人狼物語 三日月国


83 【R18】ラブリーナイト・りたーんず!【ペアRP】

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視点:


【人】 三月ウサギ



  ─── 友人、恋人、契約者。

  俺達は、何かになれたんだろうか?
  確かめることはせず、ゆっくりと身体を起こと。

  白い太陽を、背負いながら。
  ようやく重なった視線を惜しむように
  真っ直ぐに君を見つめたあと。
  目を細めて微笑んだ。
 
 
(42) 2021/07/15(Thu) 20:43:12

【人】 三月ウサギ

 

  最初から、一夜だけの約束だった。

  このホテルを出た後は。
  それぞれの別の世界に分かたれて。
  君の家族が俺の家族になり。
  俺の家族が君の家族になる。


  なのに、俺と君は家族にはなれない。


  そんな当たり前のことに対して。
  心底不思議そうに、首を傾げれば。
 
  
(43) 2021/07/15(Thu) 20:43:51

【人】 三月ウサギ



  …… 少し考えたのは、俺の家族だった人のこと。


  「そんなこと考えてなかったのよ、どうしよう?」


  ほわんとした笑顔で搾取する。
  そんな悪意は、俺が偽物だったからで。
  君が晒されることがないといい。
  心からの願いを浮かべて。
 
 
(76) 2021/07/16(Fri) 23:52:38

【人】 三月ウサギ



  微笑みを重ねて、別れの言葉を重ねて。
  さらに未練を断ち切るように。


  ─── なかったことにしていい。>>2:D18



  再度念を押そうとした言葉は、
  ふわりと香る甘い匂い。
  胸元を飾るリボンと共に
  流れるように美しい、洗練された所作に奪われた。
   
     
(77) 2021/07/16(Fri) 23:53:36

【人】 三月ウサギ



  ***

 
(78) 2021/07/16(Fri) 23:56:07

【人】 三月ウサギ



  そのあと、俺は両親と出会い。
  そのあと、俺は両親と別れた。


  「 品のない子ね。
    やはり育ちが卑しいとああなのかしら? 」

  「 あれなら、あの偽物の方がまだ ─── 」


  俺の前では穏やかに微笑んでいたけれど。
  陰でそんな話をしているのを聞いてしまえば、
  嫌でも気づく。
 
 
(79) 2021/07/16(Fri) 23:56:40

【人】 三月ウサギ



  そうか、俺には家族なんていなかったんだ


  気付いた瞬間、目の前が開けた。
  迷いはなかった。
  そのまま、あの大きくて息苦しい家を出た。
  名前はどちらでもよかったけれど
  下手に変えて詮索されるのも煩わしい。

  なので、一番最初にもらった。
  俺は俺の嫌いな、
俺の好きな女の子の
名前で生きていて。
 
  元々大学は奨学金で通っていた。
  再びキャンパスに戻ることも可能だっただろう。
  生活費もバイトして稼いでいた。
  家族を養う必要がない分、余裕ができたくらい。


  そうか、俺には家族なんていらなかったんだ
 

  気付いてしまった、幸せで不幸なこと。

 
(80) 2021/07/16(Fri) 23:57:14

【人】 三月ウサギ



  …………


  誰にも煩わされない幸せな日々。
  誰にも煩わされない不幸せな日々。

  世界は次第に、色を失い。
  今が夜なのか朝なのかもわからない。
 
 
(81) 2021/07/16(Fri) 23:57:30

【人】 三月ウサギ



  そんな日をどれだけ過ごしただろうか。
  アスファルトの地面を渡る風が、
  短く切り揃えた髪をさぁっと通り抜けた。

  一瞬、反射的に目を閉じて、
  パッと風の吹く方に目を遣ると、
  どこかで見たリボンが、ひらりと宙を舞っていた。
 
 
(82) 2021/07/16(Fri) 23:58:06

【人】 三月ウサギ



  1つのリボンへと伸ばされた2つの右手

  俺の方が僅かに早く、それを掴んだ。
  
 
(83) 2021/07/16(Fri) 23:58:16

【人】 三月ウサギ



  「 これ、─── 」


  リボンを掴もうとしていた手に、
  俺の手に収まったリボンを掴ませる。

  それから相手の顔に、大きく目を見開いて。
  思わず、その名を口にしようとして、噤む。
  
 
(84) 2021/07/16(Fri) 23:58:25

【人】 三月ウサギ



  三月ウサギとトト。
  終わってしまった物語。
  誰にもなれない、どこにもいけないひとりとひとり。
  どこにもいない彼らは、ここにもいない。
 
  …… だから、驚愕に彩られた瞳を、柔く細めた後。
  上げた口角と共に「 君 」に向ける言葉は、きっと。
 
 
(85) 2021/07/16(Fri) 23:58:34

【人】 宇佐美 有栖



  一夜限りの約束。

  果たし、途切れてしまった縁の糸は。
  ひとひらのリボンを結ぶように、
  キュッ絡み合い、繋がって。


       あの「はじめまして」から。
       幾度となく、世界は朝と夜を繰り返した。
 
 
(100) 2021/07/17(Sat) 18:34:31

【人】 宇佐美 有栖



  夜のしじまも、明ける朝靄も共に生きたいと。
  願う俺の顔は、情けないことに若干強張っていた。
  心を張り詰めて、僅かに震える手には、
  ひとつのリングが輝いてる。

  それは、沈む夜と昇る朝を必死に駆け抜けて。
  時刻は刻む針が、真上を向いて重なる時。
  日付は ………
 
 
(101) 2021/07/17(Sat) 18:36:48

【人】 宇佐美 有栖



  すぅと息を、吸って吐いて。
  全身を覆っていた緊張を解し。
  穏やかな陽だまりのような微笑で贈る。


       …… かつて首を横に振られた祝福。>>D29
       今度は君に届いたのか。
 
 
(102) 2021/07/17(Sat) 18:37:14