽しんでいる時に聞かれた言葉に、思わず目を丸くする。
僅かに身を乗り出して問うた後に言い添えた。]

勿論、信じるよ。

[まだ短い付き合いではあるが、彼が無闇に嘘を言うような人物ではないと思っている。]**
(41) 2021/09/26(Sun) 18:20:52

【人】 紅柱石 アンドレアス

―喫茶店―

[>>31旅は好き、と言っていたから、旅に対する感情は悪くないものだとは思っていたが。
>>42旅路はとても順調だったと聞けばほっとする。]

それなら、良かった。
何処にでも悪い輩はいるものだから。

[向ける言葉はしみじみとしたものだ。

青年も中性的な顔立ちの所為で、危ない橋を渡る羽目になった事がある。
有り金を掏られた事や、盗賊に襲われかけた事も。
幸いにも道中で“いい人”達と出会い、助けて貰う事が出来た。

こうして此処で彼と出会えたのも、互いに無事にグラジアに辿り着いたお蔭だ。
それは幸運な事だと思う。]
(52) 2021/09/26(Sun) 21:27:44

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>43視線に気付けば、アンバーの瞳を細めて微笑んでみせた。

青年もこうして外に出るようになるまでは数年おきに訪れる商人以外の人間を知らなかったし、自分達のように人間は全て彼らと同じ色をしているものだと思っていた。
宝石人間(ジェム)が大抵美しい姿をしているという事も、同胞達から聞かされた知識でしかなかった。
集落にいた青年の周りにいるのは同胞達だけだった故に。
けれど見聞きする事は単なる知識として持つよりもずっと得られる情報が多い。]

えぇ?
君だって綺麗な緑色を持っているじゃないか。

[ずるいと言って顔を伏せてしまった彼に、ころころと青年は笑った。]
(53) 2021/09/26(Sun) 21:29:49

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>44やがて、珈琲を口にした彼は伏せていた顔を少し上げて問いかけてくる。]

いや、すぐには発たないよ。
二年か……三年は此処にいる心算。
此処を拠点に幾つかの街には行く心算だけどね。

[これまでの経験から、人間の国にいられる時期は逆算してある。
移動の過程で幾つかの街を回って、グラジアはその最終目的地。
最後はこの思い出深い都市で過ごそうと思ったから。]*
(54) 2021/09/26(Sun) 21:30:42

【人】 紅柱石 アンドレアス

―夜の街中―

[>>45彼の勧めてくれた店の惣菜はどれも美味しそうで、一つは彼と同じもの。
もう一つは違うものを選び、小さなパンをビールと一緒に持ってきた。
一人旅故に一人の食事には慣れているが、誰かと一緒に食べられるのは楽しい。

信じる、と言えば、彼は笑った。]

君の話はどれも興味深いよ。

[青年はそう言って、ビールを口にした。

最初に比べれば、随分と笑顔を見せてくれるようになったなと思う。
青年が人間の国に滞在できる時間は限られている為に、旅に慣れてからはひとところに長期滞在をする事は少なく。
初対面の相手ともすぐに打ち解けられる方だが、こうして何度も会って話す相手が出来る事は少なかった。
ガラーシャの事は友人、と言ってもいいのかもしれない。
滞在期間を思えば、共にいられる時間はあまりに短いが。]
(55) 2021/09/26(Sun) 22:36:26

【人】 紅柱石 アンドレアス


うん、聞かせて。

[>>46過る寂しさを打ち消すようにビールを飲んで、彼の語りに耳を傾けた。]
(56) 2021/09/26(Sun) 22:37:03

【人】 紅柱石 アンドレアス

[それは彼が母と旅をしていた頃の話だった。
旅費の節約とはいえ、子供と女性が荷車を引いて歩くのは骨が折れただろう。
砂漠の中は目印が少なく、道を見失いやすい。
野盗が出るという話があれば、野営をするのは得策ではない。
彼の母親も恐ろしかった筈だ。
月のない夜に獣の遠吠えが聞こえれば、命の危険も感じたかもしれない。

そんな中、輝く粒が見えたのだという。
砂丘の上で炎の精霊達が躍っているようだったと。

彼の母親の住む土地は精霊に親しんでいた土地だったのかもしれない。
不可思議な光景に足を竦ませるのではなく、前へ進む勇気を得た。

そうしてもうすぐ灯りが見えるという彼女の言う通り、彼らが暫く進んだ先に街の灯が見えた。
彼らはどれだけ安堵した事だろうか。]
(57) 2021/09/26(Sun) 22:37:48

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>50砂漠の逃げ水のような現象とも違う、不可思議な体験。
それは青年が本に読んだ精霊との遭遇譚のようだった。
疲れによる幻覚、という線も可能性としてはゼロではない。
その場に居合わせなかった青年にはその真偽を判断する材料はあまりに少ないが。]

本物の精霊だったらいいなと思うよ。

[問い掛けには笑みを浮かべて答える。]

確かな証拠が出せなかったとしても、君のその体験も、精霊を素晴らしいと思う気持ちも、全て君のものだ。
誰に何と言われたとしても、それは否定されるべきじゃない。

君はその時、確かに「精霊」に助けられたんだ。
お礼を言えなかったのは残念だったね。

[再び会えたとして、言葉が通じる相手かどうかも分からないが。
その体験が、想いが、焼き付いた光景が、彼を精霊の研究に駆り立てているのだろう。
それは何者にも邪魔されるべきではない素晴らしいものだと思う。]
(58) 2021/09/26(Sun) 22:39:43

