情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@0 夜長 【祭りの終わり】 上がる花火を他人事のように眺めていた。 線香花火はすぐに落としてしまうから 今も昔もあまり好きではなかったな、なんて思いながら。 通り過ぎて行く人達は『村のみんな』ではなくて、 もう自分には縁のないものだった。 呼子鳥であれば違ったのだろうけど。 「和臣さん」 からんと下駄を鳴らして振り返る。 楽しい夢はもう終わり。 覚めてしまえば、夢に見た光景は何処にも無い。 そんな憂鬱が、表情を憂いを帯びたものにさせてしまう。 「どうしたの」 (5) 2021/08/17(Tue) 1:28:05 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥楽しい時間が枯れ落ちていく。 この田舎を離れたって、呼子鳥が居なくたって 自分は都会で生きていけないわけではない。むしろ逆だ。 皆に会いたい、そんな細やかな願いすら叶わずに あの白い病室で、闘病の甲斐無く息を引き取った姉と違って。 自分は皆で過ごしたこの村を離れても、呼子鳥が居なくとも 一人でもただぼんやりと生きていけてしまうものだから。 なら自分にとって呼子鳥の存在は、この村は もしかしたら、大して大切でもないものだったのではないかと なんだかそんなふうに思えてしまって、 それが堪らなく嫌だった。 そんな自分を隠す為に呼子鳥の真似をして、 せめて呼子鳥の代わりであれるようにここに居た。 そうして、姉の代わりに、姉の願いを叶えられたらよかった。 (6) 2021/08/17(Tue) 2:58:48 |
【人】 ごめんなさいを 百千鳥せめてあの時姉の願いを叶える事ができていれば。 完治とまではいかずとも、寛解の可能性はあったのだろうか。 そんな詮無い考えはあれから何度も脳裏を過ぎった。 無意味とわかっていても、もしかしたらを考えてしまって。 もしかしたら。 そう、結局は、この夢も。 もしかしたら、に縋りたかっただけなのかもしれない。 もしかしたら、この夢をずっと続ける事ができて。 もしかしたら、呼子鳥達も来てくれて。 もしかしたら、みんなもそれを望んでいてくれるかもしれない。 そして、全ては脆くも崩れ去った。 本当は、少しだけ安心していた。 皆は、本当はあまりこの田舎が好きではないのかもしれない。 夢のような日々を過ごす中で、そんな思いが何処かにあって 自分だけではないのだと思えたから。 身勝手に振り回してしまった皆と、それから。 同じ思いを持って、同じ我儘を通そうとしてくれた誰かへ。 ごめんなさい。 (7) 2021/08/17(Tue) 3:01:08 |
百千鳥は、心の中で謝罪をして。 (a1) 2021/08/17(Tue) 3:01:36 |
百千鳥は、見ないふりはもう終わり。 (a2) 2021/08/17(Tue) 3:02:11 |
百千鳥は、夢を手放した。 (a3) 2021/08/17(Tue) 3:02:29 |
君ぞ来まさぬ 百千鳥は、メモを貼った。 (a4) 2021/08/17(Tue) 3:16:39 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@1 >>@2 夜長 「会いたいよ、夢から覚めてもずっと」 どこか憂鬱そうに笑う。 それでもその言葉は本心からのものだった。 「…この夢は、ずっと楽しかったよ。 だから続けていたかった。それこそ夢のような話でも。 もう会いたくない人なんて一人だって居るわけない。でも」 「だからお別れが寂しいんだ。」 楽しい時間はいつか終わってしまう。 夢は覚めれば色褪せてしまう。 そんな当たり前の事が嫌で仕方ない。 嫌で仕方ないのに、過ぎた事になれば熱は冷めてしまう。 愚かなくせしてまた明日、を愚直に信じる事もできやしない。 そんな自分が何よりも嫌で仕方なかった。 (8) 2021/08/17(Tue) 18:55:32 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】 「そうだね」 夢を見せるなら、最後まで騙していてくれたらよかったのに。 この夢も、この祭りも なまじ楽しいと思ってしまえるから、 尚の事終わりが来る事の寂しさが募る。 この夢の終わりを感じ始めてから、何度も思った事。 「うん、夢を見せ続けてくれないなら、初めから。 皆には、きっとこの夢が終わっても会いに行けるよ。 でも、僕が本当にこの場所で会いたかった人には 夢から覚めたら、何処に行っても、もう会えないから。」 思い出の中にしか居ない人には、思い出の中でしか会えない。 見ないふりをしていた事実を改めて、喪失感が蘇って行く。 どうにもならない想いを抱えて、それでもと言葉を継いだ。 「でも、この夢で 皆と過ごした時間が楽しかったのは本当のこと。 『みんな』と『この村で』会う事はもう叶わなくても 僕が思っていたよりもずっと、 皆は過去に縋り付く事無く"今"を生きていける人達でも 僕はそれならそれで、どうとでも納得する事はできてしまうし 呼子姉が皆を好きだった事も、無かった事にはならないから」 (21) 2021/08/19(Thu) 22:10:03 |
【人】 君ぞ来まさぬ 百千鳥>>@3 >>@4 夜長 【祭りの終わり】 「呼子姉もきっと 僕が皆と、また昔みたいに遊んでいられた事 よかったねって言ってくれるとは思うんだ」 「でも、だからやっぱり寂しくて。 呼子姉と一緒に来て、一緒によかったねって笑いたかった。 それはもう叶わない事だから、 いつまでも考えたって仕方ないのにね」 淋しげに笑って、晴臣へと片手の小指を差し出した。 目の前に居る人が、和臣でなく晴臣だという事は 夢の残滓がそうさせるのか、大して違和感も無く腑に落ちて。 「ね、晴臣くん。 僕はきっと、それでもずっと同じ事を考え続けてしまうから また会いに来て、君達の居る"今"を大事にできるように。 いつか遊びに連れ出しに来て、考える暇も無くなるように。 …またいつか、約束してくれる?」 (22) 2021/08/19(Thu) 22:12:44 |
【人】 夢のその先 百千鳥>>@5 >>@6 夜長 【祭りの終わり】 置いてけぼりになった小指に、一瞬だけ ああ、やっぱり皆は自分が思うほどには、なんて 後ろ向きな考えが首を擡げて けれどそれはすぐに散り失せる事になった。 「……そうだね。 砂が落ちて積もる場所は、一つだけ。 そこには当然良くない思い出もあって、 他のものと混ざり合っているから、よけておくのは難しい」 「だから、掬い取ってよそへやってしまうのも良くない。 全部が混ざり合って、それでやっと今の僕があるから。 たとえたった一掬いだけでも、それを失くしてしまったら きっとそれは、今の僕とは違う人になってしまうのかも」 さんざん人に取り落とすな、なんて言っておいて その実、自身を省みる事もできていなかった。 はは、と息を吐くようにも笑いを零す。 夢を見るのに疲れてしまった今のそれは弱々しいものだけど 決して、後ろ向きなものだけではない。 「…うん。 それがいつになるかは僕にもわからない、それでもよければ いつか会いに来て、晴臣くん。 それで会えたらその時は、もう一度"またいつか"を約束しよう」 (37) 2021/08/21(Sat) 4:55:09 |
百千鳥は、「ゆびきった。」 (a13) 2021/08/21(Sat) 4:55:59 |
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新