【人】 式神使い スワロー─過去回想:悪魔の子─ [遡ること500年ほど前。 由緒ある神殿に仕えていた、とある神官が 何がきっかけかは分からないけれど 他国から齎された呪術。それの虜になってしまったのだ。 他の神官たちは邪神に魅入られた者を救おうと躍起になったが 一人、また一人と。ミイラ取りがミイラになるように。 日に日に、邪神を崇拝をする者が増えていった。 そして全ての神官は、邪神崇拝者となったのだ。 これまで崇め奉られていた神は 逆に邪神と見做され、封印されてしまう。 神だったものへ捧げられていた供物は 全て邪神への供物へすり替えられていった。 雨が降らない。作物が実らない。 これは紛う事なき、神の祟りだ。 雨を司る妖は大蛇で、若い女の生きた血肉が必要なのだと 邪神官たちは、村人たちに吹聴して周り それを信じて疑わない無知な村人は、例え我が子であろうとも 大蛇の生贄に捧ぐことを厭わなかった。 これがネスト家の全ての始まりであり、呪われた血の祖] (17) 2023/12/07(Thu) 2:01:26 |
【人】 式神使い スワロー[今でもこの一族は、古い因習を続けながら あらゆる呪術を編み出し続け、子孫に継承していく。 一族の中で、最も優秀な呪術師を生み出すために。 それで生まれて来たのが、この僕── 『スワロー・ネスト』だ。 生まれ持っての魔力。それは呪力と言っても良い。 身内にさえ、"悪魔の子"だと呼ばれる程の恐るべき力。 誰に何を教わらなくとも、人の心が視えてしまうから すぐになんでも出来てしまった。 修行を重ねても3年は掛かるというのに 僕はたったの1日で式神を操る事が出来た。 そして、この式神を使って 初めて呪殺した人間は………実父だった。] (18) 2023/12/07(Thu) 2:03:20 |
【人】 式神使い スワロー[悪魔の子は、最後まで悪魔だった。 一族を皆殺しにしたのは、10にも満たない歳だったか。 誰も僕を人と見ない。誰も僕を愛さない。 そう悟りきった後は、より強力なものを欲した。 この世界は果たして存在たり得るものなのだろうか? 価値のあるものは、何処かにあるのだろうか? 幼き悪魔は知りたかった。 だから戦地に赴いた。ギルドを転々と渡り歩いた。 その答えが見つかるかもしれないという ほんの少しの期待を抱きながら…。 しかし、やはり現実というのは甘くない。] (19) 2023/12/07(Thu) 2:04:52 |
【人】 式神使い スワロー[とある日のこと。 ギルドメンバーの剣士と、十にも満たない子供の呪術師が二人。 最難関のダンジョンへと冒険している最中だった。 仲間の剣士が敵の攻撃にやられ、大怪我を負ってしまう。 僕は魔力は高いが、癒しの術を持っていなかった。 それがこの呪われた力の代償なのだ。 痛みで苦しむ姿を見ても可哀想とは思わない。 諦めて捨てて行こう。他にいくらでも道具はいる。 彼に見切りをつけて、踵を返した時だった。 偶然にも、別のギルドチームが同じ場所へとやって来て鉢合わせたのだ。 その中にいた男が、ウルだった。] (20) 2023/12/07(Thu) 2:10:42 |
【人】 式神使い スワロー[まだあの頃のウルは若くて、おそらく独身だったろう。 彼は瀕死になっている剣士を見れば、みんなで助けようと言い出した。 彼の声に仲間たちが賛同し、ヒーラーが数名駆け寄り 剣士に回復術をかけ始めていた。 死んでいくだけの者に、何故こうも一生懸命になれるのか。 その疑問の答えが気になり、立ち去ろうとしたこの足を止めて 黙って彼らの行為を見届けることにした。 怪我人を助けるという曇りなき精神の者もあれば 残り少ない魔力を、他人のために使うのを嫌がる者もいた。 そのどれもが、ウルが言うなら仕方ない。と言った様子だった。 …ああ。だから人間は嫌いなんだ。 嫌なら嫌だと。無理なら無理だと言って 離れれば良いじゃないか。 それを他人のせいにするのは、とても滑稽な話だ。 結局は、己の名声や賞賛欲しさなのだろう。 なんて醜くて、哀れなんだ。] (21) 2023/12/07(Thu) 2:16:31 |
【人】 式神使い スワロー[…しかし、ただ一人。違う奴がいた。 ウルだ。 彼からはそんな毒気の心は、まったく視えてこなかった 自分は戦士だから回復には加われやしないが せめてもと、大怪我を負った者の背中を優しく撫でながら 『がんばれ。』だとか、『まだ生きてるぞ。』だとか 明るい声で怪我人の剣士の身を純粋に案じて、 励まし続けていたのだった。 僕はこの時、初めて知ったのだと思う。 この世にはウルのように、汚れなき人間がいることを…。] (22) 2023/12/07(Thu) 2:19:04 |
