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【人】 アウローラ―― 星燈祭の夜/図書館 ―― ……はぁ。 [ 溜息と共にそっと視線を窓の向こうに向けた。 色とりどりの魔法の燈に照らされた中庭の噴水が きらきらと煌めくのが見える。 王都に瞬く星々を消し去ってしまいそうな輝きと、 楽団の軽やかな演奏を背に、学園の生徒たちが 次々にパートナーと手を取り合って踊り始める。 見知った顔も、あまり馴染みのない顔も、 皆、等しく、華やかに着飾って。 ] (166) 2022/05/18(Wed) 23:42:07 |
【人】 アウローラ[ 年に一度、ちょうど学園に入学してから 半年ほど経った頃に開催される『星燈祭』。 あちらの世界でいう「学園祭」と呼ばれるものに近い このイベントは、ゲームの中でも特に重要なものだ。 星燈祭の夜、裏庭にいると 攻略対象のなかで一番好感度が高い人物が 主人公の目の前に現れる。 そしてそれは、その人物の攻略ルートに入ったということ。 『夜明け告げるは星の唄』では、 基本的に誰かしらのルートに入る仕様になっている。 仮に攻略対象全員の好感度がゼロだった場合、 キャラクターにはそれぞれ優先順位が存在していて、 その優先順位に沿う形でルートが解禁される。 少なくとも、そういう仕様になっていた。 攻略対象の好感度がゼロの状態で、 ]特殊なフラグを立てておくと 攻略対象以外のキャラのルートへ行けるらしいが 「私」はそこまで詳しくはなかった。 (167) 2022/05/18(Wed) 23:44:39 |
【人】 アウローラ[ でも、裏庭にいっても、そこには誰もいなかった。 考えてみれば、当然よね。 だってここはゲームの中ではなくて、 そしてなにより、わたしは…あの夢の中で見たような 『ゲームの主人公』ではないもの。 どんなに他の人たちから特別だと言われる力があったって、 わたしは、ただの平民の女の子。 どれほど彼らを想ったとしても。 子供の頃からずっと絆を築いてきた、 彼らを救うために奮闘してきた彼女には、敵わない。 ] (168) 2022/05/18(Wed) 23:47:14 |
【人】 アウローラ[ ……頭では、わかっていた。 あの人たちが誰を想っているのかなんて、 そして、誠実な彼らが彼女以外に 目を向けたりしないなんてことは。 わかっていた。そのつもりだった。 それでも、心のどこかで 期待していた自分がいたことも 否定できない。 いつか、攻略対象の誰かが…たった一人でもいい、 彼女と比べることなく、わたしを見てくれることを。 そんな夢物語みたいな展開を、 望まなかったといえば、嘘になる。 ] (169) 2022/05/18(Wed) 23:48:34 |
【人】 アウローラ[ この半年間、ずっと、自分なりに努力してきた。 ゲームではみんなを攻略するためには ステータスも重要な要素だったから、 彼らと話をするだけじゃなくて、 学園での勉強も、魔力磨きも、身体を鍛えることも 思いつく限りのことはなんだってしてきた。 其れと同じく、ゲームでは 彼ら自身の好感度を上げるだけではだめだったから 学園内の他の人たちとも心を通わせようとしてきた。 あの人たちと一緒にいたくて……ううん、 いつか、誰かに「わたし」を選んでほしいなんて。 そんなバカみたいな思い上がりをカタチにしたくて がんばった。がんばってきた。] (170) 2022/05/18(Wed) 23:50:11 |
【人】 アウローラ[ でも、それは叶わなかった。 さっき窓から見えた光景を思い出す。 踊る生徒たちの中心にいたのは、 マティルダと、彼女が愛してやまない弟王子。 そして、そんな二人を温かく見つめる攻略対象たち。 ] ……。 [ そんな光景に堪らなく胸が締めつけられて 窓に背を向けて、その場を立ち去ろうとした。 ] (171) 2022/05/18(Wed) 23:50:46 |
【人】 アウローラ[ 彼らのことが、大好きだった。 今でもきっと、その気持ちは変わらないまま。 彼らに幸せでいてほしいと願っていた。 わたしが「私」であった頃から、ずっと。 そしてこの世界は、そんな願いが叶った世界。 悲しみや辛さ、悩みを抱えていた彼らが 抱えていたものから解放されて幸せでいられる世界。 この世界は、わたしにとって『美しい物語』 かつての「私」も夢見た世界。 ……だけど、この世界にきっと、「わたし」はいない。 わたしの居場所は、ない。 この世界の、どこにも。 (172) 2022/05/18(Wed) 23:51:44 |
