【人】 古寺 貴菜食べ終わり、口の中に残った油をウーロン茶で流し込んでいた頃だろうか、注文したショコラバナナパフェがテーブルについたのは。 「なるほどな」 ショコラバナナパフェ、名前にたがわぬ風貌だった。 かわいい系何とやらなら写真を撮るのだろうが、食欲を満たす行為を目的としている身としては、そんな暇があったらアイスが溶けないうちに食べたい。 カットされたバナナを一つ口に入れればアイスに接していた部分が冷たく、若干シャリッとしている。 「うん、いいな、これ」 (44) 2022/10/15(Sat) 9:05:34 |
【人】 古寺 貴菜見た目とは裏腹に食べ応えは軽い。 これならもう少し冒険して見てもよかったかもしれないと、そう思える余地すらある。とても良い。 〆はこれにして正解だったなと、そう思う頃にはすでに完食していた。 「ごちそうさまでした」 伝票を持って会計を済ませ、店を出る。 時計を見れば帰るには惜しい時間だ。 ……帰っても特にすることがない、それだけの話なのだが。 そういえばこの辺りには大型の本屋があったはずだ。 そこに向かおうか。 (45) 2022/10/15(Sat) 9:10:17 |
【人】 古寺 貴菜――本屋―― 特にほしい本があるわけではない。 足の赴くまま、着いたのはドラマたアニメの原作のコーナーだ。 今年の放送作品だけでもこれだけの量が映像化しているのかと、感心せざるを得なかった。 「これは……」 手にしたのは放送が終わったばかりの深夜ドラマの原作だ。 話そのものは好きではなかったが、その中の登場人物の一人がどうしても他人と思えず、ずるずると見続けてしまった。 SNSだと「いかにも男性が考えた都合の良い女」「こんな女がいるわけがない」「いくらなんでも理解がありすぎる」等、あまり評判の良くないサブキャラだった。 確かに作中では、主人公が望み通りの意見を出す聖母のようなキャラクターとして描写されていたが、行動理念や考えの背景は驚くほど自分と一致していた。 (46) 2022/10/15(Sat) 9:22:38 |
【人】 古寺 貴菜……聖母仕草している気はないが、傍から見れば自分もそう見られているのかと嫌悪感を抱く一方、人に理解してもらえない辛さはわかると共感したりと、なかなか心中が穏やかに慣れないキャラクターだった。 唯一の救いは女性視聴者から上げられたであろう「完全に他人とは思えない」「なんでああしたかわかってしまう自分がいる」といった感想に、自分の同類は案外いるのだなと、少しだけ安堵したことだ。** (47) 2022/10/15(Sat) 9:27:33 |
古寺 貴菜は、メモを貼った。 (a11) 2022/10/15(Sat) 9:32:23 |
古寺 貴菜は、メモを貼った。 (a17) 2022/10/15(Sat) 20:35:18 |
【人】 古寺 貴菜とりあえずドラマの原作本を上下セットで購入し、併設されたカフェスペースで読み始める。 なるほど、SNSの この原作をドラマ化した勇気は認める の意味が分かった。 とにかく主人公がひどい、独善的で……なんというか自分が世界の中心であるかのような立ち振る舞い。リアルにいたらアームロックをかけたくなるような男だ。 ヒロインもヒロインで二股かけといて「彼に惹かれてしまった自分が悪いの」とかほざく、二股かけられる形になっていた元恋人が無事逃げ延びてくれて何よりである。 もう一人のヒロインはいかにも当て馬のようなことをさせられて……いや、これ以上はやめよう。 ここが家なら奇声を上げながら本をゴミ箱に叩きつけていたところだった。 危ない危ない……。 (103) 2022/10/16(Sun) 9:59:41 |
【人】 古寺 貴菜時計を見るつもりでスマホを見ると、四人目の男からメッセージが来ていた。 『二次会来ないの?』 うるせーばかしね、何が楽しくて少しいいなと思った男が見知らぬ女とイチャイチャしている姿を見ないといけないのだ。 どう返せばいいか少し悩む。 ここは本音をオブラートに包み無難に 慣れないヒールで疲れた とでも送っておけばいいか、と返信をする。 『うるせーばかしね』 ……オブラートが破れて本音が駄々洩れになったな? (104) 2022/10/16(Sun) 10:14:44 |
【人】 古寺 貴菜だが悲しいかなこれが我々の普段のやり取りだ。 向こうはこちらを女として見ていない、男友達との延長での付き合い方をしてくる。 その証拠に 『ひでぇ』 『今日の主役様になんてことを』 などと言いながらふざけたスタンプを連打してくる。 『主役様は前みたいに無様に酔いつぶれるなよ』 などと親切に釘を刺しておき、どう返すべきか。 思いを伝える気などない、これがそういう類の感情であるという確証もないからだ。 ならば今まで通りに返せばいいだろう。 『体が米を欲しているからそれどころじゃない』 向こうが望んだ関係を、そのまま続けるのが一番楽だ。** (105) 2022/10/16(Sun) 10:23:53 |
古寺 貴菜は、メモを貼った。 (a21) 2022/10/16(Sun) 10:25:47 |
【人】 古寺 貴菜結局 『俺より米を取るのか』 『そうだが』 『ならしゃーない』 みたいな、どうでもいいメッセージのやり取りの後に本屋を出た。 さすがにこの後どこかに向かう気力はない。大人しく家に帰るかと、駅に向かうショートカットとして突っ切った公園で、仲良く酒盛りしている男女を見かけた>>117>>125。 寒くなるからどこか壁と屋根のある所で飲みなさい と、声をかけようかと一瞬思ったがやめる。 それではただの変質者ではないか。 せめてもと 向こうに飯の量が多いカフェ>>0:6があるぞ と念を男女に送って公園を抜ける。 若さに物を言わせて無理をするのはいけない、若さは万能ではないのだ、見知らぬ男女よ。 (136) 2022/10/16(Sun) 15:08:55 |
【人】 古寺 貴菜帰ってから料理をする気にもならず、エキナカで弁当を買うことにした。 チャーハン弁当か炊き込みご飯弁当か悩み、両方買った。 恐らくチャーハンと炊き込みご飯のカロリーが相殺しあい、結果的にカロリーは消滅する。 両方買うことで行える裏技だ。 ホームのベンチに座り電車を待つ。 スマホを見て時間を潰しているとメッセージが入った。 二人目の男だ。 さて?昨年子供が産まれたと聞いたが……。 『嫁でてった。どこいるか知らん?』 知らんがな、全力で知らんがな。 まあ、どうせ結婚するならやめろと言っていたギャンブルに手を出し、それに愛想をつかされて出ていかれた。 そんなところだろう。 そんなお前に贈る言葉はこれだ。 『知らんがな』 心の底から思う、知らんがな。と……。** (137) 2022/10/16(Sun) 15:19:59 |
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