【人】 式神使い スワロー[──あの出来事から数年。 ギルドは違うけれど、時折ウルと会うことがあった。 最初に再会した時は、あの時のお礼(心のこもってない)を言うところから始まり 次はそこそこ難関のダンジョンで出会い 大体その時の僕は、少数精鋭か殆ど一人の時が多く 彼は『テーリオン』というパーティを組んで冒険していることが多かった様に思う。 そんな相反する状況だからか、彼にとっては僕の身は案じずにはいられないのだろう。 『良ければうちのギルドに来ないか。』と。 よく誘われたものだが、僕は毎回それを笑顔で断った。 彼の実力は知っている。強さも申し分ない。 だが、こうして会って会話をしていると 『―――独りっていうのは、寂しいものなんだよ』と 僕がまるで寂しがっているような言い方をしてくる。 それがなんだか、当初は気に入らなかった。 彼の言葉に悪意はない。 寧ろ純粋な心で何かを思い、何かに重ねて言ったものだろうことも知っている。 だが、気に入らないものは気に入らないのだ。 僕が不機嫌な顔をしたのを察してか知らずか それでも彼は『いつでも待ってるぞ。』と言うのだ。 …調子の狂う奴だった。*] (23) 2023/12/07(Thu) 2:41:29 |
【人】 式神使い スワロー[…それよりも、人とは懲りない生き物だ。 あんなに啀み合った相手にまた会いに行こうとするのか。 反省しかり、罪悪感しかりなのか…それとも。 彼女の心情は理解できない訳ではないが… あの男に寄り添ったところで、仲直りが出来るとも思えない。 寧ろ、悪化するんじゃないだろうか? …とは思うが、僕は止める事はしない。 なんならもっと啀み合ってくれた方が面白いとさえ思う。 だから僕は、こっそりと。 彼女に気づかれない様に、式神の一羽を飛ばしておいた。 パサッ…… それは、イクリールの背中。死角になる位置。 ひっそりとピッタリと張り付くだろつ。 見えないところで殺り合われても、つまらないからね。 式神を通して、二人のやり取り視させて貰うよ。*] (57) 2023/12/07(Thu) 20:30:48 |
【人】 式神使い スワロー[式神を使って密かに情報を得るのは、いつもの事だ。 敵でなくてもそうじゃなくても。 関心があれば、こうやって誰かの会話を盗み視る事もある。 悪趣味と言えばそうだし、僕がそれだけ人を信用していないとも言える。 だがこの隠密行動は万能ではない。 流れてくる記憶の片鱗や、心情の一部ほど鮮明でもないし 目の前にいる相手とお喋りするような、そんなハッキリとした光景が視える訳ではない。 途切れ途切れに、視えては聞こえる。その程度。 そして何かしらの阻む様な力があれば、視えなくなってしまう。 まぁあんまり鮮明過ぎても、余計な情報が増えて支障が出るからね。 これぐらいが丁度良いんだ。 ───さて……。 "蛇"が、視えるな……。>>55 本当に面白い展開になりそうだ。 …そう思っていた矢先のことだったろうか。 ディアスポールが、僕に話しかけて来たのは。>>35] (58) 2023/12/07(Thu) 21:03:38 |
【人】 式神使い スワローやぁ、ディー。 どうやら君は、良いものを引けたみたいだね。 [マスターの余興で何を引いたのか>>27 そしてそれがどんなものであるか>>28 ある程度のことは把握してしまった後ではあるが 嬉々として説明してくるものだから、差し出されたものを見てから素知らぬ顔で微笑み、受け取ろう。] へぇ…。ポーションか。 しかも君のお店で扱ってるものなんだね。 お裾分けしてくれてありがとう。凄く助かるよ。 僕も何かお返しがしたいところだけど… 全然役に立ちそうなものは引けてなくてね。 また今度、御礼をさせてくれないかな。 [懐から紙を取り出せば、苦笑しながら開いて見せる。>>8>>9 まぁこれを渡したところで、何の役にも立たないからね。 社交辞令混じりではあるけれど、お返しをしたい気持ちは本当だった。 あまり人に借りは作りたくない主義だから。] (63) 2023/12/07(Thu) 21:42:20 |
【人】 式神使い スワロー[>>74"多少の"願望はあれど、過度な謙遜や遠慮をしている訳ではなさそうなのだが 僕は敢えて意を唱えよう。 微笑みながら、静かに首を振る。] 君はまだ弱いから、同行"させて貰う側"と考えてるようだけど それを恩義に感じる必要はないんだよ。 僕が君と同行することで、君が少しでも早く強くなれるなら 君にとってだけでなく、僕にとってもメリットになる。 つまり、双方の"利害の一致"に過ぎないんだ。 [有益となるかそうでないか、品定めしたい。 ある種の投資のようなものだ。 故に、礼を返す事にはならないと考えている。 ただの石ころに終わる様であれば…切り捨てるだけだ。 その分の時間は無駄になるだろうが、また新たな人材を探せば良い。それがギルドという仕組みの利点だ。 そういう割り切った、冷めた考えでいるのもまた事実。] (108) 2023/12/09(Sat) 2:25:21 |