【人】 アウローラ ……きゃっ。 [ 先程まで見ていた景色に気を取られていたせいか 何かに躓いて転んでしまう。 運が悪いことにその拍子に近くにあった本棚から 本が数冊、此方に落ちてきた。 ほとんどの本が直撃を免れたのと、 それほど重い本じゃなかったのは幸いだったけれど。 ] …。 (173) 2022/05/18(Wed) 23:55:01 |
【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ[これは自分の忍耐が試されているのだろうか。 突然の修行モード。脳内で必死に思い浮かべるのは親父の裸である。テレビを見て、お尻を搔いている親父の姿を思い出す。なぜそんな思い出したくもない姿を思い出そうとしているのかって、そりゃ、目の前にいる女性のせいだ。 待っててという声がして それから扉を開けた彼女は………] ……… [此方を誘っているのでは、と疑いたくなった。 これはまずくないか。無自覚なのだろうか、無自覚だとしたら相当タチが悪い。何せ、濡れた髪に大きめのTシャツが、彼シャツを思わせるし、そういう雰囲気をか持ちだしているのだ。 まさか、旦那さんとしっぽりしていたとか。 いや流石にそれは、と自分の考えを否定して 彼女に続いて部屋にとおじゃましようか。もちろん、失礼します。とちゃんと言った。整った部屋をちらり横目で見るものの視線は彼女にくぎ付けで] (174) 2022/05/18(Wed) 23:56:24 |
【人】 アウローラ ……っ [ 不意に視界が歪んだのは、 本と一緒に落ちてきた埃が目に入ったから。 そして、本が落ちてきた痛みが、 急に時間差で襲い掛かって来たから。 熱を帯びた頬をさらに熱い雫が伝って、 目の前の黒い装丁の本にぽたりと雫が落ちたのだって。 ……決して、泣いてしまったわけじゃ、ない。] [ ―――…でも、] (175) 2022/05/18(Wed) 23:56:45 |
【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ…ああ、折角なんで 奥さんに似合う花をと思ったんですが。 [花に顏をうずめる彼女がうつる。 それは可憐な姿だった。花束で顏をかくし、もごもごと話す姿は目に毒な程の可愛さだった。きちんと用意された料理は歓迎を表している。きっと心を砕いてくれたのだろう。テーブルは飾り付けられ、カツオと茄子の料理も見えた。生憎料理にはさほど詳しくないので名前は分からないが美味しそうでお腹が鳴りそうだった。 そして彼女の方は] …あ、奥さん。 [待ってほしいという彼女が テーブルの前のカウンターへと移動する。花を置く姿がちょうど此方からは後ろで、大きいTシャツから見えるお尻のラインを強調させたのだ。何かを言おうとした口を閉じ、ごくりと今日二度目の唾を飲みこむ。 メイクをしていない彼女は飾り気がなく。 だが、濡れ髪をまとめれば見えるうじなが色っぽく。 案内されたソファに腰を下ろす前 気づけばその手を掴んで] (176) 2022/05/18(Wed) 23:56:50 |
【人】 酒屋の息子 ヤスヒサ…お茶は大丈夫なんで それより、奥さんの方が心配っすよ。 [このままだと風邪をひくんじゃ。と 案じる声ととももう一方の手で、濡れ髪をまとめたバスタオルに触れれば、乾かす手伝いをするように撫でようとして、手を止め。耳元に唇を寄せれば] (177) 2022/05/18(Wed) 23:57:06 |
【人】 アウローラ[ その黒い本に手を添えたとき。 確かに、声が聴こえたの。 『泣いているのか?』って。 窓の外から差し込む光で、青みがかった景色の中。 気がつけば、さっきまでは聞こえていた外の喧騒が いつのまにか聞こえなくなっていて。 ……シン、とした静寂が、部屋の中に満ちていた。] …………。 [ 暗闇の中から問いかけてきた声は。 床に倒れ込んだままの私を見おろす、 暗闇に潜んだままの血のように赤い瞳は。 恐ろしいはずなのに、 なんだか酷く奇妙で、…そして少しだけ、 優しげに見えた。]* (178) 2022/05/18(Wed) 23:59:27 |
