【人】 メカニック ゾズマ[ところで、今でこそ自分の中の“トモダチ”意識を自然に受け入れているゾズマだったが――。 実際のところ、スピカと出会う前は、自分の中に友情を抱く心があるとすら思ってはいなかった。 サダルからのその内緒話>>5:+157を聞いた時は、“そうだったんだ”の発見のほうが強くて、自分のことを顧みることは無かったのだけれど。 ひとつの切欠からの邂逅と楽しいお喋りが、いつから確かな友情に変わったのか。 その過程の記憶>>3:73>>3:77>>5:138こそあれ、“いつから”の自覚の瞬間の記憶は、遠く曖昧だったけれど――。 ゾズマはそんな“確かな経験”を意識しないがままに、サダルからの話を受けるまでの間、あんなに“コイビト”のことで悩んでいたのだ。 ……このことにゾズマが思い至れたところで、実際に自分の中に“恋のある”心があると断じられるわけではなかったし、今はもう恋の有無についてはどちらでも良いと思えたけれども] (107) 2022/07/21(Thu) 18:45:34 |
【人】 メカニック ゾズマ[たとえずるい返答>>5:-46を決めてでも、“トモダチ”として彼の側にありたい。 けれど“トモダチ”じゃ彼が満足できないのなら>>5:-49、”コイビト”でなくちゃ側にはいられない――。 恋知らぬ者のそんな極端な思い込みが、悩みを形作っていたのだけれど>>5:+76>>5:+147] ( ……大丈夫。 いまなら、もう、ちゃんと答えられる ) [ルヴァへの返答は「生き延びてまた会えたなら」>>4:+52、でも良かったのだけれど。 “やれるうちに、やれることを”。 それこそ彼が、伝えられるうちに伝えたいことを打ち明けてくれたように――。 秘めた決心>>5:+167をも胸に収めて、ルヴァを探していた。] (108) 2022/07/21(Thu) 18:46:55 |
【人】 メカニック ゾズマ[……とはいえ今はまだ、返答を出す時ではない。 これから眠りに就くふたりの出迎え、という“やれること”が先にある。 展望デッキで見つけたルヴァとダビーに、手を一度振った。 先にこの場を離れていくダビーを、特に何か引っかかりを覚えるでもなく(ルヴァから彼へのアイコンタクトには、ゾズマは気付いていなかった)見送って] あ、うん。 もう用事のほうは済んだから。 [ほっとして見えたルヴァの前で、「用事」>>76の語をそのまま返して「カウンセリング」と正直に言わなかった程度には、つい気丈な風を装ってしまったが、沈んだ調子はどうしてもにじみ出てしまっていた。 「これからスピカとバーニーを迎えに行く」と、こちらから先に話を切り出していたならば、この時に貼り付けた気丈さも保たなかったかもしれない、けれども] ……うん。大丈夫。 アタシも丁度、そう思ってたとこ。 [その用件について、ルヴァのほうが先に口にしてくれた>>80。 そのことで、安堵の息が微かに漏れて。] (110) 2022/07/21(Thu) 18:48:37 |
【人】 メカニック ゾズマ[今からすぐに行こう、とばかりに脚を動かそうとして――動かなかった。] ……、やっぱり、怖い、や。 [俯いて、思わず漏らしてしまった弱音。 迎える者の、友の生存の可能性を喜びたいのに。 残していくひとの存在を目の当たりにすれば、きっと喜べない。 その整理のつかなさから零したこの弱音は、側にいるルヴァには間違いなく聞こえてしまっただろうと思う。] あのさ、ルヴァ。 スリープ室に着くまで、さ。 手、握っててくれる? [――これ以上はもう、“大丈夫”を自分の顔にも声にも貼り付けられない。 そう観念したゾズマは俯いたまま、目だけでルヴァを見上げて、右手を差し出して希う。] (113) 2022/07/21(Thu) 18:50:13 |
【人】 メカニック ゾズマ[ルヴァが手を差し伸べてくれるなら、きっと、その手を強く握り返してしまう。 それはまるで、「好きだよ」への返答を先に伝えてしまうかのようで。それこそ、言葉という形で伝えないが故の誤解も招いてしまいそうで――。 それでも、手を強く握り返さざるを得ない程に、この時のゾズマには、縋りつきたい、支えられたい想いが強くあった。 いずれにせよ、スリープ室に着く頃>>84にはもう、手を繋ぐ必要がない程には持ち直している。 “側にいてくれる”ひとがいるからこそ、目の前の現実にも、自分の“やるべきこと”>>65にも向き合えたに違いない。 ……自分たちよりも先にスピカを出迎えていたダビーが、彼女のそばにいる>>97>>99ことの本当の意味をゾズマが察することができたか否かについては、また別の話に。**] (114) 2022/07/21(Thu) 18:51:44 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a14) 2022/07/21(Thu) 18:54:25 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a25) 2022/07/22(Fri) 11:25:25 |
【人】 メカニック ゾズマ【凍結中:展望デッキから】 [腕でも胸でもなんでも貸してくれるというルヴァ>>151に、本当にこの場で胸を借りてしまうことはなかった、けれど。 ルヴァの手を握り返す手の力には、まるで胸でも借りようとしているかくらいの勢いが籠ってしまった。 この小さな手が、ルヴァの手に爪を食い込ませてしまうことは流石になかったけれども、自分でもそう思う程の強い力だった。] ……ありがと。 [目だけでルヴァを見上げたまま、小さくそう紡いで歩き出す。 手を繋いでくれる前から、自分よりも本当に落ち着いて、確りして見えた>>150彼の、この時の内心>>152までは覚れなかった。仮に察してしまったとしても、この時のゾズマが呆れたり怒ったりすることは無かっただろう。 「大丈夫」>>153――その一言だけでも確かな力になっていて。 「ゾズマ一人じゃない」――いつかの励まし>>1:107とは違いながらもどこか通じる言葉もまた、折れそうな心を支えていたのだから。] (298) 2022/07/23(Sat) 10:55:04 |
【人】 メカニック ゾズマそうだね。大丈夫。 アタシは、ひとりじゃない。 みんなで、分かち合える。分かち合ってく。 [残される者の――チャンドラの死を背負うのは自分一人ではない。 (この時点ではあくまで“死”は可能性の一つでしかなかったけれど、ゾズマの中ではほぼ確実に思えていた) ルヴァの笑顔を側で見ながら、掛けてくれた言葉をぽつり、ぽつり繰り返していた。] (299) 2022/07/23(Sat) 10:55:30 |
【人】 メカニック ゾズマ……、今度こそ、もう大丈夫。 ありがと、ルヴァ。 [スリープ室の前まで辿り着いた時、ゾズマは顔を上げ、この場での二度目の感謝を告げてからルヴァの手を離した。 未だに笑顔は作れないし、声色にだって弱弱しさは滲むままだったけれど] あの、さ。 今、繋いでくれた手が、あの時のお礼―― “わたしたちの”バッテリー入れた銃の お礼ってことでいいよ。ってか、そうして。 [今はアンテナに託された>>2:413レーザー銃の対価>>0:58の件を、ここで口にする。 これが了承されれば、ある意味本当に「カラダで」礼をして貰ったことになるが、それはさして重要なことではない。 あの改造銃の対価として十分、あるいはそれ以上の価値が、いまここでルヴァが自分を支えてくれたことにあったのだと示そうと、「そうして」と付け加えていた。] (301) 2022/07/23(Sat) 10:55:53 |