【人】 式神使い スワロー[『家族』とは、どんなものなんだろう。 僕は両親にさえ、愛情というものを受けた事はない。 ウルと知り合って、何年経った頃だったか。 奴には家族が出来た。だがそれを表沙汰にしたり、ひけらかしたりしなかった。>>33 >>34 その一線の引き方は、戦士としての誇りでもあり 奴なりの他者への思い遣りなのだと知った。 嘘偽りのない、汚れなき心。 肉親からは感じ取る事のなかった、慈しみ。 そのどれもが僕にとっては程遠く、手の届かない尊いもののようにさえ思えるほどだった。 身近にはいなかった人種。理解に苦しんだ。 故に厄介でもあったが、月日を追うごとにそれがウルなのだと 僕の中で、そういう存在が居る事を認めつつあった。 しかし、ふとした疑問も抱いた。 もしも『家族愛』を日頃から語る事があったなら 家族というものの良さを知らない僕は、奴の思う様に傷付くのだろうか──。 いいや、違う。 僕には何の関係もない出来事として、単に流れて行くだけだ。 …そう思っていた。その筈だった。] (110) 2023/12/09(Sat) 2:26:59 |
【人】 式神使い スワロー……ディーは家族想いだね。 そういうところは、お父さんに似ているな。 [そのお願いを快諾する事も、拒む事もない。 似て非なる相手に返すのは、少しの皮肉めいた言葉だけ。 それが皮肉だと気付けやしないだろうが。 視えたその胸中も含めて、僕の心はぐちゃっとする。 それさえも隠す様に、笑顔を向け続けて。] (112) 2023/12/09(Sat) 2:28:50 |
【人】 式神使い スワロー[僕がノードゥスに来てから、実は半年も経っていない。 使えそうな人材を求めて、ギルドを転々と歩いている。 故に古参組の過去>>16や関係性>>69だとかは、記憶を垣間見て知っているのみで、関わりは殆どなかっただろう。 このギルドにはなんの愛着もないし、祝う気持ちもなかった。 パーティに参加しようと思ったのだって、人材探しがメインだから お祝いの言葉が出てこなかったのは、そのせいだと思う。 そこまで取り繕わなければならないほど、マスターたちともメンバーとも深い繋がりはなかったろうし。 …しかし僕にはどうしても、強い仲間が必要だった。 式神は自身の魔力で、意のままに動かせるし、あらゆる物体に具現化することが出来るのだが 自身の能力の範疇内でしか、能力を発揮出来ないのが欠点だった。 回復魔法が使えない僕にとっては、使える回復役が欲しかったし 例え盾や剣を具現化できた所で、接近戦では不利になりやすい状況でもあるから、肉壁だって必要だった。 使えなければ切り捨てる。その繰り返しではあるが それもまた面倒でもある。 二人くらいは、長く使える人材が欲しいのが本音だ。] (114) 2023/12/09(Sat) 2:35:10 |
【人】 式神使い スワロー[この中で有力そうなのは、アルブムやマギサだろうか。 ムルイジも…あの力は中々見込みがありそうだ。>>79 彼らの内の誰かを仲間に出来たら、一番良いのだが…。 本人たちは一癖も二癖もある変わり者(人のこと言えないけど)だし、そう簡単に手に入るとは思っていない。 かくして重要な回復役のイクリールは… いかんせん瞬発力に欠けそうなのが難点だ。 ならばアルブムから聞いた、"精霊王">>0:126 >>0:164の力を手に入れた方が手っ取り早いのかもしれない。 精霊を支配すれば、自然治癒の力を得ることも可能そうだ。 僕の式神の欠点はそれで補える。 ディアスポールは、どの分野の才能を開花出来るのだろう。 ウルと同じく前衛系…良い肉壁になれそうだろうか。 はたまた、魔力の才能を開花させて、別の分野で……? …酒のお代わりを待つ間、頬杖をつきながら そんな一方的で邪な目論見を考えていた。 とは言え、さすがに酔いが回って来たな。 少しだけ目を瞑って、あの二人の行く末>>86 >>87を視る。] (115) 2023/12/09(Sat) 2:36:29 |
(a9) 2023/12/09(Sat) 2:42:40 |
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