【人】 アルカード[暗闇の中、我を喚ぶ声がした。 小さな雫がひとつ、零れ落ちるにも似たそれは 星の囁きにも似た、小さな声。 本来なら誰に気づかれることもないであろうその声は、 だが、我を彼の地に呼びよせるには十分であった] (179) 2022/05/19(Thu) 0:05:30 |
【人】 アルカード[そうして、召喚に応じて顕現してみれば。 微かな埃と、書物の匂い。窓から差し込む淡い光。 そして] ……、…………。 [床に散らばった本の中に埋もれるようにして 我が眼前に伏している娘が一人>>173 人の子のそれに沿って見るならば、 それなりに美しい見目の娘だと思う。 肩から背にかかる杏子茶色の髪も、 今は雫に濡れて強く赤味を帯びた大きな瞳も、 造形は決して悪くない。 が、如何にも純朴そうで垢ぬけない印象が強い。 ましてや、今の娘のこの状態からして 第一印象が芳しいものにならないことは明白だろう。 そして一目でわかる程度には、この娘は我と頗る相性が悪い。 幾らか濃く翳りを宿してはいるが、このような魔力を宿す人の子は、我が前に現れなくなって久しい。] (180) 2022/05/19(Thu) 0:09:49 |
【人】 アルカード[―――此方の姿を、人と同じものへと変えた。 眼前の娘に、今の我がどのように見えているかはわからないが、少なくとも、悍ましいものではないはずだ。 恐らくは、だが。] (183) 2022/05/19(Thu) 0:18:29 |
【人】 アルカード[娘の目の前で膝を突くと、 そっと娘の頬に触れて、雫を指先で払う。 …ちり、と。 指先に灼けるような感覚が走ったのは 気のせいではないが、気にするほどのものでもない。 寧ろその雫に触れて流れ込んでくる、 其の感情こそが、我にとっては心地良い] 娘よ。 我は貴様の召喚に応じ参上した。 我は千の名を持つ者。 我は闇の精霊、我は魔王、我は万物の礎なる者。 何れの名も皆、我を表すものである。が…。 ……、 (184) 2022/05/19(Thu) 0:20:58 |
【人】 魔法使い ミンナ・コンスタンツェ[困り果てたような心情を吐露して、彼に言葉を並べ立てれば テンガンは少しだけ困ったように眉根を寄せた。 否定をしたつもりではないのだけれど。 もちろん自信をなくさせるために言ったわけでもないのだけど! なんだか、絶妙にすれ違っている気がしなくもない。 こちらも困ったように眉尻を下げて、彼を見つめた。] …………誠意って…………。 [……キスの塗り直しが? 第一、キスは好きな人とするものじゃない?って、 私今言ったはずなんだけどな……? なんて考えていれば、不意に身体を抱き寄せられて、 一気に彼との距離が近づいた。 あまりの至近距離に、あわわと慌てふためいてしまう。] (185) 2022/05/19(Thu) 0:21:38 |
【人】 魔法使い ミンナ・コンスタンツェ[誠意って、誠意って何の誠意……!? っていうか、私とキスしたいっていうことは、 つまり……私が好きってこと!?本当に!? そうしている合間にも彼が距離を詰めてくるものだから 思わずぎゅっと目を閉じてしまった。 いいの?これで?……本当に?? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜やっぱりだめ!! はっとして慌てて唇が重なる直前で両手で彼の唇を制した。] (186) 2022/05/19(Thu) 0:22:12 |
【人】 魔法使い ミンナ・コンスタンツェ[むに、と彼の唇の感触が自身の掌に当たる。 彼の誠意を踏み躙ってしまうようで申し訳ないけれど。 でも、やっぱりこればっかりは譲れない。] ……や、やっぱりだめ!! テ、テンガンくんのことは、 いいバディだと思ってるし、私もこれからも旅を 続けていきたいとは思ってる。 でも、…………でもっ、 やっぱりキスは、ちゃんと好きな人としたいから…… 魔力供給以外のキスはしませんっ!! [キリッとこちらも誠意を見せるように真剣な眼差しを向けて。 誠心誠意、丁寧にお断りしたのだった。**] (189) 2022/05/19(Thu) 0:23:36 |