【人】 メカニック ゾズマそれと、なんだけどさ。 スピカとバーニーを迎えに行ってからだけど。 [一度大きく息を吸い、吐いてから] アタシの部屋に……じゃなかった。 あそこは多分まずい。 もう一回、ルヴァの部屋に来ていいかな。 あの時の返事、ちゃんと伝えるから。 [互いに幽体のようになっている今、物理的なスペースの問題は何もないわけだったが、それでもちょっと心当たりのある惨状>>3:285は自然と避けてしまいながら。 それでももし仮に、ゾズマの部屋で――と言われたなら、もういっそ自分をさらけ出すという意味で観念することにして。 どちらにせよ、彼の告白に対しての意はもう決していることを、ここで伝えた。*] (302) 2022/07/23(Sat) 10:56:17 |
【人】 メカニック ゾズマ【凍結中:出迎えから、おそらく程なくして】 [ルヴァとふたりきりの部屋で、腰を落ち着けられそうなスペースのあるところにルヴァを促して、自分も彼の真正面に座って。 彼からの告白の時のように前置きの雑談を挟むことなく、ゾズマは本題を告げた。] うん。さっき言った通り、返事。 ……思ったより待たせなくて済んだ、かな。 [既に心を決めているとはいえ、いざ実際に口にしようとすると流石に緊張が走る。 また息を大きく吸って、吐いて――そんな深呼吸を2度ほど繰り返してから、ルヴァの両目を見つめて] (303) 2022/07/23(Sat) 10:57:38 |
【人】 メカニック ゾズマアタシ、ルヴァのコイビトになってみたい。 [「なりたい」、ではなく「なってみたい」。 それに対する彼の反応を意識するよりも前に、続く言葉は流れるように口から出ていた。] (304) 2022/07/23(Sat) 10:57:58 |
【人】 メカニック ゾズマホントのこと言うと、恋って、アタシにはよく解らない。 恋してるって気持ち、ルヴァにも誰にも、 今まで持ったことないから。 もしかしたら、アタシはもともと“恋しない”性質なのかも。 それでも、ルヴァがアタシとトモダチの関係じゃ 満足できないっていうなら、それなら、 コイビトにならなきゃって思ったんだけど――… [一呼吸おいてから、また言葉を続ける。] (305) 2022/07/23(Sat) 10:58:58 |
【人】 メカニック ゾズマ……アタシ、こんなんだから、 コイビトらしいことって、よく判らなくて。 [ふたりきりでの遠出、お泊り――そんな、世間話に聞く“デート”。けれどもそれって親友同士と違うのかな、というのがゾズマの認識。 何せこのことを考えた時ゾズマの頭には、工具フェスへの遠征のためにスピカと一緒にホテルのツインルームに泊まる様が容易に浮かんだほどだったのだから。] キスとかセックスとかなら……“らしい”のかな? って思ったけど、そういうことしない恋愛も あるって聞いた気がするし。 [「気がする」という語がここで出てくる程度には、これまで本当に恋愛に無関心だった。 性的な触れあいのことに言及しても、特に恥じらいが滲むなんてこともなく。あるのはただ“自分には上手くできるのかな”という、漠然とした自信のなさくらいのものだった。 (ルヴァがこんな話を聞いたらどう反応するか、仮に母にこの様を見られたら何と言われるか、という考慮までは無かった)] (306) 2022/07/23(Sat) 10:59:26 |
【人】 メカニック ゾズマだからさ。ルヴァが、コイビトとしてしたいこと、 アタシにしてほしいこと、教えてほしい。 ダメなことは、ダメって言うし。 ダメじゃないことは、色々してみたいし。 [それから、努めて笑顔を作ってみせて、声色も至って明るくして] それでコイビト続けてみて、どっちかだけでも 「なんかムリだわー」ってなっちゃったら…… その時はその時ー、って感じで。 [「その時は潔く別れちゃおう」とまで言い切ることは、ここではできなかったけれど。 もしものその時、どうしようもなくなった時には頼っていい相手>>5:+174がいる、と信じている。] それこそ、何したいとか、してほしいとか、 リクエスト教えてくれるのは、 ちゃんと生き延びて会えてからでもいいからさ。 (307) 2022/07/23(Sat) 11:00:25 |
【人】 メカニック ゾズマアタシはこうやって、ルヴァの側にいられて。 辛い時に、支えて貰って。 アンタが辛い時には、アタシから支えて。 ――辛いこと、なんでも一緒に分かち合えるなら。 そういうことができるだけで、 ホントに、ホントに嬉しいから。 (308) 2022/07/23(Sat) 11:01:00 |
【人】 メカニック ゾズマ[“辛いことを分かち合う”という言葉がここで出てきたのは、先ほどまでその姿を見ていた、残されたチャンドラのことが頭にあったから。この痛みがなければ発されなかった言葉と言ってもいいかもしれない。 「行ってくるね」と彼女に告げた>>171>>172時のルヴァの内心を――或いはその先の未来>>179>>183>>184を――読み取った訳ではない。 それでも自分に「一人じゃない」と言ってくれた、何より全員を助ける方法を模索していた彼の胸中にも、また重荷があるのだと、ゾズマは理解していた。 そのチャンドラの姿をゾズマが見た時のことと、その場でのスピカとバーナードの出迎えの際にゾズマが思わず発した言葉の数々のことは、また後の話に。**] (309) 2022/07/23(Sat) 11:01:44 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a44) 2022/07/23(Sat) 11:08:21 |
【人】 メカニック ゾズマ【コールドスリープルーム】 [ルヴァから手を離したゾズマは、「大丈夫」ともう一度つぶやいてから、一歩、室内へと足を踏み入れた。] スピカ、 ―――― この、バカ!! [ダビーが彼女の側についてくれていたって――そもそも彼女の姿がこの場に現れていなくたって>>-314、この罵倒が止まることはない。 友だからこそ、スピカに「生き延びられて良かった」と寄り添う前に、この場で示すべき怒りだ。 (チャンドラとの間でもそんな「バカ」の仕返し>>5:134だったり、バーナードともどもぎゅっと抱きしめられたり>>5:160、があったとは知らなかったけれど)] ばか。ばか。 あんな腑抜けたサマ、見せやがって、スピカ。 もうちょっと、しゃきっと、しろ、っての。 [「ばか」を放ってから、ぼろ、ぼろと、零すつもりの無かった涙が落ちていく。その涙は紛れもなく安堵からのものだったけれど、あまりにもみっともない姿だ。 この「しゃきっとしろ」は、本当に“人のことは言えない”以外の何物でもなかっただろうけれど、ゾズマがそれを自覚することはなかった。 そのくらい、この時のゾズマは、スピカのことでいっぱいいっぱいだった。] (319) 2022/07/23(Sat) 12:19:12 |
【人】 メカニック ゾズマ[だから、ルヴァ>>84のようにはすぐにさらっとバーナードを迎えられたわけではなかったけれど――。 バーナードの謝罪の中にあったその告白>>144は、流石にゾズマの耳にも届いていた。] …… ッはぁ!? [自分が眠りに就いた後、“残されている者”たちから逃げてきていたことで、この時まで知ることのなかった事実(それも、秘密にしていたのだろう事実>>194)。 思いっきりバーナードのほうを振り返ったゾズマの声色には、驚愕がはっきりと表れた。涙に濡れた顔にまで驚愕の色は滲んでいた。] ちょっと、アンタさ、 自分が死んだ時の話とかしておいて、 マジ一体何やろうとしてたのさ……?? [何やろうも何も、たった今本人が「脚切る」「クローン作る」と口にしていたのだが、それでもつい零れた疑問形。 とはいえ、バーナードが“普通じゃない”らしいことで特段何か言おうとした訳ではない(これはルヴァも同じだったらしい>>311)。ただ単に、何か一人で突っ走って無茶をやらかそうとしていたらしいことへの疑問形だ。 彼が自分で責任を全部引き受ける企み>>5:117までしていた(が、バレた)とまでは考えなかったが。] (324) 2022/07/23(Sat) 12:24:36 |