【人】 紅柱石 アンドレアス

暇つぶしだなんてとんでもない。
大切な話を聞かせてくれてありがとう。

[>>51青年は緩く首を横に振って、感謝を告げる。
彼の大切なものを共有して貰えたようで嬉しかった。
惣菜については首肯して。]

うん、総菜もとても美味しい。
日替わりなら今後も来ようかな。


ねぇ、ガラーシャ。
素敵な話と素敵な店を教えてくれたお礼に一杯奢らせてくれないかい。

[本気で聞き入っていたので青年の皿にはまだ総菜が残っており、もう少し相伴してくれるなら嬉しいと告げた。]*
(59) 2021/09/26(Sun) 22:40:20

【人】 紅柱石 アンドレアス

―国境の街への誘い―

[更に時は過ぎ、青年は成熟期の訪れを自覚していた。
それを示すように、胸の宝石が僅かに熱を持っている。
魔力が満ち、新たに子を生む為の準備が始まった証拠だ。
それは、同時にグラジアを発ち、故郷に戻らなければならない事を示している。

青年はガラーシャにそろそろ出立する事を告げようと考えていた。
故郷に戻れば、会う事はないだろう。
いつも通り、再会は約束せずに別れるのがいい。
二十年後、仮に旅立つ機会があったとして、全く姿の変わらない自身を彼に見せたくはない。
ガラーシャなら受け入れてくれるかもしれないが、柄にもなくその逆の可能性を考えてしまう。
折角友人になれた彼を自身の手で失いたくなかった。
もっと早くグラジアに来ていれば良かった。
三年などすぐに過ぎ去ってしまう。

様々な事を考えるとつい先延ばしにしてしまい、言えずじまいになっていた。]
(64) 2021/09/26(Sun) 23:52:41

【人】 紅柱石 アンドレアス

[>>60表通りを歩いていると、声がかかった。
耳に馴染んだその声はガラーシャのもの。]

やぁ、ガラーシャ。

[いつもの笑顔で、彼に応じるように手を上げてみせる。
折しも、そこは青年が彼を誘った喫茶店の前だった。]

……え?
あぁ、勿論。

[そこは、青年の帰郷に通る予定の街だった。
パルティローネ王国に訪れる旅人には馴染み深い場所。
差し出されたチラシに視線を落としながら、そう答える。]
(65) 2021/09/26(Sun) 23:53:16

【人】 紅柱石 アンドレアス

……今月末。
へえぇ、って、一緒に?

[>>61グラジアから定期で馬車は出ているが、それとは別に出す馬車らしい。
人数が多ければ、その分、費用を安く抑える事が出来る。
青年もそういった馬車に相乗りする事はあったのだが。
一緒に、と言われて一瞬頭がついて行かなかった。]

……そうなんだ。

[彼にとっての思い出の深い精霊を見たという砂漠。
学生の身のガラーシャでも、この馬車に乗れば訪れる事が叶う。]
(66) 2021/09/26(Sun) 23:53:30

【人】 紅柱石 アンドレアス

うん、実はそろそろ発とうかと思っていたんだ。

[>>62しまい込んでいた言葉がまろび出た。
別の場所に──正確には故郷に戻る為に。
彼は喫茶店でした話を律儀に覚えてくれていたらしい。
そうして、一緒に旅をしたいと思っていたのだと告げられれば、胸が熱くなった。]

そうだね。
サルハドには私も向かう予定だったから、一緒に行こうか。

[>>63青年は笑んで応じた。
もう少しだけ、この友人と共にいられる。
降って湧いたような幸運。
最後の旅路に同行者が出来るとは思っていなかったが、このまま別れるのはあまりに惜しいと思っていたので乗らない手はなかった。
そうして叶うなら砂漠にも行ってみたい。]
(67) 2021/09/26(Sun) 23:53:44

【人】 紅柱石 アンドレアス

うん、実はそろそろ発とうかと思っていたんだ。

[>>62しまい込んでいた言葉がまろび出た。
別の場所に──正確には故郷に戻る為に。
彼は喫茶店でした話を律儀に覚えてくれていたらしい。
そうして、一緒に旅をしたいと思っていたのだと告げられれば、胸が熱くなった。]

そうだね。
サルハドには私も向かう予定だったから、一緒に行こうか。

[>>63青年は笑んで応じた。
もう少しだけ、この友人と共にいられる。
降って湧いたような幸運。
最後の旅路に同行者が出来るとは思っていなかったが、このまま別れるのはあまりに惜しいと思っていたので乗らない手はなかった。
そうして叶うなら砂漠にも行ってみたい。]
(68) 2021/09/26(Sun) 23:53:44

【人】 紅柱石 アンドレアス

……え?


大丈夫だよ。
旅暮らしだから馬車には慣れているさ。

[まさか腰痛の心配をされるとは思わずに、思わず食い気味に応えていた。
こうして、サルハド行きが決まったのだった。]**
(69) 2021/09/26(Sun) 23:54:52
 




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