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【人】 『ブラバント戦記』帝国歴721年 岩の月15日 平原に薄く積もる雪が融けると共に、 地獄の戦乱が遂に幕を開ける。 アリン家の滅亡など前触れでしかなかったかの様に 各地で一斉にレジスタンスによる戦闘行為が発生した。 かつて領地を奪われた者、家名を貶められた者、 祖先を虐殺された者、アーレンベルクの信仰者…… 皇帝ヴィルヘルムが即位前より行っていた 魔術学園剣戟部の活動を通した革命へのメッセージは 確実に効力を発揮していたと言えよう。 (5) 2020/12/01(Tue) 15:39:34 |
【人】 『ブラバント戦記』6万にまで膨れ上がった帝国側の軍勢は 平野を駆け抜け、豊かな山岳と河川を越え、 春の訪れに先駆けてバルバロスの森の裾──── ガルニエ伯爵の持つ領地へと迫った。 七つの諸侯は北の海沿いに追いやられた帝国を 南方から東方へと取り囲む形で点在し、 ガルニエはその中でも最も北寄りに位置している。 ほぼ時計回りの侵攻ルートを取るだろうと 予め予測していた公国諸侯は、 森林地帯にゲリラを展開しこれを迎え撃った。 森から出れば挟撃を免れない帝国は深い森を抜けたが、 道中での度重なる襲撃により消耗を繰り返す事となる。 (6) 2020/12/01(Tue) 15:39:58 |
【人】 『ブラバント戦記』K einem vernünftigen Menschen wird es einfallen, Tintenflecken mit Tinte, Ölflecken mit Öl wegwaschen zu wollen. Nur Blut soll immer wieder mit Blut abgewaschen werden. ────まともな人間はインクの染みをインクで、 油の染みを油で洗おうとはしない。 血のみが血を以て洗い流されようとする。 (7) 2020/12/01(Tue) 15:40:16 |
【人】 『ブラバント戦記』721年 氷の月3日 弓兵や銃兵を森に潜めて抵抗するも、 民兵を盾とするかの様ななりふり構わぬ進軍により ガルニエ領、アングレール領は次々陥落。 隣合う領主である彼等の総意により届けられた 降伏のサインはまるで受け取られる事はなかった。 交渉が跳ね除けられると彼等は籠城を選んだが、 其れも空から降る焔の前では無力だった。 ガルニエ公は言った。 『 悪魔に魂を売った怪物めが。 騎士の誇りを貶めてまで勝利を得て 一体何になる? 』 (9) 2020/12/01(Tue) 15:42:01 |
【人】 『ブラバント戦記』722年 火の月2日 バルジ峠唯一の陸路を雪が覆い隠していく。 昨年秋のダンメルス家による決死の抵抗を受け、 大損害を受けた帝国軍は反撃の機会を窺っていた。 掃討部隊の空挺が丘陵を飛び交う中、 深い雪原に潜んでは近付く冬に耐え忍ぶ。 餓死者が出る様な行軍ではなかったが、 気温が下がれば傷が癒えずに力尽きる者が増える。 隊列から無念ながらに離脱する者も現れ、 帝国軍は縮小の一途を辿っていたが──── 年も明けて間もない頃、彼等は攻勢に出る。 其れは吹雪に紛れて四部隊に組み分けた布陣での 挟撃作戦だった。 (51) 2020/12/03(Thu) 0:11:28 |
【人】 『ブラバント戦記』────対し、死の間際に立つ者の激憤は 血に連なって流れ落ちる事など有り得ず。 男は言った。正確には諭す様な声色で嗤った。 制圧された居城、今にも降ろされようとする梟の御旗、 帝国兵の掃討を受けた残り僅かな同胞の断末魔。 戦乱の喧騒が少しずつ過去のものと変わる中、 余りにも穏やかな声は確実に居合わせた者達の耳に入る。 (54) 2020/12/03(Thu) 0:13:28 |
【人】 『ブラバント戦記』722年 土の月16日 『724年中にはこの戦争を終える』──── 主君の言葉の元、数を減らした帝国軍は 軍隊を複数に割いて暫しの休戦期間に入る。 とは言え、制圧圏よりそう離れていない砦では 変わらない厳戒態勢が敷かれていた。 ダンメルス家滅亡より数ヶ月を経て 残るアングレール、ロイス、ベストラの三家へ 侵攻を開始する。 最も社会的地位が低く、地理的にも北方に位置する アングレール家が真っ先に矢面に立つこととなった。 (58) 2020/12/03(Thu) 0:15:31 |
【人】 『ブラバント戦記』────と思われたが。 自領への帝国軍の侵入を確認するなり、 アングレール子爵側は兵を差し向けず白旗を上げた。 数度使者による伝達が行われた結果、 ブラバント帝国は城の明け渡しを要求。 それは二百年前に大部分を焼失した後、 再建されたかつてのシェーンシュタイン城だった。 交渉はその大広間で行われる事となる。 血濡れの婚儀となったその場所で。 (59) 2020/12/03(Thu) 0:15:50 |
【人】 『ブラバント戦記』723年 風の月5日 第一回の出兵より三年。 獅子戦役最後の攻勢が始まる。 山岳に護られた高巣城を落とすのは至難の技。 ベストラ家は近道となる全ての橋を落とした上で、 魔道部隊が谷間を通る帝国軍を崖の上から迎え撃った。 降り注ぐ氷の礫は火を用いて相殺する訳にもいかず、 傷口に凍傷を作った兵がそのまま凍え死ぬ事もあった。 帝国は丸一年と数ヶ月をかけてこれを攻略。 舞台は城内戦へと移ることとなる。 この戦いでの死者は両陣営合わせて数万人に及ぶ。 魔法によって発生した洪水で行方知れずの者も少なくない。 (69) 2020/12/03(Thu) 12:56:47 |
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