【人】 メカニック ゾズマ[さて、呆れの裏の安堵と共に――、“最後のひとり”になったチャンドラへと視線を向ける。 眠りに就く前にちゃんと「健康でいられるように」約束した手前、残された資源を適切にやり繰りして>>1>>234過ごしてくれるだろう、とは思う(翌日の夕食のメニューについて>>2だとか、アマノのアレの最終的な行き先について>>248は、まだ知らない) 自分やダビーが残したマニュアルが彼女を助けることだってこの先あるかもしれない、と――無いなら無いで、その分の負担がなくて済むということだけれど>>249。 何より、どこか人間的な素振りを見せ始めたアンテナが、彼女を側で支えてくれるだろう、と。 それでも、あの時耳にした、「私と変わって」>>5:48とスピカに告げていた彼女の声は、忘れようがない。] ドクター。 (327) 2022/07/23(Sat) 12:25:20 |
【人】 メカニック ゾズマ[今の自分はここで全部吹っ切れることができた、なんて訳はない。 いくらチャンドラのことが自分一人に伸し掛かっている訳でないと理解したって、それは変わらない。変わらないけれど――。 “命あるものはいつか終わる”の諦観だけではない、繋いだ手と「大丈夫」の言葉の支えを知っている今だからこそ、ここで頽れることはなかった。] ……あとは、任せるよ。ドクター。 [チャンドラには聞こえないと判っていても。 眠りに就く間際にも伝えた「よろしくね」を、「任せる」という形で微かに零してから、ゾズマはスリープ室を後にした。**] (328) 2022/07/23(Sat) 12:25:37 |
【人】 メカニック ゾズマ【ルヴァ自室】 [滔々と打ち明けた答えと願いに、ルヴァは頷いてくれた>>317。 思えば、何を以て“恋”とするのか――その認識すらもあやふやなまま、「コイビトになってみたい」という意思を告げてしまっていた、と気づくも。 それでもここで告げた想いは、彼にきちんと伝わっていたようだった。 “振られる予想”をする程に、振られることも覚悟していたらしい彼に、眉を少し下げた笑みを作ってみせながら] うん、そういうこと。 ひとりの人間としての、ルヴァの側にいたい。 そのためだったら、よくわかんないことでも、 試しにやってみようって思えたから。 [だからぜひお付き合いします、とこちらから告げるより前に。 へにゃ、と笑う彼の「よろしくね」>>-1185が聞こえたから] (336) 2022/07/23(Sat) 14:39:53 |
【人】 メカニック ゾズマ[恋愛関係においてしばしば、(特に一方的な)「頑張り」が積み重なって破局する、というケースがある。 ゾズマ自身もここで「なんかムリだわー」のことを挙げることができる程度には、無理する関係性の問題は認識できていた筈、だったのだけれど。 一緒にご飯食べたり、デートしたり、お喋りしたり、いつもと変わらないことしたり――。 そうルヴァから「してみたいこと」を教わった時に>>318――「義務感とか嫌々で」という語を聞いた時に、先ほど自分でささやいた「頑張らなきゃ」のことを振り返らざるを得なかった。] いや、うん、勿論! さっきも言った通り、ダメなのはダメって言うし! キスとかセックスとかも――無理はしない。 嫌々でやる訳ない、けど。 [さっきその語を出した時にぎょっとされていた>>316ことにも構わずに告げるも、この時は単にあけすけに話すだけではなかった。 この時のゾズマの声には、確かな緊張が滲んでいた――それは、真に未知なる星への上陸に臨む人類が抱く緊張に似ていたのかもしれない。少なくともゾズマにとってはそう思えた。] (337) 2022/07/23(Sat) 14:41:33 |
【人】 メカニック ゾズマ【帰還してそう遠くない頃】 [果ての無い夢から覚めた後、最初に目にしたのは真白な天井。 未だぼんやりとした頭ではあったものの、“夢から覚めたらしい”、ということはなんとなく理解した。 その後、担当の看護師から受けた説明が、状況の理解を助けてくれた。 遭難したミスティックアンテナ号からの救出(4年42日の経過は、流石にすぐには知らされなかった)。コールドスリープの正常な解除。現在は重力適合と、スリープ解除後の検査のため入院中、とのこと。] ( ………、そう、だ。 ドクター……、は? ) [感情の浮き沈みを繰り返していた夢の中で、彼女への負い目は絶えずにあった(当のチャンドラにそんな心地を垣間見られていた>>251ことには、気づいていない) この時ははっきり、最後に見た様子がどうだったかとか、思い出すことはできなかったけれど。 なんとなく、自分が直していったものが役に立ったような――そんな風な気はしていて。 そんな“もしも”から、ふっと口から出てきかけた問いを、諦観とも怖れともつかない心が押しとどめる。] (357) 2022/07/23(Sat) 17:16:41 |
【人】 メカニック ゾズマ( それより、も――。 いろいろ、大変になりそう、かな ) [必要な療養を終えれば、これから先に待ち受けているものの想像はできている――感傷に浸るよりも前に、そういうことを考えてしまう。 アンテナ号の事故に関しての事後処理――報告作業だったり、公の場での会見だったり、責任追及だったり。 乗艦整備士である自分が、アンテナ号の処分>>217>>218やスリープ装置故障の件>>310で駆り出されることだって想像に難くなかった。 艦内の人間関係をあげつらうゴシップが出てくることまでは考えてはいなかったけれど(世間はそういうものだと予期できてもおかしくなかったが)、それが無くとも、あの旅路と漂流を共にした“生き延びた者たち”――とりわけ、“夢の中でも”目覚める様子の無かったスピカ――のことが、気掛かりとしてあった。 けれど、この時のゾズマには、それらよりも前に。 一個の人間として――親のいるひとりの子としての、ひとつの闘いが待ち受けていた。] (358) 2022/07/23(Sat) 17:17:24 |
【人】 メカニック ゾズマ[そう、親族の面会許可が下りてすぐに、母が病室を訪ねてきたのだ。] ちょっ、まっ、…… 「予め遺書残しておくような覚悟もないんだったら宇宙船クルーなんて辞めちまえ」!? あのさママ、それ4年以上も行方不明キメてた子供に真っ先に言う台詞!?? あのねー親なら他にもっと言うことあるでしょバカじゃないのママ!?? 第一さーなんかあったら死ぬ覚悟くらいはそりゃしてたよ!? それくらいはわかって――ねえ聞いてるママ!? [遭難を受けて、さらに言えばラサルハグからの通達を受けて初めて“遺書”を書くことを考えたゾズマは(結局書く事態にはならなかったが)、乗船前に“遺書”を遺さなかった件について母から思いっきり怒られていた(チャンドラはきっちり事前に書き残していたのに!>>1:505) 面会――4年以上ぶりの再会が叶うなり、泣くでも抱きしめるでも「良かった」の言葉を掛けるでもなく、突然激昂を露わにした母。その姿は、親友を労わるより前に罵倒が出てきていたゾズマとも似ていたかもしれない。流石親子と言うべきか。 尤もそんなことをこの時のゾズマにしみじみと感じさせる余裕なんてものは無い。それよりも――] (359) 2022/07/23(Sat) 17:19:02 |