【人】 アルカード――さ、貴様の望むカタチでこの世界を滅ぼしてやろう。 貴様がその胸に抱えるものが空くような、 そんな破滅を此の地に齎そう。 我を呼び寄せたということは、そういうことなのだろう? [なるべく、眼前の娘の心を安んじることができるような そんな表情を浮かべようとしてみせるが、 果たしてうまくいっただろうか?]** (190) 2022/05/19(Thu) 0:28:38 |
アウローラは、メモを貼った。 (a12) 2022/05/19(Thu) 0:41:51 |
【人】 インタリオ[ 装身具の行方など知る由も無いだろう。>>126 教会の走狗如きが重要性を分かりはしない。 かつては別の形で悪魔の愛し仔が、 現代では翠の星とその協力団体が各国でばらまいたことを知れども 表向きには、愛し仔と志を同じくする者の証なのだから。 どれ程優秀な才覚を持った細工師であろうとも、 ただの人間ならば真の意味で完成は出来ないブローチは ゲヘナに縛られる悪魔の依代となり、体現を手助けする。 神の使徒の預かり知らぬ陰で、幾度も男は現世に現れた。 契約関係にある人間が永らく生き続けている為に、 儀式を伴う召喚に応じることは無いのだけれど。 持ち合わせた“嗜好“により活用される頻度は高い。 ] (191) 2022/05/19(Thu) 2:48:24 |
【人】 インタリオ[ 軽快な足取りで表通りに姿を現したなんとも非現実的な男を、 幼い子供が指を差し、母親は不思議そうに我が子を見つめる。 殆どの人間達は反応すらしていない。 時期にそぐわない肌寒さを感じた者達でも敏いほうだ。 自分の信じる常識しか見れなくなってしまった自覚も無く、 妄言に覆われた哀れな現代の人間達。 彼らを全く気にもせずすれ違い、並び歩き、時にすり抜けて 男はやがて車道へと歩み出た。 向かって来る警察車両を見つめる表情はやはり笑顔だった。 対し緊急の停止を試みけたたましく地を擦った車。 つまり、少なくとも運転手は見えている。 瞬間、男は跳ね虫のように跳躍した。 ] (192) 2022/05/19(Thu) 2:48:38 |
【人】 インタリオヤッホ! [ 巨大な棺桶に車輪を着けたようなその乗り物――護送車は>>125 正面から見ると飛び出た丸いライトが、まるで虫の触角のようで。 ボンネットの上に着地した悪魔に、親近感を抱かせた。 ガラス越しに見える人間達は恐怖の表情で何が叫んでいるが、 悪魔が関心を持つのは唯一人顔すら見えない敗北者のみ。>>123 ] ねね、その後ろの仔ってアレイズ・クロウリーだよね? 君達よく捕まえたじゃないか、凄い凄い! [ 間延びしたやけに愛想良く明るい声の主は、 一度は停止しようとした筈が運転手の狂乱で暴走を始めた車の上、 張り付いたように一向に振り落とされない男。 運転手の喚きは悪魔と目を合わせて以降、 恐怖を示すものから「見えない」と繰り返すように変わっているが 理由について詳しく考える余裕がある者が果たしていたかどうか。 布袋越しの籠もる声が何か反応を示しても、示さなくとも。 形ばかり国僕の制服を纏った神の犬は、 悲鳴ばかりで喧しく、再会の語らいを難しくさせている。 おまけに銃まで抜いて、狙い始めるものだから。 ] (193) 2022/05/19(Thu) 2:48:53 |
【人】 インタリオああ、もういいかぁ [ やはり笑い混じりで場に不似合いな響きを持っていたものの、 明らかに声の温度が変わる。 元より猶予でしか無かった時間は望み通り短縮される。 再び生じた黒色は靄というには歪に蠢き実体がある。 それらは隔たるものなど無いかのように車両へ入り込み、 哀れな人間達を車外に転がり出ることも許さず “音”と集合で包み込み逃さず、喰らいつく。 未だ捕らえられたままの異端の主宰もまた、同じく黒に襲われる。 ただし彼の身に立てられる歯は無い。 視界を奪われたまま、無数の音と絶叫で聴覚もまともに働かないまま 何処かへ落ちていくような感覚が、 懐かしさがアレイズの全身と脳に齎されただろう。 ]* (194) 2022/05/19(Thu) 2:49:15 |
アルカードは、メモを貼った。 (a13) 2022/05/19(Thu) 7:08:55 |
(a14) 2022/05/19(Thu) 7:08:55 |
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