【人】 メカニック ゾズマ( やばい、…… 今度こそマジで辞めさせられる! ) [そう、今まさに、特に何かの権力闘争に関わっている訳でもない家族間の事情という非常に個人的な問題によって、ゾズマは人生3度目の離職の危機を迎えていたのだ――!] (360) 2022/07/23(Sat) 17:19:35 |
【人】 メカニック ゾズマ【回想】 [さて、人生3度目の離職の危機が今この時だとすれば。 2度目の危機は、2年前、否、もはや6年前になる件の事故の件。 では1度目はというと――その6年前の事故が起こる艦の出航を控えた時のことだ。 大学の卒業見込みの立ったゾズマは就職先も決まり、メカニックとしての安泰な人生のコースをひとまずは踏み出した。 「就職先が決まった」という話だけをした時は、母もまたそれを喜んでいた。 不穏な風が吹いたのは、実際に就職してから、初仕事に関する話を簡単に告げた時だった。] 『――待ちなさいゾズマ。 あなた、軍に入ってたの?』 へ? ちょっと待ってママ。 なんでアタシが軍にいる話になってんの……? [初仕事の内容とは、とある軍用宇宙船の整備。詳細な話は機密事項に当たるため、ここでは話さなかったけれども。 さて、この「就職先」の実態とは、単に軍需産業に携わっている製作所、というだけのこと。 このかみ合わない話の原因は、単にゾズマの説明の仕方が悪かっただけだ。] (361) 2022/07/23(Sat) 17:20:42 |
【人】 メカニック ゾズマ『母さんが――わたしが、デネボラが、 なんであなたを連れて逃げてきたと思ってるの!? なんで父さんが、あなたと母さんを ここまで逃がしたと思ってるのッ!?>>2:29』 [ゾズマの記憶の中の母は、この時まで、穏やかで冷静で、気丈な姿しかなかった。 母がここまで激昂する姿を見たのは初めてで、暫くは何も言えないままだった。 その後、なんとか誤解を解くための説明はした心算だったが、その言葉がすぐに母に届いたかどうかはわからない。 最終的には“自分が軍人になるわけではない”という話なのだと納得してもらい――そのはずだ――人生初の“離職の危機”を回避した訳だったのだが] (362) 2022/07/23(Sat) 17:21:18 |
【人】 メカニック ゾズマ[後に聞いた話で、母に怒られた日の翌日、なんと母はその件の製作所に抗議の通信を飛ばしていたらしいことをゾズマは知った。] 『いい? わたしのたった一人の娘を 軍艦のクルーにするなんてことをしたら ただじゃ済まないと思うことね! だいいち気に入らないのよ、あなたたちの “ハーキュリーズ製作所”って名前からして!』 [……というクレームだったとかなんとか。 結果としてゾズマが件の艦に乗船することはなかったが、それが地上整備班の主体たる製作所へのこのクレームが影響してのことだったか否かまでは定かではない。おそらくは、乗員たちにこの件がわざわざ伝えられることはなかっただろう。 なお少なくとも、当時のゾズマは宇宙環境への適応訓練が済んでいなかった、というのは事実だ>>0:155。] (363) 2022/07/23(Sat) 17:21:45 |
【人】 メカニック ゾズマ【帰還後:入院中】 [――丁度この時の、最後に会った記憶よりも少し更けてみえた母の怒り>>359は、あの時の怒り>>362にも似ていた。 そう振り返れば、もはやなんとかの顔も三度どころでなく二度までかもしれない、と思う。 病床の上でゾズマは観念して溜息を吐き、真っすぐ見つめてくる母と視線を合わせた。] ママの気持ちは解った。解ったよ。 解ったから……船乗りやめるかどうか、は、 もうちょっと後にさせて。 アタシ多分、これからいろいろ、 事故の後始末とか――ちゃんと事実を伝えたりとか、 やらなきゃならない仕事がいっぱいあるから。 だから辞めるにしても、全部ケリつけてから。 『……、解ったわよ。解った、けど。 今辞めなかったらあなた、結局ずるずる やっぱり辞めないとか言い出すんじゃないの。 どうせ今回も、ラサエダとかが あなたたち庇って辞任回避とか斡旋とかするんでしょうし』 えっと、ママ。何回も言ってるけどあの人は、 ラサエダじゃなくて、ラサルハグ・マエダ―― (364) 2022/07/23(Sat) 17:23:45 |
【人】 メカニック ゾズマ――――え。 ママ、今、なんて。 [「今回も」。つまり「前回」があったということ。 心当たりといえば2年前、もとい6年前の事故の件だが――まさかそんなことがあったとは夢にも思わなかったゾズマは、ここで母から事の次第を聞くこととなった。 あの事故の際、艦の不具合を炙り出さんとばかりの露骨な調査が行われたこと。整備班も(無論、勤めていた製作所も)そのやり玉に挙げられていたということ。けれどもそれは機器の仕様上の問題だったらしいと一旦結論付けられたこと>>0:220。 しかしその後の追加調査で再び整備員に問題が被せられ、当然のようにゾズマも責任を負わされていたということ(この辺りで製作所の上層部からひどい暴言を受けたことは、ゾズマも覚えている)。そしてその事態を知ったラサルハグが整備員の経歴をチェックし、ゾズマの腕の確かさを確認した上で就航に便宜を図ってくれていた。 あれだけゾズマを叱責した所長が、それでも懲戒処分を下してこなかったのは、ラサルハグのこうした対応があったからこそだった、とも。] (365) 2022/07/23(Sat) 17:24:39 |
【人】 メカニック ゾズマ『って言っても、ラサエダから聞いた訳じゃないわよ? ハーキュリーズの役員だった人が家に来た時、 お詫びのビスケットsweetと一緒に聞いた話なんだけれど』 [軍事部門でのトラブルということもあってか、この問題に関して自分の目と耳では兎も角、公のメディアでこうした問題に接することはあまりなかった(母らによって意図的に遮断されていただけかもしれないが)。 そして当事者であったラサルハグからも、あの事故の後始末の件について特に何か言われた覚えはなかった(この艦で彼と一緒になってから、軍時代の話を聞いたこともまた、なかった>>2:347>>2:394)。 チャンドラからは、あの件は「色々な要因が重なって起きた」>>3:328とだけ聞いている。 この話がどういう経緯で件の元役員へ、母へ、自分へ巡り巡ってきたかは分からなかった、けれど] (366) 2022/07/23(Sat) 17:25:32 |
【人】 メカニック ゾズマそ、っか。そうだったん、だ。 お礼、言わなきゃ――… [あの長い夢の中での“仕事終わり”の挨拶>>4:+61は、艦の事故を取り巻く問題を全て片付けてから、また改めて告げるべきだろう。 では、あれからさらに遠い過去になってしまった、この件の感謝は? 今更といえば今更で、それこそもう蒸し返すこともない過去の話かもしれなかった、けれど。 (その過去の証――義足のことが、まさか賛否両論の材料に使われる>>188なんて自体は想像だにしなかった) 「ゾズマがいて、よかった」>>4:+61と言ってくれたラサルハグに、ペンと便箋で感謝を認めるのは、これよりもっと後の話。] (369) 2022/07/23(Sat) 17:31:03 |
【人】 メカニック ゾズマ[と、ここで――ぷつりと何かの糸が切れたように、母が思い切りぎゅうっと抱きしめてきた。] むぐッ、 ちょ、ママ、苦しい……アタシまだ病人! ホントこういう時、加減、しない…… [母の背中をさすりながら、ゾズマは弱弱しく笑って。 それから、つられたように涙を、嗚咽を零した。] ……うん。大丈夫。 もう、大丈夫だから、ママ。 だからもう、泣かなくて、いいよ。** (371) 2022/07/23(Sat) 17:33:05 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a45) 2022/07/23(Sat) 18:04:45 |
【人】 メカニック ゾズマ【帰還後】 [退院してから暫くの間は案の定、記憶の時間軸も前後してこんがらがっていく程の多忙が待っていた。 艦の整備作業やデータ入力・解析作業、マニュアル文書作成作業のような、同系統の業種を黙々とこなしていくのとは話がまるで違う。脳の多機能をフル回転させなければ片付けられないような“やるべきこと”の多さ! そんな多岐にわたる業務を、ゾズマはアンテナのようには(もしかしたら他の生身の人間のようにも)捌いてはいけない。この多大な負担でもう一度入院する羽目になるのでは――とふっと思う程の多忙だった。] (380) 2022/07/23(Sat) 20:23:30 |
【人】 メカニック ゾズマあーもう、なんでこんなコトになるかなー! はいはいあんこ玉(つぶあん入り)foodと牛丼foodの配達ポチっと! [コールドスリープ装置の故障の件については、アンテナ号全般の整備を担当した整備士として、率直に事実>>1:65を告げた。即ち装置のクローズド部分を知る権限を得ているチームが“やるべきときに、やるべき”整備を怠った結果の故障なのだと。 その結果、『アンテナ号事故の整備士、外部に責任転嫁』という主張がウェブ上で拡散され炎上。 何故か「美人メカニック」というルッキズム的呼称までついてくるという有様で(なお“美人”という自覚はゾズマには全くない)、暫くは各方面の見舞いにすら出歩けないという事態に陥っていた。 ラサルハグの尽力あって公的に責任を問われることはなかったが>>186(ママの見立ては正しかった!)、公的機関の外でとんでもない仕打ちを受けていた、という次第である。 ……これだけの騒ぎになって、よく自身のルーツまで特定されて暴露されなかったな、とは内心密かに思う。 “かわいそうな”にせよ“過激な”にせよ、話題を惹く不要なレッテルを貼られたうえでの炎上騒ぎにならなかったのは、不幸中の幸いだった。] (381) 2022/07/23(Sat) 20:23:40 |
ゾズマは、イラチのメカニックにはあんこと牛丼が効く。 (a46) 2022/07/23(Sat) 20:24:06 |
【人】 メカニック ゾズマ本当マジ、宇宙人類全員、 ボックスドライバーの話でもしてりゃいいのに。 [これが仮に実現すればすさまじい全宇宙洗脳になるわけだが、その辺りは気にしない。 あと多分この「全員」の中に母とアンテナ号クルーたちは含まれてない。 帰還後の何時かに、スピカからさらっと“そういうこと”の相談を受けた際に、視線を逸らした無表情でしれっと返した一言>>78をいま、外のギャラリーたちにまるで呪いでも掛けるかのようにごちていた。 もっともスピカに「ボックスドライバー」発言を返したその時は、ちらっとルヴァの顔を脳裏に過らせつつも「すみません、よくわかりません」的な結論に陥ってしまった故のはぐらかしだったのだけれど。] (384) 2022/07/23(Sat) 20:26:05 |
【人】 メカニック ゾズマ……、どうしてんだろ、みんな。 [帰還後、自分よりも状態の悪かった幾人かのクルーの話は聞いていた。 ラサルハグやアマノ、ダビー、サダル、バーナードについては、特に何か問題があるという話は聞かなかったけれども。 (バーナードの部屋に響く拒絶>>262を、看護師たちは「問題」「悪い状態」だとは話さなかった) メンタルケア用の施設に移ったスピカは勿論のこと、 頭部強打の影響で入院期間が長引いていたゲイザー>>165。 そして記憶の混乱が生じていたルヴァ>>179>>183。 ゲイザーは、本人が入院中に暇を持て余す程度には、そこまで心配するような状態でもなかったけれど。ルヴァは――] あれ。 いつだったっけ、お見舞い、最後に行ったの。 [そもそもこの時、ゲイザーとルヴァはちゃんと退院できていたか――大事なはずの記憶さえも曖昧になっていく、この時の慌ただしさとままならなさ、で。] (385) 2022/07/23(Sat) 20:26:41 |
【人】 メカニック ゾズマ[ところでチャンドラについては――生還している、と伝えられた。 ずっと眠っている状態であり、あとは彼女次第だと。 そう、確かに、アンテナは本当に全員を“生きて還した”。] ……ドクターの、お見舞い、も。 あれ。いつ行ったんだっけ、な。 [ひとつの希望が事実という形で叶った時、さらに希望の連鎖を期待する心と、“でも結局は”という悲観が過る心とがある。 この時のゾズマの中にあったのは、表向きは前者――心の奥底では後者。 ――きっと治る。大丈夫。きっと大丈夫。 根拠のない希望が、曖昧な記憶の中の“自分が修理済みの”医療ポッドの存在も合わさって、頭のうちに響いていく。 故に、この時のゾズマの頭のうちに、チャンドラとの別れのことはない――少なくとも表層上の意識では。] (387) 2022/07/23(Sat) 20:34:29 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a47) 2022/07/23(Sat) 20:43:44 |
【人】 メカニック ゾズマ【1年後】 [突き抜ける程の空の青さが、庭園の花々を光で満たす。 光は、棺に納められたそのひとと白い花の上にも柔らかく落ちる。そのひとが――チャンドラが纏っているのは、4年前のあの頃と変わらない服。 紅を差したその顔は、けれど、4年の歳月だけでないもので老いているようにも見えた。] ……、……。 [“ごめんなさい”、という言葉が頭を過る。 救助された時に彼女がいた医療ポッドに、何か整備上の見落としがあったんじゃないか、とか――。 だがアンテナ号の救出時にあのポッドに特に問題が無かったことは、外部調査の結果でも示されている(アンテナがメンテナンスや調整を行ってくれたお陰もあったのだろう>>249) 自分の仕事が多少なりとも関わっている不幸に対し、自分一人で責を負いたがるメカニックの(ある意味、自意識過剰な)悪癖は、未だに抜けきらない、けれど] (424) 2022/07/24(Sun) 10:03:43 |
【人】 メカニック ゾズマ( ……ごめん、なんて。 きっとドクター、アナタが望まないよね ) [7年前の事故(もう、7年前になってしまった)の話をした時だって――彼女自身が脚を失った訳ではなかったけれど――償われる覚えはないと言われてしまったのだから。 それに、彼女の死を背負い分かち合うのは、一人じゃなくて――] (425) 2022/07/24(Sun) 10:04:02 |
【人】 メカニック ゾズマ[その「一人じゃない」を教えてくれたルヴァは、この告別式に参列していただろうか。 彼が今、側にいなくても、いてくれていても――。 棺の中で眠るチャンドラに、白いカスミソウを捧げた時に。 涙を零し、嗚咽を零し、大きな声で年甲斐もなく泣き出してしまうのは、止めようがなかった。] あり、が、と。 ドクター、 ありがと……ござい、まし、た …… [膝をついて動けなくなってしまうのだけは堪えて、棺の前から歩き出した。 今は眠れるチャンドラの瞳が、あの時、幸せを得た人間のいい顔を映していた>>339なんて思いもしないまま。] (426) 2022/07/24(Sun) 10:04:32 |
【人】 メカニック ゾズマ[さてこの告別式、奇しくも(?)アンテナ号のクルーの同窓会のような形にもなっていた。 とはいえ、あの旅路を共にした全員がここに集ったという訳ではない。 スピカは療養上の事情で、参列していない>>329>>330。 それにキャプテン――アンドロイド・アンテナは――] バーニーに会うの、すごい久々だな。 [それは他のクルーに対しても言えたかもしれない。ラサルハグ>>340にせよアマノ>>320にせよダビーにせよ、あれから無事に退院できたゲイザーにせよ、いつ最後に会ったかの記憶もこの1年間の東奔西走の中でごちゃごちゃになっていた。 (バーナードには本星への帰還>>265>>266という空白期間があった訳だが、その辺りの事情は聞かされなかった) 喪主を務めていたバーナードがアマノに声を掛けられる>>321>>332のが遠目に見えたので、こちらからの用件はひとまず彼らの話が落ち着いてからにした。] (427) 2022/07/24(Sun) 10:07:37 |
【人】 メカニック ゾズマ[アマノとの話がひと段落ついた後>>326>>335(同居の件までは聞き拾っていない)、黒い喪服のゾズマはバーナードにひらりと手を振った。] おつかれ、バーニー。 [自分の死の際には誰にも泣いてほしくないと言っていた>>1:374(結局、ゾズマはこの遺言を忘れてはいなかった)バーナードだったが、彼自身、チャンドラの葬儀の場で涙を零していなかった>>331。 “のんびり屋”の称号以上にぼんやりして見えた彼は、泣けないのか、泣かないようにしているのか。そこまではゾズマには察せられない。この時も、あまりそのことについては気にせずに声を掛ける。] あのさ。アンタに会えた時に 渡しておきたいモノがあったんだよね。 [ゾズマの目は未だ涙で腫れたまま、けれども顔かたちはけろっとした気丈な無表情で。 小さな掌を少し上回るくらいの大きさの、白く四角い紙封筒を、バーナードに差し出した。紙封筒は少しだけ膨らんでおり、月の型がうっすらと紙越しに透けて見える。] (428) 2022/07/24(Sun) 10:08:35 |
【人】 メカニック ゾズマこれさ、ドクターのヘアピン。 キャプテンが着けてたから なんとか回収してきたんだけど―― [こんな、華やかでなくとも丁寧に整えられた見送りの場すら設けられないアンドロイドのことを、少しだけ振り返りながら] バーニー、これ、持っていく? 今日さ、アンタが喪主になってるの見て、 やっぱり、ドクターのこと想ってたんだって 確信できたっていうか、うん。そんな感じだし。 [偲ぶ想いは、艦での日々を共にした皆に通じることだろう。 ここでゾズマが口にするのは、それ以上の想い、だ。] (429) 2022/07/24(Sun) 10:09:13 |
【人】 メカニック ゾズマ[穏やかで幸せだった文字通りの夢の中に、それでも、ぼんやりとしたさびしさと共に残っている記憶。 ひとりきりのふたりきり――そんな感じの、遠目故もあって小さく見えていた背中>>257>>>258>259。 何故か、自分からは近づけなかった背中。そして自分が眠りに就いてしまう頃にも、確かにまだ起きていた背中。] あの人がキャプテンにあげた、ってことは、 多分キャプテンか他の誰かに、このピン、 託したかったんだと思う。 バーニーに持っててほしかったかまでは 判らない、けど――… [そのやり取り>>8を聞いた記憶までは、ゾズマにはまるで無かったのだけれど。 もしバーナードがこれを受け取らない(もしくは、受け取れない)のであれば、その時は自分がこのヘアピンを引き受ける心算だった。**] (430) 2022/07/24(Sun) 10:09:55 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a52) 2022/07/24(Sun) 10:15:48 |
【人】 メカニック ゾズマ【1年後:告別式】 [全員集合の同窓会とまではいかなかったこの告別式に、ゾズマはヘアピンの包みとは別の紙封筒を携えてきてもいた。 これは託し物ではなく、純然たる“手紙”だ。 ゾズマは何故この今時に、通信ではなく古風な手紙を用いたのか。それはふたつの理由から。 一つ目。それは決して返信を急ぐものではなかったから。そもそも返信自体、なくても良いものだったから。 今回の事故以降の“彼”の多忙極まる状況を思えば、事務用件でもないメッセージをわざわざ一つ増やすことは躊躇われた。 そして二つ目。端的に言えば“機密の漏洩を防ぐため”。 通信内容を傍受される可能性はゼロではなかった。こういう時、いわゆる“アナログ”は存外に役に立つ――とゾズマは思っている。 万が一開封されたならば一目でわかる開封痕が残るし、便箋一枚だけを収めた薄っぺらい封筒であれば透視スキャナーを掛けられることも通常は無い。余程何かの密輸やテロ計画に対する厳戒態勢が敷かれているなら話は別だが。 といっても、この手紙に直接的に機密事項を記したわけではないので、この理由は、ちょっとした気分の問題でもあったのかもしれない。] (460) 2022/07/24(Sun) 13:29:42 |
【人】 メカニック ゾズマ[……尤も、この古風な手紙を書いたところでどこに届ければ良いか、という問題もあった訳だった。 彼の居住地や実家の所在地は知らなかったし(ホテル暮らしをしていた>>190ことも知らなかった)、彼の所在を知っていそうでかつ信頼できる他者と顔を合わせる機会も、この間の炎上騒ぎの影響で得られなかった(現在は流石に忘れられてきているが)。アマノ辺りに尋ねることも一瞬考えたが、通信越しに個人情報をやり取りするのはもってのほか。 こうして、一度認めた手紙を抱え持ち、チャンドラの訃報を聞いた際に一度手紙を破棄して書き直し――漸くここで、宛先人たるラサルハグ>>340との対面が叶った訳である。] ラス、久しぶり……だよ、ね? [告別式の終了後にそう声を掛けるも、本当に何時ぶりなのか思い出せず、ややきまり悪そうな上目遣いになる。 それこそメディアでの記者会見その他を逐一見ていれば「昨日会ったかも」という錯覚も起こしていたかもしれないが、メディア情報を意図的に遮断していた身にはそれもなかったのだ。] (461) 2022/07/24(Sun) 13:30:15 |
【人】 メカニック ゾズマあのさ、これ。 帰ってからでも、いつでもいいから 読んどいてくれたら嬉しいなっていうか。 [そう言って差し出したのは、惑星間郵便の規格に準拠した、横長の長方形の紙封筒。 白地に黄みの橙colorと青colorの2色のラインが、水平方向に真っすぐに引かれている。 封筒表には『ラサルハグ マエダ』という宛名人だけが、黒いインクペンで綴られている。 この封筒の中には、折りたたまれた紙の便箋が一枚入っている。 手紙の文面も、封筒の宛名書きと同じ黒いペンで書かれており、ひとつひとつの文字が(多少の歪みはあれど)判りやすく綴られている。] (462) 2022/07/24(Sun) 13:30:55 |
【人】 メカニック ゾズマ[自分の進退については未だ不明の構えでいたこの文面>>-1495>>-1496だったが、ラサルハグの今後については、この時点であくまで“再び翔ぶ未来”を前提とした書き方になっていた。 後の移植手術の成功>>447>>448を予知していた訳ではない。 ただ、また共に同じ旅路に発てたら――という希望から、自然に綴っていた文章だった。 さてこの手紙の、今は既に便箋ごと破棄されている元々の文面はというと――。 「7年前」の部分は、「6年前」になっていた。 そして「軍にいらっしゃったダビー様」の前には、「チャンドラ様」という名前が記されていた。 (元々はこの箇所は追伸扱いであり、書き直しに当たって本文に組み込んでいた) 新たに一から綴り直した手紙の便箋には、努めて、涙痕ひとつ滲ませなかった。**] (463) 2022/07/24(Sun) 13:34:44 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a53) 2022/07/24(Sun) 13:54:56 |
【人】 メカニック ゾズマ[必要な業務での外出であれば、顔を隠すこともなく堂々と出歩いた。 コールドスリープ装置の件の炎上騒ぎで、記者からはマイクを、一般人からはカメラを向けられることもあったけれど、会見の場で口にしたこと以外は何も言わなかった(本当に、言えることなどそれだけだった。責任追及先のチームに対して「殺す」と言わないのは当然のこと、「訴訟」の語を口にすることもなかった) あくまで自分は必要な仕事をしているだけの仕事人。 そんな毅然とした対応を続けているうちに、次第にゾズマに対しては同情論、賛同論が出始めてくるわけだが、それはもう少し後の話>>452。尤も、「美人」だから悲劇が絵になる、なんて現象はゾズマの望むところではなかったのだけれど。] (478) 2022/07/24(Sun) 16:36:54 |
【人】 メカニック ゾズマ[……こうした対応の継続が叶ったのは、ゾズマ個人を取り巻く問題が「責任転嫁系美人メカニック」の件だけで済んだからだろう。 ゾズマが他のクルーとの私的な連絡を殆ど行わず、対面に至っては全て絶っていた(絶たざるを得なかった)ことがあり。 他者についての一切の醜聞も「知らぬ存ぜぬ」「アマノに聞け」で通し続けたことがあり。 そして、ルヴァのほうに押し寄せてきた記者たちが早々に引き上げていった>>392ことがあった。 そういう意味では、要領の得ない返答だけを告げたルヴァにまた助けられた、とは言い得ただろう。 けれども、―――。] (479) 2022/07/24(Sun) 16:38:05 |
【人】 メカニック ゾズマ[どうしようもなく、寂しい。 どうしようもなく、虚しい。 無重力空間とは異なる奇妙な浮遊感があって、 世界が惑星の軌道みたいにぐるりと回っていくよう。 縋りつきたい。 けれど縋りつける人には、会えない。 誰にも会う訳にはいかない。] (480) 2022/07/24(Sun) 16:39:22 |
【人】 メカニック ゾズマ[母やスピカとは私的に連絡を取っている。 けれどもこんな有様を彼女たちに伝えれば、向こうからうっかり駆けつけてこないとも限らない。そうでなくとも、どんな言葉でこの有様を伝えていいのかがわからない。 ルヴァには何の連絡も送っていない>>445。 多忙故の余裕のなさからの音信不通は、様々な報道を耳にしてしまったことで、“ルヴァを守るため”という意味合いをも持つようになった。 ルヴァと直接連絡を取らない分、彼の名前を、母やスピカとの遣り取りの際に折に触れて出すようになっていた>>442。 彼と会えない、声を交わせない、そんな空白を埋めるように。 そんな彼と“付き合っている”とまで言わなかったのは、万が一どこかで話が漏れてしまうのを懸念してのことでもあったが、それ以外にも――] (482) 2022/07/24(Sun) 16:40:05 |
【人】 メカニック ゾズマ[ルヴァの状態自体は入院中に看護師を通じて聞いていて、退院後も(辛うじての隙を見つけて)経過を訪ねたことがあった。だからスピカにもその旨を伝えることはできた>>402のだけれど。 彼のお見舞い自体は、なんとなく行ったような気でいて――行っていない>>392>>393。 なまじ人づてに経過を聞いていたが故に、実際の記憶とその話が混濁してしまっていたのだろう(そしておそらく、これはゲイザーの見舞いの記憶についても同様だった) ……ルヴァに“忘れられている”かもしれないという不安が、漠然とあった。 彼の心を支えたいと願いながらも、もしもこちらのことをまるで認識しない彼を目の前にしたら――そんなおそれが、きっと、あって。 そうしているうちに、自分のほうが既に、夢の記憶を本当の夢の如く忘れてしまいそうで――] (483) 2022/07/24(Sun) 16:40:35 |
【人】 メカニック ゾズマ【同日:帰宅>>477より前】 [とある解体業者の作業所。 ミスティックアンテナ号の解体・解析及び、アンドロイド・アンテナの“処分”を行う現場にゾズマは立ち会っていた。 必要な艦体データの提供だけでなく、解体の場にも直に立ち会わせろというのは越権行為だったかもしれない。それでもこのメカニックは、越権行為だろうが何だろうが、この場でやってのけた。 (この件でラサルハグに提出書類を(6)1d6ページ追加させるかもしれない、というのは頭に全くなかった)] ――それで、艦の中には これだけの未回収物があったの? [遭難中にアンテナに託されたもののうち、ラサルハグの義足は既に回収されている>>340。 アンテナが所持していたボックス、その中の銃>>2:413――夢ならぬ>>3:+13それ――は、銃外装の特徴などから調査員であるルヴァの元に戻されていた可能性もあったが、果たしてどうだったか。 ともあれ、解体の邪魔になる物資を取り分けて整理していく様を見やる。] (485) 2022/07/24(Sun) 16:44:23 |
【人】 メカニック ゾズマ[そして“未回収物”のひとつに――他ならぬアンテナの髪に飾られていた、チャンドラのヘアピンがあった。 けれども業者側はそれをアンドロイド・アンテナのアクセサリーだと考えたからか、特に取り分けることをしなかった。] っと、ちょーっと失礼! これクルーの私物なんで、回収しちゃうぜい。 [ゾズマは乗艦当事者であり、後に「証拠捏造があった」などのトラブルが起こるのを避けるために、基本的に自分からは手を出さない心算だった。 けれどもこのピンの存在を現実の光景として目の当たりにした際、一歩踏み出して手を伸ばしていた。] ( ……ドクターが託したん、だ。 それを、スクラップにされて堪るか ) [容易にそう察することのできたメカニックの回収作業は、実に手早かった。 何か怒られた気もしたが、怒られたということは「隠れてやった訳ではない」ということなので、ゾズマは堂々とピンを鞄に仕舞い込むだけ。] (486) 2022/07/24(Sun) 16:45:26 |
【人】 メカニック ゾズマ[けれど“クルーの私物”こそ回収できても、その私物を持っていたアンドロイドのスクラップ行きまでも阻止できるわけではない。これは調査委員会での管理の後、既に決定された事項だ。 廃棄までの間にメンテナンスがきちんと行われてたことを示すように、その機体はひどい損傷もなく、小柄な女性型の外形を綺麗に整えらえている。] ……、じゃ、これでお別れだね。 [誰かの脳を埋め込んでいる訳でもない(それならそれで大問題だが)、完全なる機械。 誰かの姿を模してはいても>>431、その“誰か”そのものではない人形>>437。 コアから記録を抜き出され、役目を取り除かれたメカ。 喩えそのメカがどれだけ人間らしく振舞おうとも。 誰がそのメカを人間らしく扱おうとも。 葬儀もお別れの会も、アンドロイドのスクラップ行きには必要とされないものだった。] (488) 2022/07/24(Sun) 16:49:25 |
【人】 メカニック ゾズマ[勿論、例外はある。 コンパニオン用に開発されたメカは、所有者の意向や心情次第で、起動不能になったり大破したりした際に“葬儀”が開かれることはある。 愛称をつけられ世間一般に広く親しまれたメカであれば、役目を終えた時に“追悼”めいた回顧特集が組まれることもある。 けれどもこのアンドロイド・アンテナには、それらの対応が公的に為されることはなかった。 限定状況下での感情増幅機能>>4:180まで搭載していても、これは変わらなかった。 尤も、救助に当たった者たちも回収作業に回った者たちも、アンテナの“人間らしい”姿を目の当たりにすることはなかったのだが>>17>>18>>*0>>19。] 「メカは全部モノだって割り切る」、って ほうのメカニックじゃなくて、悪い? [「別れ」を口にした時に聞き拾った、現場責任者からの皮肉には、何の表情も作らずに淡々と返した。] (489) 2022/07/24(Sun) 16:49:58 |
【人】 メカニック ゾズマ[ミスティックアンテナ号の艦体自体の今後の措置は、解析結果を見て判断するとのこと。 展示の際の危険性を高める程の損傷がなければ、モニュメントとして形を留める道も未だある。展示に適さないと判断されれば、バラバラにされていく。 一方でアンドロイドのほうは、記念物として残す選択すらも採られない。“ヒトガタ”であるが故の“呪い”めいたおそれの感情がヒトにあるが故に、敢えて記念物にはしなかったのかもしれない。 こうしてゾズマは、廃棄所に搬送されていく、文字通り物言わぬヒトガタのメカを見つめていた。] さよなら、キャプテン。 みんなを、生きて還してくれて、ありがと。 [これはまだチャンドラが死亡しておらず、私的な“お別れの会”の提案>>456>>457も出ていない頃の話。 “告別式”ならぬ作業の場で、見送り人として、努めて涙を抑えてその“最期”を見届けていた。**] (490) 2022/07/24(Sun) 16:50:39 |
メカニック ゾズマは、メモを貼った。 (a57) 2022/07/24(Sun) 16:59:03 |
【人】 メカニック ゾズマ【チャンドラとの別れの後】 [バーナード>>464から目の赤さを指摘されれば、特に取り繕うでもなく眉を下げてみせた。 アンテナ号が帰還してからこの間、彼が“星に帰って”いたという旨もここで聞くこととなり、はたと瞬いたのだが] ――そっか。そういやさっき、 なんかそんな話してたみたいだし。 [遠目に見ていた時にぼんやりと聞こえてきた話>>332の断片を頭の中で繋ぎ合わせるも、どうも彼の母星(それが“ノイギーア”だということも知らなかった)で色々検査されていたらしい、くらいの認識に留まる。バーナードの身体がいわゆる“普通じゃない”らしいことは、今や遠い夢の中の謝罪>>144>>194でも知れたことだけれど。] そっちも大変だったっしょ。 うん、おつかれ。そしておかえり、だ。 [状況がはっきりと判らずとも、それだけは伝えられたこと。 「星に帰っていた」者に「おかえり」というのも妙だったかもしれないが、これは艦を共にしたクルーとしての出迎えの挨拶だ。] (502) 2022/07/24(Sun) 18:10:21 |
【人】 メカニック ゾズマ[さて、チャンドラのヘアピンの経緯について、想像も含めて伝えた時。 バーナードからの返答>>465に、ゾズマは目を瞬かせた。 それは意外な返答だったから、ではない。想像はあくまで想像だし、「わかんない」という認識自体は、そういうものかと受け入れて飲み込んでしまうものだった。 瞬いてしまったのは――続けられた話もそうだったが>>466――なんだか“他人ではない”ものに出くわした気がしたからだ。ゾズマの場合は、自分が抱えているものが“本当に何なのか解らない”という訳ではなかったけれども] ……、うん。 うん。そっか。 そう、なんだ。 [ひとつひとつの言葉に、相槌を打つ。 そのうちに、雫が落ちる小さな音がひとつ聞こえて――。 止めどなく零れる涙を前に、先ほど泣いたばかりの自分まで、もらい泣きみたいに目頭が熱くなるのを感じた。] 泣くよりは笑って、なんて。 やっぱ、無理な話、だったじゃん。 [今や破棄された遺言のことを思いながら、涙交じりに笑みを形作り] (503) 2022/07/24(Sun) 18:11:44 |
【人】 メカニック ゾズマわかんないまま、なら、 わかんないままでも、いいんだと思う。 無理に「想ってるんだー」って思っちゃうより 全然、その方がいいし――… [想っているのか“わからない”まま、それでも一緒にいて、いろんなことを教えて貰える。そんな日々の中で幸せを得られるなら――。 ここでそう口にできなかったのは、バーナードとチャンドラのそんな未来の可能性が、もう、なくなってしまっていたから。] うん。 あの人のために泣けるだけで、 十分、貰っていいと思う。 [それだけでも、バーナードの元にこの月のカタチが巡ってきて良かった、と。 「僕で、いいの」と言いながらもヘアピンを受け取った彼に小さく頷いてから、離れていく。**] (504) 2022/07/24(Sun) 18:12:41 |
【人】 メカニック ゾズマ【XDay】 [その訪問は突然だった。 インターフォンの音が響いた>>506。決して大きくはない筈の音が、玄関扉に凭れた背中にまで伝うようだった。 今は夜、ゴシップ目的の記者や観衆の気配も遠のいている静寂の時。それでもやって来る者がいるのか――と薄ら考えなかった訳ではない。 けれどもそれよりもこの時は、きっとすぐに潰えてしまう淡い期待へと意識は寄せられた。 ――スピカは、療養中。 今の時間は外出もできなかった筈、確か。 ――ママは、この時間は仕事中。 ここを通りがかるルートで フードトラックを走らせてもいない。 ――ルヴァは、……きっとまだ療養中。 そもそも住所をはっきり告げた覚えはない。 ママと住んでいた実家のことは、 ちょっと話した覚えもあるけれど。] (509) 2022/07/24(Sun) 19:28:34 |
【人】 メカニック ゾズマ( ……そんな都合よく、誰か、 来てくれる、なんて ) [ある訳がない。 そう思いながら、インターフォンの画面――ではなく、玄関扉に備え付けられた覗き窓に目を近づけた。] (510) 2022/07/24(Sun) 19:28:51 |
【人】 メカニック ゾズマ[昔話の化物の幻にでも遭ったかのように、暫く、玄関扉の前で硬直する。そこからゾズマがドアノブに手を掛けるまでの時間は、およそ20秒ほど。 目にしたそのひとの姿を未だ信じられないまま、鞄を靴置き棚の上に置いてから、おそるおそる玄関扉を開いた。] なん、で。 なんで、アンタ、が。 [隔てる扉を開け放った先、確かにルヴァは立っていた>>507。 普段の無表情が嘘であるかのように思いっきり驚きの滲んだ顔で、瞬きすらもせずに目の前のひとを見つめる。 彼は最後に見たときよりも、少しやつれて見えて。笑っているようで、泣いているようでもある、そんな顔をしていた。 もしかしたら自分の音信不通がルヴァに勘違いを起こさせていたのかもしれない>>496と考える余裕も、この時はなくて] (511) 2022/07/24(Sun) 19:30:06 |
【人】 メカニック ゾズマルヴァ。 [なんで本当にここが判ったの、とか。 体調がまだ悪いのに来てくれたんだ、とか。 ……自分を忘れてなんていなかったんだ、とか。 そんなカタチある思考は、彼に抱きしめられた時に、すぐに吹き飛んだ。] (512) 2022/07/24(Sun) 19:30:39 |
【人】 メカニック ゾズマルヴァ。 ルヴァ、ルヴァ あ、ああ、ああああ…… [耳元で告げられる言葉に返したい言葉を、すぐには口から発せられない。 言葉よりも前に、どうしようもなく涙がこぼれて、泣きじゃくって、ひたすら名前を呼び続けて、また泣きじゃくって。 夢ではない現の中で、確かな腕の力と温もりに包まれるのを感じて――。 泣きじゃくりながら、思いっきり、ルヴァを抱きしめ返した。] (513) 2022/07/24(Sun) 19:31:42 |
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